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吉原御免状
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吉原御免状の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全46件 21~40 2/3ページ
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隆慶一郎先生の作品は全て読みました。影武者徳川家康を読んでいる方は、より興味深く感じるかもしれません。 吉原を舞台に、裏柳生との闘いや芸能、文化、渡来人までフィクションではありますが、諸説が入り混じった知的好奇心まで満足する一冊。もちろん、隆先生の読みやすく、引き込まれる文章とストーリーもまたよい。 | ||||
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吉原の研究本は沢山ありますが、これもそのひとつかもしれません!勿論小説ですから?もありますが、いままでにこびりついた知識を「無かったもの」として読んでみると興味深い ことこの上なしです。 | ||||
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わずか五年ほどの作家生活の後、急逝した隆慶一郎の処女作。(処女作といっても、隆氏はシナリオ・ライターとして長年の実績-今村昌平監督の「にあんちゃん」等-があり、文筆家としては十分な実績もあるのだが) 小説の構成等は後の「影武者徳川家康」や「一夢庵風流記」等の方が流麗かも知れないが、「吉原御免状」には隆氏が温めてきたアイデアが奔流のごとく迸る魅力がある。小説中のおばば様を通して見る夢等、本文のストーリーの中に幾つかのエピソードが絡められる。一つ間違えば、バラバラになりそうなのだが、この小説では、それが逆にワイルドさや力強さをさらに強める働きをしている。一つ一つのエピソードが抜群に魅力があり、それが本作のストーリーをさらに深みのあるものにしている。 網野史学にインスピレーションを受け、史実を丹念に探りながら、さらに独自のイマジネーションを加えた世界は魅力的だ。この世界を創造できただけでも、非凡な作家だということがわかる。劇中の男達・女達も、(現実にはありえないだろうが)読んでいて爽快で、魅力的で、そして哀しい。生きるということの素晴らしければ素晴らしいほど哀しさもまた大きい。単なる色町として見られがちな江戸吉原を、道々の輩が自由に生きるための町として描いたのも秀逸だ。 偉大な作家の処女作にして、魅力あふれる傑作。枠にとらわれないで自由な発想で、歴史を楽しみたい方には是非ともお薦めの一作。 | ||||
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肥後の国の山中奥深く、彼の剣豪・宮本武蔵に育てられた松永誠一郎。彼には出生の秘密がある。武蔵の死後、遺言に従い山を下り、江戸の遊郭・吉原へと赴いた。 「ここは極楽だよ。そして地獄かな―――」謎の老人・幻斎が誠一郎を迎えたその時、吉原で何かが動き始める。自分が吉原に現れたことが引き金となり血で血を洗う暗闘が繰り広げられる。その原因と思われる「神君御免状」とは何か、自分の出生にどのような謎があるのか、何故裏柳生は自分を亡き者にしようとするのか。数々の謎に迫って行くにつれ、誠一郎は吉原誕生に隠された秘密を知ることになる。 当代随一の剣豪にして、女が放っておかぬ器量、清々しい魅力にあふれた若者誠一郎に切ない恋心を寄せる吉原きっての太夫の悲しくも切ない運命も読みどころです。 「優しいてえのは悪(わる)なんだよ。誠さんは、女に出逢うたんびに、その女のために何も彼も棄てようと思う。確かにそれが男の優しさだろう。だがね、たんびたんびそんなことをしてて、身が持ちやすか? 誠さんの身だけじゃねえんだ。女の身だって、もちゃあしねえよ」 これは作中、誠一郎を助ける謎の老人幻齋が誠一郎に言った言葉です。脆く美しい者を守る者は優しさを棄て、敵と同じくらい残忍非道にならなくてはならない。この悲しい矛盾が誠一郎の心を苛みます。まさにハードボイルド。そう、彼のチャンドラーが名作『プレイバック』の中で、探偵フィリップ・マーロウに語らせた「タフでなければ生きられない、優しくなければ生きている資格がない」という言葉と同じ命題です。 | ||||
