五分後の世界

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評判

五分後の世界の評価:

3.97/5点 レビュー 129件。 E ランク

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平均点3.97pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全253件 41〜60 3/13ページ
No.213
(4pt)

単純明快な世界の純粋な生き方を選んだ男の物語

現実世界で堕落と惰性の生活を生きていた主人公が、アンダーグラウンドの日本でゲリラとして戦う。最初は延々と、かなりえぐい戦闘シーンが続いて辟易だったが、読み進むにつれて、アンダーグラウンドの世界の国を守るために戦うという単純で明快な論理や、腐臭のするヒエラルキーに縁のない軍隊の構造などがむしろ爽やかに感じられるようになった。

ずっと前に読んだカミュのペストを思い出した。他者の幸福のために闘い死ねるアンダーグラウンドの兵士たちこそが英雄と呼べる人々だと思う。

作中のアンダーグラウンドの人々の会話には全て「。」がなく「、」だったけど、これはどういう意味があるんだろう。自分の感情に左右されない平板なしゃべり方を現しているのかな?答えが知りたい!
五分後の世界 Amazon書評・レビュー: 五分後の世界より
4877280049
No.212
(4pt)

単純明快な世界の純粋な生き方を選んだ男の物語

現実世界で堕落と惰性の生活を生きていた主人公が、アンダーグラウンドの日本でゲリラとして戦う。最初は延々と、かなりえぐい戦闘シーンが続いて辟易だったが、読み進むにつれて、アンダーグラウンドの世界の国を守るために戦うという単純で明快な論理や、腐臭のするヒエラルキーに縁のない軍隊の構造などがむしろ爽やかに感じられるようになった。

ずっと前に読んだカミュのペストを思い出した。他者の幸福のために闘い死ねるアンダーグラウンドの兵士たちこそが英雄と呼べる人々だと思う。

作中のアンダーグラウンドの人々の会話には全て「。」がなく「、」だったけど、これはどういう意味があるんだろう。自分の感情に左右されない平板なしゃべり方を現しているのかな?答えが知りたい!
五分後の世界 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 五分後の世界 (幻冬舎文庫)より
4877284443
No.211
(5pt)

村上龍最高傑作

ある日迷い込んだのはいまだ第二次大戦が終結せず米英露中に分割統治された日本で地下に潜りゲリラ戦を続ける。当地はどうやら現代より5分後のパラレルワールドらしい。まるで映画を見ているよう。
五分後の世界 Amazon書評・レビュー: 五分後の世界より
4877280049
No.210
(5pt)

村上龍最高傑作

ある日迷い込んだのはいまだ第二次大戦が終結せず米英露中に分割統治された日本で地下に潜りゲリラ戦を続ける。当地はどうやら現代より5分後のパラレルワールドらしい。まるで映画を見ているよう。
五分後の世界 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 五分後の世界 (幻冬舎文庫)より
4877284443
No.209
(5pt)

文章から想起されるイメージが圧巻

「愛と幻想のファシズム」では鈴原冬二というカリスマ自身がカリスマ性を語っていたのに対し、本作では五分後の世界に突然出現した小田切という何も訓練されていない一般人がストーリーテラーとなっています。その小田切の視点を通して五分ズレた日本とアンダーグラウンドの兵士達が描かれるという手法をとってあり、その手法のおかげで国民兵士達の圧倒的なカリスマ性が非常に際立っているのだと思います。特に彼らの驚異的な戦闘シーンや、世界的音楽家のワカマツが自作の作品が生まれる瞬間を語るくだりなどは、読む側の頭脳に鮮明でダイナミックな映像が浮かび、圧巻です。描かれている日本はまだ完全ではなく政府というものの存在は殆ど描かれてません。しかしヤマグチという司令官とともに地下司令部によって高度でありながらもシンプルな統制がなされていること、生き残っている日本人が誇りを持って生き延びるために必要なことを身に付けており、またそのように教育されていること、言葉の意味や存在の価値など現代では曖昧になってきている定義を潔くひっくり返されるような言葉などに爽やかな説得力を感じます。そのことで逆に現代の日本の脆弱さや魑魅魍魎さを感じずにはいられません。こう書くとまるでエリートばかりの世界のようですが、読んでいて全く疎外感を感じないのもこの小説の大きな魅力ではないでしょうか。また兵士達についてその超人的な能力だけでなく、彼らの孤独や悩み、人間らしさが描かれいる箇所も印象的で、若い彼らも完結できているように見えて様々な意味でまだ途上なのだと感じました。ちなみにこのストーリーテラーである小田切は、村上龍が中上健次へのオマージュとして書いている「音楽の海岸」の主人公ケンジの生まれ変わりと捉えても差し支えないと思います。こちらを読んでいたせいで小田切の性格がすんなりと理解できました。両方とも何度も読みたい本です。
五分後の世界 Amazon書評・レビュー: 五分後の世界より
4877280049
No.208
(5pt)

