マルドゥック・スクランブル

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

マルドゥック・スクランブルの評価:

4.32/5点 レビュー 115件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.32pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全98件 61〜80 4/5ページ
No.38
(5pt)

こうして三度読んでみると、洗練されていて無駄がないことがわかる

完全版第2巻。

隠れ家屋上でのボイルドとのバトルから、楽園、カジノでのルーレット(対ベル・ウィング)、ブラックジャック(対マーロウ)まで。

2003年の最初の版。改訂新版。そしてこの完全版。これまで3度読んでいる。最初の時は、その圧倒的な存在感にただ凄いという感想しかなく、2度目には懐かしさと同時に、最初の時よりももう少し深い所まで覗き込めたような気がした。そして、今回の3度目、やはり、その凄さを感じた。当然それぞれの番で大幅な修正がなされているとはいえ、ストーリー自体は当初のものと変わっているわけではない。したがって、初めて読んだ時と同じ種類の衝撃を受けることはもうない。しかし、それでいてなお、読んでいて引き込まれてしまう。また、ある程度流れがわかっていることで、これまであまり見えていなかった部分が見えてきたのか、それとも文章が直されたため気付けたのか、バロットの変化の様子が非常によく見えた気がした。それは色々な人物との会話であり、或いは対決であり、そこから何かを得、変化もしくは成長していく過程が、その様子が強く感じられた。

まだこの作品を知らない人、読んだことがない人が羨ましい。願わくは、この作品に関する記憶を消去して、もう一度体験したい。
マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)より
4150310157
No.37
(5pt)

読み始めたら止まらない。大傑作。

完全版第1巻。

スタートから、隠れ家での畜産業者(バンダースナッチ・カンパニー)、ボイルドとの最初のバトルまで。

2003年の最初の版。改訂新版。そしてこの完全版。これまで3度読んでいる。最初の時は、その圧倒的な存在感にただ凄いという感想しかなく、2度目には懐かしさと同時に、最初の時よりももう少し深い所まで覗き込めたような気がした。そして、今回の3度目、やはり、その凄さを感じた。当然それぞれの番で大幅な修正がなされているとはいえ、ストーリー自体は当初のものと変わっているわけではない。したがって、初めて読んだ時と同じ種類の衝撃を受けることはもうない。しかし、それでいてなお、読んでいて引き込まれてしまう。また、ある程度流れがわかっていることで、これまであまり見えていなかった部分が見えてきたのか、それとも文章が直されたため気付けたのか、バロットの変化の様子が非常によく見えた気がした。それは色々な人物との会話であり、或いは対決であり、そこから何かを得、変化もしくは成長していく過程が、その様子が強く感じられた。

まだこの作品を知らない人、読んだことがない人が羨ましい。願わくは、この作品に関する記憶を消去して、もう一度体験したい。
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)より
4150310149
No.36
(5pt)

2巻中盤からは寝食を忘れて最後まで読み通した

名作の誉れ高い本作を知ってはいたものの、サイバーパンクと聞いて
それに苦手意識があった私は尻込みした。もし私と同じような境遇の人がいるならば言いたい。
「それだけで読まないのはもったいない! ほんの少し勇気を出してみませんか?」と。

奪われ、嬲られ、すべてを喪った少女娼婦ルーン・バロットが、瀕死の重傷から電子干渉能力を得て、復活。
ウフコックやドクターという魅力的な二人のキャラクタとともに、自分を殺そうとした男の罪を暴くため奔走する。
悲惨な過去を生き抜いてきたバロットは二人の優しさに戸惑うが、徐々に心を開き、ふれあい、成長していく。その描写が実に繊細で巧い。
かと思えば、敵さんがバロットを始末しようと送り込む刺客との戦闘、暴力を大胆に描く。
しかし私が最も感心したのは、全三巻を通してのストーリー構成の巧みさである。
1巻終盤のようなバトルを中心に進めても佳作以上に成っただろうが、
作者はそれに満足せず文字通り、賭け<ギャンブル>にでた。欺瞞と緊張と知略が渦巻くギャンブルに。
その結果がどうなったかは、数々の絶賛や日本SF大賞受賞という結果が物語っている。

評判に違わぬ大傑作。
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)より
4150310149
No.35
(5pt)

