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(短編集)

ビタミンF



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ビタミンFの評価: 3.99/5点 レビュー 148件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.99pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全102件 81~100 5/6ページ
No.22:
(5pt)

現実は甘くは無い。しかし・・・・。

重松さんの小説はとても読みやすい文体かつ現実味溢れる会話でわりとさくさく読めるのですが、いきなり現実の厳しさが突如として現れるストーリーにまずどきりとさせられます。ライト感有る文体に隠された、重いテーマ性に気づいたとき、あなたはどう感じるでしょう? 
 この7つの短編にはそれぞれに現代社会の問題が描き出されています。人事ではない身近な不安がここにはあります。とくに「セッちゃん」の中で出てくる台詞に「だって、それが現実だもん」がこの本を象徴している言葉でしょう。しかしあえて作者はそれぞれに、ほんのりと希望の見えるお話として終えています。後記に書かれた作者のメッセージにその意図が語られています。
 私もその言葉を信じている一人です。いろんな人にこの「お話」を読んで欲しいですね。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
4101349150
No.21:
(5pt)

中年にさしかかる前の男性像をうまく描写している。

いずれも40前後の父親達を主人公にした7つの短編集。地位がある程度確立した職場、新婚の雰囲気はもうない妻、成長していく子供達、年老いた親、もう若くない自分・・・。妻とそりが合わなくなったとき、子供がいじめを受けたとき、自分の父親と話すとき、それぞれの父親達(fathers)は「家族(family)」に対し、何を思い、何をしようとするのか。こんな状況に板ばさみになりながら悩む様々な父親像を描いた佳作。自分は一人暮らしの女子大生ですが、読み終わると家に帰りたいなぁ、と思えてきました。物語の内容は決して明るい話ばかりではないんだけど、なぜか家族って良いなぁと思えてきます。また、主人公の父親達の性格や価値観の違いも、仕草や感じることの描写でいきいきと読者に伝わってきます。そこに作者の表現力のうまさをひしひしと感じることができます。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
4101349150
No.20:
(4pt)

中年にさしかかる前の男性像をうまく描写している。

いずれも40前後の父親達を主人公にした7つの短編集。地位がある程度確立した職場、新婚の雰囲気はもうない妻、成長していく子供達、年老いた親、もう若くない自分・・・。妻とそりが合わなくなったとき、子供がいじめを受けたとき、自分の父親と話すとき、それぞれの父親達(fathers)は「家族(family)」に対し、何を思い、何をしようとするのか。こんな状況に板ばさみになりながら悩む様々な父親像を描いた佳作。自分は一人暮らしの女子大生ですが、読み終わると家に帰りたいなぁ、と思えてきました。物語の内容は決して明るい話ばかりではないんだけど、なぜか家族って良いなぁと思えてきます。また、主人公の父親達の性格や価値観の違いも、仕草や感じることの描写でいきいきと読者に伝わってきます。そこに作者の表現力のうまさをひしひしと感じることができます。おすすめの一冊です。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
4101349150
No.19:
(4pt)

佳作!

Fは家族、ファミリーのF。 重松清作品らしい、現代の家族を正面から描いた佳作! 単行本が出た頃に、一度読んだが、今回、文庫になったのに合わせて、もう一度、読み返してみた。久しぶりに読み返して思い出したのは…それは重松清がこの作品で直木賞をとった頃、どこかの雑誌に載っていた書評。 「直木賞を獲るために書いた一冊。重松ファンとしてはこの作品で獲って欲しくなかった」 その書評は確か座談会形式だったと記憶しているのだが、どの雑誌で、誰の発言だったのか、まったく覚えていない。ただ確かにこの作品は重松清のなかでは異質なように感じる。キレイなのだ。 しかし、さすがは直木賞。しっかりと楽しめた。2度目でも。 ただ、私が読んだこの他の重松作品は、もっともっとおもしろい!この本で「いい」と思った人は、ぜひ、他の作品も読んでみて欲しいです。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
4101349150
No.18:
(4pt)

若者よ、両親に感謝しよう。

言わずとしれた重松清の直木賞受賞作。と言っても、僕は本屋で見るまで知らなかったのですが…。
 家族をベースに結婚・離婚・子供のいじめ・老い…等のやるせない、どうしようもない問題を現代的に描いている。
 
