ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件



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初公開日(参考)1983年08月
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長編小説

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ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件〈下〉 (徳間文庫)

1989年06月01日 ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件〈下〉 (徳間文庫)

鬼頭千満おばあちゃんはなぜ殺されたのか。犯人は何者か?僕・田原高太郎と推理マニア下嶋優のコンビは、田拝聡一郎刑事と推理競べを開始した。だが、事件は新たな展開を。というのは、千満おばあちゃんの孫娘、女子大生の幸代ちゃんが死体となって発見されたからなんだ。僕には、鬼頭家のどこか陰湿で暗い人間関係が大いに気になるんだけど…。青春ユーモア・ミステリー堂々の完結篇。(「BOOK」データベースより)




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No.10:
(5pt)

1983年にタイムスリップ

1983年8月刊。橋本治34歳、『その後の仁義なき桃尻娘』の次の書き下ろし作品。いま読んでも(orいま読むからこそ)、おもしろい。2022年に集英社から新装版が出た。
1983年1月14日に始まる殺人事件。その頃のニュースやTVドラマも登場するので、まさにリアルタイム小説。探偵役は25歳、東大卒のイラストレーター、田原高太郎。彼の独白や内言と会話の形で物語は進んでゆく。『獄門島』『犬神家の一族』『不思議の国のアリス』を用いるなど、伏線の張り方も巧妙。上質のミステリー……と思いきや
最初は、橋本治特有の語りや会話の冗長・冗漫さ、反復や反芻が鼻につく。ところが、不思議なことに、読んでゆくうちに、そのリズムとテンポにはまり、それが心地よくなる。
地下鉄丸ノ内線のお茶の水から池袋までの暗い雰囲気の描写が絶妙。解体される直前の東京教育大学の荒廃した建物の情景の描写もいい。1983年には確かにそうだった。
書名は、ヴォネガットの『タイタンの妖女』中のフレーズから採られている。これは、没後に刊行された未完の大作の副題(『人工島戦記、あるいはふしぎとぼくらはなにをしたらよいかのこども百科』)にも使われている。新装版の巻末では、仲俣暁生がそれについて解説している。
ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件Amazon書評・レビュー:ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件より
4191227785
No.9:
(5pt)

祝・復刊

色々な当時ならではの固有名詞(俵孝太郎とか美保純とか)についての『なんとなく、クリスタル』的な注釈を付ければもっと良いと思った。
ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件Amazon書評・レビュー:ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件より
4191227785
No.8:
(5pt)

僕らは何をしたら良いのか

本書『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』のタイトルに注目しました。
「殺人事件」とあるので、犯人は誰か? 答えを探して、読み始めました。
読み終わってみると、このぶ厚い推理小説のテーマは、いったい何なのか?
犯人さがし以上に、とても気になりました。

この小説は、超長篇なので、短い人生が終わってしまうような気がしました。
というわけなので、いきなり「エピローグ」(515頁)へ飛びたいと思います。

「最後に、この小説の ”犯人” というのをお教えします」(532頁)
「真の <犯人(テーマ)>! それは、これです!!」(532頁)

直球のストライクみたいで、うれしい。
長い長い小説。ぐだぐだと長い小説のわりには、ずばりのお言葉。

「幻の真犯人」(460頁、555頁)と来ました。
なにそれ。それはそれ、これはこれですか?
あはは。この小説は、青春のユーモア小説だったのでした。

本書『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』は、
「1983年8月に徳間書店より刊行された『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』の単行本を底本としている」(558頁)
40年前の小説の復刻版でした。

本書の、長たらしいタイトルの由来は、本書冒頭のエピグラフに引用されていました。
カート・ヴォネガットの『タイタンの妖女』(浅倉久志訳)の中の
<ふしぎと、ぼくらはなにをすればよいかの子ども百科>だそうです。

本書のタイトルでは、ヴォネガットの「ふしぎと」の後の読点(、)が省略されています。
「なにをすればよいか」が、「なにをしたらよいか」へと言葉遣いも微妙に変わっています。
「子ども百科」は「殺人事件」と置き換えられています。

