虐殺器官

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虐殺器官の評価:

4.03/5点 レビュー 369件。 B ランク

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平均点4.03pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全557件 501〜520 26/28ページ
No.57
(5pt)

ゼロ年代SFの最高峰の一つ。

9・11事件以降、世界の先進諸国は個人情報認証による厳格な管理体制を整え、
後進諸国にはテロの更なる泥沼化を引き起こし、巨大な溝を生み出した。
米国情報軍、特殊検索群i分遣隊に所属するクラヴィス・シェパード大尉は
他国の戦争を介しながら「虐殺を引き起こす文法」という禁断の技術を目の辺りにする。

2001年9月11日に事実として起こった米国同時多発テロ事件後の、国家の在り様とテロとの戦い。
それに伴う国軍の変質と傭兵派遣会社のPMFの台頭、経済成長。
未だ続く宗教対立による内戦の裏に絡む先進国の利他行為。
近未来の世界をリアルに描いた作品です。

SFでありながらミステリ要素と、人間が放つ言葉に脳が齎す「感情」という物への探求が書かれている。
政治や戦争、脳医学や精神学等、広い視野と知識が無ければ書けない一冊。

伊藤 計劃氏の筆力に敬意を抱くと共に、氏の早世を惜しまずにはいられない。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.56
(4pt)

圧倒的なリアリティー

まず著者が、すでに故人であることは非常に残念です。これからもっと成熟した、完全度の高い作品が世に出る筈だったのは間違いないでしょう。

作品の感想は、知識の浅い自分にはちょっと難しい箇所がいくつもあった。本当の事か想像か、判断つかない知識が随所に見られた。
裏を返せば、それほどのリアリティーがあるんです。アクションにしてもテンポ良く、最近観た映画「グリーン・ゾーン」よりもリアルな戦場を感じるほど、緊張感とリアリティーがあった。
しかし、随所にあるトリビア的な知識が、良いテンポを止めちゃってるのは残念でした。それでも難しい小説が苦手なバカな自分に、最後まで飽きさせず読ませる文章力は魅力的です。

著者の作品は少ないですが、他の作品も手にしたくなりました。解説で少し著者について知りましたが、本当に無念だったでしょうね。ご冥福をお祈りします。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.55
(4pt)

圧倒的なリアリティー

まず著者が、すでに故人であることは非常に残念です。これからもっと成熟した、完全度の高い作品が世に出る筈だったのは間違いないでしょう。

作品の感想は、知識の浅い自分にはちょっと難しい箇所がいくつもあった。本当の事か想像か、判断つかない知識が随所に見られた。
裏を返せば、それほどのリアリティーがあるんです。アクションにしてもテンポ良く、最近観た映画「グリーン・ゾーン」よりもリアルな戦場を感じるほど、緊張感とリアリティーがあった。
しかし、随所にあるトリビア的な知識が、良いテンポを止めちゃってるのは残念でした。それでも難しい小説が苦手なバカな自分に、最後まで飽きさせず読ませる文章力は魅力的です。

著者の作品は少ないですが、他の作品も手にしたくなりました。解説で少し著者について知りましたが、本当に無念だったでしょうね。ご冥福をお祈りします。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.54
(4pt)

近未来の人類に対する痛烈なアイロニー

(おそらく)22世紀、民族紛争、戦争が絶えない地球。
サラエボに原子爆弾が投下され、「唯一の」被爆国、日本は過去の出来事となった。
主人公はアメリカの暗殺専門戦闘員。言語による無意識下での洗脳で、各地で内紛を頻発させている研究員の暗殺を命じられる。
近未来の情景、科学技術、情報管理社会などがかなり具体的に描かれており、著者の知識の豊富さがうかがえる。
これはSF作品であるが、同時に著者の思索、哲学が投影された作品であり、近未来の人類に対する痛烈なアイロニーでもある。
かなりの話題作となったようだが、ストーリー構成の秀逸さ、完成度の高い作品であることは、間違いない。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.53
(5pt)