この作品を初めて読む人が羨ましい。最初に読んだときの衝撃に勝るものはない

マルドッゥク・スクランブルの約7年ぶりの改訂新版。

今回数年ぶりに、『マルドッゥク・スクランブル』を読んでみての印象としては、この作品はやはり密度が非常に濃く、またとても面白いということ。そもそも旧版も一度しか読んでいないので、全体に渡って手を入れられているといっても、時折、こんなシーンはあったかな、という程度でその辺りの変化、或いは違和感というのはほとんど気にかからなかった。ただ、当然のことながらストーリーを知った上で読んでいるので、初めて読んだときに受けたほどの圧倒的な衝撃はなかった。 あと印象としては、カジノでのシーンがもっと長かったような気がしたが、全体的に無駄な動きがないというか、非常にテンポ良くラストまで進んでいったように感じた。

この単行本のバージョンも、これだけのボリュームでありながら値段もかなり抑えめだし、良いと思うがやはりちょっとでかいので、文庫の「完全版」もそろそろ読みたい。ただ、できるならもう少し時間を置いてなるだけ真っ白な状態で読みたい気もする。更に、映画も完成度は非常に高いようだし、或いはコミック版も面白そうだし、更に英訳版もあるらしいので徐々にそちらも見ていきたい。
マルドゥック・スクランブル〈改訂新版〉 Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル〈改訂新版〉より
4152091533
No.34
(4pt)

カジノ活劇編

全面大幅改稿による「完全版」の文庫第2巻。
 電磁力と重力制御システムで空中を自由に泳ぐ鮫たちに守られた実験施設「楽園」や、フェイスマン博士、脳組織の一部を互換した人とイルカの義兄弟など、またまた新たなセンス・オブ・ワンダーが炸裂する。
 後半の舞台はカジノになり、頭脳戦が繰り広げられる。
 ただ、この世界の警察機構と司法システムが今一つふに落ちない。

マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)より
4150310157
No.33
(5pt)

大幅改稿&新装版!

本屋大賞受賞で一気に知名度が上がり、ファフナー&マルドゥックの映画公開決定で今最も脂が乗ってる作家・冲方 丁。
本書は数年前に発刊されたマルドゥック・スクランブルに大幅改稿をくわえた新装版。どんなもんだろーと最初の方だけぱらぱらめくり即購入決定、冒頭部分から文章に手が加えられてます。
読点の不自然な多さが改善され大分読みやすくなった印象。
氏も絶賛する漫画版に触発されたエピソードも盛り込まれお得な内容に。
他にもバロットの心情部分が付け足されて、等身大の少女としての輪郭がより濃くなった(心身障害者駐車ペースでの行動など)
バロットの兄関連でヴェロシティとのリンクもあり、マルドゥックシリーズを愛読してきた読者は「なるほど、こう来るか!」と唸るはず。
世界観がよりわかりやすくなったぶん、バロット初診時におけるマルドック09のの説明など説明臭くなってしまった箇所があるのがやや残念ですが、畜産業者のトラウマが掘り下げられているのは嬉しい。
彼らが各々のパーツに執着するようになった背景が解剖され、よりその不気味な存在感と猟奇性が際立ちます。
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)より
4150310149
No.32
(4pt)

既読者向けレビュー

世にも珍しい鼠と少女のハードボイルド恋愛SF「マルドゥック・スクランブル」の改訂新版です。

天地明察で一気に一般化(?)した冲方丁ですが、その影響でえげつない描写やらが削られるのかと危惧していましたが杞憂でした。
ヒーハーな解体業者の皆様の描写も健在です。内容の旧版との大まかな違いは、

1.導入の短い一文
2.一部描写の削除(ウェルダンが駐車場に行く途中の描写等)
3.バロットのプールでの経験が後に活きるという描写の追加
4.全体的に前日譚のヴェロシティ等を意識した台詞や回想の追加

あたりでしょうか。旧版を読まれている方は些細な違いが気になってすんなりとは読み難いかもしれません。
そのため、辛口ですが星4つとさせて頂きました。

ただ物語としては抜群に面白く、その辺りは全く損なわれていないので、初めて読む方に星5つでお薦めしたいと思います。
また、前後のつながりが良くなったのでマルドゥック・ヴェロシティを読んでからこの作品を読むのもお薦めです。
マルドゥック・スクランブル〈改訂新版〉 Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル〈改訂新版〉より
4152091533
No.31
(4pt)

