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檻の中の少女
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檻の中の少女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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続き物というかシリーズになっているので、この後も読んでいきます。 | ||||
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島田荘司選福山ミステリー大賞受賞作。 けっこう前の作品だが……今さら読んで衝撃を受けた。めちゃくちゃ面白い。 島田荘司の選評にあるように、現代日本ならではの、まさに、現代和製ハードボイルドとでも言うようなキャラ造形と文体、世界観が、まず良い。 しかし何より素晴らしいのは、最新かつリアルなIT描写の数々。 この手のジャンルのフィクションでは、SF的なサイバー描写や、リアリティのないハッキング描写ばかりが取り上げられがちだが、今作はサイバーセキュリティの専門家が書いているだけあり、そんなことはなく、リアルなITテクニックがこれでもかと展開される。 しかも上手いのは、主人公君島が、心理的なスキを突いて情報を奪い取る――ソーシャルエンジニアリングの専門家として設定されていること。 いわゆる「技術屋」ではないので、こちらに理解できないハッキングやプログラミングで難所をくぐり抜けることはなく、「心理戦」がメインとなる。そして心理戦といえば、ミステリーの華である。 このサイバーセキュリティと本格ミステリーの組み合わせの旨味に気づけた点に、作者の慧眼がうかがえよう。 ……と、本編を読み終わり、サイバーセキュリティをテーマにした現代和製ハードボイルド小説として抜群に面白かったと思ったのだが。 ……最後のエピローグを読んでぶったまげた。 なんというどんでん返し。 しかもストーリー上のどんでん返しではなく、構造的などんでん返し。現代和製ハードボイルドから、イヤミスという文学に変貌を遂げたのである。 さらにそのオチでは、シリーズものとしてのヒキまでをも用意してくる周到ぶり。こんなことをされたら、続きを読まずにはいられないじゃないか! 君島×みのん×和田の関係性も気になるし、これは久々にシリーズものとして追いたいミステリ小説に出会えたと喜んでいたのだが…… ここにきてまたびっくり。なんと、シリーズ全5作予定なのに、4巻で打ち切り状態だと言うではないか。 (作者さんのTwitterによると、君島シリーズ最終巻のプロットは、別作品である『原発サイバートラップ』に転用されたらしい。君島シリーズでは売れないということで…) しかも噂に聞くと、4巻はラストへのヒキのために(?)かなりキッツい終わり方をしているんだとかなんとか… なんというか、色んな意味で救いのないシリーズだが……それでもサイバー×ミステリとしても抜群に面白かったので、とりあえずは、続巻を読もうと思う。 何かの間違いで、最終巻が出ますように…… | ||||
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表題どおりです。 著者はコンサルタント会社社長等の経験を経た後、 サイバーセキュリティ業界の前線で活躍していた方ですので、 リアルな知見が得られる点がひとつの魅力。 そして小説としても、非常に力が込められており、エピローグにおける、 システムが関係しない話に対する力の入り方を見れば 本気の小説家であることも分かります。 続編も読んでみようと思います。 | ||||
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凄く面白かったです。 セキュリティ・コンサルタント君島悟が、サイバー・セキュリティの さまざまな事件・トラブルを解決するシリーズの第一作。 このシリーズは全5作の構成だそうで、 「檻の中の少女」 「サイバーテロ 漂流少女」 「サイバークライム 悪意のファネル」 「絶望トレジャー」 と続いていて、現時点ではまだ完結していません。 私はシリーズものとは知らずに「サイバーテロ 漂流少女」を先に読んでしまいましたが、 特に時系列に読む必要もないみたいで、それぞれでストーリーは完結しています。 中でも第一作にあたる本作は、自殺支援サイトというサイバー空間が舞台ではありますが、 主人公が技術系ハッカーというよりは、ソーシャル・エンジニアリングに長けているプロと いうこともあって、読み進めるのにたいした技術的な知識は必要としません。 また、本作のタイトルである「檻の中の少女」の意味は、ストーリーが完結した後の エピローグを読むまではわかりません。 本作の肝は、このクライマックスからエピローグで語られる、救いのない人間ドラマだと思います。 お話としては完結しているのに、なんでエピローグがあるんだろう?と思って読み進めると、 そこで明かされる全く救いのない裏背景。 読んでいて決して気持ちのいいものではありませんが、クライマックスまでで 読了感を得て油断した読者にとどめをさします。 これから読もうと思われる人は、くれぐれも最後まで気を許さないことをオススメします。 | ||||