文章から想起されるイメージが圧巻

「愛と幻想のファシズム」では鈴原冬二というカリスマ自身がカリスマ性を語っていたのに対し、本作では五分後の世界に突然出現した小田切という何も訓練されていない一般人がストーリーテラーとなっています。その小田切の視点を通して五分ズレた日本とアンダーグラウンドの兵士達が描かれるという手法をとってあり、その手法のおかげで国民兵士達の圧倒的なカリスマ性が非常に際立っているのだと思います。特に彼らの驚異的な戦闘シーンや、世界的音楽家のワカマツが自作の作品が生まれる瞬間を語るくだりなどは、読む側の頭脳に鮮明でダイナミックな映像が浮かび、圧巻です。描かれている日本はまだ完全ではなく政府というものの存在は殆ど描かれてません。しかしヤマグチという司令官とともに地下司令部によって高度でありながらもシンプルな統制がなされていること、生き残っている日本人が誇りを持って生き延びるために必要なことを身に付けており、またそのように教育されていること、言葉の意味や存在の価値など現代では曖昧になってきている定義を潔くひっくり返されるような言葉などに爽やかな説得力を感じます。そのことで逆に現代の日本の脆弱さや魑魅魍魎さを感じずにはいられません。こう書くとまるでエリートばかりの世界のようですが、読んでいて全く疎外感を感じないのもこの小説の大きな魅力ではないでしょうか。また兵士達についてその超人的な能力だけでなく、彼らの孤独や悩み、人間らしさが描かれいる箇所も印象的で、若い彼らも完結できているように見えて様々な意味でまだ途上なのだと感じました。ちなみにこのストーリーテラーである小田切は、村上龍が中上健次へのオマージュとして書いている「音楽の海岸」の主人公ケンジの生まれ変わりと捉えても差し支えないと思います。こちらを読んでいたせいで小田切の性格がすんなりと理解できました。両方とも何度も読みたい本です。
五分後の世界 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 五分後の世界 (幻冬舎文庫)より
4877284443
No.207
(1pt)

文章力の欠如が致命的

設定としては面白いが、文章力が大幅に欠如しているように感じる。
目まぐるしくストーリーが進んでいくが、読者として取り残されている印象が強い。
作者は自身の最高傑作と評しているようだが、作者の熱量だけが独り歩きをしており、伝わってこない。
何にせよ何の話をしてるのかが分からず、戻り読みをすることが多い。

設定が良いだけに勿体ない。
私の読解力が低いのかも知れないが…
五分後の世界 Amazon書評・レビュー: 五分後の世界より
4877280049
No.206
(1pt)

文章力の欠如が致命的

設定としては面白いが、文章力が大幅に欠如しているように感じる。
目まぐるしくストーリーが進んでいくが、読者として取り残されている印象が強い。
作者は自身の最高傑作と評しているようだが、作者の熱量だけが独り歩きをしており、伝わってこない。
何にせよ何の話をしてるのかが分からず、戻り読みをすることが多い。

