春にして君を離れ

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

春にして君を離れの評価:

4.48/5点 レビュー 244件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.48pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全411件 21〜40 2/21ページ
No.391
(5pt)

唯一のミステリー以外の作品

らしいです。なかなか面白かった。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.390
(5pt)

何も起きないというリアル

表題の通りで、この作品の出来事を端的に述べるなら遠出して、
途中足止めを食らったご婦人が、暇に飽かせてあれこれと思索にふけって自宅へ帰る。
ただそれだけの作品だ。だがそれでちゃんと面白いのだから流石のクリスティである。

元々クリスティはミステリー作家として有名だが、その粋は人物やその関係性の掘り下げ部分であり、
事件や表面的な謎はラッピング部分といって過言ではない。
ホワイダニットさえ書ける余地があるなら、事件さえも不用というのが彼女である。

そういう意味で、本作はクリスティの髄液と言っていい作品だと思う。
内面的に自分を掘り下げて真実にたどり着きながら、
結局は勇気が無く変れない。安易な道を行ってしまうという主人公の選択。

学生自体に校長先生に指摘されたまま、人間はそんな簡単に変れないのよ。
というラストは流石のクリスティだと思う。

この手のタイプの人間が、自分から内証して真実にたどり着き、懺悔してめでたしめでたし!
というのではリアリティの無い話だよなあ。と途中まで読んで思っていたので。
たぶんそういった俺の反応も含めて、先生の掌の上なのだ。判っているわよそれぐらい。というわけだ。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.389
(5pt)

何も起きないというリアル

表題の通りで、この作品の出来事を端的に述べるなら遠出して、
途中足止めを食らったご婦人が、暇に飽かせてあれこれと思索にふけって自宅へ帰る。
ただそれだけの作品だ。だがそれでちゃんと面白いのだから流石のクリスティである。

元々クリスティはミステリー作家として有名だが、その粋は人物やその関係性の掘り下げ部分であり、
事件や表面的な謎はラッピング部分といって過言ではない。
ホワイダニットさえ書ける余地があるなら、事件さえも不用というのが彼女である。

そういう意味で、本作はクリスティの髄液と言っていい作品だと思う。
内面的に自分を掘り下げて真実にたどり着きながら、
結局は勇気が無く変れない。安易な道を行ってしまうという主人公の選択。

学生自体に校長先生に指摘されたまま、人間はそんな簡単に変れないのよ。
というラストは流石のクリスティだと思う。

この手のタイプの人間が、自分から内証して真実にたどり着き、懺悔してめでたしめでたし!
というのではリアリティの無い話だよなあ。と途中まで読んで思っていたので。
たぶんそういった俺の反応も含めて、先生の掌の上なのだ。判っているわよそれぐらい。というわけだ。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.388
(5pt)

クリスティーにして優れた心理小説

「ロマンチック・サスペンス」(帯書)と判りにくい分類だがミステリーではない。クリスティーにしては珍しい作品だと興味を惹かれて読んだ。初出は1944年だが、時代は1930年代半ば過ぎ、第二次世界大戦勃発寸前である。

ロンドン近郊のクレイミンスターという架空の街に住む上流中産階級の主婦ジョーン。結婚28年目。夫ロドニー・スカダモアは弁護士事務所を経営、事業は勢況で何の心配もない。子供はそれぞれ独立し、長女はロンドンで「人柄のよい株式ブローカー」に嫁ぎ、長男はローデシアで農園経営。次女はイラクの土木事業局の上級職員の主婦でバクダッドに住む。これらの地域は皆イギリス植民地である。家庭も平穏。彼女は様々なボランティア活動に精を出し、「政治にも積極的な関心を持つ」と言う街の名士である。彼女が一番気に掛けているのは世間に対する体面だと判る

