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マスカレード・ホテル



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マスカレード・ホテルの評価: 7.52/10点 レビュー 25件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.52pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全5件 1~5 1/1ページ
No.5:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

お仕事小説とミステリの美事なコラボレーション

東野圭吾作家生活25周年記念として3冊の作品が2011年に発表された。

1つは加賀恭一郎シリーズ『麒麟の翼』、もう1つは探偵ガリレオシリーズ『真夏の方程式』、そして最後が本書だ。
そして本書は東野作品2大シリーズと並んで新シリーズと謳われている。

このシリーズ第1作は昨今流行りのお仕事小説にこれまた昨今ブームとなっている警察小説を見事にジャンルミックスした非常にお得感のある小説となっているのが特徴だ。

まず導入部で一流ホテルウーマン山岸尚美の有能ぶりを小さなエピソードで読者に紹介し、一方で新田浩介の粗削りながらも一刑事としての有能さをまたもや小さなエピソードで読者に浸透させる。
人を笑顔で迎え、常に感謝の気持ちを忘れないと心がけるホテルウーマンと常に人を疑ってあらゆる可能性を考える刑事という職業のミスマッチの妙を実に上手く物語にブレンドしている。東野氏が書くと実にたやすく感じるが、実はこのような真逆の分野を無理なく溶け込まして物語を進行させる技量の高さを感じさせないところが東野圭吾氏の凄さだろう。いやはや東野圭吾氏の着眼点の鋭さには恐れ入る。

また本筋の殺人事件の捜査とは別に本書ではホテルを舞台にしていることでヴァラエティに富んだ珍客が登場するのがいいアクセントとなっている。

妙齢の老婦人はなぜ目が見えないふりをして、不可解なクレームをつけるのか?

写真の男を決して近づけないようにホテル従業員に強要する女性。

新田を名指しして不可解なクレームをつける年齢不詳の小男、などなど。

これらの謎が解き明かされた時にまた1人1人の客が様々な思いを抱えてホテルという非日常空間に来ていると知らされる。

これらはいわば日常の謎である。
こんなエピソードをちりばめながら水と油の存在だった山岸尚美と新田浩介の関係を近づけていく。そして後々にこれらのエピソードもメインとなる事件に有機的に関わってくるのだからまさに抜け目のない出来栄えだ。

山岸尚美と新田浩介。
この相反する2人がそれぞれのプロ意識をお互いに認めながら次第に打ち解けあうのはこのようなミスマッチコンビ物語の常ではあるが、東野圭吾氏はそこに組織の問題をうまく挟んでそう易々と名コンビを誕生させない。

さて今回山岸尚美と新田浩介という二大主人公のキャラが立っているのが本書の面白みの1つであるが、彼らを支えるバイキャラクターの存在も忘れてはならない。

まず1人目はコルテシア東京の総支配人藤木。
山岸をホテルウーマンになろうと決心させた上司で彼女を一流のホテルウーマンに育て上げた人物でもある。常にお客の安全と満足を考え、今回の捜査で何かが起これば辞職も辞さない決意を持った生粋のホテルマン。

もう1人は能勢という所轄の刑事だ。
最初に起きた品川の事件の捜査で新田と組むようになった中年太りの髪の薄い、一見うだつの上がらなさそうな風体の刑事だが、刑事コロンボのように相手を油断させておいて常に鋭い目で人間を見つめている有能さを備えている。特に若くして捜査一課の刑事の抜擢された新田の本質を見抜き、ヴェテラン刑事が素質ある有望な若手を育てようとする温かみが感じられる好キャラクターだ。