設定が良いだけに勿体ない。
私の読解力が低いのかも知れないが…
五分後の世界 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 五分後の世界 (幻冬舎文庫)より
4877284443
No.205
(3pt)

駄目だ。私が駄目だ

lこういうパラレルワールドみたいなSFは受け付けないんだな。迫力ある描写で凄いのだけれど、設定が設定でどっかに「あーあ」というところがあるので、入れない。買った私が悪いので、作者には作者の意思がありいいのでしょう。SFは私的にはもうけっこうです。だからヒュウガ・ウイルスも同様です。
五分後の世界 Amazon書評・レビュー: 五分後の世界より
4877280049
No.204
(3pt)

駄目だ。私が駄目だ

lこういうパラレルワールドみたいなSFは受け付けないんだな。迫力ある描写で凄いのだけれど、設定が設定でどっかに「あーあ」というところがあるので、入れない。買った私が悪いので、作者には作者の意思がありいいのでしょう。SFは私的にはもうけっこうです。だからヒュウガ・ウイルスも同様です。
五分後の世界 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 五分後の世界 (幻冬舎文庫)より
4877284443
No.203
(3pt)

世界観は面白いが戦闘シーン多すぎ

圧倒的な戦闘描写。設定は面白いのでもう少し
その設定での世界観を戦闘以外で読みたいような…
五分後の世界 Amazon書評・レビュー: 五分後の世界より
4877280049
No.202
(3pt)

世界観は面白いが戦闘シーン多すぎ

圧倒的な戦闘描写。設定は面白いのでもう少し
その設定での世界観を戦闘以外で読みたいような…
五分後の世界 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 五分後の世界 (幻冬舎文庫)より
4877284443
No.201
(5pt)

小説とは思えない大迫力!!

小説とは思えない大迫力で五分後の世界が目に浮かび、音が聞こえてきます。
五分後の世界の空気感、人の声、世界そのものが頭のなかにどんどん浮かんできます。
戦闘シーンでは爆発がすぐ側でおきてて迫り来るような感覚にとらわれます。
とにかくすごい本です
五分後の世界 Amazon書評・レビュー: 五分後の世界より
4877280049
No.200
(5pt)

小説とは思えない大迫力!!

小説とは思えない大迫力で五分後の世界が目に浮かび、音が聞こえてきます。
五分後の世界の空気感、人の声、世界そのものが頭のなかにどんどん浮かんできます。
戦闘シーンでは爆発がすぐ側でおきてて迫り来るような感覚にとらわれます。
とにかくすごい本です
五分後の世界 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 五分後の世界 (幻冬舎文庫)より
4877284443
No.199
(4pt)

一気読み

とんがった作品の多い村上龍さんが、発表当時「自らの最高傑作」と呼んでいたという、先鋭的な長編ゲリラ小説。

 1945年8月、日本人は連合国軍に降伏せず、大挙して長野県の山中から地下に潜り、トンネルを張り巡らせ、分割統治する諸国と対峙。数十年たって28万人にまで激減しても今なお、地上に散開する国連軍を挑発している、というニセの戦後日本が舞台。例によって執拗で鮮烈な描写に貫かれた、パラレルワールドそのままの「戦争ファンタジー」とも言える。

 1945年の敗戦を境にした「もう一つのニセ戦後日本」をでっち上げたといえば、矢作俊彦さんの『あ・じゃぱん!』を思い出す。しかし、こちらはパロディー風味のあった『あ・じゃぱん!』とは対照的。陰惨で暴力的で、全体の3分の1ほどを戦闘シーンの繰り返しで埋め、救いがなく、しかも唐突に終わる。それでも、たまに村上龍さんの小説を読むと、連続するエグい描写を介して非日常の気配が味わえる。今回も一気読みだった。
五分後の世界 Amazon書評・レビュー: 五分後の世界より
4877280049
No.198
(4pt)