ジョーンは訪問先のバグダッドからロンドンに帰る途中である。末娘の急病と言う知らせで、「私が傍にいなければ」と急行した。単なる食中毒だったようで既に回復途上。婿にも丁重に扱われて一月以上の滞在になった。現在鉄道宿泊所(レストハウス)で翌朝発のオリエント急行に接続するトルコ鉄道駅への連絡自動車を待っているところ。思いがけなく女学校時代の友人と出会う。落ちぶれて見えるが、ブランチ・ハガードだ。学校時代の憧れであったが奔放な女性で男づきあいも派手、子供を残して出奔し音信が途絶えた。5年前に末息子の出術代が不足だと訴えて来て、要請額の半分を送ったがそのまま。出来ればここで会いたくない相手だが見つかってしまう。幸いバクダッドの夫に会いに行く途中とかで逆方向だった。互いの家庭の近況報告中に、バーバラは謹厳実直なロドニーを「ご主人はまんざら夫の座におさまっているわけでもなさそうな目つきだったわ」と当てこすり、バクダッドのバーバラについても、「心配ないわ。若すぎたのよ。それにこっちの生活が生活だからねえ-、女の子はときにはフラッとするわ」と呆気に取られる謎の言葉を吐く。もう一言別の謎めいた発言も。「何日も何日も自分のとこばかり考えて過ごしたら、自分についてどんな発見をすると思う?」かと。

翌朝は霧雨になった。乗車したバスの乗客はジョーン一名。途中で渡る二つの涸川は水が満ち始めていて時間が掛かり、トルコ鉄道終着駅のテル・アブ・ハミドに到着した時は週3回出るだけの列車はとうに出発し、翌々日まで駅傍のレストハウスに立ち往生する羽目になる。トルコ国境に近い場所で駅とレストハウス以外は砂漠。乾いた空気と果てしない晴天の下に宿泊客はジョーン一人。翌々日に出るはずの汽車も来ないと告げられる。日に三度変り映えのしない食事。持参した本は読んでしまった。たまには何もせずに一日のんびり過ごすのも良い、と意気込んだジョーンも早くもぐったりする。この際バーバラに言われた「何日も何日も自分のとこばかり考えて過ごしたら、自分についてどんな発見をすると思う?」考え事をするしかない。

この先は延々と続く彼女の思考過程だ。自分探しの旅、一種の心理小説である。頭の中にもう一人のジョーン・スカダモアが登場し、彼女がこれまで確信してきたことの全てに疑問を投げかける。先ず先の訪問の際にバーバラが時折見せた戸惑いは何だったのか、に始まり、夫や子供たちや(使用人たちに)頼られ愛されてきたか。家庭を万全に差配してきたと考えてきたが果たしてそうだったか。駄々っ子の独りよがりのように持て余されてきたのではなかったか。夫の常套句「可哀想なジョーン」の意味は何だったのか。私をロンドンで見送った際、発車を待たずに帰って行った夫の後姿がひどく若返ったようだったのはどうしてか。また反対に、弁護士稼業は嫌だ牧場を持ちたい、と言う夫を必死に説得して、現在の豊かで安定した生活を維持し得たのは誰のお陰だったか……とかの自負も湧く。鬱病になりかけたとこで汽車がやってくる。

7日間の帰路を経て無事に自宅に着いたジョーン。砂漠とは異世界の穏やかな故郷の景色、何一つ変わっていない我が家、はたしてどちらの想念が真実だったのか。6週間ぶりに再会する夫にどんな挨拶をする?「ロドニー、許して-知らなかったのよ」か「ロドニー、ただいま……今帰りましたのよ!」か。著者クリスティーのサタイアたっぷりな場面だ。その答えは控える。

もう一つこれもクリスティーのからかいの一つ。帰路の列車で同室したロシアの亡命貴族夫人は「まもなくドイツとの戦争が始まる」と話し、自宅に着く前日、ロンドンで夕食をともにした長女のエイブリルも「戦争が間近い」と言う。「政治にも積極的な関心を持」っているはずのジョーンには及びもつかない予測だ。家庭のことだけが思考限界の上流中産階級夫人への苦笑と読んだ。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.387
(5pt)

クリスティーにして優れた心理小説

「ロマンチック・サスペンス」(帯書)と判りにくい分類だがミステリーではない。クリスティーにしては珍しい作品だと興味を惹かれて読んだ。初出は1944年だが、時代は1930年代半ば過ぎ、第二次世界大戦勃発寸前である。