既読者向けレビュー

世にも珍しい鼠と少女のハードボイルド恋愛SF「マルドゥック・スクランブル」の改訂新版です。

天地明察で一気に一般化(?)した冲方丁ですが、その影響でえげつない描写やらが削られるのかと危惧していましたが杞憂でした。
ヒーハーな解体業者の皆様の描写も健在です。内容の旧版との大まかな違いは、

1.導入の短い一文
2.一部描写の削除(ウェルダンが駐車場に行く途中の描写等)
3.バロットのプールでの経験が後に活きるという描写の追加
4.全体的に前日譚のヴェロシティ等を意識した台詞や回想の追加

あたりでしょうか。旧版を読まれている方は些細な違いが気になってすんなりとは読み難いかもしれません。
そのため、辛口ですが星4つとさせて頂きました。

ただ物語としては抜群に面白く、その辺りは全く損なわれていないので、初めて読む方に星5つでお薦めしたいと思います。
また、前後のつながりが良くなったのでマルドゥック・ヴェロシティを読んでからこの作品を読むのもお薦めです。
マルドゥック・スクランブル〈改訂新版〉 Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル〈改訂新版〉より
4152091533
No.30
(4pt)

最終兵器な美少女がサイバーパンクに暴れるハードボイルド・アクション

巨大企業オクトーバー社が支配する退廃的な港湾型重工業都市、マルドゥック・シティ。15歳の娼婦バロットは賭博師シェルの愛人となり、何不自由ない生活を送っていた。しかし、それはシェルによって巧妙に仕組まれた罠であった。バロットは知らず知らずのうちにシェルの犯罪に加担させられており、そして口封じのために消されようとしていたのだ!

「雛料理(バロット)」という名前通り、エアカーという殻の中で焼き殺される寸前だったバロットを間一髪で救ったのは、委任事件担当官(事件屋)のドクターとウフコックだった。

ドクターは緊急法令「マルドゥック・スクランブル-09」に基づき、宇宙戦争用の禁忌の科学技術によってバロットを治療する。全身をサイボーグ化された彼女は、周辺の電子機器を自由に操作する高度な電子干渉能力を得た。高度な知性を持ちあらゆる兵器に“変身”できるネズミのウフコックと共に、バロットはシェルとその背後にいるオクトーバー社の犯罪を暴こうとする。

だが2人(1人と1匹)の前に、シェルに雇われた凄腕の委任事件担当官ボイルドが立ちはだかる。彼はかつてウフコックを“濫用”した優秀な元軍人で、最強の武器であるウフコックに依然として執着していた・・・・・・!

ゼロ年代日本SFの代表作の1つとされる本作だが、サイバーパンクな道具立てを除けば、未来社会の描写は案外少なく、マネーロンダリングやドラッグ、性的虐待、児童買春など現代に直結するテーマが多い。リアルな近未来世界を独自に構築しているというより、現代社会のグロテスクな裏側をSFというコードによって未来的な通俗へと“反転変身(ターンオーバー)”させた、という印象が強い。その意味でSF作品として成功しているかどうかは疑問も残るが、ハードボイルド小説として読むとなかなか斬新である。

本作の仮借ない暴力表現、性表現は正統的なSF作品のそれとは一線を画しており、翻訳調の文体と相俟って、ハードボイルド的な雰囲気を濃厚に漂わせている。何しろ敵役の名前が「ボイルド」という、そのまんまの名前なので、作者がハードボイルドの文法を意図的に採用していることは明らかであろう。

作者が後書きで記しているように、本作からは映画『レオン/完全版』の影響を強く感じる。不当に虐げられてきた薄幸の美少女と、彼女を守るために全力を尽くす殺人マシーンとの不器用な交流、という設定は『レオン』そのものである。しかしバロットの生い立ちはマチルダ以上に苛酷なため、心の闇はより深い。抑圧され続けた反動としての残虐さは壮絶である。しかも彼女の相棒は金色の毛のネズミ(笑)。美少女とネズミという、およそハードボイルドには似つかわしくないコンビが悪党どもに銃を乱射するというギャップが秀逸。
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307210
No.29
(4pt)

