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あなたがいる場所
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あなたがいる場所の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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角田光代さんの解説が、すでにひとつの作品になっている。それはこの短編集の解説であり、かつ沢木耕太郎さんが生涯をかけて描いて来た世界の解説でもある。 若者はいつも、その選択が自分らしいのか、その行き先は自分に合っているのかで悩む。大人は、ある時は自分らしさを誇り、別のある時には「俺は本当はこうだったんだ」と人に自分を説明する。 しかし、その人がその人であることは、その人がして来た小さな決断の積み重ねを、周囲やある時点の自分が振り返った時に姿を表す記憶の体系であり、その選択は人が生きている限り続けなければならないものなのだ。そして年月とともにその人がその人である輪郭の精度は上がって行き、誰もそれを採点したり比較したりすることは出来ないのだろう。 | ||||
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良いです。 | ||||
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沢木耕太郎(1947年~)氏は、ノンフィクション作家、エッセイスト、小説家、写真家。著者が、1974~75年に香港からロンドンまでを旅した記録『深夜特急』(発表は1986~92年)は、当時のバッグパッカーのバイブル的存在としてあまりにも有名。1979年 『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、1985年 『バーボン・ストリート』で講談社エッセイ賞、2003年菊池寛賞、2006年 『凍』で講談社ノンフィクション賞を受賞。 本書は2011年に出版、2013年に文庫化された、著者初の短編小説集で、9つの作品が収録されている。(おそらく、サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』を意識しているのだろう) 私は、1980年代にバッグパックを背負って海外を旅し、沢木の作品はこれまでに、上記の各賞受賞作をはじめ、『敗れざる者たち』、『流星ひとつ』、『キャパの十字架』、『旅の窓』、『チェーン・スモーキング』、『世界は「使われなかった人生」であふれてる』、『旅のつばくろ』、『作家との遭遇』など幅広く読み、最も好きな書き手は誰かと問われれば迷わず沢木の名前を挙げるファンなのだが、純粋な小説は初めて手にした。 そして、読み終えて強く感じたのは、沢木は小説を書いてもやはり沢木らしいということであった(当然と言えば当然だが)。何故そう感じたのかを説明するのは容易ではないが、強いて言えば、初期の『バーボン・ストリート』のようなエッセイ集に見られるストーリー展開の妙、最近の『旅の窓』や『旅のつばくろ』に見られる穏やかで等身大の目線、の双方が感じられるというところであろうか。 ひとつひとつの物語では、我々のごく身近にいそうな人々が、我々の身近な所で起こっても不思議ではない瞬間に出逢い、(少しの勇気を出して)選択をしていくのであるが、それらは、人生を生きるとは、常に(大なり小なりの)選択をし続けることなのだと我々に気付かせ、かつ、そうしたときに我々の背中を少しだけ押してくれるものである。 解説で作家の角田光代は次のように書いている。 「友だちに話したらたいしたことないよと笑われそうな、でも深刻な悩みを抱えている私。人にはけっして言えないねたみを捨てきることのできない私。たいせつなものを失ったかなしみから立ちなおれない私。未来のことが不安で押しつぶされそうになる私。過去におかしたことの罪悪感から逃れられない私。そんな、ささやかで平凡で、でもそれぞれに特殊な生を生きている私たちに、小説は静かに寄り添い、ともにいてくれる。」 (2022年11月了) | ||||
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作者の文章は、ちょっとカッコ良すぎるときもあるが、誠実で上品、そして清涼感がある。それが説得力とリアリティを醸し出している。以前に、作者が選者になったアンソロジーを読んだことがあるが、そのタイトルが「右か左か」だったと思う。この短編集でも、各話の主人公たちが「右か、左か?」、「するか、しないか?」の選択を行うさまが描かれている。奇をてらったストーリーではないのに、登場人物の子供や老人の心の動き方に共感できるのは、読者に考える余白を残した、抑制のきいた文章だからだろう。 今まで読んできたルポやエッセイと同様に違和感なく楽しめた。というのも先日読んだ春に散るは、話は面白いのだが、少しエンターテイメント感が強すぎて、沢木耕太郎でなくて少年ジャンプを読んでいるような感じだった。しかしこの短編集はいい。 | ||||
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素晴らしい短編集です。絶対おすすめです。 | ||||