暇だったので、浅倉久志訳の『タイタンの妖女』を確認したところ、
引用部分は
『いろいろなふしぎと、なにをすればよいかの子ども百科』となっていました。

本書の著者「橋本治」は、浅倉久志の訳から
「いろいろな」という形容詞を省略していました。
いちいち言わなくても、この世は「いろいろな」ふしぎであふれています。

一方、橋本治は、主語としての「ぼくらは」をわざわざ追加しています。
自分を含めた「ぼくらは」何をしたら良いのか、という問題提起の小説です。
これから「きみらは」何をしたら良いか、というような、
先輩目線からのアドバイス本ではありません。

いいぞ、いいぞ、「橋本治」! 「ぼくらは」いつまでたっても、親の「子ども」ですもの。
「子ども」目線から、親の時代の歴史・社会を見つめ、評価し参考にして教訓を生かしていく。

本書の表紙カバーの装画挿図は「田原高太郎」による。
「田原高太郎」とは、この小説の主人公で語り手の「僕」です。
イラストレーターの「僕」が描いた表紙カバーは、
なんか殺人予告のような、活字の切り貼りです。

人を食ったような「へのへのもへじ」の絵まであって、リアルです。

なぜ「へのへのもへじ」の絵が表紙になっています。
さすが、国立の東大出のイラストレーターです。
殺人犯の似顔絵のつもりでしょう。背中のイチョウが泣いてます。

犯人(容疑者)の顔の特徴が、「へのへのもへじ」の絵と文字で完璧に再現されています。
犯人捜査に役立つことは確実です。

「へのへの」の根拠となる犯人像の形容詞を本文から引用します。

「ヘコヘコ」(269頁、283頁、308頁)
「ヘラヘラ」(269頁、295頁)
「ガチガチ」(352頁)
「オタオタ」(352頁、542頁)
「ウダウダ」(369頁)
「ゴタゴタ」(536頁)
「ウンタラカンタラ」(372頁)

表紙カバーの画の中には、副題のように
タイトルの翻訳英語までが小さな活字でありました。
「The murder case of Wonders and Things to do」

「The murder case」と単数になっていますが、
殺人事件は、二件あったのでは? 
幸代ちゃんの一件は、絞殺事件ではなく、自殺だったのでしょうか?

『タイタンの妖女』の原書では、
<ふしぎと、ぼくらはなにをすればよいかの子ども百科>
の部分の英語は、こうなっていました。
<A Child’s Cyclopedia of Wonders and Things to Do>

単数の「百科」を持ってくるとは、
訳者の浅倉久志も原作者のヴォネガットも、ウマイと思いました。

Wonders も Things も全部一緒に含む「百科」辞典です。
ひらがなしか読めない子ども専用の辞典なんですね。

だからなんですね。
本書タイトルを、<不思議と僕らは何をすれば良いか>と漢字書きにせず、
ひらがなにしたのですね。

「僕の名前は田原高太郎(タワラコータロー)です。/ こんばんは」(016頁)
「こんばんは、田原高太郎です」(533頁)

むかしのラジオの深夜番組の出だしのようなセリフです。
「田原高太郎」についても、
似たような名前の人、むかしテレビで見たことあります。

本書は、殺人事件を扱う推理小説です。

後半は私小説です。著者自身がそう言っています。
「こっから先は、私小説です――」(354頁)
「僕の <私小説(はなし)> は、ここまでなんです――」(374頁)

いいですね。こういう小説家。
わかりやすくて、親切な作家「橋本 治」。
わけのわかんない文章をだらだらと書く小説家は嫌いです。
人生は短く、わけのわからん小説は長いから。

わけのわからん「現実」だからこそ、わけのわからん恐ろしい事件が起こるのです。

「なんという恐ろしいことを、現実というのは、やってのけたりするんでしょう!」(194頁)
「まア、現実なんての、こんなもんです」(202頁)
「現実って、その切り取り方で、その切り取ったものの組み立て方で “色々な真実” が顔を現わすもんなんですね、前にも言いましたけど」(324頁)
「その自分が存在している現実が、そうした自分ゆえに煮つまって行くことは分からない。自分だって、その切り取られ、伝えられる現実の一断片かもしれないのに――」(325頁)
「現実って、ホントにゾッとすることと紙一重なんだなってことに気がついて」(516頁)
「現実はもっと悪どいぞ」(554頁)