ロンドン近郊のクレイミンスターという架空の街に住む上流中産階級の主婦ジョーン。結婚28年目。夫ロドニー・スカダモアは弁護士事務所を経営、事業は勢況で何の心配もない。子供はそれぞれ独立し、長女はロンドンで「人柄のよい株式ブローカー」に嫁ぎ、長男はローデシアで農園経営。次女はイラクの土木事業局の上級職員の主婦でバクダッドに住む。これらの地域は皆イギリス植民地である。家庭も平穏。彼女は様々なボランティア活動に精を出し、「政治にも積極的な関心を持つ」と言う街の名士である。彼女が一番気に掛けているのは世間に対する体面だと判る

ジョーンは訪問先のバグダッドからロンドンに帰る途中である。末娘の急病と言う知らせで、「私が傍にいなければ」と急行した。単なる食中毒だったようで既に回復途上。婿にも丁重に扱われて一月以上の滞在になった。現在鉄道宿泊所(レストハウス)で翌朝発のオリエント急行に接続するトルコ鉄道駅への連絡自動車を待っているところ。思いがけなく女学校時代の友人と出会う。落ちぶれて見えるが、ブランチ・ハガードだ。学校時代の憧れであったが奔放な女性で男づきあいも派手、子供を残して出奔し音信が途絶えた。5年前に末息子の出術代が不足だと訴えて来て、要請額の半分を送ったがそのまま。出来ればここで会いたくない相手だが見つかってしまう。幸いバクダッドの夫に会いに行く途中とかで逆方向だった。互いの家庭の近況報告中に、バーバラは謹厳実直なロドニーを「ご主人はまんざら夫の座におさまっているわけでもなさそうな目つきだったわ」と当てこすり、バクダッドのバーバラについても、「心配ないわ。若すぎたのよ。それにこっちの生活が生活だからねえ-、女の子はときにはフラッとするわ」と呆気に取られる謎の言葉を吐く。もう一言別の謎めいた発言も。「何日も何日も自分のとこばかり考えて過ごしたら、自分についてどんな発見をすると思う?」かと。

翌朝は霧雨になった。乗車したバスの乗客はジョーン一名。途中で渡る二つの涸川は水が満ち始めていて時間が掛かり、トルコ鉄道終着駅のテル・アブ・ハミドに到着した時は週3回出るだけの列車はとうに出発し、翌々日まで駅傍のレストハウスに立ち往生する羽目になる。トルコ国境に近い場所で駅とレストハウス以外は砂漠。乾いた空気と果てしない晴天の下に宿泊客はジョーン一人。翌々日に出るはずの汽車も来ないと告げられる。日に三度変り映えのしない食事。持参した本は読んでしまった。たまには何もせずに一日のんびり過ごすのも良い、と意気込んだジョーンも早くもぐったりする。この際バーバラに言われた「何日も何日も自分のとこばかり考えて過ごしたら、自分についてどんな発見をすると思う?」考え事をするしかない。

この先は延々と続く彼女の思考過程だ。自分探しの旅、一種の心理小説である。頭の中にもう一人のジョーン・スカダモアが登場し、彼女がこれまで確信してきたことの全てに疑問を投げかける。先ず先の訪問の際にバーバラが時折見せた戸惑いは何だったのか、に始まり、夫や子供たちや(使用人たちに)頼られ愛されてきたか。家庭を万全に差配してきたと考えてきたが果たしてそうだったか。駄々っ子の独りよがりのように持て余されてきたのではなかったか。夫の常套句「可哀想なジョーン」の意味は何だったのか。私をロンドンで見送った際、発車を待たずに帰って行った夫の後姿がひどく若返ったようだったのはどうしてか。また反対に、弁護士稼業は嫌だ牧場を持ちたい、と言う夫を必死に説得して、現在の豊かで安定した生活を維持し得たのは誰のお陰だったか……とかの自負も湧く。鬱病になりかけたとこで汽車がやってくる。

7日間の帰路を経て無事に自宅に着いたジョーン。砂漠とは異世界の穏やかな故郷の景色、何一つ変わっていない我が家、はたしてどちらの想念が真実だったのか。6週間ぶりに再会する夫にどんな挨拶をする?「ロドニー、許して-知らなかったのよ」か「ロドニー、ただいま……今帰りましたのよ!」か。著者クリスティーのサタイアたっぷりな場面だ。その答えは控える。

