忘れたとは言わせない
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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2020年スウェーデン推理作家アカデミー最優秀長編賞、2021年ガラスの鍵賞をダブル受賞した、スウェーデン女性作家の長編ミステリー。14歳で殺人犯として収容され、23年後に帰郷した男が今度は父親殺害容疑で逮捕されるという、現在と過去の二つの事件の真相を探る女性刑事の苦悩を描いた、暗くて重い、本格北欧警察ミステリーである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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物語の設定は面白いし、各関係者の心の変化も非常に良く理解出来る。ただ、最後の方の展開がもう一つピンとこない。何か無理やりに意外性を持たせた感じ。 | ||||
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スウェーデン南部オンゲルマンランド地方クラムホシュ。主人公の若き女性警察官エイラ・シェディンが暮らす町である。 深い森や峻嶮な峡谷を、海に流れ出る川のうねりが削る場所。河岸の古い巨大工場の跡地には、麻薬やフリーセックスに夢中になる若者たちの痕跡が残される。 憂鬱になるほど暗く寂しい地方の片田舎で、13年前に発生した少女行方不明事件。その少女を殺害した容疑で刑務所に入れられた孤独な若者ウーロフ。彼が出所するとほぼ時を同じくして、ウーロフの父親が殺害されて発見される。ウーロフには無実の可能性があり、シェディンは13年前の記憶を彼の出所やその父親の殺人に結びつけつつ、真実を追い始める。 小さな村ゆえの複雑な人間関係。恐ろしいほどの大自然。その中で登場人物たちのそれぞれの陰影の濃い私生活も描かれてゆく。エイラの家族は、認知症の母と、家を出た切り寄りつかない自由奔放な兄。スウェーンミステリならではの生きる重さのようなものが、物語を貫く。ヘニング・マンケルの世界を思い出す。 フィヨルドを抱える北欧の国が持つ自然の美しさと、怖さ。首都ストックホルムとは離れながら、捜査人員が足りないこともあって、都市部からの警察官たちの助けが来る。この事件のためだけの臨時捜査チームのようなもの。彼ら脇役の存在感も併せて物語は立体構造の時空に奏でられてゆく。 後半部になり意外な展開を見せる本書は、川から海へ流れ出す水の流れの如く、警察小説からむしろ、冒険小説的ワイルドさを見せ始める。大自然の豊かさと、時間が与える錆や腐食。 美しくも危険な大自然の営みの中で、いかにも小さく見える人間たちの悲しくも傲慢な罪の存在が見え隠れして、後半は二転三転する真実の深みが主人公エイラを圧倒する。 スウェーデンが犯してきた重大な過ちである冤罪という真実のテーマに取り組んだ作者の意気込みが、感じられる何よりも人間とそのあるべき道を描いた社会派作品としての意義が色濃く感じられる。現実とフィクションのつなぎ目が曖昧なだけに生々しい情感が全巻に漂う。 北欧最大のミステリー文学賞であるガラスの鍵賞受賞作品。そしてシリーズ第二作も完成されているという。そちらの翻訳もまた楽しみだ。 | ||||
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少し時間を要しましたが「忘れたとは言わせない」(トーヴェ・アルステルダール 角川書店)を読み終えました。 スウェーデン北東部の沿岸地帯。行ったことはありませんが(笑)、厳しい自然とそれであるが故の美しさを想像できるような土地。 その場所に23年ぶりに帰ってきた男・ウーロフ。彼は14歳の時に16歳の少女が行方不明となり、警察の激烈な尋問を受け殺害を自白します。その死体は未だ見つからないまま時が経過しています。 故郷を追われたものの、ウーロフは出張で生家のそばを通りかかり、犬の鳴き声を耳にし、その犬を救済すべく家に入り込んだところ、浴室で殺害されている父親・スヴェンの遺体を発見することになります。そして、そのことによって引き起こされる幾つかの事件が<Who-Done-It>と<Why-Done-It>を攪乱し始めます。 初めて殺人捜査に参加する地元警察に勤務する警察官補・エイラが主人公ですが、認知症初期の母親と社会性を欠いた兄を持つ「環境」に左右されない強さを持ちながらも時折見せるその寂しさが、このパズラーに普通小説のような味わいと奥深さを加えています。特にそのストーリー自体に驚きはありませんでしたが、物語がどう動き、どこへ辿り着くのか読み通すことができないまま、或る意味「納得の結末」へと導かれることになります。 とても良い作品だと思います。 | ||||
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複数の賞を受賞し、テレビドラマ化が決定しているとのことなので、期待して読んだ。タイトルや表紙がいいし。 ところが、とにかく読みづらい。 意味のない無駄な記述がとても多い。それらに埋もれているのでポイントをつかみづらい。場面が空きスペースなしに突然変わる。 ―――序盤から流し読みになってしまった。 さらに、現実の会話と、過去の警察での取り調べビデオの再生画面が、字体の変更や段差をつけることなく空きスペースもないまま、同じ章の中にごちゃごちゃに混在している。 せめて翻訳の時点にでも、読みやすいように配慮できなかったものか? 頑張って最後まで読んだが、率直に言ってストーリー自体もさほど……といった印象。 なぜ高評価されたのか理解できない。 後から気づいたが、単行本側(kindleではなく)の宣伝がとても派手で、ますます驚いた。 私としては、二作続けて何らかの受賞作品がいずれも期待外れだったので、これからこの触れ込みは当てにできないと痛感している。 | ||||
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