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とにかく冒頭から面白い。 宮本武蔵に育ててもらった、壮絶な剣術を持つ主人公。 そして、ある歳になると「吉原に行け」と命ぜられる。 そこで描かれる吉原に対する造詣の深さ。 柳生の陰謀とともに明かされる、「謎」。 ときに時空を超えて描かれる、その描写も面白い。 時代劇嫌いでも、十分楽しめる娯楽小説 | ||||
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あらすじや面白さのいちいちは、他のレビュアーさんにお任せするとして、 私が感じる、この物語の魅力は、なんといっても……。 無敵の剣と貴種の血を持ちつつ、どこまでも爽やかで心優しい、松永誠一郎に 象徴される、「青春」の魅力にあふれていることかもしれない。 物語の発端の印象的なシーン。 生まれたばかりの新吉原の宵、新たな始まりを告げる、華やかな見世清掻。 誠一郎の胸はやるせなく騒ぎ、頬は濡れる。 季節こそ史実に合わせ旧暦八月だが、胸中は「春」のせつなさ、そのものだ。 遠い世界に、未知なるものに、若者はあこがれる。 そのあこがれる想いのまぶしさに、老いた者は生命の春を見る。 ひとがひとに惚れる。ひとがひとの情けに会い、心が花のように開いていく。 男が女というものを知り、男を知ったはずの女が恋を知る。 そのとき世界は、昨日まで知らなかった、花のような微笑みを見せる。 吉原という「春」を舞台に、その「ひとの心の春」の、匂やかさ、美しさを 描きだして、本当に陶然とさせてくれる。 貴種流離譚として美しくまとまっているのも、「春」の雅にふさわしいかもしれない。 隆慶一郎が、かつて東大仏文科で象徴主義を学んだと知って、最初は 意外だったが、こうして読み終えてみて、何だか「ああ」と納得させられた。 最近、「こころの春」をひさしく感じていない人にも、春爛漫の人にも薦めたい、一冊。 | ||||
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史実を基本にした「歴史小説」は読んだことはあるが、架空の人物、架空の出来事が描かれる「時代小説」は読んだことがなかった。また、これからも読むつもりはなかった。 しかし、知り合いに著者の作品を強く勧められたので読んでみた。 初めて読んだ「時代小説」だったが、面白かった。 読み進めていくうちにどんどん引き込まれていったが、特にそうだったには「謎」である。 「誠一郎が吉原にいかされた理由」「吉原が出来た真の理由」など様々な「謎」が出てくるところはさながらミステリー小説のようだった。 本書が面白かったので、これから徐々に著者の作品を読んでみたいと思う。 | ||||
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家康影武者説や光秀生存説など、設定がかなりファンタジーで漫画っぽい小説である。主人公も強い、優しい、誠実と典型的なヒーローで格好良い。舞台が吉原なだけに性的描写が結構あるが、あまりいやらしさを感じないのが不思議である。主人公のライバルとの決着は続編である「かくれさと苦界行」でつくので、それとあわせて購入したほうがいい。 | ||||
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これを読んで、隆慶一郎のファンになりました。 歴史小説の最高傑作のひとつです。 | ||||
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作者は脚本家としての経歴があって話を考える、作ることの経験と実績が既にあったとはいえ、初の長編作品でここまで小説として面白く、素晴らしく独創的で、まるで読者を網で一切合財捕らえてしまうような完成度の高いものが出来上がるのかと素直に驚いた。 この作品から、家康とその影武者を描いた『影武者徳川家康』、後水尾帝を描いた『花と火の帝』、柳生を描いた『柳生』の冠の付いた諸作品へと展開していったのかと思うとある種の感慨を読後に覚えた。 もう一言余計なおまけを付けますと、 隆先生は濡れ場の描写が上手いなぁと思います。 | ||||