一気読み

とんがった作品の多い村上龍さんが、発表当時「自らの最高傑作」と呼んでいたという、先鋭的な長編ゲリラ小説。

 1945年8月、日本人は連合国軍に降伏せず、大挙して長野県の山中から地下に潜り、トンネルを張り巡らせ、分割統治する諸国と対峙。数十年たって28万人にまで激減しても今なお、地上に散開する国連軍を挑発している、というニセの戦後日本が舞台。例によって執拗で鮮烈な描写に貫かれた、パラレルワールドそのままの「戦争ファンタジー」とも言える。

 1945年の敗戦を境にした「もう一つのニセ戦後日本」をでっち上げたといえば、矢作俊彦さんの『あ・じゃぱん!』を思い出す。しかし、こちらはパロディー風味のあった『あ・じゃぱん!』とは対照的。陰惨で暴力的で、全体の3分の1ほどを戦闘シーンの繰り返しで埋め、救いがなく、しかも唐突に終わる。それでも、たまに村上龍さんの小説を読むと、連続するエグい描写を介して非日常の気配が味わえる。今回も一気読みだった。
五分後の世界 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 五分後の世界 (幻冬舎文庫)より
4877284443
No.197
(5pt)

こころも豊かになること。

私は村上龍の本をたくさん読んだわけでは無いので(半島を出よと本作しか読んだこと無い)、著者の思想などはよく分かりません。

私の読解力が足りないせいなのか、地下にこもって徹底的に合理化し徹底抗戦している日本人こそが素晴らしいというメッセージは受けませんでした。
戦争状態かつ徹底的に合理化した地下世界においては、他者を敵か味方かに二分し生存するために敵を殺す。
その「五分後の世界」迷い込み、最終的に帰属する主人公は、「五分前の世界」において母からの愛情を得られず、殺伐とした世界で他者を利用し狡猾に生き抜いてきた人間である。そういった人間が「生存するために敵を殺す」世界で、はじめて仲間を得て、そして「向現」の作用とともに(自分と仲間の)生存という原始的な使命に目覚める。

これを読み終わって思うのは「今の日本人は情けない」でも「純粋な使命のため戦い続ける美しさ」でもない(兵士たちは本当にカッコよく描かれており、ついつい憧れてしまうが)、ポツダム宣言を受けれず生存のためといい、豊かさも無く、さらに戦争を続け人口減少に陥る「五分後の世界」の矛盾と、ポツダム宣言を受け入れ敗戦から「五分前の世界」の日本を再起させてきた先人たちへの尊敬である。
五分後の世界 Amazon書評・レビュー: 五分後の世界より
4877280049
No.196
(5pt)

こころも豊かになること。

私は村上龍の本をたくさん読んだわけでは無いので(半島を出よと本作しか読んだこと無い)、著者の思想などはよく分かりません。

私の読解力が足りないせいなのか、地下にこもって徹底的に合理化し徹底抗戦している日本人こそが素晴らしいというメッセージは受けませんでした。
戦争状態かつ徹底的に合理化した地下世界においては、他者を敵か味方かに二分し生存するために敵を殺す。
その「五分後の世界」迷い込み、最終的に帰属する主人公は、「五分前の世界」において母からの愛情を得られず、殺伐とした世界で他者を利用し狡猾に生き抜いてきた人間である。そういった人間が「生存するために敵を殺す」世界で、はじめて仲間を得て、そして「向現」の作用とともに(自分と仲間の)生存という原始的な使命に目覚める。

これを読み終わって思うのは「今の日本人は情けない」でも「純粋な使命のため戦い続ける美しさ」でもない(兵士たちは本当にカッコよく描かれており、ついつい憧れてしまうが)、ポツダム宣言を受けれず生存のためといい、豊かさも無く、さらに戦争を続け人口減少に陥る「五分後の世界」の矛盾と、ポツダム宣言を受け入れ敗戦から「五分前の世界」の日本を再起させてきた先人たちへの尊敬である。
五分後の世界 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 五分後の世界 (幻冬舎文庫)より
4877284443
No.195
(5pt)

