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白魔の檻



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白魔の檻

白魔の檻の評価: 5.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt

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No.1:
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白魔の檻の感想

山奥にある温泉湖近くの病院が舞台。災害により病院一帯は濃霧と温泉区域による硫化水素ガスが発生。
硫化水素は空気よりも重いため、すぐに吸い込む事はないが、徐々に足元から上がってくるタイムリミット状況。ガスによるクローズド・サークルの状況設定に新しさを感じた作品でした。

前作が面白く本作も本格ミステリとして描かれ、斬新なクローズド・サークルの環境設定に期待値が高まりました。しかし結果としては個人的にはやや合わなかった印象です。
本書はデビュー前のストック的な作品でしょうか。前作では感じない文章の質で、今回は内容が把握し辛い読書でした。

小説冒頭のミステリのワクワク感として、病院内の見取り図はとても好感でした。一方、登場人物紹介の方法がやや難点でした。病院ゆえに患者の登場人物だけで70名以上います。主要な登場人物も19名と多く、人物の把握に苦労します。そして主要登場人物の肩書も「外科部長」や「薬剤師」や「看護師」という特徴的な要素で簡潔に示せるところを「更冠病院薬剤師」 「更冠病院新館三階看護師」というフル名称で並べるため、圧迫感といいますか把握し辛さを強めている気がします。共通項はグループ分けで整理すればより良いと思います。もしかすると、あえて意図的に人物は把握しないで読んでもらいたいという狙いがあるのかもしれないのですが、私は登場人物表の段階で少し挫けそうになりました。

登場人物の把握以外にも、突然の回想や、ローカルネタのような知っていて当然のように扱われる用語が多く、内容が散漫に感じました。ただし医療現場の描写や専門的な説明は解説付きであり、前作同様にリアルに描かれたシーンは魅力的でよかったです。見知らぬ時事ネタが同じトーンで差し込まれる箇所はやや違和感が残りました。

ミステリとしての骨格や医療問題を通じた社会的なテーマは印象に残り、意図自体は好感です。今回は構成や文章が合わなかったのですが、シリーズとしての魅力は十分。また、城崎医師がシリーズとして登場しているのはとても良く、彼の性格や行動は個性的で作品の強みになると感じます。その点でも今回は少し役割が少なかった印象。などなど気になり楽しみな点も多い為、今後のシリーズも出れば手に取りたいと思います。

egut
T4OQ1KM0

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