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(短編集)

ビタミンF



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ビタミンFの評価: 3.99/5点 レビュー 148件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.99pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全29件 21~29 2/2ページ
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No.9:
(3pt)

『中年』の微妙な立場

第124回、直木賞受賞作

家族がテーマになっている短編集。

どの話も過剰に力むことなく、

それだけにちょっと切なさを感じる作品ばかり。

《収録作品》

ゲンコツ……………下り坂にさしかかって、子どもに追い越される頃のお父さんの話。

はずれくじ…………妻の入院で急に息子とふたりぼっちになったぎこちないお父さんの話。

パンドラ……………思春期の娘を持った処女コンプレックスなお父さんの話。

セッちゃん…………明るくて良い子だと思っていた娘が虐められて苦しむお父さんの話。

なぎさホテルにて…今までと何も変わっていないのに壊れそうになる夫婦の話。

かさぶたまぶた……『いいお父さん』であろうとするばかり、子どもに距離を置かれるお父さんの話。

母帰る………………熟年離婚した両親と、中年になり家族をもった息子の話。

理解する、とか、かくあるべし、っていう話ではなく、

こういうこともあるかな、っていう、優しい話です。

私は『なぎさホテルにて』が好きでした。

今までと変わっていないのに壊れそうになる両親を

敏感に感じ取る子ども達の様子や、

なにより『手紙』によるラストの開放感が好き。

むかついて記憶に残ったのが『パンドラ』。

『アホな男と遊びでえっちしちゃって、

 この先、人生まっくらじゃん』

って、かんじの台詞があるのです。

私が娘だったら、こんなオヤジと口きかない。

でも、こんなオヤジ実際いるんだろうなぁ…

そういうのに限って若い子とカネ払ってえっちするんだよね。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
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No.8:
(3pt)

自立しつつある子を前にうろたえた男親たち。

就職し、結婚し、子どもができ、家事や教育を妻に託し、仕事では若い部下を持ち、あるべきコミュニケーションの姿に頭を悩ます。

 そんな中、どこの家庭にも起こりそうなささいな出来事をきっかけに、半ばないがしろにしてきた家庭の方に目を向けてみると、いつの間にか子が思春期になり、幼い頃のように一筋縄ではいかなくなっていることに一気に気づかされる。

 あれこれ思い悩み、理屈ではどうにもならず、ドラマのように格好のいいセリフも吐くことができず、そのうち半分自棄になって自分を曝け出したら、思いのほか子に気持ちが伝わってちょっぴり自信を回復する、数々の中年男親の話が描かれています。

 「自分もそうだなぁ」と思う人には持って来いの一冊です。きっと自己満足を疑似体験することができるでしょう。

 「子育てには仕事の時よりも心を使ってきている」という人には、主人公達の考え方が「その程度でいいの?」と思わず呟くほど歯痒く感じて仕方ないかもしれません。

 どちらにしても、ただ結婚して子どもを育てるだけでは責任を果たしたとは簡単に言い切れない複雑な社会になってしまったからこそ、少子化はここまで進行したのかもしれません。
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No.7:
(3pt)

解るけど、当事者にはなりたくない…。

著者の重松清氏は私より2つ年上のようで、プライベートは詳しく知りませんが、出版社から脱サラし1991年に作家デビュー後、天性の文才と類まれなる筆致により、直木賞受賞作の本作を筆頭に、順風満帆の執筆活動を経ておられるようなので、経済的には現在非常に恵まれ生活を送っておられると推測しますが、恐らく、私と同様に妻と男女複数の、しかも思春期を迎えた子供を持つ人なのではないでしょうか。でなければ、この短編集は書けないと思います。それほで切実でリアリティのある作品集となっています。重松氏の作品を初めて読んだのは「流星ワゴン」ですが、我々世代の男が「身につまされる」共通したモチーフがあります。但し、セックス描写が濃すぎる点がいささか三文官能小説作のようで、私の最も好きな作家の浅田次郎氏の作品のように、もう少し淡白且つ、清廉であったらと私は感じました。
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No.6:
(3pt)

読むのが早すぎたかも

あと数年たつと、主人公たちと同じような年、同じような境遇を迎えるであろう私にとっては、
本書の出来事は将来実際に起こるかもしれない出来事として、切実に迫ってきました。
そういう意味で、ビタミンというよりも逆に悩みを深くさせてしまう一冊となったようです。
主人公たちと同じ年齢になってから読むべきだったかもしれません。また、何年かたってから改めて読んでみようと思います。
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No.5:
(3pt)

