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(短編集)
パン屋再襲撃
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パン屋再襲撃の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全51件 21~40 2/3ページ
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まだそこまで世界的知名度が高くなかった初期の短編集。 表題作の「パン屋再襲撃」が一番おもしろく且つ印象的な短編。村上春樹といえば幻想的で不思議な世界観のイメージがありその点を忌み嫌う人も多いと思うが、本作の妙なシュールさはそういったイメージを払拭してくれる。 「深夜にお腹が空いた夫婦がマクドナルドを襲撃し、ハンバーガーを食って帰る」という訳のわからない内容。結局何だったんだ、という純粋な疑問は残るが、マクドナルドといういやに現実的な象徴と、散弾銃を持って敬語で襲撃する夫婦というありえない設定には笑わずにはいられない。また主人公の夫婦の間に生まれる奇妙な絆は、80年代の少し古くさい描写と相まって温かく感じられる。余計な回りくどい描写はあまりなく、非常にテンポが良い。行間にうまいこと「雰囲気」を詰め込むテクニックはさすがで、おそらく彼の作品の中でも一、二を争う出来なのではないだろうか。 他に「ファミリーアフェア」「象の消滅」あたりもおもしろい。 「ノルウェイの森」や「1Q84」あたりの長編がどうしても苦手、という人は是非本書をお勧めする。 | ||||
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お腹がすいたからパン屋を襲うという、何とも短絡的で衝動的なアイディアだが、ついつい最後まで読んでしまう。 やはり文章が面白く、アイディア優先かと思いきや、地の文の物語とは関係のないことがどうしようもなく面白い。 | ||||
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演劇でこの短編集にもなっているものを作り直して上演した、と新聞で知り、面白そうなんで買ってみた。 まだ、最初の短編しか読んでないが、面白かった。 私は春樹さんは案外短編向きだと思う。 カフカや安部公房もそうなんですが、こういうタイプの小説は短編の方がインパクトがある。 中編がギリギリで、長編になると、多分疲れてしまうんだと思う。 理性的に書いているつもりかもしれないけれど、それは夢なんで、どうしても辻褄が合わなくなる。でも、辻褄なんてあわせる必要はない。そんなものは、意味付けして、腑に落ちたいという脳の欲求で、現実とは関係のない欲求なのだから。 しかし、村上春樹の小説に出てくる女性は何かファムファタール?運命の女、の匂いがするなぁ。 謎めいている。 スフィンクス的な… 女って、謎めいている。自分も女だけど、時々自分がわからなくなる。子宮の欲求というやつが、脳の欲求と闘っている、そんな感じがして、時々おかしくなりそうになる。 生命って、やっぱ、神秘だ。 | ||||
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「パン屋…」「象の…」といった有名な短編と、 「双子…」「ねじまき鳥…」という長編と絡んだ作品を含むので、 かなり重要な短編集だといえるし、 これらについてはかなり語りつくされてもいるだろう。 私は「ファミリー・アフェア」が面白かった。 私の知る限り、兄妹という関係は村上作品では珍しく、 新鮮に思えた。 最も衝撃を受けたのは、最も短い「ローマ…」だった。 著者の比喩表現は、天才と突飛の紙一重だと思ってきたが、 これを読むと、天才の方だと判断せざるをえない。 落語の三題噺みたいなものといえばそうかもしれないが、 それにしても著者の力量をまざまざと見せつけられた思いがする。 | ||||
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村上春樹さんのユニークさと力を感じさせられ、楽しみました。 題材も設定も、すごい、とは思いませんでした。 ところが、引き込まれました。 何んなんでしょうか? 同じ題材と設定で他の作家の方が書いたら、こうはならなかったと思います。 さすが、と思いました。 | ||||
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いつも彼の本を読むと 僕=村上春樹=ワタナベノボル ではないかと思える。 そう思うと、 短編集というのは、 やはり珠玉の1作がないことには・・・ と思いがちであるが、 通勤の途中でもさらっと読んで、 後ろ髪をひかれるような作品の集まり。 気楽に読んで、後から深いところを考える そんな風に読むことができる作品である。 | ||||
