■スポンサードリンク
さすらい
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
さすらいの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2002~04年「小説新潮」に連載されたサスペンス小説。初刊のときはまったく評判にならなかったが、最近ちゃんと読みなおして刺激的なエンターテインメントであることに気づいた。赤川作品らしく筆致は軽やかだが、テーマはきわめて重い。言論の自由がなくなった近未来の独裁政権によって国外に追放された人気作家とその周囲のひとびとをめぐる波瀾に富んだストーリー。ちなみに連載当時は小泉内閣だったが――。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2002-4年に「小説新潮」に連載された、近未来の日本を書いたディストピア小説。「考えさせない、想像させない教育」「国旗・国歌の強制」「報道の弾圧」「福祉蔑視」「愛国文学の強制」など、一つ一つのことを許してきた日本がどうなるか?と問題提起していて、しかもサラッと読める良書です。 戦前、志賀直哉、武者小路実篤(学習院を中心とする白樺派)などの御用文学者が大勢に順応して愛国翼賛し、戦後にコロッとやはり大勢に順応して”民主”翼賛に転向して叙勲された、情けない日本の殆どの文学者たちにも言及されてます。政権に不都合なジャーナリストや作家が”交通事故”として殺されていく白色テロの時代は、現実にも目前なのかもしれません。 歴史も未来もなく、さすらっているのは「日本」という視点も見事。15年戦争のように国民や他国民を殺してでも、名目はガラッと変えても、大勢順応主義という伝統風土だけは維持して、不死鳥のようにさすらい続ける幽霊船:日本。 著者の『プロメテウスの乙女』も良かったですが、大勢順応主義の伝統日本に警鐘を鳴らす著者、とても貴重な存在だと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
志穂とその娘真由。 志穂の父親は海外に逃亡している。 なぜ国を追われたのか, なぜ報道が規制されているのか, なぜ子供を育てる施設が認められないのか, わからないことが多い。 作家三宅邦人と,その娘,さらに孫。 もともとは漁師の死亡が間違って三宅の死亡と報道される。 その後、いろいろな人が犠牲になっていく。 人生の機微と,人と人との愛を描いているが, 根底を流れている思いが、薄いような気がするのはなぜだろう。 ヨーロッパをさすらっているうちに薄くなってしまったのかもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
物語は、ある作家が国家に反する本を書いたことで 国を追われたという事実を軸として進んでいきます。 国家権力の恐ろしさや、本当の自由とは何なのかなど、 あくまでフィクションなのですが、 そういうことを考えさせられた作品でした。 テンポよく物語が進んでいき、さすが赤川次郎といった読みやすさでした。 しかし、もうあと一捻りあると良かったなぁと感じたのと、 終わり方が私的に少しすっきりしなかったので、星4つにしておきました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「さぁ、これから!!」ってところで、この物語は終わります。 そういう話は多数あると思うけど、本作もその1つでもあるが、その1つとカウントしたくないなと思うものでもある。 まぁ、つまりは誰もが「この先パラダイス!!」と先を予測し得るところで終わるわけである。 「単純に何もせずパラダイスになるか!?」と言ったら、そうでないけれど。 このまま、登場人物達ががんばれば −というか、がんばると思う− パラダイス!!とは言わないけど、思うままの将来が得られるだろうと思うのだ。 物語は「国が・・・」 −−− どうでもいいよね。 赤川次郎です。 毎年多数の作品を排出する中、世の中の状況ってものを見て、メッセージを詰め込む。 本作はそんな1作だと個人的には思う。 不安に思っていたところでもある。 国旗、国家・・・ 次の言葉は主人公(元作家)が、編集者に「国を愛する心を描いた小説を書いてくれ」と言われ、断ったときの気持ちを奥さんに伝えた言葉である。 「他人がどう見るかじゃない。自分が許せるかどうかだ。」 自分の中の正義に従って行動するスーパーヒーローの物語かもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者の赤川氏は講演録『イマジネーション』で、「最近きなくさくなった日本が戦争への道を進まないように、小説家として何かメッセージを発信していきたい」という意味のことを語っていました。 本書に登場する日本社会は、首相が手段を選ばずに言論弾圧をするようになっており、首相の意向に逆らった主人公の作家は海外での亡命生活を余儀なくされます。 妻を殺され、異国の漁村でひとり息を潜めて暮らしていた主人公は、ある日、水死した地元の漁師の第一発見者になります。日本の作家が水死者を発見した、というニュースが、何を間違ったのか、「日本の作家が水死した」と誤って伝えられ、物語が動きはじめました。 主人公を憎悪している首相は、文芸担当者(芸術家を国家施策に協力させる役割)を派遣して死亡を確認させようとします。 一方、危険人物の家族として監視されながら暮らしていた娘も、小さな子どもを伴って父が死んだ場所に向かって旅立ちます。更に首相が派遣した暗殺者も港町へ向かい、関係者全員が合流した時に起こったことは……。 さすが売れっ子推理作家だけあって、息をつかせずに一気に読ませます。 首相が平気で殺人を指示しても誰も異を唱えられない異常な社会、というのは少し非現実的な気もしますが、それだけ赤川氏が感じる危機感が強いのでしょう。 確かに、太平洋戦争戦時下の日本では、作家も率先して戦争を応援する活動をしていました。「こんな恐ろしい社会にしてもいいんですか」という赤川氏の声が聞こえるようです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
三宅の思想を危険視し、彼の存在を消し去ろうとする中田、三宅の恋人マリア、三宅の娘志穂と孫の真由、志穂を気遣う新聞記者の西川。さまざまな思いが入り乱れる。やがて暗殺者が三宅のもとへ。 話としては面白いのだが、読んでいて緊迫感が伝わってこない。なぜ日本がそうなってしまったのか、そこのところも曖昧。登場人物についても、もう少し掘り下げて描いてほしかった。 だが、「もし日本が実際にこういう国になってしまったら?」と考えるとぞっとした。あり得ない話ではないと思った。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!