暗黒街の女
- ノワール (114)
- ハヤカワ・ポケット・ミステリ (3)
- 裏社会 (122)
※タグの編集はログイン後行えます
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
暗黒街の女の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「音もなく少女は」にも似て、本書も役名からジーナ・ローランズ好きが滲み出て微笑ましい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新ノワールの女王と呼ばれる気鋭のアメリカ女流ハードボイルド作家アボットが3作目にして2008年度MWA最優秀ペイパーバック賞を受賞した話題の力作です。本書を読み始めて最初に気づいたのは、これまで女探偵を主人公にした物語は数多く読んで来たが、そういえば女の悪党が主役のハードボイルドは殆ど読んだ記憶がないなという感慨で(他にはアルレー女史の悪女サスペンス物が思い浮かびます)、私にとっては珍しいジャンルでとても新鮮に感じました。怪しげなナイトクラブで経理の仕事をしていた貧しい娘のわたしは、ある日店に現れたギャングの幹部の女グロリアに見初められ仕事を任される。やがて非合法な運び屋の仕事も上手くこなし女ボスの信頼を勝ち得た彼女は裏社会で成功して行くが、ふと出会ったろくでなしのギャンブラーに惚れてしまったのがきっかけで運命が一気に凶悪な方向へと転がり出す。 本書は主人公の貧しい娘のひとり語りで構成され、大きくは彼女と女ボスのグロリアとギャンブラーのヴィクを巡る確執の物語です。背景にはギャングの二大勢力の影もちらつきますが、あくまで狭い人間関係の中で起こる男女のどろどろとした愛憎劇が主眼で、その意味で全編を通じて本当に女性らしい小説だという印象を持ちました。本書では最後に訣別する二人の女の心理描写が最も心に残ります。娘が取った思い切った行動の理由は追い詰められた怯えと良心の呵責に加え、情けない奴でも一度は愛した男を殺された恨み、それから常に自分の上に君臨する女ボスに対する苛立ちでしょう。グロリアは非情な世界に生きていながら若い娘に愛情を注いで嫉妬に狂い、気を許し甘く見た所為で破滅した己の不覚を最後に悔いているでしょう。本書の凄絶な結末から見て私には娘も最後は憐れな末路を辿る気がして仕方ありません。小粒ながら凄まじい女の情念の世界を描いたノワールの名作に貴方も酔い痴れて頂きたいと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本作で3作目、それでアメリカ探偵作家クラブ賞などをを受賞した著者はニューヨークの大学で英米文学の博士号をとったんだって。近頃の米国の作家って、大学出のインテリが多いな。 まあ、何といってもグロリアの模写がいい。若い時から、ギャングの世界で生き、女一人でのし上がってきた。宝石の運び屋や、集金係をするが、過去には取引を失敗して、体の一部にそのときの傷を持つ。それから主人公の若い女のどうしようもない、馬鹿女ぶりもよく描かれている。美貌の持ち主で、「もっと(お金)が欲しい」という理由で、グロリアの弟子として裏社会を昇っていく。こんなダメな男にほれたら身を持ち崩すとわかっていながら、男にほれてしまう主人公。まったく女というやつは、どうしようもない生き物だ。猜疑心、裏切り、欲望、殺意、恐怖、人間の生の感情が、そのままの形で現れる裏社会を、女の視点から描いている。読むに値する作品。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アメリカには女流で暗黒街モノをかく作家が何人かいますが、アボットは貧困家庭の娘が暗黒街でのし上がっていく姿を描いた本作でアメリカ探偵作家賞もとっている実力派で、新しいノワール小説の女王とも言われているそうです。 父親と暮し経理学校に通いながら貧乏な家計をささえている主人公の娘は、ティーヒーというケチな賭博クラブの経理係りのアルバイトをしています。この店には暗黒街の元締めからゴージャスな雰囲気をただよわせた女が売り上げを徴収に高級車に乗って定期的に乗り付けてくるのですが、機転のきく主人公はこの女に認められます。この女グロリアは美しさや凄腕さだけでなくその冷酷さでも夜の世界では伝説的となっている女です。主人公はグロリアに引き取られるようにして豪華なマンションに住まわせてもらい、一流のファッションに身をつつみ、暗黒街の男達のなかで生き延びていく術を仕込まれます。持ち前の才覚から主人公はグロリアの片腕としてのしあがっていくのですが、破綻は主人公がヴィクという負けてばかりいるギャンブラーに惚れてしまった日からはじまります。グロリアの眼を盗んで逢瀬を続けるうちにとうとうヴィクの口車にのせられて売り上げに手をつけてしまうのです。 そして主人公はグロリアから暗黒街の非常な掟を知らされるのですが・・・・ ウブな娘がグロリアを知り、グロリアに憧れ、やげて自らがグロリアに変身していく過程を追って行くストーリーで手軽には読めますが、主人公がそれほどハードボイルドではない娘っこなのでイマイチ爽快感がありません。原題はQueenpinでキングピンと同様、組織の中心となる人物という英語ですが、それを「暗黒街の女」とは少し乱暴な訳のような気がします。ハヤカワポケミスの訳題はそんな傾向があるのでしょうか? | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 4件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|