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村上春樹の短編集の中で最も好きな作品。 一編一編のクオリティが非常に高い。 「パン屋再襲撃」 まず、この「再」襲撃の意味についてだが、登場人物は短編集「カンガルー日和」の中で若い頃に一度パン屋を襲撃した過去を持つ。 だから、「カンガルー日和」を事前に読んだことがあれば倍増とまでいかなくても、楽しさは増す。 そして、当時のパン屋襲撃の呪いが今は結婚した夫婦に襲いかかる。 呪いによって真夜中に激しい空腹感に苛まれた夫婦は、車を走らせ「マクドナルド」を襲うことにした。 夫婦の呪いは解くことができるのか。 そして、これも名作「象の消滅」。 町で飼育していた象がある日突然、飼育員とともにこつ然と姿を消してしまう。 それは状況から見て明らかに逃げたのではなかった。 消滅したのだ。 ただ、そんなことは誰も信用しないが「僕」だけは人に言えないものを目にしていたのだった。 「ファミリー・アフェア」 村上春樹の作品で主人公の兄弟が主体的に登場する物語はあまりないので、この作品は非常に珍しい。 兄と妹のファミリー・アフェアが描かれる。 村上作品にいつも登場するような、社会を斜に構えて見ている「僕」に対して現実的な「妹」。 その妹が婚約した。 相手の男との関係の中で見せる兄妹の掛け合いが、非常にユーモラス。 兄妹とはいえ、これほどコミカルに人間関係が描かれる村上作品が他にあるだろうか。 「双子と沈んだ大陸」 この双子は「ピンボール」に登場する双子。 主人公はこの双子が家から出て行ってしまった後に、偶然雑誌の写真で彼女達を発見する。 そして、主人公が勤める事務所の隣の歯科医院には「笠原メイ」と言う名の女の子がいる。 「ねじまき鳥」に登場する「笠原メイ」の名前はここからとられたのだろうが、キャラクターはまったく異なっている。 全体として、初期の村上春樹の乾いた雰囲気を思い起こさせる。 「ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界」 短編ならではの言葉遊び。 「ねじまき鳥と火曜日の女たち」 これは題名とおり長編の「ねじまき鳥」のベースになっている作品。 長編の初めの部分が、ほぼこの時点で出来上がっていたということがわかる。 長編の「ねじまき鳥」を読んだ人なら、この短編からあれだけの長編にまで膨らんでいく、作家の仕事について思いを馳せることになる。 やっぱり名作だ。 | ||||
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初期の作品集だ。いやな男が描かれているが、たぶん村上はこの作中人物がいやな奴であることを意識している。自己嫌悪のようなものが漂っている。「象の消滅」にしろ「パン屋再襲撃」にしろ、物質として現実に存在するものを信頼していない。それはいつか無くなるものだし、だとすれば今目の前で消えてしまっても何の不思議もないものなのだ。 人の関係だって、だから真面目に永続的な関係なんて結ぶ気になれない。永続的な人間関係だって?という具合だ。だから世界を確固たるもののように不安げのない笑みを浮かべるワタナベノボルを、こんなにも憎むのだろう。 | ||||
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もし、この本を呼んで面白いと思えないのなら、村上春樹は無理だと思う。 色んなことについて「何で?」って深く理由を考えてしまうのであればやめといた方がいいと思われます。 深夜にハンバーガー屋を襲ったり、はんだごてが何となく嫌いだったり、このわけのわからない感じが好きなのです。 | ||||
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何といっても「ファミリーアフェア」でしょう。1985年の刊行ですので、バブル(1986年〜)前夜のどことなく抜けた雰囲気、シリアスにならない都会的なタッチ、それでいて家族間のそこなかとない親愛と目線を高くしない主人公の自省の感もあって、大いに憧れたものです。80年中期にはこうしたキャラが時代の雰囲気だったし、社会的にもアクセプトされたのだと思います。 かなり気障ですが主人公のセリフや描写に思わずニヤリとさせられる作者の技量は流石だと思います。恐らく、このストーリーは映像化してもあまりその魅力の本質は伝わりにくいのではないでしょうか。文章であるが故に伝わるものがある、非常に技巧性の高い作品だと思います。 村上氏自身が言うところのドライブが利いた短編小説の秀作。1993年Knopf 社で編集、出版された短篇選集『The Elephant Vanishes』(2005年、「象の消滅」 短篇選集 1980-1991として日本でも発売)にも短編代表作のひとつとして収録されています。 | ||||
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村上春樹氏の初期の短編集。 比喩が上手な村上さんの作品に対しては 陳腐でチープな表現かもしれませんが 相変わらず 不思議過ぎます。 なんていうか およその常人には行き着かないであろう方向に物語が進むのです。 それがたまらなく好きなのですが。 | ||||
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カンガルー日和が短編集だとすれば、パン屋再襲撃は中編集と位置づけられそうです。 どの編も完成度が高く、読み終わった後に充実感を感じます。 そう言う意味では彼の長編著書が好きな方でも十分満足できる作品となっているでしょう。 また、「双子と沈んだ大陸」は村上春樹の"僕”シリーズの長編4作品に関わる短編作品となっていますし、 「ねじまき鳥と火曜日の女たち」は題目通り“ねじまき鳥クロニクル”に関わる短編作品となっており、 彼の長編作品を読んだ人にとっても興味深い作品となっています。 もちろん、彼の本を読んだことの無い人でも、彼の魅力を感じるには十二分な作品であることは 間違いないでしょう。 作中には"ワタナベノボル”や”笠原メイ”も登場するので、彼のファンにはたまらない一冊です。 | ||||
