四つの凶器
評判
四つの凶器の評価:
3.50/5点 レビュー 10件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1〜4 1/1ページ
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四つの凶器の評価:
3.50/5点 レビュー 10件。 B ランク
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この作品を一言で表現するならば、この言葉に尽きるだろうと思う。
本書『四つの凶器』は、アメリカの小説家、ジョン・ディクスン・カーによって書かれた“バンコランシリーズ”の最後を飾る推理小説だ。金持ちの道楽息子、ラルフ・ダグラスが自身の結婚を機に、高級娼婦ローズとの関係を清算しようとする。彼女が待つ別荘に足を運んだダグラスだが、そこにいたのは変わり果てた姿のローズだった。遺体のそばにはカミソリ、ピストル、短剣、睡眠薬という『四つの凶器』が残されていた。いったい誰がどのようにしてローズの命を奪ったのか。そしてその動機は。この難問に向き合うのが、アンリ・バンコランなのである。
本書には「繊細な人間模様」が描かれている。本書の魅力は、単純なトリックあばきではなく、人間の心理をていねいに描き上げているところだ。ダグラスを取り巻く怪しげな人間関係。それぞれの思惑と、犯行の動機。事件の関係者がそれぞれ「合理的」に行動することで、結果的に事件が複雑になっていくという「不合理」を招く。そしてその不合理を見事に解き明かしていくバンコラン。複雑に絡み合った人間模様が解きほぐされていく瞬間は、読者にとって至福のカタルシスとなる。「なるほど!そういうことだったのか!」と。
特に、物語の終盤で繰り広げられるトランプのシーンは圧巻で、読了後には脱力してしまうほどだ。わたしたち読者の思考でさえもバンコランは手のひらで転がしているのではないかと錯覚させられてしまう。バンコランは老いてもなお、その眼光の鋭さには変わりがない。その姿には畏敬の念すら感じる。バンコランファンのみならず、初めてこのシリーズに触れた読者も彼の虜になるだろう。
この作品には、推理小説では敬遠される「偶然」という要素が組み込まれている。推理小説が好きな読者はアレルギー反応を示しそうなものだが、この作品は「偶然」という要素を抜きには語れない。偶然を逆手にとって物語に深みを与えるプロットには舌を巻くしかない。「密室殺人の王者」の異名を持つ、ジョン・ディクソン・カーの手腕をまざまざと見せつけられる。
『四つの凶器』は長編小説ではあるが、コメディ要素も強く、とても読みやすい作品になっている。推理小説に慣れていない人にもおすすめの一冊だ。空想の世界に没頭し、忙しい毎日から頭を開放させるには格好の作品である。ぜひ本書を手に取って、最後の事件に向き合う、名探偵アンリ・バンコランの勇姿を心に刻んでほしい。