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人を殺す、という仕事
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人を殺す、という仕事の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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本作の文章を書いてあるままに捉え、主人公はCからの指示に単に従って殺人を犯していただけのある種の被害者であると考えると、殺された人にとっても主人公にとっても理不尽極まりない「だけ」の駄作です。正直読むだけ無駄で暇つぶしにも勿体ないレベル。 しかしCは実在せず、主人公の精神分裂症が生み出した架空の人物として捉えた場合、作品に対する評価がガラッと変わります。(私は著者の作品を読むのは本作が初めてなので、捉え違いをしているだけの可能性もありますが…実際、本文中にもそれを示唆するようなシーンは幾つもあるので、まったく荒唐無稽な捉え方ではないと思われます。) 例えば一見すると物語と直接的には関係無さそうな、いちいち挟み込まれる絶滅動物についての逸話も、主人公が幸せを感じる現実の裏で、Cたる意識がこれら絶滅種についての思いを馳せ、より一層に人間も絶滅すべきという思いを強めている、同時並行のモノローグとしても捉える事が出来ます。 こうなってくると、世に溢れる、登場人物の中の人格が分かりやすく変わり、複数の人格が状況や原因を説明してくれる凡百の小説とは一線を画し、主人公や登場人物はもとより読者までもが、Cの存在に確信を持てないままに、まさに精神分裂症的な状況に陥るという、かなり野心的な作品と捉える事が出来ます。しかも敢えて最終回答を示さず物語は終わってしまうため、不安感が心に広がって不快な読後感が残るので、本当に良作なのかどうかの判断までつかなくなる始末で、評価に困ってしまいますw 少なくとも私は上記のように捉えた上で、その巧みさをもって評価4としています。 | ||||
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家族のいる平凡な男が"C"という人物からの手紙を受けて、殺人を犯します。被害者は大物政治家、あどけない少女、臨月の妊婦、新婚の若妻などです。各章の初めに、絶滅動物の記事が挿入され、また小説のところどころで殺人の意図がほのめかされます。殺人の動機は、人類が多くの動植物を絶滅し、今もなお絶滅させながら、のうのうと生きているからというものです。故に、誰もが被害者になりうる可能性があります。そうはいっても、これらの殺人は理不尽極まりなく、特に少女や臨月の妊婦や若妻の殺人を容認できる理由は見当たりません。しかし、主人公は実行します。それは、彼の家族が人質に取られているからです。殺らなければ、家族が殺されるという事態に直面して彼が取った行動は、"C"の命令に従うというものでした。 大石作品にしては珍しく超自然的存在の介入があります。それまでの作品の主人公が、異常性欲や何らかの人間的欠陥、特異な嗜好ゆえに犯罪に手を染めていたのとは対照的に、本作の主人公にはそういう要素はありません。"C"の命令がなければ、そして家族が人質に取られていなければ、殺人に手を染めないような人物です。 本作が推理小説であれば、明智小五郎のような名探偵が現れ、論理によって明解に不可解な事象をわかりやすい枠組みに整理・解明するのでしょう。しかし、本作は推理小説ではありません。ひたすら理不尽が続き、読者はかなり不愉快な思いをさせられるでしょう。殺人の理由は、全く容認できない理由ばかりです。 本作は、昨今、癒しやハッピーエンドを約束する物語の多い中で、ひたすらに理不尽を描き出した点で稀有な作品でしょう。甘ったるい物語を好む人にとっては投げ出したくなる作品ですが、徹底的に理不尽を描いている点で本作は優れた暗黒小説と言えるでしょう。言うまでもなく、快不快と作品の評価は別物です。 | ||||
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相変わらず、一気に読ませます。 殺人指令の主〈C〉が誰なのか、というのが読み進める上での最大の関心ですが、結論が、少々曖昧なような気がします。「私の解釈でいいのかしら」という不安が残ります。 章ごとの薀蓄は、話の腰を折る感じがして、正直言って、不要ではないかと思います。今回の絶滅ネタは、ストーリーと無関係とはいえませんが、しつこく繰り返すほどではありません。 | ||||
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