心に効くビタミン

「このビタミンは心に効きます。疲れた時にどうぞ。」(オビより)
この作品には7つの短編が載っているが、どれも心温まるような話で、どんな時でも自分を朗らかな気分にしてくれます。
是非どうぞ。
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No.4:
(3pt)

いい小説、巧い小説。しかし何かもの足りない

重松清はいまや売れっ子作家、中堅作家として不動の地位にあると言ってもいいでしょう。
7編からなる短編小説はどれも中年にさしかかる年齢の男にまつわる家族、父親と子供がテーマになっています。
とりわけ、「なぎさホテルにて」は面白く読めました。以前、NHKで温水洋一が主人公でドラマ化されました。

しかし読み終えて、何か物足らないというか、不全感といいましょうか、そんな思いがして、それは一体なんなのか考えてある結論に達しました。私より上の世代で学生運動に傾倒していた人たちが、よく使っていた 「 プチブル的 = 小市民的 」 という言葉に行き当たりました。そうです。ごく日常的なありふれた出来事ゆえに、それ以上世界が広がっていかないという気がするのです。
一個人において家族とは、否応なく関わり合わざるえない最小単位の社会であって、喜怒哀楽の感情も家族から生み出されます。時には骨肉の争いにまで発展する危うさのうえで、家族というものは成り立っている訳ですね。

かつて、「家庭は諸悪の根源」と述べた作家も、避けて通れぬ運命を背負わされつつ生きていく苦悩を、その言葉に込めたのです。そうした家族(社会)の持つ危うさに、真っ向から対峙しないとするのが「小市民的」の意味だと解釈します。

当短編は、自分の生活の延長線上でいつ起こりえるかもしれない視点で書かれています。本書について高い評価をされたレビュアーさんたちは、そこに主人公への親近感を覚え、感情移入ができたのでしょう。私はちょっと違って、日常的な、あまりに日常的な。そうした生活の描写にかえって重松清の小説の限界みたいなものを感じました。偉そうなこと言いまして申し訳ありませんが…。
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No.3:
(3pt)

楽しめた

微笑ましいかったり、ハラハラしたり、父親って子供に対しては損だなーと思ったり、バカだなーと思ったり、実生活と比較して読むことができました。後半までは星4つの気分でしたが減点。最後の短編の元義兄の稚拙な言い分を主人公にすんなり納得させてしまっているのはそれが作者の理屈でもあるのだろうか。これは保護者からの視点・親元から旅立つ子に対する想い、未来へ羨望や寂しさを語るときに初めて意味が生じる理屈であって、子供の成長過程においての「巣立ち」と大人になれない人間の「逃避」、「旅立つ」ことと「棄てる」ことを混合してはならないし、成人の言い訳として許してはならないこと。
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No.2:
(3pt)

疲れた時に読みたい本

この短編の主人公は、40歳前後の男性が多い。
 もう若くないけど、おじさんと認めるのもシャクで…
 といった微妙な男性心理に、
 思わず口元がほころんでしまいました。
 子どもがグレたり、いじめられていたり、反抗したり、
 この結婚はまちがいじゃないだろうかと後悔してみたり、
 体力が落ちてきたことを見てみぬふりしたり、
 どこの家庭でもひとつはありそうな、
 リアリティある物語がつまっている。
 とくべつに大きな事件が起こるわけじゃないけれど、
 等身大の日常が広がっていて、
 気負わずに読めました。 かっこいいワケじゃない。でも、この生き方も悪くない。
 そんな風に「明日」を見つめられる本でした。

ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
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No.1:
(3pt)

独身には辛い小説

家庭の光と影の「影」を主体として書かれた小説と言えるのでは無いだろうか?
父親、母親、夫、妻、結婚、夫婦、子供、故郷、不倫、昔の恋人、家庭の変化。
独身の私としては、「家庭を築く」その事が物語としても重圧に耐えられるか不安になってしまうストーリー展開が続く。
中年のあきらめのため息が耳元で聞こえてきそうである。この本のどこに救いを求めたらいいかはオムニバスストーリーであり、誰もが直面するであろう家庭を多角度から見つめ、「貴方だけが苦しいのではない」と何編も読み解く事から察する事ではないだろうか。
テーマは現実味を帯びている分、重い。
それをすんなりとページを開き読み進むことができるのが、この小説と小説家の優秀な点ではないだろうか。
ビタミンF (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ビタミンF (新潮文庫)より
4101349150

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