早く出会いたかった。

たまたま見つけた本書。
なんとなくその装丁とタイトルに惹かれて購入。
予想外に読み始めたら、まったくもって止まらない。
あっという間に読んでしまいました。

こんなに面白い近未来を、ありありと無理のない範囲で表現し、
また今に生きる私の生き方を顧みるきっかけも与えてくれました。

また、読みながら、生体材料のイメージが完全にMGSだったので、
著者の作品にMGS4があって驚きました。
さらに、著者のプロフィールを見たら、すでに亡くなっていることを知り愕然。

本当に残念。でも、そのときにそうだったからこれが書けたんや。
と思うことにして、残された作品を味わうことにします。

ぜひ、ご一読を。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.52
(4pt)

近未来の人類に対する痛烈なアイロニー

(おそらく)22世紀、民族紛争、戦争が絶えない地球。
サラエボに原子爆弾が投下され、「唯一の」被爆国、日本は過去の出来事となった。
主人公はアメリカの暗殺専門戦闘員。言語による無意識下での洗脳で、各地で内紛を頻発させている研究員の暗殺を命じられる。
近未来の情景、科学技術、情報管理社会などがかなり具体的に描かれており、著者の知識の豊富さがうかがえる。
これはSF作品であるが、同時に著者の思索、哲学が投影された作品であり、近未来の人類に対する痛烈なアイロニーでもある。
かなりの話題作となったようだが、ストーリー構成の秀逸さ、完成度の高い作品であることは、間違いない。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.51
(5pt)

早く出会いたかった。

たまたま見つけた本書。
なんとなくその装丁とタイトルに惹かれて購入。
予想外に読み始めたら、まったくもって止まらない。
あっという間に読んでしまいました。

こんなに面白い近未来を、ありありと無理のない範囲で表現し、
また今に生きる私の生き方を顧みるきっかけも与えてくれました。

また、読みながら、生体材料のイメージが完全にMGSだったので、
著者の作品にMGS4があって驚きました。
さらに、著者のプロフィールを見たら、すでに亡くなっていることを知り愕然。

本当に残念。でも、そのときにそうだったからこれが書けたんや。
と思うことにして、残された作品を味わうことにします。

ぜひ、ご一読を。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.50
(5pt)

故人であるのが無念すぎる埋もれた天才!

残念ながら若くして既に故人とのことですが、こんな才能が埋もれていたことにまず驚きと
その先を見たかったという点での無念さをまずは述べたいと思う。

ひょんなことで知ったこの小説なのですがミステリというよりはSF小説に
くくられるのだろうが遠くない近未来を舞台にした軍事諜報モノ。
正直過剰なまでの引用やメタファーと恐ろしいほど詳細まで設定され
た世界観が最初はページの進みを遅くしていたのだが読み進めると
あっという間に引き込まれてしまった。

大友克洋の"AKIRA"、押井守"ゴーストインザシェル"やエヴァなどの系譜に
あたるだがプロットの完成度と最後の伏線の回収と結末など前述の作品郡にもおとらない。
アフターヌーンで連載していた"EDEN"を恐ろしくブラシュアップしたというか。

哲学性と膨大な知識量に裏打ちされたインテリジェンス。
9.11以降の世界がテーマであるのは確かだろうが、広義の意味で
人類史の罪と罰を問うような大きなテーマに挑み破綻することなく
物語が着地しているのが素晴らしい。

Amazonのレビューでも総合で★5というのがその質の高さを証明しているのではないでしょうか。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.49
(5pt)

故人であるのが無念すぎる埋もれた天才!