もう一つこれもクリスティーのからかいの一つ。帰路の列車で同室したロシアの亡命貴族夫人は「まもなくドイツとの戦争が始まる」と話し、自宅に着く前日、ロンドンで夕食をともにした長女のエイブリルも「戦争が間近い」と言う。「政治にも積極的な関心を持」っているはずのジョーンには及びもつかない予測だ。家庭のことだけが思考限界の上流中産階級夫人への苦笑と読んだ。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.386
(5pt)

本当の自分を直視することは難しい

アガサクリスティにこんなテイストの作品があったんだ、と初めて知りました。
大事件は起きないけど、周囲の人生をジワジワとコントロールし削っていく主人公に、脅威を感じた。

ここまでではないにしろ、人を自分の思い通りにする人たちを思い出した。ロドニーが帰宅したとに、ジェーンが選択した方は、、、、、。

これが人間のリアルなんだろうと思った。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.385
(5pt)

本当の自分を直視することは難しい

アガサクリスティにこんなテイストの作品があったんだ、と初めて知りました。
大事件は起きないけど、周囲の人生をジワジワとコントロールし削っていく主人公に、脅威を感じた。

ここまでではないにしろ、人を自分の思い通りにする人たちを思い出した。ロドニーが帰宅したとに、ジェーンが選択した方は、、、、、。

これが人間のリアルなんだろうと思った。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.384
(5pt)

事件は起きない濃厚なミステリ

一般にノンミステリと呼ばれる作品。殺人などのいわゆる「事件」は起きないが、物語の進行に従って、女性主人公の考える自分に起こっている出来事の様相が見事なまでに反転する。ホワットダニットの傑作といっていいだろう。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.383
(5pt)

事件は起きない濃厚なミステリ

一般にノンミステリと呼ばれる作品。殺人などのいわゆる「事件」は起きないが、物語の進行に従って、女性主人公の考える自分に起こっている出来事の様相が見事なまでに反転する。ホワットダニットの傑作といっていいだろう。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.382
(5pt)

男尊女卑?

共感する部分も多かったけれど、主人公は病的に鈍感だし、人に押し付けすぎるしそれに反省しないのは、悪いけれど、弁護士の妻が明日から農場で働けるのかって言ったら疑問。
夫に職業選択の自由はもちろんあるけれど、妻にも住む場所を選ぶ権利はあるから手放しに応援しなかったからと言って悪いことじゃない。
あと、子供の教育の大枠は男が作るものっていうような描写があって旧時代的だなって思った。
総じて面白かった。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.381
(5pt)

男尊女卑?

共感する部分も多かったけれど、主人公は病的に鈍感だし、人に押し付けすぎるしそれに反省しないのは、悪いけれど、弁護士の妻が明日から農場で働けるのかって言ったら疑問。
夫に職業選択の自由はもちろんあるけれど、妻にも住む場所を選ぶ権利はあるから手放しに応援しなかったからと言って悪いことじゃない。
あと、子供の教育の大枠は男が作るものっていうような描写があって旧時代的だなって思った。
総じて面白かった。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.380
(5pt)

世界最高の毒親文学

じわじわと真綿で首を絞めるような毒親ぶりを、毒親の視点で書くところが天才。
アガサ・クリスティの最高傑作。

夫を責めるレビューが多くて、娘も同意見なんだけど、そうかなあ。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.379
(5pt)

世界最高の毒親文学

じわじわと真綿で首を絞めるような毒親ぶりを、毒親の視点で書くところが天才。
アガサ・クリスティの最高傑作。

夫を責めるレビューが多くて、娘も同意見なんだけど、そうかなあ。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.378
(5pt)

家族の絆とは 魂レベルの違いから

私は日ごろから、家族の絆は本当に存在するのかと言う疑問を持って過ごしています。上手く成り立っている様に見える家庭は、その中で犠牲を払っている人がいるのではないかと言う気がして生きてきたからです。「家族の絆」を検索していて、まさかこの小説に出会うとは、それも、ミステリィ作家だと思っていたアガサクリスティの作品とは少なからず驚きましたが、興味深かったので読みました。読後感は私の思いと一致していました。

簡単に言うとロドニーが自分の人生を我慢をしていて、ジョーンが自分の生き方を変えなかったと言う構図です。ロドニーが3人の子どもたちとジェーンとのクッション役を務め、相手の気持ちを汲み取り穏やかに話しかけたので子どもたちは生き方を間違えなかったのだと思います。