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最近友人から”波の音が消えるまで”を薦められ読後感がよかったので、沢木氏のこれまでの著書を立て続けに読んでいます。以前読んだスポーツや旅行のルポものと比べて、この”あなたがいる場所“は何か不思議な読後感があり驚きました。誰の言葉だったか、勇気・度胸は怖気・臆病とど真剣さの両方からでてくるんだというのがありました。ここにずっと留まるのか、それとも一歩踏み出すのか。悲嘆にくれ悔恨で下ばかり向いて生きていくのか、心の整理をつけ顔を上げて歩き出すのか。失ったもののためにも自分のためにも。個人的には”天使のおやつ“、”白い鳩“、”クリスマス・プレゼント“が強く印象に残っています。”無名“の中で彼の父親はそこに留まっただけなのだろうかと自問する。 沢木氏は彼の秀作選の題名のように”右か左か“という決断を人は常にしていると言う。 留まるのも決断なら、行くのも決断だと。 | ||||
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沢木耕太郎の文章は本当にすごい。 短編はすらすら読めますが、残りにくいです。 | ||||
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迅速性、梱包、内容問題ありません ガイドラインの必須というのがわけがわかりません | ||||
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ノンフィクション作家というイメージが強く、虚実ないまぜになった私小説風の作品群を予想していたのでこの世界観は意外でした。 どれも多かれ少なかれ「希望」が見いだせるのが良い。年齢を問わずお勧めできます。 個人的な趣味ですが、大いなる救いのある作品で締めくくって欲しかった。 | ||||
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全九編、いずれも東京近郊と思しき街が舞台。連作ではありませんが「路線バス」をキーワードにゆるくつながっているような短編集です。 主人公はそこで暮らす老若男女さまざま。彼らの暮らしに潜む喜怒哀楽を、沢木氏らしい冷静でどこか温かい筆致ですくい上げます。 それにしても、平易な文章、意外性のある展開、想像力を刺激する間、メリハリの効いた構成、ピタッと決まった表題。文句なしに巧い!です。 職業作家の作品としか思えません。沢木氏、なぜいままで小説を書かなかったのか、、、。どこか昭和の一流の大衆作家が書いたような匂いがします。 逆にこれだけ達者な小説を読まされると、今までのルポルタージュはもしかして創作入ってる?といささか不安になりました、、、、。ま、入っててもいいんだけど、ね。 | ||||
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人生はどうしてこうも思いのままにならないのだろうか。 男にだって女にだって、たとえ子供にだって、 誰だって生きていくことの辛さや苦しさ、矛盾を感じる時がある。 この本は、そんな人生の切ない断片を寄せた作品集。 やりきれない切なさがたくさん詰まっています。 ちょっと気分が落ち込んでいるときに読んだら、泣いてしまうかも・・・。 優しい文章が切なさを一層引き立てる、 一流のストーリー・テラーによる珠玉の宝石箱。 読みましょう。 読んだ後は、少しだけ人に優しくなれるような気がします。 | ||||
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著者は、後記でこの小説集の作品を書くにあたり「私が心のどこかで思っていたのは、どんなに幼い子でも読んでわかるものが書けたらということだった。もちろん、わからないところがあってもいい。…最後まで読みとおすことができるわかりやすさだけは持っていてほしいと願ったのだ。」と記している。 各作品では、中年男や、父親や、小学生、女子高生、初老の女性などさまざまな年齢や境遇の人々が、ほんのそこにある街における日常の中で遭遇する心の揺れ動きを、「平易な」言葉遣いと筆致で描いている。 小学生の子どもも、十分読みとおせる長さと平易さであるが、そこに描かれる複雑な感情は、決して小学生には理解しきれまい。でも易しい言葉でつづられた拗けた感情やままならぬ想いに、現代の少年たちには人間って変だけど面白い、小説って面白い、と感じることができるかもしれない。 私も小学生の子どもがいるが、トライさせてみたい。心の揺れ動き、人の二面性。中学受験国語必出のテーマでもあるが、このドラマ性に少しでも胸をドキドキさせてくれたら、親として本当にうれしい。 | ||||