残念ながら若くして既に故人とのことですが、こんな才能が埋もれていたことにまず驚きと
その先を見たかったという点での無念さをまずは述べたいと思う。

ひょんなことで知ったこの小説なのですがミステリというよりはSF小説に
くくられるのだろうが遠くない近未来を舞台にした軍事諜報モノ。
正直過剰なまでの引用やメタファーと恐ろしいほど詳細まで設定され
た世界観が最初はページの進みを遅くしていたのだが読み進めると
あっという間に引き込まれてしまった。

大友克洋の"AKIRA"、押井守"ゴーストインザシェル"やエヴァなどの系譜に
あたるだがプロットの完成度と最後の伏線の回収と結末など前述の作品郡にもおとらない。
アフターヌーンで連載していた"EDEN"を恐ろしくブラシュアップしたというか。

哲学性と膨大な知識量に裏打ちされたインテリジェンス。
9.11以降の世界がテーマであるのは確かだろうが、広義の意味で
人類史の罪と罰を問うような大きなテーマに挑み破綻することなく
物語が着地しているのが素晴らしい。

Amazonのレビューでも総合で★5というのがその質の高さを証明しているのではないでしょうか。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.48
(4pt)

色々な感想の一つとして・・・

褒める部分は、他の方が充分過ぎる程、書いていらっしゃるので、僕は少しネガティブな事を書きます。約400ページのボリュームの割りに正直、読了後にストーリーの要の部分が少々、希薄な感じがしました。世界観の肉付けに比重が偏っていた印象がありましたね。でも、ラスト(お母さんの項)は良い意味で肩透かしを喰らった感じでしたし、最後の1ページは、最高でした。(かと言ってラスト1ページだけを立ち読みしても解らないですよ。(笑))
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.47
(4pt)

色々な感想の一つとして・・・

褒める部分は、他の方が充分過ぎる程、書いていらっしゃるので、僕は少しネガティブな事を書きます。約400ページのボリュームの割りに正直、読了後にストーリーの要の部分が少々、希薄な感じがしました。世界観の肉付けに比重が偏っていた印象がありましたね。でも、ラスト(お母さんの項)は良い意味で肩透かしを喰らった感じでしたし、最後の1ページは、最高でした。(かと言ってラスト1ページだけを立ち読みしても解らないですよ。(笑))
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.46
(5pt)

天才はいつだってやりすごされる

痛恨の一言です。失われた才能に対して、彼自身の苦悩に対して、置いていかれた我々自身に対して。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.45
(5pt)

天才はいつだってやりすごされる

痛恨の一言です。失われた才能に対して、彼自身の苦悩に対して、置いていかれた我々自身に対して。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.44
(5pt)

佐藤亜紀氏が絶賛するのも納得の傑作

まずは、「良心的知識人」であるチョムスキーの学問的業績(=変形生成文法)をパロって見せた作家としての悪意に、痛快なまでの志の高さを感じました。
それに、一行一行の背後に込められた知識の蓄積と、こうした一行一行を結び付ける思考の強度が、生半可じゃありません。はっきり言って、凄すぎる!(そこは、佐藤亜紀氏の作品にも通底してますね)
小説を書き始めた地点からして、そんじょそこらの小説とはモノが違うのは、!
「虐殺の言語」そのものに関しては輪郭を描き出すことに徹して、適用例についてはあの有名な「ゴキブリを…」くらいに控えたあたりに、
この語り口にふさわしい小説を構築していこうという、伊藤氏の作家としての巧さがうかがえます。
仮に、伊藤氏が「虐殺の言語」の具体例に満ち満ちた作品を描くとしたら、あまりにも喜劇的であるがゆえにますます悲劇の度合いが深まるというような小説になったのでは?
などと想像せずにいられませんが、遅れてきた読者としてはこうした感傷にふけるのは控えるべきなのでしょう。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.43
(5pt)

