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絶海ジェイル Kの悲劇’94



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絶海ジェイル Kの悲劇’94の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
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No.1:
(7pt)

故郷は、遠くに在りて思うもの

戦時中にアカ華族の嫌疑によって絶海の孤島に建てられた「パノプティコン(一望監視獄舎)」に収監された天才ショパニスト八重洲清康は、3人の囚人仲間とともにどのように脱獄したのか?を清康の孫にして同じ天才であるイエ先輩が解き明かす、というハウダニットが本作のメインになります。そしてその脱獄方法には「超絶技巧練習曲にすぎますよー」と思う方法が一点含まれているものの、非常にユニークでとても面白いと感じました。

また、このパノプティコンでは脱獄と別の事件も起こるのですが、そのフーダニットやホワイダニットを問う「第二の読者への挑戦状」が含まれているのも面白いところです。フーダニットのロジックはパズラー作家らしい見事なものですし、「人の心は100%論理的ではないので、論理での心理推定は極力避けるべき」を信条とする自分には最も相容れない「ホワイダニットの挑戦状」も、その動機を生み出すにいたった事象が自分にとって非常に共感性が高く、結果動機そのものの合理性にも納得させられてしまいました。だって自分は典型的小市民の「日本人」なんですもの(そして本作で一番好きな箇所はここだったりもします)。

一方で「第一の読者への挑戦状」としてもちろん脱獄のハウダニットが問われるわけですが、挑戦状が無ければ示された回答には特に文句も無く面白いと感じたものの、挑戦状を前提(論理的に指摘可能)とすると、どうしても論理条件との矛盾があると思われるため回答として不適当ではないか、との考えがぬぐえないのが残念なところです。

▼以下、ネタバレ感想

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AliceinAbyss
RG0JBP5M

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