照柿

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評判

照柿の評価:

4.00/5点 レビュー 109件。 B ランク

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平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

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全23件 21〜23 2/2ページ
No.3
(3pt)

読み手さえも狂気に引きずり込まれる・・・

達夫は雄一郎の影であり、雄一郎は達夫の影だった。互いに相手を見つめたとき、
自分自身の一番見たくない部分を見たような、そんな気がしたのではないだろうか。
彼らはまるで、背中合わせに生きてきたようだ。そんな二人が、美保子を挟み対峙
する。もし美保子が達夫と何の関係もなかったら、雄一郎もそこまでこだわら
なかったのではないのか?もし雄一郎が美保子を気にかけなかったら、達夫の行動も
もう少し違ったものになったのでは?いったん狂いだした歯車は思わぬ事態を招く。
人を狂気に駆り立てるものはいったい何か?作者は緻密な描写で、読み手さえその
狂気の中に引きずり込んでいく。内容の濃い、読み応え充分な作品だった。
照柿(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 照柿(上) (講談社文庫)より
406275245X
No.2
(3pt)

あいまいなスタンス

これをいわゆるミステリーのつもりでわくわくしながら読むと、期待外れになるおそれがある。心の機微にかかわる描写部分がとても多いからだ。それゆえに高い文学性を持ちえたともいえるけれど、事件や謎解きの刺激を期待しすぎると、冗漫でただただ長いような印象を受けてしまう。そういう意味では、スタンスがあいまい。
 それと、熱処理工場が取り上げられている点にも大いに期待したのだけれど、明らかな誤りがあって残念。工場の熱処理現場を描写したシーンで、変成炉のフタがあく、というようなくだりがあるけれど、変成炉というのは熱処理炉で使うガスを製造する装置で、配管でつながっているだけなので、稼動中にフタがあくことはあり得ない。
 モデルになった工場はトヨタ系ベアリングメーカーの光洋精工と聞いているが、あまり詳しく取材しなかったんだろうか。熱処理現場は、あくまでも赤く重苦しい熱の象徴としてのみ使いましたということなんだろうけれど。
 そのあたりもイマイチだった。
照柿 Amazon書評・レビュー: 照柿より
4062069024
No.1
(3pt)

高村薫の転換期

この本は正直高村薫の他作とくらべると地味であるし 秀でているわけでもないというのが僕の印象である。ただし これを読んだ瞬間に「高村薫は大きな舵を切ったな」ということでぞくぞくした。マークスの山までは 彼女はミステリー作家というジャンルで大活躍する作家「だけ」であったと思う。但し 彼女の硬質な文体から立ち上る文学性に酔っていた僕として この「照柿」で完全に彼女の「野心」が分かったと思った。即ち 現代のドストエフスキーとも言うべき 一大文学者魂がベールを脱いだ瞬間である。
そう言う意味で 本作は彼女の転換を示した「処女作」であると思っている。これを読んで高村薫はつまらないと思う人も大勢いるだろうし 高村薫は凄いと思った人もいると思う。ある意味高村薫が読者を選んでいるような そんな作品です。
照柿 Amazon書評・レビュー: 照柿より
4062069024