今、世の中では古い価値観が新しい価値観に書き換わろうとしている流れです。ジョーンは古い硬い常識にとらわれた学歴、職業、見栄え、経済的な余裕等の目に見える物に価値を置いています。ロドニーは目に見えない、もっと魂の奥底から湧き上がってくるような真の自分の願いに従いたいと言う思いで生きています。それに共感してくれたのは家族以外のレスリーで、深い絆が透けて見えます。

結局のところ、ロドニーとジェーンの価値観の違いとは魂の深いところでのレベルの違いで、価値観は全く共有できないものだと感じました。エネルギーは上から下に流れるから、ロドニーがジェーンを見下したように見えるのは仕方がないと思います。ロドニーには本当に大切なことや物事の本質が普通に分かるのです。これは説明しても通じない不毛地帯です。
ジェーンは砂漠に置き去りにされた数日間に本当の自分と向き合うことができました。今までは頭の中の思考がうるさいほどおしゃべりをし、内省にはほど遠い状態でしたが、外面に目を向けるのに疲れ果て、目を背けていたインナーチャイルドと対峙するチャンスを与えられたのです。一種の瞑想状態に置かれました。そのときの魂の声は本物で、少なからず自分の本質に近付けました。しかし、元の生活に戻ったときには、本質から遠ざかった外側の世界ばかりに目を向ける意識に戻ってしまった。最後のチャンスを自ら手放してしまった訳です。自分を変える難しさと共に、夫婦とは、家族とは等についても考えさせられました。

アガサクリスティーは何をどう感じていたかは分かりませんが、この小説を3日で書き上げ見直しもしなかったと言うことがどこかの記事に書かれていました。大切な物は目には見えないのだと言う宇宙から降りてきたメッセージを届けたかったのだと思えてなりません。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.377
(5pt)

家族の絆とは 魂レベルの違いから

私は日ごろから、家族の絆は本当に存在するのかと言う疑問を持って過ごしています。上手く成り立っている様に見える家庭は、その中で犠牲を払っている人がいるのではないかと言う気がして生きてきたからです。「家族の絆」を検索していて、まさかこの小説に出会うとは、それも、ミステリィ作家だと思っていたアガサクリスティの作品とは少なからず驚きましたが、興味深かったので読みました。読後感は私の思いと一致していました。

簡単に言うとロドニーが自分の人生を我慢をしていて、ジョーンが自分の生き方を変えなかったと言う構図です。ロドニーが3人の子どもたちとジェーンとのクッション役を務め、相手の気持ちを汲み取り穏やかに話しかけたので子どもたちは生き方を間違えなかったのだと思います。

今、世の中では古い価値観が新しい価値観に書き換わろうとしている流れです。ジョーンは古い硬い常識にとらわれた学歴、職業、見栄え、経済的な余裕等の目に見える物に価値を置いています。ロドニーは目に見えない、もっと魂の奥底から湧き上がってくるような真の自分の願いに従いたいと言う思いで生きています。それに共感してくれたのは家族以外のレスリーで、深い絆が透けて見えます。

結局のところ、ロドニーとジェーンの価値観の違いとは魂の深いところでのレベルの違いで、価値観は全く共有できないものだと感じました。エネルギーは上から下に流れるから、ロドニーがジェーンを見下したように見えるのは仕方がないと思います。ロドニーには本当に大切なことや物事の本質が普通に分かるのです。これは説明しても通じない不毛地帯です。
ジェーンは砂漠に置き去りにされた数日間に本当の自分と向き合うことができました。今までは頭の中の思考がうるさいほどおしゃべりをし、内省にはほど遠い状態でしたが、外面に目を向けるのに疲れ果て、目を背けていたインナーチャイルドと対峙するチャンスを与えられたのです。一種の瞑想状態に置かれました。そのときの魂の声は本物で、少なからず自分の本質に近付けました。しかし、元の生活に戻ったときには、本質から遠ざかった外側の世界ばかりに目を向ける意識に戻ってしまった。最後のチャンスを自ら手放してしまった訳です。自分を変える難しさと共に、夫婦とは、家族とは等についても考えさせられました。

