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魔術師・模像殺人事件
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魔術師・模像殺人事件の総合評価:
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本書は孤高の作家 佐々木俊介による長編「魔術師」と、2004年の単行本刊行からじつに17年を経て、待望久しい初の文庫となった「模像殺人事件」という傑作探偵小説の二本立て。現役ミステリ作家でこれほど耽美妖異かつ端正な文体を薬籠中の物としうる書き手は稀だろう。またミステリ的な仕掛けにしても、読者にあえて一旦「なーんだ」と思わせた先にとんでもないビッグサプライズが待ち受けており、実は古風な文体・作風こそが著者の仕掛けた罠とも言える。 加えてこの二作を評すにあたってこれ以上のレベルの解説はないであろう巽昌章の探偵小説論もまた素晴らしく、ここまで揃った本書はまさに職人技の三位一体、最高の一冊だ。 | ||||
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①位「模像殺人事件」:昭和的な濃い設定と平成的な穏やかな語り口の組み合わせがGood。二重三重に包まれた核心を解きほぐす謎解きが素晴らしい。 ②位「紫蘭の花咲く頃」:メイントリックをどう捉えるかで評価が天地ほど変わる。あれを許せる人なら、全編を通して流れるノスタルジーがたまらないはず。 ③位「魔術師」:ファム・ファタールを最後の最後で明かしたのが味噌。館の主をもう少し前面に押し出していたほうが雰囲気が出ていたか。 ④位「繭の夏」:探偵役は一人に絞ったほうがスリルがあった。姉弟探偵にしたため、やや散漫になっている。これ以降の作品に比べると、仕掛けとラストの驚きが薄い。 現在、体調不良との由。新作を望むのは難しいかもしれないが、期待して待ちたい。 | ||||
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Twitterなどでは「模像」のほうが評価が高いようですが、私は「魔術師」推しです。 舞台設定が好み。事件のからくりも「(ミステリーだから救われないけど)なるほど」と。 一番は 「事件解決。めでたし……か?」 と思ってしまうラストです。 | ||||
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『模像殺人事件』巻頭のエピグラフは、埴谷雄高の代表作『死靈』のエピグラフのもじりである。 そのことを踏まえて、この小説がおそらくは「自同律の不快」を探偵小説的に描いた作品であり、最終的に明かされる真相、真犯人の動機がいかに異常であっても「不合理ゆえに吾信ず」と思わねばならないのだろうなぁ・・・と見当を付けられる人なら、2篇とも面白く読めるだろう。 『模像殺人事件』は、まさにアイデンティティを見失った「模像」である者たちが殺される事件なのだ。 いっぽう『魔術師』のストーリー展開は、有栖川有栖の『乱鴉の島』や、麻耶雄嵩の『木製の王子』を連想させる。 だが、読後感は大きく異る。 古風な探偵小説においては、作中で「神であるかの様に振るまい、登場人物の運命を決定する」のは名探偵だけではなかった。 子孫が財産を巡って殺し合うよう仕向けたとしか思えぬ、身勝手な遺言を残す大富豪。 非業の死を遂げた財産家の子を、冷酷無残な復讐鬼に育て上げ、親の仇を討つよう唆す乳母。 そうした人物が、犯人をも含めた「登場人物の運命を決定」してしまうことが、少なからずあったではないか。 そうした「神であるかの様に振るまい、登場人物の運命を決定」してしまった人物の存在によって引き起こされた事件と向き合う時、探偵役の側は、どのように振る舞えばよいのか? ただ単に犯人を指摘しただけでは、その「神であるかの様な振るまい」によって決定されてしまった「登場人物の運命」を変えることはできない。 探偵役は、結末において、殺されずに生き残った「登場人物の運命」を引き受けなければならなくなる。 そうした形で、古風な探偵小説の結構を借りながらも、新本格たりうる作品を目指したのが『魔術師』だと、言ってよいのではなかろうか。 その試みをどう受け止めるかは読者次第だが、読者の側が受け止め損なう場合もありうる。 | ||||
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は非常に本格ミステリしていて面白かったが、問題は魔術師殺人事件が全く面白くないこと。しかも、模像殺人事件単独で文庫化されており、そちらだけ読みたいならこの本を出す意味がなくなる。 模像殺人事件は一族ものであり、クローズドサークルや包帯男が二人も登場するなど、読み応えたっぷり。 以下ネタバレ注意 魔術師殺人事件は、殺害される対象を子どもではなくて、大人にしておけば、少なくともプロット上は読み応えがでたのではないだろうか。ちなみにこの作品には大したトリックは使われていない。 よって星三つとする。 | ||||
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