これらのバイキャラクターの存在が山岸と新田の人物像に厚みを持たせ、物語に深みをもたらしている。

さてこのようにまさに面白い小説の良いお手本のような本書であり、まさに完璧だと思われるのだが、1点だけどうしても気になるところがある。

それは監視カメラについて警察があまり言及がなされないことだ。
例えば犯人が毒入り(と思われる)ワインを送った際、警察は購入先を捜査し、コンビニで買ったことを突き止めるが、対応した従業員による聞き込みしかせずに防犯カメラの映像を確認すらしない。そこに違和感を覚えるのである。
他にも監視カメラや防犯カメラを使えばいつどこに誰がいるか、もしくはいたかが解るにも関わらずである。
クライマックスシーンの山岸尚美の行き先についてもそうだ。候補として挙げられた部屋番号が判明しているのだから、当該階にあるホテルの廊下に設置されている防犯カメラを調べればいいのである。
昨今のTVドラマでは防犯カメラの映像が実に効果的に使用されており、また他の警察小説でも同様の手法を取り入れているのに、なぜか東野作品における防犯カメラを警察が活用する頻度が実に低いのである。
特に本書の場合、携帯電話を使った電話番号差し替えのトリックや闇サイトにおける重層的な交換殺人と実に現代的な犯行計画が用いられているのに、捜査側のアナログ感が非常にアンバランスだと感じた。これは作品にとっては瑕疵にすぎないかもしれないが、他の作品でも同様に感じたことでなかなか改善がなされないので今回も敢えて挙げさせてもらった。

さて上にも書いたように本書は新シリーズ1作目ということですでに2作目の本書の前日譚である『マスカレード・イヴ』が発表され、それは本書の事件以前の山岸尚美と新田浩介の物語とのこと。しかしそうそう刑事がホテルと関わり合いを持つことはないだろうから、3作目『マスカレイド・ナイト』がどんな形になるのか気になるところだ。
個人的には名バイキャラクター能勢と新田のコンビの復活を願いたいところだ。まあ男2人の、しかも一方は小太りで髪の薄い中年オヤジだから絵としては実に栄えないのだが。

しかし25周年記念作品で『麒麟の翼』、『真夏の方程式』、そして本書といずれもクオリティが高いのがすごいところだ。一体どこまで行くのだ、この作家は。


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Tetchy
WHOKS60S
No.4:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

マスカレードシリーズの幕開け

東野圭吾氏の新たなシリーズとなりつつある、マスカレードシリーズの1作目。
2作目の「イヴ」3作目の新作「ナイト」とシリーズ化されたのも頷ける。
新たなヒーローの新田刑事、ヒロインの山岸尚美も誕生し、映像化が待ち遠しい。

いろいろな要素を詰め込んでおり、ミステリーファンならずとも万人にお勧めの傑作だろう。
ホテルで起こるだろうと思われる連続殺人の犯人を追うべく、張り込みを続ける捜査員の姿に警察小説の要素が見える。
様々な理由で訪れる宿泊客に困惑され、悩まされながらも着々と業務を遂行するホテルフロント担当の山岸尚美の姿にホテル物語の要素が。
新田刑事がホテルフロントに化け、容疑者を見分けようとする姿も面白い。
そしてもちろん、ある暗号から犯人捜しをしていくところに推理要素も見れて、一度で三度おいしいということになる。

このくらいの長編だとラストが少々尻つぼみになるところが東野氏の欠点と言えば欠点だったが、事件解決後のそれぞれのその後も含めて終わり方もスッキリ。
減点と言えば殺人動機であったが、まあしょうがないかと思えた。
新作が出たばかりの今だからこそお勧めしたいシリーズ原点。

yoshiki56
9CQVKKZH
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

マスカレード・ホテルの感想

とてもおもしろかったです!
魅力的な登場人物も多数登場し、ミステリーとしてはもちろん人間ドラマとしても楽しめます。

バウム
B55YZM7Z
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

とにかく面白い

東野圭吾は、面白い作品を書くなぁと改めて思った作品。
正直、久々に読む手が止まらなくなるという感覚を覚えた。

本作は、ドラマ向きな作品だと思う。
本を読んでいて、映像が鮮明に頭に映し出されてきた。


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かいきちくん
PC9DG7C2
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

マスカレード・ホテルの感想

東野圭吾はやっぱりすごい。こんなに良い作品が一番の代表作ではないところにlevelの高さを感じます。超良書でした。最高です。

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マグル
ZH9M7YFR

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