 僕自身はまだ家族も持たず、ぶらぶらと一人身であるが、結婚生活への不安や子供への接し方をふと考えることがある。この小説を読むと、
「未来って暗ぇな、おい。」
なんて思ってしまう。
 だからこそ自分の両親を尊敬してしまう。ここまで育ててくれた両親に感謝せねば。  親父の男っぷりをコミカルに描く「ゲンコツ」、また出てきたか無口な工員の親父!と思うがそこにはやっぱり切なさがあった「はずれくじ」。この二つは男臭さがいいですね。 「父さんなズボン穿いたままウンチ出来ないんだ」
頑張り屋の父にうっとおしさを感じ続け、ついに爆発した息子を前にこんな恥ずかしい告白をすることにより家族の危機を乗り切る「かさぶたまぶた」。
 上記三つは親父って大変だなって思わせます。 自分もこんな苦労をするのかとブルーになってきますが、小説としては泣ける部類の上位ランキングですね。
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4101349150
No.17:
(5pt)

ビタミンFは日常に存在する

「家族」をテーマにしたものはあったけれど、こんな小説は今まで無かった。
著者が描きたかったものは、「家族と共に生活し、人生の折り返し地点を
迎えた男性像にとっての絆」なのかな、と個人的に思う。
社会人として日常を生きる中で、些細なきっかけで起こる、
表面上は大した事の無い男性の迷いや苦悩。しかし、それは、人それぞれの実存に関わる、とても深いテーマだ。
だからこそ、読んでいて深い共感を覚える。
彼らが抱える問題は解決しない。解決しないけれど、問題さえも優しく
包み込んでしまう何かが、7つのストーリーそれぞれに存在する。
変わらない日常を愛せるようになる、不思議な本。
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No.16:
(4pt)

受け入れること

いじめをうけている娘とその両親,離婚を考えている両親とその子供たちなど,家族のそれぞれが,家族にこそいいづらい秘密を抱えて苦しんでいる。器用な解決方法など見あたらない。でも,少しずつでも心を開いてうち明けて,問題を共有し合うとき,現実の受け入れが始められていく。 誰かとともに,現実を受け入れるとき,問題はなにひとつ解決されなくても,解消していく,そんなことを思わせる短編集だと思う。 個人的には,別れた恋人からのタイムカプセル=手紙が届く,「なぎさホテル」がとくに好きになった。
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4101349150
No.15:
(5pt)

「ビタミンF」を摂取する。

恥ずかしい話、読んでいると、涙がじわじわと滲み出てきてしまいました。
号泣でもなければ、ホロリでもない、
“じわじわ”という言葉がぴったりなのです。
“泣かせる本”と一言でいっても、
その泣かせ方にはいろいろあると思うのですが、
たとえば、ノン・フィクションの感動物もあれば、
シェイクスピアの悲劇物、あるいは浅田次郎氏などがお得意の“お涙頂戴”ものがたり・・・等など。
「ビタミンF」はそのいずれにも当てはまりません。
それでも、収められている短編一つ一つを読み進めているうちに、
涙腺が“じわじわ”と緩められていくのです。学生の頃、一緒に遊びほうけてばかりいた友人が、
子供のことで悩み抜いていたりします。辛いとき、当たり前のように愚痴っていた仲間が
実は同じような悩みを抱えながら生活をしていたことに
思わずはっとさせられてしまいます。
大人になればなるほど、日常の悩みを相談できる人が
少なくなってくるように思うのは私だけでしょうか。
家族でもない、上司でもない、悩みを打ち明けられる仲間、たとえ解決の糸口が見つけられなくても話を聞いてくれる仲間、
そんな友人がより必要になってくるにもかかわらず、
悩み事が増え続けるのに比例して孤独感は増していくばかりです。
そういう時期に、いわば「同士」として語りかけてくれるのが、
この「ビタミンF」という本のように思われました。どうぞ、40歳前後の、子持ちの男性の方は、何をさておいてもこの本を手にとってくださいませ。
他の世代の方は結構です。
この年齢、この時期に、
出会うことがかならずや有意義になる本です。
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4101349150
No.14:
(5pt)

「ビタミンF」を摂取する。

恥ずかしい話、読んでいると、涙がじわじわと滲み出てきてしまいました。
号泣でもなければ、ホロリでもない、
“じわじわ”という言葉がぴったりなのです。
“泣かせる本”と一言でいっても、
その泣かせ方にはいろいろあると思うのですが、
たとえば、ノン・フィクションの感動物もあれば、
シェイクスピアの悲劇物、あるいは浅田次郎氏などがお得意の“お涙頂戴”ものがたり・・・等など。
「ビタミンF」はそのいずれにも当てはまりません。
それでも、収められている短編一つ一つを読み進めているうちに、
涙腺が“じわじわ”と緩められていくのです。学生の頃、一緒に遊びほうけてばかりいた友人が、
子供のことで悩み抜いていたりします。辛いとき、当たり前のように愚痴っていた仲間が
実は同じような悩みを抱えながら生活をしていたことに
思わずはっとさせられてしまいます。
大人になればなるほど、日常の悩みを相談できる人が
少なくなってくるように思うのは私だけでしょうか。
家族でもない、上司でもない、悩みを打ち明けられる仲間、たとえ解決の糸口が見つけられなくても話を聞いてくれる仲間、
そんな友人がより必要になってくるにもかかわらず、
悩み事が増え続けるのに比例して孤独感は増していくばかりです。
そういう時期に、いわば「同士」として語りかけてくれるのが、
この「ビタミンF」という本のように思われました。どうぞ、40歳前後の、子持ちの男性の方は、何をさておいてもこの本を手にとってくださいませ。
他の世代の方は結構です。
この年齢、この時期に、
出会うことがかならずや有意義になる本です。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
4101349150
No.13:
(5pt)