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表紙を開くと、「バスを降りると、そこは」と書かれていて、次のページで本のタイトル「あなたがいる場所」へと続き、そして年齢も生活環境も違う男女が主人公の9編の物語が始まる。 両親の不仲や冴えない自分自身に「ついてないな」と愚痴る女子高生。バスで乗りあわせた女性の美しい髪に淫する霞ヶ関の官僚。預けている学童保育で娘が事故に遭った怒りを「青く」燃やす父親。瀕死のハトに救いの手を差し延べる理不尽なイジメに遭った中学生の少年。家庭教師の教え子の父親との恋愛にピリオドを打とうと神社で「別れ」を祈る若い女性。亡き妻に代わって「遠く」で暮らす息子への贈りものを荷造りする老父…。 東京の大きな駅からバスで20分くらい、作者にとって身近な町に住んでいるような人たちの物語だ。ささやかな日々を生きる9人の老若男女は、ありふれた日常のなかで、何かに気づき、何かを選び取っていく。簡単なコースか困難な道か。彼らの誰もが容易ではないほうを選択する。すると、普通に生きる彼らの身に、非日常的な出来事が巻き起こる。その非日常を、作者は安易に解こうとはしない。そこで彼らの胸に去来する、苛立ちや昂ぶり、自責、悔い、罪悪、愛情といった、作者が言うところの「感情の劇的瞬間」こそが、本書の魅力だと思う。 念入りに積み重ねられた寡黙な心理描写。沢木作品の特長である文章の汚れなき清潔感。それらを伴って、ノンフィクション作品で多くの孤独な闘いと出逢いの光明を見聞きし活写してきた著者だから描けた、マティーニで言えば幾分ドライな味わいのある短編集だ。一番読みごたえのあった『天使のおやつ』は長編でも読みたいし、ぜひスクリーンで観てみたい。 | ||||
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NHKブックレビューの対談を見て、購入した。日常の中の小さな変化がその人の運命を変えることがある。この本を読んで、自分の人生の変化もここにあったと同感しました。そして、「天使のおやつ」では、幼い娘の死をわが子のごとくいとおしく感じ、涙が溢れました。私も同じ立場に立てば、衝動を感じて、激しい行動をしたかもしれない。 サラリーマン時代、海外出張の飛行機の中でわずかの変化からあと一歩で人生を変えるかもしれない行動に出たかもしれない出来事があった。それを思い起こさせた「虹の髪」、私も虹色の髪の記憶があります。 サラリーマン時代、現状を少しだけ変えようと努力を積み重ね、8年計画で48歳で独立しました。そしてほんのわずかの努力と運の積み重ねによって、60歳過ぎにやっと自己実現したと思える時代を迎えました。人と大きく違った人生をなぜ歩むことができたか、これまで分かりませんでした。目に見えないほどの日常の変化と、そののちの行動、諦めずに努力し続けた後に驚くべき差となるのだと感じました。これまでの小説は、少し評論家のように楽しむだけでしたが、明日の行動に影響しそうです。小説でありながら、繊細な観察力をベースに書きあげた短編集です。 | ||||
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どこかで見たことのある風景、いつか感じたことのある感情、会話や備品の細部に至るまで、そんな「あるある・・」感覚で辿って行くうちに、気がつけば、主人公達の「秘密」や「苦悩」、作品によっては、とんでもない「不幸の淵」に対峙してしまう。「あなたがいる場所」というタイトルから、自分の過去の様々の場面と符合させながら、解ったように感情移入していた気でいたら、いつのまにか「ええ、こんな世界に来てしまったの。」と、予想外の景色の中に迷い込んだ気持ちになる。だからこそ、あまりに遠くに思える出来事ですら、当たり前の日常の一分の掛け違いから、誰でもたどり着く場所になり得る事に気づいてしまう。 沢木さん自身が、「最後まで読み通せるわかりやすさを心がけた」と言うだけあって、いつもより一層、読み出したら止まらない、何とも心地良い、リズム感のある文章・・・ただそれだけに余計、「ああ、今私、この主人公のこんな重荷を、こんなスピードで読み飛ばしていいんだろうか。」みたいな、変な罪悪感というか、痛みを途中で抱えてしまう・・・でもだからこそまた読み返したくなる、沢木さんらしい、何とも抗いがたく、何とも厄介で、何とも狡猾な仕掛けが組み込まれた短編集です。 でも、☆一つマイナスなのは、沢木さんの真骨頂はやはりエッセイなのではという感がどうしても否めない。「バーボンストリート」「チェーンスモーキング」などの一連の作品に比べて、いまひとつ物足りなさを感じてしまうのですが・・・ | ||||
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彼の作品なら、何でも好きです。何の疑いもなく。(笑) そして初の短編集も、やっぱりいいです〜! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 幼稚園の滑り台から落下して、頭を打ったアサミ。 この滑り台の土台は、異常に大きなコンクリートで固められている。 そのコンクリに軽く頭を打ったようだ。 大事をとって近所の病院に連れて行くと、 「単なる打撲です」。 でもアサミの容体はその後急激に悪化し、突然、息を引き取ってしまう。 呆然とする両親。 病院と幼稚園を訴えようとする父親とそれをとめる母親。 ある夜、父親は幼稚園に忍び込む。 憎き滑り台を、バーナーで焼ききるためだ。 深夜にバーナーで滑り台の支柱を焼ききる父親。 そこに片腕の警備員が来る。 警備員に事情を話すと、警備員は缶コーヒーを買って戻ってきた。 「この滑り台は、撤去すべきだよ。 きっと園長、いや弟も分かってくれるだろう」。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ やっぱり沢木耕太郎さんの本は、全てお勧めです〜! | ||||
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