アガサクリスティーは何をどう感じていたかは分かりませんが、この小説を3日で書き上げ見直しもしなかったと言うことがどこかの記事に書かれていました。大切な物は目には見えないのだと言う宇宙から降りてきたメッセージを届けたかったのだと思えてなりません。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.376
(4pt)

底意地の悪いクリスティーの真骨頂。

ミステリーではないけれど、傑作らしいと言われており、手に取ってみた。確かに、事件は一切起こらず、人生の晩年を迎えたヒロインが、振り返って、夫を始め、子供達ら家族の事を回想しているだけの小説だった。

  だが、こんな退屈な粗筋なのに、他人を見下し、ひたすら自分の行動を正当化して生きて来た、ヒロインの身勝手さが浮き彫りになって、これはヤバイ、と思いつつ、どんどん読まされた。何しろ子供達全員から嫌われ、敬遠されてるのに、自分は間違ってない、と思い込んでる様は、滑稽ですらあった。

  そして良妻賢母だったと信じてる彼女に、最愛の夫がとどめを刺す。慰めるフリをして。彼女を憐れむ夫の底意地の悪さに、クリスティーの真骨頂を見た。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.375
(4pt)

底意地の悪いクリスティーの真骨頂。

ミステリーではないけれど、傑作らしいと言われており、手に取ってみた。確かに、事件は一切起こらず、人生の晩年を迎えたヒロインが、振り返って、夫を始め、子供達ら家族の事を回想しているだけの小説だった。

  だが、こんな退屈な粗筋なのに、他人を見下し、ひたすら自分の行動を正当化して生きて来た、ヒロインの身勝手さが浮き彫りになって、これはヤバイ、と思いつつ、どんどん読まされた。何しろ子供達全員から嫌われ、敬遠されてるのに、自分は間違ってない、と思い込んでる様は、滑稽ですらあった。

  そして良妻賢母だったと信じてる彼女に、最愛の夫がとどめを刺す。慰めるフリをして。彼女を憐れむ夫の底意地の悪さに、クリスティーの真骨頂を見た。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.374
(4pt)

さすがにリアル脱出ゲームを知らなさすぎる

リアル脱出ゲームという言葉にピンと来なくとも、何となく謎解きの際に必要なものって分かる気がするのだが、主人公が何か言う度にいちいち「だからなに!?」「結論は!?」「それがどうした!?」みたいな突っかかりに少しストレスが溜まりました。
消灯した時に現れた絵にも「コレは?」「蛍光塗料です」「なんだそれは!?」ってさすがにそれくらいは一般常識だろうと。
ハッピーエンドとは言えない終わりは個人的には嫌いでは無いです。ガラスの塔の殺人から来たので色々な話を書ける方なのだなと思いました。
春にして君を離れ (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (光文社古典新訳文庫)より
4334110045
No.373
(4pt)

怖いけどあまり共感できない

犯罪ものではなく、ロマンティック・サスペンスというジャンルもあまり適当ではないと思うのですが、忙しく日常生活を送る中年主婦が、1人家族から離れた砂漠にて、これまでの生き方を省みるストーリー。

人は見たくないものを見ず、周りの人を知ろうとせず生きるとこはできるし、自分を含めけっこうそのように生きている人は多いと思えるのが怖いところではある。多かれ少なかれ人は自分の正義の中で生きていると思うし。

主題の焦点がわかる気はするけど、あまり共感できず、じゃあ自分はどうするというとあまり解決策も見いだせないので、後味が悪くなってしまう小説でした。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.372
(4pt)

怖いけどあまり共感できない

犯罪ものではなく、ロマンティック・サスペンスというジャンルもあまり適当ではないと思うのですが、忙しく日常生活を送る中年主婦が、1人家族から離れた砂漠にて、これまでの生き方を省みるストーリー。

人は見たくないものを見ず、周りの人を知ろうとせず生きるとこはできるし、自分を含めけっこうそのように生きている人は多いと思えるのが怖いところではある。多かれ少なかれ人は自分の正義の中で生きていると思うし。

主題の焦点がわかる気はするけど、あまり共感できず、じゃあ自分はどうするというとあまり解決策も見いだせないので、後味が悪くなってしまう小説でした。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385