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(短編集)
ユークリッジの商売道
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ユークリッジの商売道の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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林望氏のエッセイ「海の上の午餐」で友人スティーブン氏を知ったとき、イギリス人ってなんだかイイな、と思ったもんだった。どこに行くにも何をするにも自分のスタイル。結局それはイギリス人に限ったことじゃなくて、もちろん日本でもそんなひとはいるんだろうけど。そして日本でそんな日本人を見て「イイな」と思えるかは別問題なんだけど。 それはともかく、ユークリッジも「そんな奴」なんである。友人たちは彼の「自由な魂」を愛している。金持ちのおばさんのお小遣いのために彼が「紳士的」なお仕着せをまとうことを心底悲しむ。博打好きの「スポーツマン魂」に燃えていて、真っ当に働くなんてことは考えもせず、どこから湧くのかわからない自信と奇抜な発想力で事業という名のサギに乗り出しては失敗を繰り返す男に、毎度ながら元手のために借金を頼まれ(自分が貸せないときは他の友人にたからせもする)、返済のために食事もたかられ、スーツも無断拝借されても、なんだか分からないが面倒を見ずにいられない主人公。 何がすごいって、こんな話、いくらコメディでも普通は調子のいいダメ男にムカつくか、たかられまくる主人公を落語のように馬鹿にするかのどっちかになりそうなものなのに、読後感がいたって爽やかというか、「しょーがねーなぁ、まったく、ぷぷッ」という気分にさせられるんである。これは翻訳者がイギリスユーモアを理解してるからなんだろうなぁ。別訳バージョンも読んだけど、どうにも辛気臭くて「貧乏はつらいよな」ってちょっとどんよりしてしまったもの。 | ||||
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賭博の胴元、ボクサーの元締めに、犬猫学校のチェーン展開・・・常に頭の中で次なるEnterprise(悪企み)を考えているユークリッジ。 裕福な伯母を持ち、罪悪感という観念を持たない真性お坊ちゃまでもある彼に悩まされ、会うたびに手持ち残高をゼロにされながらも、彼から世にも珍奇な物語という最高のおくりものを受け取る主人公。 現在のお金への換算レートが書かれているので、ユークリッジが平気で搾取していく金額の意外な多さは読者の心臓にも悪いけれど・・・ いつの間にか彼のペースにはめられて、次の冒険譚を楽しみにしてしまいます。 無一文になるたび、あなたの家に転がり込んで執事を手なずけ、「貴公は真の友人であるなあ」とうそぶきつつ、あなたの一番上等な服を拝借しては次なるビジネス展開を狙う、世にも迷惑で心臓に悪い最高の悪友との、青春時代のひととき・・・異色の短編集ですが、執事や伯爵を主人公にしたシリーズと、のびのびとして時に人を食ったような人間性賛歌の英国ユーモアが通じていて、さわやかな読後感です。 | ||||
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