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君島悟。 三十八歳、独身、身長百七十八センチ、体重五十八キロ。 ここに、魅力的な探偵が誕生した。 とにかく、君島がハードボイルド。 和田をはじめ、君島の周りの人間たちが怪しくて、これまた良い。 あるときは仲間で、あるときは敵なんだろうなとこれからの関係を想像してしまう。 大まかなストーリーは途中で感づいてしまうが、それ以上にその面白さに引き込まれていく作品。 エピローグに、次なる事件を暗示するような記述が出てきたので次回作が楽しみ。 個人的に☆は4.5ぐらいいっていますが表示上は4つ。 | ||||
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エピローグ以外は主人公の一人称で書かれており、自然な話し言葉が突拍子もない粗筋にリアリティを持たせている反面、ややくどく感じた。 サイバーもののミステリーとして、技術的な問題よりも対人間のストーリーに重点を置いており、地に足がついている。 本編で充分に『少女』の境遇を察せられるだけに、エピローグは蛇足だったと思う。 突拍子もない話にリアリティを持たせるのが上手く、いつも楽しませてくれる一田氏に今後とも期待したい。 | ||||
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第3回ばらの町福山ミステリー新人賞受賞作! 主人公はサイバーセキュリティーの専門家。ある老夫婦から「自殺した息子が「ミトラス」という自殺支援サイトに登録していた。老夫婦は自殺ではなく他殺だと信じているので、主人公に調査を依頼します。 客観的には自殺であることが明らかなので、簡単に終わる仕事だと思った。ところが、ミトラスの秘密が明らかになるにつて、思わぬ深みに主人公は引きずり込まれていく……。 この作品の一番の魅力は、サイバーセキュリティーという一般には馴染みのない世界を見せてくれることです。 名前だけ聞くと、ハッキングとか、技術的な話が満載と思われそうですが、技術的な話は最小限に抑えており、ネットの世界に詳しくなくても十分に楽しめる内容です。最後のどんでん返しは圧巻です。 年齢は公式HPで公表されている通り50代ですが、内容は若々しく、斬新なミステリーを楽しませてくれる、安心して読める佳作だと思います。 タイトルの意味はラストで明かされますが、せっかくの”サイバーセキュリテイー”という独自の世界があるのに、タイトルからはそこが読み取れないのが、もったいないかなあと思ったり。 | ||||
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第3回ばらの町福山ミステリー新人賞受賞作! 主人公はサイバーセキュリティーの専門家。ある老夫婦から「自殺した息子が「ミトラス」という自殺支援サイトに登録していた。老夫婦は自殺ではなく他殺だと信じているので、主人公に調査を依頼します。 客観的には自殺であることが明らかなので、簡単に終わる仕事だと思った。ところが、ミトラスの秘密が明らかになるにつて、思わぬ深みに主人公は引きずり込まれていく……。 この作品の一番の魅力は、サイバーセキュリティーという一般には馴染みのない世界を見せてくれることです。 名前だけ聞くと、ハッキングとか、技術的な話が満載と思われそうですが、技術的な話は最小限に抑えており、ネットの世界に詳しくなくても十分に楽しめる内容です。最後のどんでん返しは圧巻です。 年齢は公式HPで公表されている通り50代ですが、内容は若々しく、斬新なミステリーを楽しませてくれる、安心して読める佳作だと思います。 タイトルの意味はラストで明かされますが、せっかくの”サイバーセキュリテイー”という独自の世界があるのに、タイトルからはそこが読み取れないのが、もったいないかなあと思ったり。 | ||||