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後の代表作「一夢庵風流記」「影武者徳川家康」などに引き継がれる、隆慶一郎の思想的バックボーンが明らかにされている。 デビュー作ながら、重厚な資料解析に土台を置いた、綿密な時代考証と伝奇作家としての想像力の豊穣さ…そして、男が男に、女が男に、男が女に「惚れる」とはどういうことかを痛烈に教えてくれる。 僕ら団塊ジュニア世代は、氏の作品には週刊少年ジャンプの原作として、間接的に触れ、原哲夫の描くいい男・いい女を媒介として吸収した。 もっと多くの作品に触れてみたかったと思う作家だ。 | ||||
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作者の名前は以前から知っていたが、お亡くなりになっていたとは知らなかった。 もっと以前にめぐり合えなかったことが残念でならない。 よしはらとは、かくいう場所だったのかという瞠目の一冊である。 | ||||
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色町・吉原を今までにない解釈で描いた傑作小説。 主人公・松永誠一郎は、俗世間を知らずに山で育った青年。当然、澄んだ心の持ち主である。 とある事情から今までとは真逆にある世界の吉原と関わる事になる彼は、どんな人間とも真剣に向き合う故に悩み、迷い、涙を流し結論を出す。そんな彼に関わる人間は、彼の為ならば喜んで命を落とす人達ばかり。 人間と人間の魂の結び付きを見せ付けられます。 誠一郎に俗世間の“しきたり”を教えながらも、彼の純粋さに惚れ抜いている幻斎のラストの啖呵は涙がボロボロ溢れました。 人間って本来はこうじゃなきゃダメなんだよな。 | ||||
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61歳という高齢で文芸作家デビュー、その後わず5年で他界した隆慶一郎。その処女作にあたる「吉原御免状」は、切々と心を斬り刻んでいく一冊です。 剣豪・宮本武蔵最後の弟子、松永誠一郎の物語。 捨て子だった松永誠一郎の育ての親であり師匠であった宮本武蔵が、生前に言い残した通り25年の間を山中で自給自足した誠一郎。26歳で山を下り、師が言い残した通り江戸・吉原の庄司甚右衛門のもとへ赴く。 この江戸吉原を舞台に繰り広げられる松永誠一郎をとりまく伝奇時代小説。 器用に生きることができない人間。 己の欲望、野心、誇りのために戦う男、そして女。剣を交えるごとに変化していくそれぞれの心模様。血筋、身分、種族を超えて、これに翻弄されてしまう周りにいる人間達。 そこには、究極の愛を垣間見ることができ、涙なしで読むことができません。 | ||||
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主人公の松永誠一郎は宮本武蔵の最後の弟子で天才的な剣士。吉原を舞台に冷酷無慈悲な裏柳生の武士と死闘を繰り広げる一方、吉原の絶世の美女達との交情もたっぷり描かれているのがこの作品だ。 ただ、この作品のテーマは松永誠一郎の活躍にあるのではなく、それ故にこの作品には他の通常の歴史活劇や剣豪小説にない深みや重みがある。そのテーマは吉原の真の歴史であり、その吉原を築いた(今は歴史の裏側に消えていった)傀儡子一族にある。吉原が傀儡子一族を生き延びさせるためにどのように造られたのか、そして傀儡子とはどのような一族であったかが、詳細に描かれていて、この独特な歴史観が非常に興味深い。 本書の終わり方は、やや尻切れトンボであるが、続編の「かくれさと苦界行」があるようなのでそちらでどのような続きがあるのか楽しみだ。 | ||||
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これはあまりに完璧なヒーロー小説だ。主人公の松永誠一郎、こんなに女にモテて、それでいて、たぶん同性が恋焦がれる男。でも松永誠一郎、戦っている時よりも、女を抱いている時よりも、午下りの吉原、「待合の辻」の縁台に腰掛けて、そのけだるさの中でまどろんでいる情景が実は一等かっこよく思える男なんである。この人、群れないでひとり屹立してるのがなんともいいんだよねぇ。使命とかしがらみとかにまったく縛られていない強さ。男として、いや人として、夢を見させてくれる小説である。 もちろん大きな部分での小説世界のフレームもよく出来てる。