「橋本 治」による、この推理小説の現実には、ゾッとしました。
おもしろかったです。
「橋本 治」は、2019年逝去。享年70。合掌。
ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件Amazon書評・レビュー:ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件より
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No.7:
(5pt)

ハチャメチャ化してどうなるかと心配しつつ読んだが、最後は真っ当な社会派小説らしきところに着地

あの才人であった故橋本治の小説を読むのは初めてなのだった。
あの、1968年の全共闘運動が高揚する東京大学の駒場祭ポスターに「とめてくれるなおっかさん背中 (せな) のいちょうが泣いている男東大どこへ行く」のコピーを書いた橋本治である。
あの、『桃尻娘』の作者として一世を風靡した橋本治である。
そして、編み物の本まで出版して、うちの奥さんが編み物にのめり込む(現在進行中)きっかけまで作った橋本治である。

が、実はぼくは『桃尻娘』を含めて、彼の作品は何も読んでこなかった。ところが昨年のこと、書店で『人工島戦記 ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかのこども百科』という彼の本を見かけてしまった。箱入りで厚さは何と7センチ近くもある。値段は驚くべきことに9800円+税だ。学術書や美術書じゃなくて、新刊の小説が、である。
思わず買ってしまったが、どうにもその厚さに圧倒されて、まだ読み始めていない。というか、重すぎて持ち運べないし、寝ながら読んだ日には胸に落っことして肋骨か鎖骨を骨折してしまいそうである。

そう思っているうちに、本書が復刊しているという情報がネット上に流れてきた。『人工島戦記』と「ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの・・・」まで一緒ではないか。
と、まああまり深く考えないで読み始めたのである。こちらも厚さ4.5センチとかなり分厚いが、値段は2700円+税で真っ当である。

今年は年初からカルロス・ルイス・サフォンのゴシックミステリー4部作を読み、続けて笠井潔の『煉獄の時』を読んだので、軽い小説を読みたくなったということもある。

確かに文体は軽い。昭和軽薄体で書かれている。って、今の人に通じるのだろうか?w
そして、まあとにかく、不思議な入り方をする小説なのである。横溝正史のミステリーに登場する人たちと同じか似た名前ばかりがついている家族のおばあちゃんが、不気味がって誰か探偵を呼んで来いと言う。
このおばあちゃんの家はアパートを経営していて、その一室に中央大学理工学部のミステリー研究会の学生が住んでいるのだが、なぜかおばあちゃんは私立大学の私立探偵はだめだという。
そこで、東京大学を卒業後、売れないイラストレーターをしている主人公に、不思議なルートで探偵役としておばあちゃんに会いに行ってくれという依頼が来る。つまり、私立探偵ならぬ国立探偵だというダジャレから始まっていくのだが、そのおばあちゃんがなぜか殺されてしまって、その謎解きの過程でさらにさらに・・・、となりしっちゃかめっちゃかになって行きそうなものの、案外とまともな社会派小説のようにも着地してしまうという、不思議なミステリーなのである。

次はどうしても、『人工島戦記』を読まねばならなくなった。ただ、その前に牧久『転生 満州国皇帝・愛新覚羅家と天皇家の昭和』を読んでからだけど。
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No.6:
(4pt)

復刊慶賀もザンネン

橋本治は晩年に文名上がりましたが桃尻娘シリーズといいこの“ぼくらは”といいあまりセールス上はパッとしなかったようで単行本も文庫も軒並み絶版品切れですね。
本作も隠れた快作のひとつですが集英社系で復刊に至るとは…トクマの特選で近々お目見えするとばかり思ってましたが、徳間の担当者も後手に回ったようですね。
ともかくまずは橋本初期の口語かたりで読者を引き込む快作の復刊を慶びたいと思います。
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