思わずページを進めてしまうテンポ

**全巻を通してのレビュー**

サイバーパンクな世界観が好きな人にはオススメ。

展開のテンポがよく、ストーリーに引き込まれていく感覚。
アクション描写も細かすぎず、大雑把過ぎず。

でも、
クライマックス付近の心理戦では、
グッと描写が細かくなり手に汗を握る展開が繰り広げられます。

ネタばれにならないように説明するのが難しいですが、
SFファンなら必読あれ♪
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307210
No.28
(5pt)

ネズミと女の子・・・意外な組み合わせで楽しめました。

シリーズ1冊目。世界観とかがしっかりしていて、結構気に入りました。

読み始めたとき、なぜだか昔に読んだコードウェイナー・スミスの「人類補完機構」を思い出した。久々にSFを読んだからかも知れない。
まさかネズミが主人公とは思わなかったけどね。アルジャーノンに花束を、みたいだね。先が楽しみな作品です。早く続きも読みたい。
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307210
No.27
(5pt)

至高のサイバーパンク

なにも考えず殻に閉じこもっていた、少女バロットの成長物語

 ウフコックといいドクターといいボイルドといい

 魅力的なキャラクターであふれかえっていますね

 敵として立ちはだかるもと相棒のボイルドがかっこいいですね
 彼がいなければ、この物語の魅力は半減したでしょう
 
 力を手に入れ暴走したバロットを圧倒的暴力でたたきつぶし、ウフコックを手にしたものはその力に溺れ拒絶されると言う彼のセリフは
 もと所有者であり、彼の暴力的な、なにものにも止められない強さを語っています

 買うなら三冊同時でないと中途半端な区切りで終わっちゃうよ
 
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307210
No.26
(5pt)

Japanese Cyber Punk SFの傑作!

暴力、セックス、殺人、ギャンブルを描いたJapanese Cyber Punk SFの傑作である.たぶん、Nitro+あたりでエロゲーにしていたら、もっとメジャーになっていたかもしれない.作者のフィールドであるラノベではやや荷が重すぎ、早川SFでようやく発刊されたそうだ.少女売春、近親相姦、臓器売買など内容もハードでさすがにアニメ化は無理だったようだ。文体はハードボイルドでクール。虚淵玄を思わせるスピード感と緊張感。戦闘シーンもよいが、カジノでのゲームの駆け引きも引き込まれる.マルドゥックシリーズは、バロットに出会う前を描いたヴェロシティが出ているが、バロットを主人公にしたシリーズを読んでみたい.
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307210
No.25
(4pt)

第1作ほどではないが

マルドゥック・スクランブルシリーズの第2弾。後半は何故かカジノに潜入ということで、ギャンブルの話に。面白いんだけど、なんか必然性が感じられないな。
マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307261
No.24
(5pt)

読まずにいた自分が馬鹿でした

『SFが読みたい! 2004年版』が選ぶ国内ベストSF第1位の作品。存在はもちろん知っていたけど、なかなか読む機会がなかったが、たまたま古本屋で入手したので読んでみた。

ライトノベルっぽいかと思ってちょっと引き気味だったのが、馬鹿だった。かなりダークでクールな作品。初期のウィリアム・ギブスンの作品、『ニューロマンサー』とか、特に『記憶屋ジョニー』を思わせる。

もはやサイバーパンク小説など、この現代ではSFのジャンルとしては成り立たないかと思ったけど、立派なサイバーパンクだな。

次作以降も期待。
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307210
No.23
(5pt)

超ディープなSF、そして間違いなく名作

主人公は少女と喋る鼠、最大の山場はカジノでのブラックジャック。これだけ見ると軽めのファンタジー小説みたいですが、超ディープなSF、そして間違いなく名作です。

刊行当時はともかく今2009年に読むと、モチーフとしては古臭いわけです。虐待を受け続けた少女、何にでも変身できる喋る鼠、良心的なマッドサイエンティスト、カードギャンブルの攻防、重力操作出来るラスボス。それぞれのモチーフをパーツ化すると陳腐になってしまう。でもそれらのパーツが組み合わさり、文体、物語とギリッギリのバランスを取ることで、非常に疾走感のある良作になっています。
特に山場であるブラックジャック・シーンは、作者自身が自画自賛していたように秀逸。幾つもの複線が混ざり合い最後に交差する計算された構成は本当に感動的で、マジで2回泣きました。
通勤時に読んでいたのですが、「会社になんて行かないでこのまま続き読んでいたい」と思うほどグイグイ引き込まれました。