しかし、隆慶一郎、これがデビュー作だなんてなぁ。松永誠一郎、誠さんが、本人の意志と関係なく巻き込まれていく、裏柳生と吉原の傀儡子一族との戦いなんだけど、傀儡子、道々の輩への共感と憧憬、あるいは不当な差別への反感を抱く一方、戦い終結の切り札として松永誠一郎の出自(後水尾天皇の皇子)を持ち出すことの、網野史学の全肯定、みたいなあたりが、唯一喉元に引っかかる。うん、天皇制の是非、天皇の意味論、みたいなイデオロギー的なこととはちょっと違って、松永誠一郎を天皇の子に設定する必要性、というか物語の補強にちょっと戸惑いを覚えるのだ。大きな物語としてはこれで完璧なんだろうけど、別に皇子じゃなくていいじゃん!っていう。逆に松永誠一郎自身が本来持つ高貴さ、人としての清らかさみたいなものを血で穢された気分。まぁ、この小説の評価すべき点が百あるとしたら一とか二くらいの些細なことだけど。 この小説のあと、続編とも言うべき「かくれさと苦界行」や、この小説で松永誠一郎の夢として語られる挿話を独立させた「影武者徳川家康」が書かれる訳だから、「吉原御免状」は、デビュー作というだけでなく隆慶一郎のすべての世界の起点となっている作品でもある。 この小説、きっと、歳を重ねて何度でも読むことになろだろうな。 | ||||
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隆慶一郎の、網野史学からヒントを得てつくりあげた独特の世界をご存知のかたには周知の筋書きであるが、天皇のご落胤+吉原という、従来は間接的にしか繋がっていなかったふたつをダイレクトに結びつけてしまったのが本作の大きな特徴である。したがって、この作品におけるテーマも、徳川封建社会vs天皇を中心に自由に生きる道々の者、という構図になっている。 これが一歩間違えば天皇制賛美に繋がってしまうのは網野史学に対する批判と共通する部分であるが、痛快な歴史小説として読む分にはそんな知識はどうでもいいことだ。歴史小説家は数あれど、隆氏以上のエンターテイメント性を持った作家はいない。ここは吉原の普段知ることのない風俗の描写、剣技の冴えの描写、そして徳川のインテリジェンス(忍者とも言う)といった各要素を楽しめればそれでいいだろう。 続編の「かくれさと苦界行」ともども大推薦できる、隆氏の傑作のひとつ。 | ||||
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吉原成立の秘密、徳川家康から下された「吉原御免状」とは? そもそも吉原とは一体どんな存在なのか? 宮本武蔵に育てられた剣士・松永誠一郎が、吉原を訪ね、吉原を理解していく過程で関わっていく裏柳生との死闘。 『影武者徳川家康』のテーマとも深く結びつきながら、より自由を勝ち取るための戦いに焦点を当てられている。 最終的な決着は次作『かくれさと苦界行』へと持ち越されるが、吉原をはじめ、江戸初期の風俗が生き生きと描かれ、歴史の中を泳ぐような知的快楽をも与えてくれる一書。 | ||||
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この本はあっという間に引き込まれてしまいました。歴史の常識を覆すような大胆な説や、登場人物の性格、全てが面白く感じました。また、しかし、ところどころに残虐な描写があったために、星を1つ引きました。歴史好きにはたまりませんが、残虐な描写が苦手な方(特に女性)はやめておいた方が良いと思います。 | ||||
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登場人物のキャラクターの魅力、活劇の魅力、吉原という特別なロケーション設定の魅力、ストーリーの魅力、・・・ 第一級品の時代小説です。そして、何より、この作品は、網野史学、日本中世史学の第一人者であった網野善彦氏のその歴史感を濃厚に反映した、知的エンターティメント時代小説として燦然と輝いていると思います。この作品から湧き上がる知的わくわく感は、ちょっと他の時代小説では味わえません。この作品から、『かくれさと苦界行』、『影武者徳川家康』、・・・ 隆慶一郎の諸作品に埋没するのもいい。網野善彦氏の史学書物に走るのもいい。どちらにしても、あなたの知的悦楽は約束されます。 | ||||
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