凜の弦音
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凜の弦音の総合評価:
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いつものように冒頭で殺人事件が起きますが、犯人も被害者も名無しのまま即座に解決されますので忘れてOK。その後は人死に無しで極上の青春小説が展開されます。 | ||||
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(私がまさにそうですが、)「殺戮にいたる病」とか「弥勒の掌」などの我孫子武丸三のほかの作品を読んでからこの本を読むと、善かれ悪しかれ肩透かしを食らいます。 連続殺人鬼も出てこないし、終盤のどんでん返しもありません。 弓道に打ち込む女子高生の成長を描いた物語です。「傑作長編」とありますが一話完結型で、それぞれで発生する事件も(最初の殺人事件を除けば)ちょっとしたものばかりです。 それでも、弓道の描写は美しいですし、さりげなくちりばめられた用語などの解説が面白いので、すらすらと読み進めてしまいます。 弓道に知見がある方もそうでない方も、読んでみて損はしないと思います。 | ||||
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弓道に興味のある方、弓道初心者の方に読んでほしい本です 導入部の殺人事件は不要と思います | ||||
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中学から弓道を始めた篠崎凜は、現在高校一年生。段位は弐段。この年頃の少女が興味を引かれるようなことには無縁で、ただただ弓道にストイックに打ち込んでいる。 そんな凜が師匠の家を訪れたときに、事件が発生。犯人の工作の拙さもあったが、凜が現場の矛盾点を指摘したことから、事件は迅速に解決した。 この出来事が校内新聞で取り上げられたことをきっかけに、凜は学校内外で注目を集める存在に…。 「道」としての弓道の教えとスポーツとしての大会で勝つことの狭間で悩んだり、部員により異なる部活にかける熱量の違いに戸惑いを覚えたり、頼りなさげな「あいつ」が何だか妙に気になったりと、体育会系女子の等身大の青春が、瑞々しく描かれている。 警察が出張ってくるものは一件だけだが、ミステリー要素あり、ほほえましい恋愛要素あり、お約束の強力なライバルの出現ありと、読者を惹き付ける要素も多く盛り込まれている。 続編が出たら読みたくなる、そんな傑作青春小説。 | ||||
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弓道に限らず剣道や柔道、空手といった武道をやる際に必ずぶち当たる問題がある。 「武道なのか?スポーツなのか?」 という命題。僕も空手をやっていたのでこの問題にはぶち当たった。 この命題に対しては自分で考えて自分なりの答えを出すしかない。 弓道もその例外ではない。 弓道は間違いなく競技スポーツではあるのだが、的に中てる事のみを目的をしてはならないという矛盾した教えがある。 スポーツとしてのみ捉えるのであれば、矢が的へ的中した数によって勝敗を競っているのだから、的に中てる事を目的として何の問題もない。的中率をあげることこそが普段の練習の目的なのだ。 しかし、武道的観点に立つと、品位や格、礼儀といったものが重視され、正しい射を目指せばおのずと的にも中るとされている。 その考え方の相違に懊悩する主人公の姿が面白かった。 弓は本来、人や動物を殺すための武器である。そもそもが殺人術が原点である。 これは他の武道にも言える事で、剣道は日本刀を使って人を殺すための技術であり、空手や柔道も本来は武士が戦場で素手で敵を殺すために発達した技術である。 そもそもが弓や剣というのは戦場で敵を殺すために開発された武器であり、武道と言うのは本来は人を殺す技の追求が原点としてあるのは間違いない。 しかし、日本人はそこに「道」という概念を付け加え、単なる殺人術にはしなかった。 殺人術というのが根底にありながらも、そこに礼儀であったり、品格であったり、精神修養であったり、人生哲学といったものを付け加えて崇高な「思想」を創造し、殺人術を「武道」へと昇華させた。 個人的見解ではあるが、スポーツと武道の違いは「思想」の有無だと思っている。 主人公のライバルである波多野郁美は弓道をスポーツとして割り切っており、武道としての思想は排除している。 ただ「カッコいいから」という理由で弓道をやっているだけだ。 一方、主人公の篠崎凛は武道としての思想にこだわって弓道と向き合って悩んでいる。 その対比が本書の最大の読みどころだと思う。 女子高生の部活の物語であり、ところどころ恋愛要素やミステリーの要素も含んで、一見ライトノベルのような軽さを感じるが、実は根底には深いテーマが隠されている。 まあそこまで深読みする読者は少ないかもしれないが、僕は武道とスポーツの違いについて深く考えさせらえた。 我孫子武丸は大好きな作家で、ほとんどの著作を読んでいるが、また新しい側面を発見できて嬉しい。 本書は、武道と競技スポーツのはざまで葛藤する少女を描いた秀作だと思う。 | ||||
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