最近心が少しお疲れの方、ビタミンFを処方します

7編収録の直木賞受賞作。著者のあとがきを読んで思わず膝を叩いてしまった。「ビタミンF」の“F”には、Father、Friend、Familyなど各編のテーマが隠されていたのだ。目次を開いて読み終えたばかりの作品を反芻してみると、確かにそれぞれのテーマがほんのりと浮かび上がってくる。読みやすい平易な文体が今回も駆使されているが、著者はかなりの技巧派である。でも技巧派だと思わせないところがすごいと思う。作品の結末部分において、ドラスティックな大団円が待っている訳ではないが、希望の予感みたいなものが胸にすうっとやさしく染み込んでくるのだ。照れくさいけれど「人生は厳しい。だが人生は捨てたものでもない」と素直に信じることができる。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
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No.12:
(4pt)

パンドラの箱

「人には開けてはいけないパンドラの箱がある」この言葉が印象的です。「もし、結婚する相手が違っていたら」「もし違う会社で働いていたら」「もし、進学出来たら」人生にはその都度節目があり、決断をするのは自分ひとり。「これが自分の人生なのか」時々、過去を振り返る事もあるでしょう。もちろん、思い出箱を開き、現実にしようと試みる事もできる。しかし、思い出は綺麗な思い出のままに、、過去にすがりつくほど、まだ生きていないもの。人生は、楽しい事より辛い事の方が多い、辛いと感じる事が出来るのは、生きてる証拠・・・
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
4101349150
No.11:
(4pt)

家族のカタチ

家族関係に亀裂が生じているという悩みは都会人の共通項になっている。修復しようともがけばもがく程、深みにハマっていく。この作品はそうした思いを持つ人々に読んでほしい。そこに書かれた文と文との行間にあなたを救う言葉が隠されている。とそう思うからだ。
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4101349150
No.10:
(4pt)

思わず声に出してしまう出来事を乗り越える

7編からなる直木賞受賞作。 いずれも親子、夫婦、いじめなど今日的なテーマと取り上げ、主人公が一念発起または日常的な気づきで、心の葛藤を乗り越えいく姿を描いています。 どんなに小さな葛藤であっても、当事者には忘れられないことってありますよね。 思い出しては声に出してしましそうな出来事。 本書はそういった出来事に出会ってしまった人へのエールを送る内容だと思います。 主人公に心の中の言葉を語らせるのが上手な作品と思いました。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
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No.9:
(4pt)

ビタミンFって?

ビタミンというとコンビニや薬局で売っているサプリメント製品にほとんど含まれるようなポピュラーな栄養素の1つだ。ビタミンAやビタミンBなど色々あるので知らない人はいないだろうし、サプリメントとして購入したことがある人もいるかもしれない。でも、その人達はおそらくビタミンを即効性のあるものとして捉えていないだろう。食生活の中で足りないので…、といった理由で飲んでいるのだと思う。 本書『ビタミンF』もそれと同じだと思う。本書には「どうもうまくいっていない」家族が7つでてくる。そして、その家族の問題がスパっときれいに解決されることはない。でも、その7つの物語にはそれでもがんばっていこうというメッセージがある。7つの家族の抱える問題に簡単な答えなんてないけれど、主人公達はそれでも前向きに進んでいこうとしている。そんな姿に共感する人も多いのではないだろうか?
 本書はビタミンなので読んだからといって急に何かが変わるわけでもない。ただ、読むことによってちょっと元気が出たり、心が温まったりする。サプリメントとしての本書の効用はこんなところだと思う。
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No.8:
(4pt)