佐藤亜紀氏が絶賛するのも納得の傑作

まずは、「良心的知識人」であるチョムスキーの学問的業績(=変形生成文法)をパロって見せた作家としての悪意に、痛快なまでの志の高さを感じました。
それに、一行一行の背後に込められた知識の蓄積と、こうした一行一行を結び付ける思考の強度が、生半可じゃありません。はっきり言って、凄すぎる!(そこは、佐藤亜紀氏の作品にも通底してますね)
小説を書き始めた地点からして、そんじょそこらの小説とはモノが違うのは、!
「虐殺の言語」そのものに関しては輪郭を描き出すことに徹して、適用例についてはあの有名な「ゴキブリを…」くらいに控えたあたりに、
この語り口にふさわしい小説を構築していこうという、伊藤氏の作家としての巧さがうかがえます。
仮に、伊藤氏が「虐殺の言語」の具体例に満ち満ちた作品を描くとしたら、あまりにも喜劇的であるがゆえにますます悲劇の度合いが深まるというような小説になったのでは?
などと想像せずにいられませんが、遅れてきた読者としてはこうした感傷にふけるのは控えるべきなのでしょう。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.42
(4pt)

作者と同時代にコンタクトできなかった悔い

文庫になってから読むと言うセコイ習慣を変えなければならないなぁ、と切実に感じたのは、伊藤計劃という作家と同時代に接触する機会を得られなかった悔いが大きかったから。書店に平積みされた『虐殺器官』を手にとるまで、伊藤計劃を知らなかった。
決してハリウッドでは映画化できない内容だろうけど、ハリウッド映画になったら凄いだろうなぁ、と思えるストーリー展開。かつて日本SFに無かったようなスケール感とディテールのリアリティ。『虐殺器官』は、とてつもなく重たいテーマを内在しているのにも拘らず、軽快なエンタテインメント作品に仕上がってる。
この作品を書き上げて2年ほどで作者がこの世を去ったことは、漸く文庫のあとがきで知った。
彼はネット上に様々な痕跡を残していた。同時代に彼を知っていたら、きっとボクはコンタクトしただろうし、彼からのリアクションも期待できたかも知れない。ブログやmixiで新作のスクリプトをこそっと教えてもらえたかも知れない。
ミッションを成し遂げた主人公が、亡くなった母親のライフグラフ(ネット上に残された本人の痕跡)にアクセスしたときの気持ちに、この小説の読後感は類似している。虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.41
(4pt)

作者と同時代にコンタクトできなかった悔い

文庫になってから読むと言うセコイ習慣を変えなければならないなぁ、と切実に感じたのは、伊藤計劃という作家と同時代に接触する機会を得られなかった悔いが大きかったから。書店に平積みされた『虐殺器官』を手にとるまで、伊藤計劃を知らなかった。
決してハリウッドでは映画化できない内容だろうけど、ハリウッド映画になったら凄いだろうなぁ、と思えるストーリー展開。かつて日本SFに無かったようなスケール感とディテールのリアリティ。『虐殺器官』は、とてつもなく重たいテーマを内在しているのにも拘らず、軽快なエンタテインメント作品に仕上がってる。
この作品を書き上げて2年ほどで作者がこの世を去ったことは、漸く文庫のあとがきで知った。
彼はネット上に様々な痕跡を残していた。同時代に彼を知っていたら、きっとボクはコンタクトしただろうし、彼からのリアクションも期待できたかも知れない。ブログやmixiで新作のスクリプトをこそっと教えてもらえたかも知れない。
ミッションを成し遂げた主人公が、亡くなった母親のライフグラフ(ネット上に残された本人の痕跡)にアクセスしたときの気持ちに、この小説の読後感は類似している。虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.40
(5pt)

身もフタも無い

「私たちの楽しい生活の為に、妙な事考える貧乏人は死んでくれないかなあ」という先進国的エゴが身も蓋もなく暴かれた作品と読んだ。"私"がへらへら笑い薄っぺらい人生とやらを餓えも暴力にも怯えず生きる為に、力弱く言葉無い弱い存在(この作品では人工筋肉の素材にする為に養殖されるイルカにクジラ、安い労働力として働かされる子供、銃を持たされ否応もなく戦わされる子供達etc)から利益だけを徹底的に搾取し、暴力と虐殺を押し付ける世界の仕組み。そんな事を漠然と感じた。
 そして人は国の為、主義主張の為、仕事だから、愛する人を守る為等々なんのかんのと理由を付けて、虐殺を行う引き起こす事が出来るのだ。虐殺を誘発する文脈。確かルワンダでの虐殺は初めラジオの放送で誘発されたものではなかったろうか?旧ユーゴ内紛の時の戦意高揚のビデオも見た事がある。そんな風にして少しずつ、都合の悪い存在は死んでもいいという空気が作られていくのだろう。
 今、瞬間に幼い子供達が戦力と性を搾取され、何もわからぬまま死んでいるのだろう。その屍骸の上に私の生活は確実にある訳だが、昨日とかわらずへらへらと生きていくしかないだろう。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.39
(5pt)