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軽快な語り口でテンポ良く読ませる文体が心地よい。また、読者目線のポジションに主人公を置き、状況を整理しながら時系列に沿って物語を丁寧に進めることで、ミステリー初心者が手にとってもストーリーについていける作りとなっている。もちろん、その中には語り手の主人公ごと読者をミスリードに誘う仕掛けがなされているわけで、ミステリー小説としての物足りなさは感じられない。 そのあたりは、自殺支援SNSで発生した事件の究明というやや専門分野的な題材を扱う中でも活かされている。専門用語で読者を煙に巻くこともなく、あくまでも現実社会と地続きの位置から現実に地に足ついた視点で追っていく。主人公が名探偵でも人格者でもないところも共感が持てる。 舞台となる街の描写は至って簡素ながら、これでもかという程にちりばめられた固有名詞や小物類により、まるで圧縮陳列された店舗の中に置かれたような雰囲気に陥る。その雑多なパーツ群の中から事件の手がかりを読み解いていく過程は容易なことではないが、前述の主人公目線の丁寧な物語構成のお陰で現在地を見失うこともない。 また、作品には10代、20代の若い女性が何人か登場しているが、会話内容や口調に違和感を覚えずに読み進められる点もいい。軽快な文体も含め、巻末に記された著者の生年を目にしたら驚くこと請け合い。 タイトルの意味が明らかになるエピローグは、今までの語り口から一変し、まさに圧巻の一言。この章だけで1冊の本にしたいくらいの密度とボリュームで読ませる。 最後にひとつ注文を付けるならば、「檻の中の少女」というタイトルを読者にミスリードさせる一言が本文中に欲しかった。あのキャラクターに一言言わせるだけで、タイトルに深みが増したように思う。 | ||||
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まず、とても読みやすい文体で、すらすら読める。 また、若い女性の喋り口調などにも、研究の痕跡が見て取れる。 その辺おざなりな作品を読んでがっかりする事の多い身としては これは大変有り難く、楽しい体験だった。 サイバーセキュリティーを扱う作品ではあるが、電子戦というよりは「人間戦」で むしろ漫画で言うところの『カイジ』にも似た雰囲気があり、手に汗握るものがある。 自殺サイトを営利で扱う、という発想も斬新。主人公の愛人(?)の描写も 直接的ではないながら、妙に艶っぽいものを感じさせた。情念がある。 終盤のカタルシス不足、主人公の定型感、 タイトルの実に無難な(そして月並みな)印象を無理に引き、星4つ。 | ||||
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まず、とても読みやすい文体で、すらすら読める。 また、若い女性の喋り口調などにも、研究の痕跡が見て取れる。 その辺おざなりな作品を読んでがっかりする事の多い身としては これは大変有り難く、楽しい体験だった。 サイバーセキュリティーを扱う作品ではあるが、電子戦というよりは「人間戦」で むしろ漫画で言うところの『カイジ』にも似た雰囲気があり、手に汗握るものがある。 自殺サイトを営利で扱う、という発想も斬新。主人公の愛人(?)の描写も 直接的ではないながら、妙に艶っぽいものを感じさせた。情念がある。 終盤のカタルシス不足、主人公の定型感、 タイトルの実に無難な(そして月並みな)印象を無理に引き、星4つ。 | ||||
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舞台は現代の日本で、「ミトラス」という架空の「自殺支援ソーシャル・ネットワーク・サービス」が出てきます。 「mixi」が人と人とのコミュニケーションを通じて幸せを実現するWebサービスだとすると、このミトラスというサイトは、人と人とのコミュニケーションを通じて、ユーザーが自殺を実行する手助けをするサービスで、まず、このある種「ホステル2」のようなディストピア的な設定にやられました。 著者は東京でIT系の会社社長をしていた経歴があり、ミトラスとその周辺の描写に現実味があります。 たとえば、ミトラスは膨大なユーザーを保有する超人気サイトで、会社で勤務中にミトラスにログインする社員がいると、企業の労働生産性が下がるからミトラスへのアクセスをどうブロックするか、なんてテーマが大手企業の情報システム部門の管理者の勉強会のテーマになったりしています。 ミトラスのWebサーバがどこの国でホスティングされていて、どういうWebサーバで、どういうデータベースで動いているかといったところまで明確に想定して書かれており、読んでいて、こういうサービスを作れば、それなりにSNSサービスとして成功できるのではないかとうっかり思ってしまったくらいです。 ミトラスの運営者が、萩尾望都の「ポーの一族」に影響を受けている、というのも、実際いかにもそういうエンジニアいそうと思います。 物語は、このミトラスによって、一人息子を自殺に追い込まれてしまった資産家の老夫婦が、腕利きのセキュリティコンサルタントにしてハッカーである主人公に、ミトラスの運営者を探す依頼をしてくるところからはじまります。 この手の小説にありがちな、ありえないハッキング描写がほとんど無いところも魅力です。生身の主人公が、現代の東京で頭脳戦とハッタリで推理解明していきます。ミステリ作家の原寮がコンピュータハッカー小説を書くと、こんな感じかと思いました。 ディストピアは最後までディストピアで、カタルシスに欠けるのが不満ではあるものの、面白い。 | ||||
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