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普段の何気ない出来事がこの作者に書かせると、とても奇妙で不思議な出来事になっていく。登場人物の心の動きを、かなりひねった感じで伝えてくれるからだと思うのだが。。。 何となく読んでいると、何となくあっという間に読めてしまい「う〜ん」とうなってしまう。そして特段の感想もない。でもいやな感じではない。そういう本。 | ||||
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村上春樹の本は、いちいち解釈などせずスラスラ感覚で読むものだと思う。作者自身が云うように、すべてのモチーフは所詮ガラクタなのだから。意味を求める必要はなく、独特のユーモアと比喩を楽しく読んだほうがいい。私は深く重い教養だとか哲学を垂れ流す本が嫌いだけど、春樹本には自分なりの答えを見つけられる余裕があるから大好きだ。押しつけがましくなく、読みやすい。彼が長年文章の平易さにこだわるのもただいろんな人に個々の読み方で読んでほしいだけだと思う。 そしてこの短篇集は重みやうっとうしさがなく、シュールでふわっとしていておもしろい。やはり初期の短篇群には軽さと重さのバランスが絶妙。最近の短篇より良いと思う。 個人的には「ファミリーアフェア」と表題作が好きだ。 | ||||
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私は、村上春樹氏の短編は一通り読んでしまいましたが、 本作に収録されている「パン屋再襲撃」が一番素晴らしいと思います。 村上春樹とマクドナルドの究極のコラボレーション作品とも言える、この一編のあらすじを目を閉じて静かに反芻すると、なぜなのか幸せな気持ちなってしまうのです。 | ||||
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「象の消滅」がいいです。コーヒーメーカーのセールスというありきたりの現実のなかで偶然にも遭遇する不思議な世界・・。まさに大人の童話といえるのではないでしょうか。国を超えた普遍性があり、英訳本のタイトルになるというのもよくわかります。 「ファミリー・アフェア」は妹の婚約者のことが気に入らなくていやみを言っているだけのような感じでちょっと雰囲気が違います。 | ||||
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1986年に出された短編集。 「象の消滅」が収められている。タイトル通り、象が消える話である。 <象の消滅を経験して以来、僕はよくそういう気持ちになる。何かをしてみようという気になっても、その行為がもたらすはずの結果とその行為を回避することによってもたらされるはずの結果とのあいだに差異を見出すことができなくなってしまうのだ。> 語り手は、象の消滅以来、自分(とその行為)と世界の関係がよく分からなくなっている。昔読んだときは、何だかこの感覚がぴんとこなかったのだけど、今読んでみると、象が消えるっていうのは 9.11 にちょこっと近いかもしれないと思った。 とても大きな消えるはずのないものが、自分の目の前で(TVの中だけど)消えていってしまった。そんなありえないことが起こったあとで世界はとても大きく変わってしまったようにも思うのだけども、でも日本にいる自分のまわりではそんな変化は実感しない。ちょっと空港のチェックが厳しくなったくらい。変わってしまった世界が自分にあまり影響しないように、実は自分のすることも世界とぜんぜん関係ないような気がしなくもない。 小説に戻ると、象が消滅してもしなくても、実はあまり「僕」には関係がなかったのかもしれない。実際、「僕」の「便宜的」な仕事は象が消えてもぜんぜん変わらないのだ。ただ、象が消えた、という事実があっただけ。 一方で、もう一つの好きな短編「ファミリー・アフェア」の語り手は、妹の気に食わない婚約者が「僕」の家にはんだごてを持ってきたせいで、自分の家がまるですごく変わってしまったようにに思う。この気持ちはよく分かる。象の消滅と持ち込まれるはんだごての対照がおもしろい。 | ||||
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村上春樹の短編集の中で、かなり個人的評価の高い一冊です。他の長編に絡む話が多いということもありますが、登場人物の息づかいがリアルですし、短いながらに、まとまりのある、しっくり心になじむ話の連続。お勧めです。 | ||||
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梅雨明けの涼しい青空の下、オープンカーの幌を上げて まっすぐに続く道をドライブしているかのような短編集。 (あくまで個人的印象) パン屋は襲撃され、象は消滅し、妹は結婚すると言い出し、 あれから3年経ち、強風の中日記のためのメモを書く男がいて、 スパゲティーは茹で上がる寸前。 カラッと笑えて、余計なことなんか考えずに 「ああ面白かったな」と思える。 旅の友に読むのにとてもいい本だと思う。 | ||||
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村上春樹の短編集でも一番の出来だといえる一冊。 なかでもファミリーアフェアは春樹らしさが十二分に発揮されているといえよう。比較的シンプルで分かりやすいので万人にお薦めできる。 ちなみにねじまき鳥と火曜日の女たちなどに出てくる「わたなべのぼる」は、村上春樹と仲のよいイラストレーター安西水丸さんの本名。 ねじまき鳥クロニクルでは「ワタヤノボル」となっている。 | ||||
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