身もフタも無い

「私たちの楽しい生活の為に、妙な事考える貧乏人は死んでくれないかなあ」という先進国的エゴが身も蓋もなく暴かれた作品と読んだ。"私"がへらへら笑い薄っぺらい人生とやらを餓えも暴力にも怯えず生きる為に、力弱く言葉無い弱い存在(この作品では人工筋肉の素材にする為に養殖されるイルカにクジラ、安い労働力として働かされる子供、銃を持たされ否応もなく戦わされる子供達etc)から利益だけを徹底的に搾取し、暴力と虐殺を押し付ける世界の仕組み。そんな事を漠然と感じた。
 そして人は国の為、主義主張の為、仕事だから、愛する人を守る為等々なんのかんのと理由を付けて、虐殺を行う引き起こす事が出来るのだ。虐殺を誘発する文脈。確かルワンダでの虐殺は初めラジオの放送で誘発されたものではなかったろうか?旧ユーゴ内紛の時の戦意高揚のビデオも見た事がある。そんな風にして少しずつ、都合の悪い存在は死んでもいいという空気が作られていくのだろう。
 今、瞬間に幼い子供達が戦力と性を搾取され、何もわからぬまま死んでいるのだろう。その屍骸の上に私の生活は確実にある訳だが、昨日とかわらずへらへらと生きていくしかないだろう。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.38
(5pt)

台詞の,言葉のひとつひとつが読んでいくたびに情景になる

高野秀行氏が絶賛していたので買ってみた。
帯には「伊坂幸太郎,宮部みゆき,小島秀夫」が絶賛していたりする。
SF?普段あまり積極的に読むことは無いジャンルだけれど,そこまで書かれると・・・

知のカタマリのような本だ。近未来の先進国によるテロ対策の現場を描いているのだけれど,その内容がすごい。そのリアルさ,本当らしさというのか,まるで今まさにこの現場に放り込まれたら,信じてしまいそうな架空の世界である。
架空を描く。その方法は様々あるだろうけれど,「まるで見てきたかのように描かれる」と,読者はその読む手を止められない。繊細さと鋭さを持ったお話が,著者の計算されたゆったりとした語り口で描かれる。身震いしそうなほどの冷たさを持った本書は,その引き込み方には熱さを持っている。

「伊藤計劃」 プロジェクト伊藤と名づけられた著者は,もうこの世には居ないのだけれど,膨大な知識を,その緻密な計算のもとに詰め込んだ傑作。
「ゼロ年代最高のフィクション」とか,ややもすれば敬遠してしまいそうな宣伝文句だけれど,この10年での掘り出し物であることは間違いない。

「若者は絶対的で純粋な自由というものがあると思い込んでいる場合が多い。若者はそうた偽りの自由を通過し,謳歌する必要があるんです。大人になって様々な決断を迫られる状況になったとき,みずから選ぶ自由がより高度な自由だと,リアルに感じてもらうためにはね」

台詞の,言葉のひとつひとつが読んでいくたびに情景になる。物語でも言葉が重要視されるけれど,そのためにもこれほどまでの緻密さが必要だったのかもしれない。

文庫で読んだ。ハヤカワの独特なつくりなのか,この本だけなのか,ページの端がやたらと狭い。また,第1部を読み終えるまでは,少し戸惑いを覚えるかもしれない。でも,そんなことを忘れさせてくれる至極の一冊。是非。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311