「セッちゃん」はお薦め

私は孤独に戦っている少女の物語を読むのが好きだ。だって「セッちゃん」は私のお気に入りである。孤独に戦うのは少年ではいけない。何故なら少年だと孤独に耐えることが出来ないから。(もちろん私のかってな思い込みです。)だから少年は必然的に仲間をつくって戦うだろう。(反対に言えば「仲間」を作るのが上手だ)重松清氏の小説で孤独に戦うのはいつも少女である。(あるいは中年男性だ。大人になると戦いは孤独になるのか)彼女は凛々しく戦う。「そんなに現実甘くないもん」家族はその回りでおろおろするばかりである。
家族の「現実」を描いて10年。重松清の家族はあと10年、20年どのように変化していくのだろうか
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No.7:
(4pt)

ハッピーエンドでないのが良い

「我が子へのいじめ」「冷えた夫婦関係」、、いつのまにか浸食されていた家族の基盤への亀裂に対し、主人公はどう対応していくのだろうか? 私と同年代の主人公に姿をダブらせながら、一気に読み終えた。
  重松清さんの作品は、ナイフ、エイジ、定年ゴジラと読んできたが、本作品ほど感情移入できたものはない。開けてはいけない「パンドラの箱」に対し、開けずに知らないふりをしておくことが正解なんだろうか。本書は色々考えさせてくれる。
  Family、Father、、「F」で始まる様々な言葉をキーワードとした7つの短編は、まさしく人生を考えるための「ビタミンF」だ。いじめは完全に終わらず、夫婦関係も元通りには戻らない。ハリウッド映画の様にハッピーエンドで終わらないのも、人間の多!!様性、人生の複雑さについて改めて考えさせられ良かった。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
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No.6:
(5pt)

ほっとする家族の物語

直木賞作家の作品だということで読んでみました。ビタミンのように栄養となって明日への力が湧くような作品ばかりだと思います。いじめの問題など、普通の家庭でいつ起こってもおかしくないような事件を採り上げながら、深刻になりすぎずにハッピーエンドになるところが良かったです。登場人物が普通でありながら善意を忘れずに、最後は家族のためにがんばる、という人たちでしたので、安心して読むことができました。
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4101349150
No.5:
(5pt)

がんばって生きていきましょう!

30代後半から40代にさしかかった普通のサラリーマンであり父親。東京郊外の住宅街にあるマンションか小さな一戸建て住まい。妻がいて、思春期にさしかかる小学校高学年から中学生、高校生のこどもがひとりかふたり。職場では成功しているわけではないが地道な中間管理職として働き、自分の人生の枠組みが今の延長にあると決まりつつあるような感慨を持ち、「もう若くない」と自覚しているといった主人公たちの造形に限りない共感を覚えます。
「ナイフ」では著者は子どもの視点を忘れていないと感じましたが、本作ではこんな父親像を愛着をもって描き出しています。家族がぶちあたる、子どものいじめや娘の異性交遊といった問題もまたどこにでも起こりそうな問題です。明確な解決がなされないのもまた現実の反映でしょうか・・・。どの作品もどこかしら明るいのは、いろいろなことがあっても、解決されない問題があっても乗り越えていこうという声高ではないけれども、前向きのメッセージを感じることができるためでしょう。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
4101349150
No.4:
(5pt)

がんばって生きましょう!

30代後半から40代にさしかかった普通のサラリーマンであり父親。東京郊外の住宅街にあるマンションか小さな一戸建て住まい。妻がいて、思春期にさしかかる小学校高学年から中学生、高校生のこどもがひとりかふたり。職場では成功しているわけではないが地道な中間管理職として働き、自分の人生の枠組みが今の延長にあると決まりつつあるような感慨を持ち、「もう若くない」と自覚しているといった主人公たちの造形に限りない共感を覚えます。
「ナイフ」では著者は子どもの視点を忘れていないと感じましたが、本作では父親を愛着をもって描き出しています。家族がぶちあたる、いじめや娘の異性交遊といった問題もまたどこにでも起こりそうな問題です。また明確な解決がなされないのもまた現実の反映でしょうか・・・。
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4101349150
No.3:
(4pt)

ハッピーエンドでないのが良い

「我が子へのいじめ」「冷えた夫婦関係」、、いつのまにか浸食されていた家族の基盤への亀裂に対し、主人公はどう対応していくのだろうか? 私と同年代の主人公に姿をダブらせながら、一気に読み終えた。
  重松清さんの作品は、ナイフ、エイジ、定年ゴジラと読んできたが、本作品ほど感情移入できたものはない。開けてはいけない「パンドラの箱」に対し、開けずに知らないふりをしておくことが正解なんだろうか。本書は色々考えさせてくれる。
  Family、Father、、「F」で始まる様々な言葉をキーワードとした7つの短編は、まさしく人生を考えるための「ビタミンF」だ。いじめは完全に終わらず、夫婦関係も元通りには戻らない。ハリウッド映画の様にハッピーエンドで終わらないのも、人間の多!様性、人生の複雑さについて改めて考えさせられ良かった。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
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