■スポンサードリンク


模像殺人事件



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)

模像殺人事件の評価: 4.33/5点 レビュー 9件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.33pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(5pt)

10年かけて構成された、240頁

作者は1995年、鮎川哲也賞に佳作入選した人で、この本はそれから10年後に書かれた、「第二作」なのだそうです。

物語の最初、山中で迷った小説家が、山奥に豪邸をみつけ、助けをもとめます。その家には、8年ぶりに帰郷をはたしたという、「包帯で顔をおおった男」が「ふたり」います。「本物の長男」は、はたしてどちらのほうなのか…

解説の千街昌之さんが、この作品はいかにもそうした横溝らしい要素をおりこみながら、「ほらほら、横溝ですよ」という感じは希薄で、この作品はパスティーシュ小説とは無縁のところに身を置いている、ということを書いておられて、本当にその通りだなあ、と感じました。

この作品は、たとえばスーザン・ヒルという現代作家が、アン・ラドクリフの恐怖小説やヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」に骨格を学んで「黒衣の女」を書いたのと同じように、あくまでも古典の「外見のコピーではなく骨格を習得すること」によって作りあげられた、現代に再構築された「オリジナル」なのだ、という感じがします。
(そして、佐々木俊介がこの物語の教科書にした探偵小説は、「横溝」のほかに、やはり「鮎川哲也」なのだろうという気がします。)

描かれているミステリーは、作中に「誰が殺した、いかに殺した、問題はそんなところにない、問題はこの屋敷で何が起こったか、ということだ」というせりふが出てくることからも明らかなように、「ホワットダニット」の謎です。

この本にのっている千街昌之の解説は、いかにもこの人でなくては書けないもの、という感じがします。(小説のラスト頁から、「解説」にはいる本の流れが、とてもいいです。)

この本が作られてからさらに10年たっているので、もしかしたらそろそろ3作目がでないかな、とか、そんな話は、ないのかなあ。
模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)Amazon書評・レビュー:模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)より
4488012035
No.8:
(5pt)

“そこで何が起ったのか?”――《ホワットダニット》テーマの秀作

隠遁の富豪一家のもとに、長らく音信不通だった長男を名乗る
男――頭部を包帯でグルグル巻きにした――が二人も現れる。
マイナー推理小説家の大川戸は、道に迷い、成り行きでその家に
泊まることになったのだが、いずれが本物ならん、という騒動に
巻き込まれ、遂には殺人事件にまで立ち会う羽目に陥ってしまう。
のちに大川戸は、そこでの出来事を手記にまとめたのだが、ある男が
それを入手し、旧友の進藤啓作に依頼して事件の真相を探ろうとする。
なぜなら、彼らの共通の知人が、この事件
にかかわり、行方不明になっていたからだ……。
『犬神家の一族』や『曲った蝶番』を彷彿とさせる発端、手記をもとに安楽椅子探偵
スタイルのディスカッションが行われる中盤、そして探偵役が現地に乗り込み、犯人
と対峙してホワットダニット――「その屋敷で、いったい何が起こったのか?」を解き
明かす終盤、と展開されていく本作。
「二人の“包帯男”の正体はそれぞれ誰なのか?」という謎が軸になりますが、
あまりそれに囚われすぎると、著者の仕掛けた“罠”にまんまと嵌り、事件の
全体像を見誤ることになります(“包帯男”という、いかにもなガジェットは、読者
の目を真相から逸らす、巧妙なミスディレクションなのです)。
真相が明かされると、それまで読者に提示されていた構図が反転し、
手記に記されていたさまざまな場面の意味が、まったく違うものになる
という精緻に計算し尽くされたプロットが圧巻。
物語としては起伏に乏しく、淡々とした印象ですが、複雑に絡まった因果の糸を
鮮やかに解きほぐしてみせる解決場面のプレゼンテーションの巧さは特筆もので、
地味ながら独自の世界観を描き切った秀作といえると思います。
模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)Amazon書評・レビュー:模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)より
4488012035
No.7:
(5pt)

“そこで何が起ったのか?”――《ホワットダニット》テーマの秀作

隠遁の富豪一家のもとに、長らく音信不通だった長男を名乗る
男――頭部を包帯でグルグル巻きにした――が二人も現れる。

マイナー推理小説家の大川戸は、道に迷い、成り行きでその家に
泊まることになったのだが、いずれが本物ならん、という騒動に
巻き込まれ、遂には殺人事件にまで立ち会う羽目に陥ってしまう。

のちに大川戸は、そこでの出来事を手記にまとめたのだが、ある男が
それを入手し、旧友の進藤啓作に依頼して事件の真相を探ろうとする。

なぜなら、彼らの共通の知人が、この事件
にかかわり、行方不明になっていたからだ……。

『犬神家の一族』や『曲った蝶番』を彷彿とさせる発端、手記をもとに安楽椅子探偵
スタイルのディスカッションが行われる中盤、そして探偵役が現地に乗り込み、犯人
と対峙してホワットダニット――「その屋敷で、いったい何が起こったのか?」を解き
明かす終盤、と展開されていく本作。

「二人の“包帯男”の正体はそれぞれ誰なのか?」という謎が軸になりますが、
あまりそれに囚われすぎると、著者の仕掛けた“罠”にまんまと嵌り、事件の
全体像を見誤ることになります(“包帯男”という、いかにもなガジェットは、読者
の目を真相から逸らす、巧妙なミスディレクションなのです)。