本作品はアニメ化の企画があり、結果的に製作中止になったそうですが、映像化は無理だと思います。活字であるからこそこの構成が出来た、ここまで力が発揮できたのではないでしょうか。
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307210
No.22
(5pt)

人間賛歌を、より激しい呼吸で読ませる小説

SFテイストに慣れていなかったり、社会の暗黒面をのぞきたくない方には読みづらいかもしれない
1巻目を乗り越えて、ぜひ、2巻後半までたどり着いて欲しい。

カジノシーンに詰め込まれた作者の猛々しい生気は、
あなたを興奮と待望感に沸き立たせるかもしれない。
恐ろしいほどに読みごたえある物語です。

静謐な空気感や、爆圧に襲われるまでのジリジリとした緊迫感を楽しめる作品なので、
寝静まった夜に全3巻一気読みすることをオススメします。
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307210
No.21
(5pt)

SFXばりばりのアクション映画かアニメか・・・

賭博師シェルに飼われていた少女娼婦バロットは、シェルの享楽のために爆殺される。間一髪、彼女を助けたのは事件屋ドクターとウフコックの凸凹コンビ。瀕死の重傷を負った彼女は高度な電子的な干渉能力を身につけ蘇生させられる。シェルとその背後にある組織は、かつてウフコックとコンビを組んだこともある事件屋ボイルドにバロットの抹殺を依頼する・・・。
社会の階層化が進み一部の特権階級と大企業が支配する未来社会。悲惨な戦争は、社会に傷跡を残し、一方で移植技術や超能力的な身体能力をもたせる肉体改造技術を奇形的に発展させていた。
ビビットな描写とスピーディーな展開はいかにも映像時代の作品。やや文章がこなれていないのと、時折悪趣味なまでの描写を見せる場面は気になったが、アイディア満載のストーリーと登場人物の造形は魅力。
暗い生い立ちを抱えミステリアスでセクシーなバロットもさることながら、出色なのはネズミ型兵器ウフコックだ。通常は黄金色のネズミの形をしているが、自由に形態を変化でき、バロットの装身具やコスチューム、様々な兵器にまで姿を変える。
後半、バロット達を追ってきた暗殺者達(奇怪な移植を施した身体を持つ変質者)とバロット&ウフコックコンビの壮絶な戦いがすさまじい。
マトリックス、攻殻機動隊、寄生獣、Xメン、ウルトラバイオレットあたりが連想作品。

マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307210
No.20
(5pt)

物語の核心を突く二巻

この作品は「人間の価値」をそれぞれの登場人物が追い求める作品だと言えます。

前半部の「楽園」でのボイルドとフェイスマンの会話。そこでこのメインテーマにずばり触れています。

後半部から次巻に跨って書かれているカジノシーンは誰もが言うように圧巻です。

実際はカジノに行ったことはありませんが、臨場感、緊張感、どれもが眼前に浮かびます。

銃での戦闘をカジノシーンに替えたことでハードボイルドな生命《命》のやり取りを望んでいた人は肩透かしを食わされたと思うかもしれませんが、

カジノシーンでも、いやカジノシーンでしか味わえないエキサイティングな生命《チップ》のやり取りを体感できると思います。
マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307261
No.19
(5pt)

戦うということ、生きるということ

主人公ルーン・バロットは、一巻終盤でこういう。『Now Here(ここにいる)』と。

著者が脚本その他を担当した、ロボットアニメ『蒼穹のファフナー』でも同種の描写がある。

冲方 丁にとって、『生きる』ということは存在をアピールすることであり、それ即ち価値観を持つことで、それはいずれ『戦う』ことに発展する。

『戦う』のは何も力をぶつけ合う事ではない。

意見を交わすことも、知略をめぐらせる事も、言ってみれば、生きることはそれ自体が戦いだ。

こういう主張が強く渦巻いている。

これは戦いの物語。戦って、感じて、学んで、成長する物語。

虚ろだった少女が、ラストでは立派でかっこいい女性になってるではないか。

それが何より印象的で、緻密な描写もすべてそこに収束する。

その世界、ぜひ一読あれ。
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)より
4150307210