模像殺人事件
- 手記 (39)
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作者は1995年、鮎川哲也賞に佳作入選した人で、この本はそれから10年後に書かれた、「第二作」なのだそうです。 物語の最初、山中で迷った小説家が、山奥に豪邸をみつけ、助けをもとめます。その家には、8年ぶりに帰郷をはたしたという、「包帯で顔をおおった男」が「ふたり」います。「本物の長男」は、はたしてどちらのほうなのか… 解説の千街昌之さんが、この作品はいかにもそうした横溝らしい要素をおりこみながら、「ほらほら、横溝ですよ」という感じは希薄で、この作品はパスティーシュ小説とは無縁のところに身を置いている、ということを書いておられて、本当にその通りだなあ、と感じました。 この作品は、たとえばスーザン・ヒルという現代作家が、アン・ラドクリフの恐怖小説やヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」に骨格を学んで「黒衣の女」を書いたのと同じように、あくまでも古典の「外見のコピーではなく骨格を習得すること」によって作りあげられた、現代に再構築された「オリジナル」なのだ、という感じがします。 (そして、佐々木俊介がこの物語の教科書にした探偵小説は、「横溝」のほかに、やはり「鮎川哲也」なのだろうという気がします。) 描かれているミステリーは、作中に「誰が殺した、いかに殺した、問題はそんなところにない、問題はこの屋敷で何が起こったか、ということだ」というせりふが出てくることからも明らかなように、「ホワットダニット」の謎です。 この本にのっている千街昌之の解説は、いかにもこの人でなくては書けないもの、という感じがします。(小説のラスト頁から、「解説」にはいる本の流れが、とてもいいです。) この本が作られてからさらに10年たっているので、もしかしたらそろそろ3作目がでないかな、とか、そんな話は、ないのかなあ。 | ||||
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隠遁の富豪一家のもとに、長らく音信不通だった長男を名乗る 男――頭部を包帯でグルグル巻きにした――が二人も現れる。 マイナー推理小説家の大川戸は、道に迷い、成り行きでその家に 泊まることになったのだが、いずれが本物ならん、という騒動に 巻き込まれ、遂には殺人事件にまで立ち会う羽目に陥ってしまう。 のちに大川戸は、そこでの出来事を手記にまとめたのだが、ある男が それを入手し、旧友の進藤啓作に依頼して事件の真相を探ろうとする。 なぜなら、彼らの共通の知人が、この事件 にかかわり、行方不明になっていたからだ……。 『犬神家の一族』や『曲った蝶番』を彷彿とさせる発端、手記をもとに安楽椅子探偵 スタイルのディスカッションが行われる中盤、そして探偵役が現地に乗り込み、犯人 と対峙してホワットダニット――「その屋敷で、いったい何が起こったのか?」を解き 明かす終盤、と展開されていく本作。 「二人の“包帯男”の正体はそれぞれ誰なのか?」という謎が軸になりますが、 あまりそれに囚われすぎると、著者の仕掛けた“罠”にまんまと嵌り、事件の 全体像を見誤ることになります(“包帯男”という、いかにもなガジェットは、読者 の目を真相から逸らす、巧妙なミスディレクションなのです)。 真相が明かされると、それまで読者に提示されていた構図が反転し、 手記に記されていたさまざまな場面の意味が、まったく違うものになる という精緻に計算し尽くされたプロットが圧巻。 物語としては起伏に乏しく、淡々とした印象ですが、複雑に絡まった因果の糸を 鮮やかに解きほぐしてみせる解決場面のプレゼンテーションの巧さは特筆もので、 地味ながら独自の世界観を描き切った秀作といえると思います。 | ||||
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隠遁の富豪一家のもとに、長らく音信不通だった長男を名乗る 男――頭部を包帯でグルグル巻きにした――が二人も現れる。 マイナー推理小説家の大川戸は、道に迷い、成り行きでその家に 泊まることになったのだが、いずれが本物ならん、という騒動に 巻き込まれ、遂には殺人事件にまで立ち会う羽目に陥ってしまう。 のちに大川戸は、そこでの出来事を手記にまとめたのだが、ある男が それを入手し、旧友の進藤啓作に依頼して事件の真相を探ろうとする。 なぜなら、彼らの共通の知人が、この事件 にかかわり、行方不明になっていたからだ……。 『犬神家の一族』や『曲った蝶番』を彷彿とさせる発端、手記をもとに安楽椅子探偵 スタイルのディスカッションが行われる中盤、そして探偵役が現地に乗り込み、犯人 と対峙してホワットダニット――「その屋敷で、いったい何が起こったのか?」を解き 明かす終盤、と展開されていく本作。 「二人の“包帯男”の正体はそれぞれ誰なのか?」という謎が軸になりますが、 あまりそれに囚われすぎると、著者の仕掛けた“罠”にまんまと嵌り、事件の 全体像を見誤ることになります(“包帯男”という、いかにもなガジェットは、読者 の目を真相から逸らす、巧妙なミスディレクションなのです)。 真相が明かされると、それまで読者に提示されていた構図が反転し、 手記に記されていたさまざまな場面の意味が、まったく違うものになる という精緻に計算し尽くされたプロットが圧巻。 物語としては起伏に乏しく、淡々とした印象ですが、複雑に絡まった因果の糸を 鮮やかに解きほぐしてみせる解決場面のプレゼンテーションの巧さは特筆もので、 地味ながら独自の世界観を描き切った秀作といえると思います。 | ||||
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どうやら10年振りの第2作目という事らしいですが、なるほど、満を持してという感じの質の高い作品でした。全編に漂うレトロな雰囲気、それでいて現代だとはっきりわかる不思議な設定。この雰囲気こそが、この作品の最大の売りかもしれません。一方、包帯で顔を隠した怪しい男(二人も!)に加え、精神を病む少女も登場するなど、様々なガジェットを用いても決して安っぽくならず、トリックの切れ味も悪くありません。物語は平板な印象がありますが、本格ミステリーとしては良い出来栄え。リーダビリティよりも雰囲気を重視している点で、もしかすると好みは分かれるかもしれません。 | ||||
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どうやら10年振りの第2作目という事らしいですが、なるほど、満を持してと いう感じの質の高い作品でした。 全編に漂うレトロな雰囲気、それでいて現代だとはっきりわかる不思議な設定。 この雰囲気こそが、この作品の最大の売りかもしれません。 一方、包帯で顔を隠した怪しい男(二人も!)に加え、精神を病む少女も登場す るなど、様々なガジェットを用いても決して安っぽくならず、トリックの切れ味も 悪くありません。 物語は平板な印象がありますが、本格ミステリーとしては良い出来栄え。 リーダビリティよりも雰囲気を重視している点で、もしかすると好みは分かれる かもしれません。 | ||||
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