真相が明かされると、それまで読者に提示されていた構図が反転し、
手記に記されていたさまざまな場面の意味が、まったく違うものになる
という精緻に計算し尽くされたプロットが圧巻。

物語としては起伏に乏しく、淡々とした印象ですが、複雑に絡まった因果の糸を
鮮やかに解きほぐしてみせる解決場面のプレゼンテーションの巧さは特筆もので、
地味ながら独自の世界観を描き切った秀作といえると思います。
模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)Amazon書評・レビュー:模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)より
4488012035
No.6:
(4pt)

ノスタルジック本格ミステリー

どうやら10年振りの第2作目という事らしいですが、なるほど、満を持してという感じの質の高い作品でした。全編に漂うレトロな雰囲気、それでいて現代だとはっきりわかる不思議な設定。この雰囲気こそが、この作品の最大の売りかもしれません。一方、包帯で顔を隠した怪しい男(二人も!)に加え、精神を病む少女も登場するなど、様々なガジェットを用いても決して安っぽくならず、トリックの切れ味も悪くありません。物語は平板な印象がありますが、本格ミステリーとしては良い出来栄え。リーダビリティよりも雰囲気を重視している点で、もしかすると好みは分かれるかもしれません。
模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)Amazon書評・レビュー:模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)より
4488012035
No.5:
(4pt)

ノスタルジック本格ミステリー

どうやら10年振りの第2作目という事らしいですが、なるほど、満を持してと
いう感じの質の高い作品でした。
全編に漂うレトロな雰囲気、それでいて現代だとはっきりわかる不思議な設定。
この雰囲気こそが、この作品の最大の売りかもしれません。
一方、包帯で顔を隠した怪しい男(二人も!)に加え、精神を病む少女も登場す
るなど、様々なガジェットを用いても決して安っぽくならず、トリックの切れ味も
悪くありません。
物語は平板な印象がありますが、本格ミステリーとしては良い出来栄え。
リーダビリティよりも雰囲気を重視している点で、もしかすると好みは分かれる
かもしれません。
模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)Amazon書評・レビュー:模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)より
4488012035
No.4:
(5pt)

2004年最後の大収穫

あまり知られていない作家だが、間違いなくこれは傑作だ。発端の不気味さ、どこへ向かっていくのか予測のつかない奇怪な物語、そして、ある意味狂気的なサプライズエンディング。登場人物にキャラクター性がないという他の方のレビューは、なるほどまさしくその通りだが、むしろ私には、それこそが作者の意図したところではないかと思えた。確かに「擬横溝」風を期待して読むと肩透かしを食うかもしれない。そのへんは読み手の好みの問題になってくるが、私の場合、この「影絵めいて実在感のない登場人物たち」(解説より)の描き方は、暗く静的な、妖しい作品世界にぴったり合っているように感じたし、ミステリ的な仕掛けに対しても効果的に機能していると思った。とにかく傑作。星は4つ半といったところだが、今後への期待を込めて5つ星を献上させていただきます。
模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)Amazon書評・レビュー:模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)より
4488012035
No.3:
(5pt)

2004年最後の大収穫

あまり知られていない作家だが、間違いなくこれは傑作だ。
発端の不気味さ、どこへ向かっていくのか予測のつかない奇怪な物語、そして、ある意味狂気的なサプライズエンディング。
登場人物にキャラクター性がないという他の方のレビューは、なるほどまさしくその通りだが、むしろ私には、それこそが作者の意図したところではないかと思えた。
確かに「擬横溝」風を期待して読むと肩透かしを食うかもしれない。
そのへんは読み手の好みの問題になってくるが、私の場合、この「影絵めいて実在感のない登場人物たち」(解説より)の描き方は、暗く静的な、妖しい作品世界にぴったり合っているように感じたし、ミステリ的な仕掛けに対しても効果的に機能していると思った。
とにかく傑作。星は4つ半といったところだが、今後への期待を込めて5つ星を献上させていただきます。
模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)Amazon書評・レビュー:模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)より
4488012035
No.2:
(3pt)

何がおきたのか?

謎めいた導入部から、全てが明らかになる結末へ見事な構成を持つ作品です。特に最後まで読み通すと、様々な伏線に「そうだったのか!」と思わされることになります。また「犬神家の一族」を思わせるシーンは秀逸です。しかし残念ながら、キャラクター性が全くありません。その意味では、横溝正史とは、比べるべくもありません。結果的に、平板な文章が、ただ淡々と続くだけの作品となってしまっています。物語の構成がしっかりしているだけに、登場人物に「顔がない」のはもったいない限りです。これで、もう少し「人物が描けている」作品ならば、間違いなく、文句なしの作品なのですが・・・
模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)Amazon書評・レビュー:模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)より
4488012035
No.1:
(3pt)

何がおきたのか?

謎めいた導入部から、全てが明らかになる結末へ見事な構成を持つ作品です。
特に最後まで読み通すと、様々な伏線に「そうだったのか!」と思わされることになります。
また「犬神家の一族」を思わせるシーンは秀逸です。
しかし残念ながら、キャラクター性が全くありません。
その意味では、横溝正史とは、比べるべくもありません。
結果的に、平板な文章が、ただ淡々と続くだけの作品となってしまっています。
物語の構成がしっかりしているだけに、登場人物に「顔がない」のはもったいない限りです。
これで、もう少し「人物が描けている」作品ならば、間違いなく、文句なしの作品なのですが・・・
模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)Amazon書評・レビュー:模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)より
4488012035

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!