弁護士・谷の同僚、戸部が失踪、つづいて彼と関わりのあった小山民子が殺された。

スーパーの親爺。ヤクザからは足を洗った。

上得意の客に暴力をふるい、横浜の高級クラブのボーイを馘になった25歳の川本高志は、喧嘩の遠因となった男・室田の仕事を手伝いはじめる。

俺をハメたのは誰だ？横浜の夜、容疑者を射殺し、刑事の職を追われた梶。

定期的に食事はするが、踏み込まない。響子とは二十二年、そうしてきた。

時は、幕末。時勢は否応なく男たちを呑み込んで行く。

固い決意を胸に秘め、男は帰ってきた。港町N市―妻を失った男には、闘うことしか残されていなかった。

依頼人は若すぎた。義姉の行方を心配する和夫は中三だった。

冬は海からやって来る。静かにそれを見ていたかった。

別れた女に、今の俺が何をできる―。かつての妻・杏子がロス―東京間を結ぶコカイン密売組織のトラブルに巻き込まれた。

躰の中で、なにかが止まった…。四年前のある日、平凡な会社員・立原に生じたある感覚。

荒海を渡り、絶壁をよじ登って、男は女のもとへやってきた。「私がいる。

獲物を追って、この街へやってきた。そいつの人生に幕を引いてやる、それが仕事のはずだった。

砂糖菓子のように崩れていく―。女はそう形容した。

グレーのスーツ、地味なネクタイ、きちっと刈った髪。よく独り言を呟く神経質な男。

「なにも言わずに消える。それが俺には納得できなかった」自分の前から、突然消えた女を追いかけて、青年はこの街にやって来た。

私立探偵・野崎は、ある日、吉野真理子という女から、失踪した老父の捜索を依頼される。

「あたしの誇りは竜よ。あたしの狼、冬に向かって走る狼」女は唇を重ねる。

鎌倉幕府を倒し、後醍醐天皇が敷いた建武の新政も、北朝を戴く足利尊氏に追われ、わずか三年で潰えた。

俺は20歳のバーテンダー。夢はクルーザーを駆って海原を疾ること。

港町N市―市長を巻きこんだ抗争から2年半が経過した。

画家である「私」は、今日も独り、絵を描いている。

風吹きすさぶペルーの高山地帯。

毀すこと、それがばさら――。

小川の自動車修理工場に大破したポルシェを持ち込んだのは、お喋りでどこか憎めない男、矢部だった。新車同然に直してやった。

刑事となった良文は、抜群の検挙率をあげた。

時は鎌倉末期。幕府の命数はすでに尽き、乱世到来の情勢下、大志を胸に雌伏を続けた男がひとり――。

正義派ではない、金のためでもない。ヤミ金融の連中を脅し、言いがかり同然の裁判を起こす。

夏の海が吼えていた。灼けつくような陽をあびて、私は教会の葬礼に参列した。

福岡・遠賀川で船頭のまねごとをしながら日々を過ごす小添家三男・正太。佐賀県内に三つの賭場を持つ藤家の女将・瑠〓(い)。

妻・夏枝が逢い引きをしている隙に3歳の娘を殺害された辻口は、夏枝への復讐のために、密かに当の殺人犯の娘・陽子を養女にする……。

吹き荒れる雪。うなる銃弾。

建設コンサルタント・二宮啓之が、産業廃棄物処理場をめぐるトラブルに巻き込まれた。依頼人の失踪。

“探偵にゃ、目的がひとつある…真実ってやつさ”私立探偵・野崎は、山中で怪我をした少年・安彦と出会い、介抱した。

天才ともてはやされた気鋭の面打ち師・京野英之は、同じく異端の面打ち師として名をはせる高井峰山の面に出会い、打ちのめされた。

孔雀城―無頼の少年たちは、自分たちの寝ぐらをそう呼んだ。戦争直後の東京、焼けくずれた工場の跡地である。

探偵・浅生、32歳、元商社マン。時として、身体を張って調査をすることもある。

高校教師の西尾は、突然退学した生徒を探しにその街にやって来た。「臆病なんですよ、俺は。

タクシードライバーの浜田英二のところに、ある日一人の女性がやって来る。ミラーごしに見た懐かしい面影。

病死した戦友の息子・野本精一から金の無心をする電話がかかってきた。

「狼は哲学者だな。戦闘に熟達しただけのコマンドじゃない」傭兵がつぶやく。

二つの腎臓を失くした「キドニー」と呼ばれる弁護士の宇野。

温泉町で旅館を経営している古い友人が逮捕された。何かがある--。

「もう檻の中の運動会はやめだ」―全共闘高揚期、茶番劇に飽きた4人の男たちが本物の銃と弾丸を用意して起ち上がった。

冬が海からやって来る。毎年それを眺めているのが好きだった。

妻を亡くした元弁護士の木野健。虚無感に苛まれ、本土から離れたこの島へ流れつき、漁師として生きていた。

「極道は身代金とるには最高の獲物やで」。大胆不敵な発想でヤクザの幹部を誘拐した三人組。

北前船が着き、米相場が開かれていた北の湊。銭と汗の匂いのする町を舞台に、運命に翻弄されながらも、しなやかに生き抜く人々。

死体が四つ、転がっている。五つ目の死体を、私は待っていた―。

渋谷を根城にファイトパーティーを主宰し、トップにのし上がったストリートギャング雅。

男は、3年前に別れた妻を救うために、その街へやって来た。「なにからはじめればいいのか、やっとわかったよ。

東京は下町、向島の料亭に生まれた川田周一。十四歳。

梁山泊は、威勝の田虎の叛乱が青蓮寺の策略だと看破した。近くの石梯山に魯達や鄒淵らを派遣し、切り崩しを図る。

S市郊外のトンネルを抜けると蜃気楼のような街が眼の前に広がる。私はかつての師・市来を捜すためにこの街へやってきた。

人生の塩辛いところばかり舐めようとして生きるため「ソルティ」と呼ばれている若月真一郎。

かつてのパートナー、山崎進一を追いつめるために、私はこの街へやって来た。裏切りに楔を打ち込む。