あの子はもういない
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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韓国の女性新人作家のデビュー作。韓国でのエンターテイメント小説の興隆をめざして立ち上げられた新レーベル「Kスリラー」の第一弾に選ばれたのも納得の、中身の濃いサスペンス作品である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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頭蓋骨内に緑の塗料が発見されるが、犯人はかわいい女子高生。 裏があると続きを期待したが、あっさり終わり。 他の箇所も何か違和感があり、何とも変な後味の悪さが残った。 あっという間に絶版になったかのような印象といい、状況設定に問題でもあったのではないかと思った。 | ||||
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サスペンス・スリラーもの。二人の年のはなれた姉妹が主人公。妹が行方不明で姉が探すもようが一貫して作品の軸である。人間のネガティブな心理の動き、暴力的なシーンなど息を飲むほど鮮烈に描写されている。 長編だがそれを飽きさせない作家の文筆力がある。けっこう推理力を盛り込んでいるので、何回か読み返さないと人に内容を教えるまで理解できない。 | ||||
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やっと手に入れました。昨年から気になっていたのですが、結構な金額なので、ずっと後回しにしてました。Amazonで中古を探してましたが、届いたのは、新品でした。これから読みますが、読み終えたら息子や、親戚にも読ませたいと思っています。 | ||||
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「あの子はもういない」(作:イ・ドゥオン、文藝春秋)を読む。作者の処女作とのこと。 ここにきてイ・チャンドン監督の映画「バーニング」の公開、また早川書房からもスリラーが出版され、”K”ずくしですが、一番取り掛かりやすいこの小説を読んでみることにしました。 スリラーですから多くを語ることはできませんが、失踪した少女の姉と弟を殺害された救助隊員が遭遇し、妹でもある少女は果たして生きているのか、どこにいるのか、弟は何故殺害されたのか、それらの謎を追って、物語は時に警察の力を借りて、時に非合法な「がむしゃらさ」でラストのクライマックスへと輻輳しながら向かいます。吹きつける熱気、「韓国」という国の匂い、底知れぬ闇。典型的な機能不全家族の在り様を見せる姉妹の芸能人の父と母、強行犯係の女刑事、担任教師、獣医、女優が次々と現れ、日記であったり、独白であったり、読者を飽きさせない小説手法を使ってサスペンスを盛り上げます。伏線は、ラストでしっかりと収束します。とても処女作とは思えない達者なストーリー・テリングだと思います。 私が感じた二つのことを話します。 1点目は、特に前半ですが、韓国の芸能メディア、ネット社会の闇とそこに蠢く得体の知れない「力」の存在を描き、電子機器の進化がもたらした監視社会の持つ不健全さを(冷や汗を伴うような嫌悪感と共に)この小説は読者に与えようとしています。 2点目は、そうは言っても、主人公でもある失踪した少女の姉は、絶望の果て、その蔓延する不健全な社会に向き合いながらも、「何かをなくした時に、いろんなことが変わっていって、そして変わっていった方向がそれほど悪い方向ではない」と気がつき、「人は悲しいから泣くのではなく、泣くことが必要だから泣くのだ」と事件を追うことによって、次第に人として成熟していきます。 そして、作者は、意思によって愛されなかった記憶を消そうとする妹と向き合い、それまでの人生も、今の境遇も、異なる環境にも関わりのないところで人と人が求め合う時、それは同じ痛みへの共感からくるという思い、まるで相手を理解しようとすることが自分を理解することでもあるかのような瞬間をも分銅を置くかのように描こうとしているような気さえします。 少しうがった言い方になるかもしれませんが、欧米のスリラー、このKスリラーにあって、この国のスリラーにないもの。それはこの小説の持つグロテスクでヴァイオレントな「けれんみ」を超えたところで醸し出されるそのような「霊性」にあるのではないでしょうか。 秀作だと思います。 | ||||
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