図書館の魔女

評判

図書館の魔女の評価:

4.26/5点 レビュー 140件。 A ランク

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平均点4.26pt

Amazonレビュー一覧

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全142件 141〜142 8/8ページ
No.2
(5pt)

贅言を費やした知識TUEEEEなNAISEIファンタジーの至福

丁寧に設定された、魔法なきファンタジー。怪力乱神を語らない合理主義者・図書館の魔女マツリカが、膨大な文献知識を駆使し、付き人キリヒトを従えて街の謎と世界を覆う陰謀に立ち向かうお話だ。おおっと、これはネット小説で大人気のチート知識TUEEEEではありませんか。知識の出処が図書館の文献であり、前半(上巻+下巻序盤)がNAISEIターンで、それ以降の後半がGAIKOUターン。よし、それなら取っ付きようがある。幸か不幸か、出版まで3年かかっているうちにネット小説で非バトルなファンタジーブームが巻き起こり、受け入れる素地はぐんと広がっている。

作り込まれたファンタジー世界の文物をおそろしく確りと語り上げるので長い、長い、だがそれがいい。読んでいること自体が幸せという密室本での評がよく分かる。文章も読みやすく、語彙が豊富で知らない単語も出てきたが、不思議とそのまま読める(漢字から類推の効く語を選ぶなどの結果と思われ、行き届いた工夫が伺われる)。人文学なり博物学なりと管轄の広い分類で呼んだ方が適切そうな様々な知識を自在に紐解いて、ものごとの説明を示してくれる。こういう枠内の話と示されない予想外の方へ話が転がる刺激が加わり、しかも解題してくれるのが絵に描いたような(挿絵はない)美少女である。このピーキーな知の悦楽一辺倒はもう、他では得られない、フィクションならではの愉しみだ。NAISEIと言ったが上巻では政さえ控えめでとにかく知。ネット小説では多くが召喚や転生で現実世界の現代知識を持ち込む設定のため、知識自体は借りものにしかなれないが、本作は現実世界と無関係なハイファンタジーでしっかり掘り下げ、知識自体も興味の対象。政治的駆け引きのようなブレーキングポイントも数百頁の彼方にあってそうそう割り込んでこない。ここにこの膨大な頁数で出なければならなかった理由、出た価値がある。波長が合えば「この本は自分のような読者のために書かれたのだ」という甘美な勘違いさえ得られた。

なお、厚さの代償として最初と最後の十数頁がペキっと割れがち。煉瓦本は割れないので、ハードカバー特有の現象だろうか。本の現物としての価値を大事にする方は、読み方(物理的な意味で)に御注意。

読み始めに躓きかけたのは二点。どの登場人物の内心にも自在に入り込み未来からも語る神視点であり、また登場人物たちの知らない事実を地の文が読者に語りかけることさえある、ということ。まあ中近世文学や史書や講談にままある語り口。それから、マツリカが時々いきなり可愛くデレたように見えるのは気のせいだ、ということ。二次元キャラ慣れしていると語尾「ね」の持つ複数のイメージに敏感になるが、本作ではどうやら分かたず混用されている(と装った仕込みかも知れないが)。そんなところで引っ掛かるともったいないので、これらは予め認識して読んだ方がいいと思う。

新人でも紙幅など気にせず関心の深い部分をどこまでも長く書いていいというのは今やネット小説の専売特許。それを商業小説が奪取してみせた本でもあるのか。魔法世界という意味でないファンタジー、人文学的なものが好きならきっと気に入る。
図書館の魔女(上) Amazon書評・レビュー: 図書館の魔女(上)より
4062182025
No.1
(5pt)

贅言を費やした知識TUEEEEなNAISEIファンタジーという幸福

魔法なきファンタジー。星占いや魔導書を嘲笑い怪力乱神を語らない合理主義者・図書館の魔女マツリカが、膨大な文献を道具に、付き人キリヒトを従えて街の謎と世界を覆う陰謀に立ち向かうお話。おおっと、これはネット小説で大人気のチート知識TUEEEEではあーりませんか。もちろんもっと深く長く丁寧にやるのだけれど、知識の出処が図書館の文献学であり、前半(上巻+下巻序盤)がNAISEIターンでそれ以降の後半がGAIKOUターンだ。よし、それなら取っ付きようがある。
イスラム世界が図書を守ってキリスト教が焚書しに行ったというような話ではないと公式に説明があったので、逆説的にああそういう話なのねと思っていたが、本当に全然その手の話じゃなかった。

作り込まれたファンタジー世界の文物をおそろしくしっかりと語り上げるので長い、長い、だがそれがいい。読んでいること自体が幸せという密室本での評がよく分かる。文章そのものは読みやすく、語彙が豊富で知らない単語も出てきたが不思議とそのまま読める(漢字から類推の効く語を選ぶなどで誘導された結果と思われ、行き届いた工夫が伺われる)。そして何々学と狭くジャンル分けしにくい、人文学なり博物学なりと管轄の広い分類で呼んだ方が適切そうな様々な知識を自在に紐解いて、ものごとの説明を示してくれる。知的関心を満たす方法なら他にもあるが、こういう枠内の話をしますと示されていない予想外の方へ話が転がる刺激が加わり、しかも解題してくれるのが絵に描いたような(挿絵はないが)美少女である。これはもう、他では得られない、フィクションの愉楽だ。政治的駆け引きやバトルシーンといったブレーキングポイントは数百ページの彼方にあってそうそう割り込んでこないから、知の悦楽に心ゆくまで浸れる。ここにこの膨大なページ数で出なければならなかった理由、出た価値がある。

読み始めに躓きかけたのは二点。どの登場人物の内心にも自在に入り込み未来からも語る神視点であり、また登場人物たちの知らない事実を地の文が読者に語りかけることさえある、ということ。中世文学や史書や講談にままある語り口である。それから、マツリカが時々いきなり可愛くデレたように見えるのは気のせいだ、ということ。二次元キャラ慣れしていると語尾「ね」の持つ複数のイメージにセンシティブになってしまうが、本作ではどうやら分かたず混用されている。そんなところで引っ掛かるともったいないので、これらは予め認識して読んだ方がいいと思う。

新人でも紙幅など気にせず関心の深い部分をどこまでも長く書いていいというのは今やネット小説の専売特許。それを商業小説が奪取してみせた本でもあるのか。魔法世界という意味でないファンタジー、人文学的なものが好きならきっと気に入る。
図書館の魔女(上) Amazon書評・レビュー: 図書館の魔女(上)より
4062182025