赤い橋の殺人
評判
赤い橋の殺人の評価:
4.20/5点 レビュー 5件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1〜4 1/1ページ
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赤い橋の殺人の評価:
4.20/5点 レビュー 5件。 B ランク
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無神論を信奉し、自らが入り込んだ世間の欺瞞を痛烈に軽侮つつも、絶えず何かに怯えている様な主人公、果たしてその過去には………と云うストーリーで、真相が明かされるのは終盤になってからなのだが、別に大した謎が隠されている訳でもなく、鈍い読者でも早い段階で何が起こったのか推測するのは難しくない。倒叙ものの心理小説と読めないことも無く、その意味ではドストエフスキーの『罪と罰』の先行作品とも言える。ロシア的な大地に代わってここで倫理を保障するのは神であり、神の不在に慣れ切ってしまっている現代人からするとこの辺は感情移入し難いところかも知れないが、当時神の否定が具体的にどうした影響を齎したのかを知る資料として読めば面白い。また貧しいインテリ青年が常識に反逆する、と云うモチーフ自体は今日でも通用するものだろう。エピローグは如何にもカトリック教圏らしさを窺わせるが、この辺の趣向は今日のサスペンス小説等では見られない。人生を全体として描くと云う、19世紀フランス小説の良さが出ている。
超自然的な恐怖小説的要素(主人公の赤ん坊の顔が何故か死んだ男の顔に………)や、空想科学的要素(タイトルにもなっている「赤い橋」は鉄の鎖を使用した吊り橋だが、これは当時まだ存在していなかった)も登場し、何だこれではまるでポオではないかと思うのだが、ボードレールと親しかったすれば、実際ポオの影響も考えられる。作中には当時のボヘミアン達の交友関係が描かれているが(毎週開かれる音楽会の場面が興味深い)、現実にこうしたサークルの中で当時の文壇や芸術界の風潮は胚胎して行ったのだろう。まだ未紹介の傑作が何点も有るそうなので、今後の展開に期待したい。