「日本らしさ」とは何か

ふと気付くと雨の中の行列に紛れ込んでいた主人公オダギリ。彼は、そこが今まで自分のいた世界とは違う場所だと知る。
そこは、太平洋戦争で日本が降伏しなかったパラレルワールドであった。日本はアメリカ、イギリス、ロシア、中国に分割統治され東京はスラム街と化していたが、一部の日本人は地下に都市を建造し、ゲリラ組織として全世界中を相手取って闘っていた。オダギリはそうした「五分後の世界」を垣間見ることになる。

主人公のオダギリはヤクザ者ではあるがごく一般的な日本人である。彼の視点を通じて、現代の日本と「五分後の日本」が対比されて描かれる。更に作中にはゲリラに加わらず国連軍に加担する「非国民」と呼ばれる日本人も登場し、惰弱で惨めな存在として描写される。

作者からのメッセージがオダギリの台詞として語られたり少々押し付けがましく感じられる点はあったが、本書を読んで改めて「日本らしさ」とは何だろうか、と考えるきっかけになった。

作中で主人公が「非国民村」を訪れるシーンがある。その村では人々は粗悪な和紙で作った服を羽織り、金属部品で補修した舞台で能が演じられていた。能面はよく分からない植物の汁で塗装されており、主人公の知る能とは全く異質の物となっていた。
伝統文化に固執する「非国民」と勇ましく戦うゲリラを対比するシーンだが、
「形の上での伝統に固執するうちに全然違うものになっていく恐ろしさ」を感じた。
巷に溢れる「日本らしいおもてなしの心」「サムライジャパン」といった繰り返されるワードと作中の変質した能がダブって感じられたのだ。

350ページ程度と長編小説としてはやや薄めであり、文体も平易なので読みやすいと思う。
ストーリーとしては大きな起伏もなく淡々と進むので飽きてしまうという人もいるかもしれないが、世界観を味わうだけでも面白いと思う。
五分後の世界 Amazon書評・レビュー: 五分後の世界より
4877280049
No.194
(5pt)

「日本らしさ」とは何か

ふと気付くと雨の中の行列に紛れ込んでいた主人公オダギリ。彼は、そこが今まで自分のいた世界とは違う場所だと知る。
そこは、太平洋戦争で日本が降伏しなかったパラレルワールドであった。日本はアメリカ、イギリス、ロシア、中国に分割統治され東京はスラム街と化していたが、一部の日本人は地下に都市を建造し、ゲリラ組織として全世界中を相手取って闘っていた。オダギリはそうした「五分後の世界」を垣間見ることになる。

主人公のオダギリはヤクザ者ではあるがごく一般的な日本人である。彼の視点を通じて、現代の日本と「五分後の日本」が対比されて描かれる。更に作中にはゲリラに加わらず国連軍に加担する「非国民」と呼ばれる日本人も登場し、惰弱で惨めな存在として描写される。

作者からのメッセージがオダギリの台詞として語られたり少々押し付けがましく感じられる点はあったが、本書を読んで改めて「日本らしさ」とは何だろうか、と考えるきっかけになった。

作中で主人公が「非国民村」を訪れるシーンがある。その村では人々は粗悪な和紙で作った服を羽織り、金属部品で補修した舞台で能が演じられていた。能面はよく分からない植物の汁で塗装されており、主人公の知る能とは全く異質の物となっていた。
伝統文化に固執する「非国民」と勇ましく戦うゲリラを対比するシーンだが、
「形の上での伝統に固執するうちに全然違うものになっていく恐ろしさ」を感じた。
巷に溢れる「日本らしいおもてなしの心」「サムライジャパン」といった繰り返されるワードと作中の変質した能がダブって感じられたのだ。

350ページ程度と長編小説としてはやや薄めであり、文体も平易なので読みやすいと思う。
ストーリーとしては大きな起伏もなく淡々と進むので飽きてしまうという人もいるかもしれないが、世界観を味わうだけでも面白いと思う。
五分後の世界 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 五分後の世界 (幻冬舎文庫)より
4877284443