愚者の毒
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
外部リンク
評判
愚者の毒の評価:
7.50/10点 レビュー 2件。 B ランク
愚者の毒の総合評価:
8.51/10点 レビュー 41件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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が、この宇佐美まことさんに関してはなぜか前後してしまい、最初に読んだのが「入らずの森」。それから「虹色の童話」「死はすぐそこの影の中」「骨を弔う」「少女たちは夜歩く」と読んできました。「骨を弔う」で”一回り大きくなったなあ”と感じたのですが、この「愚者の毒」はその2年前の作品だったんですね。この作品が今までで一番よかったです。
理不尽な逆境を必死に生きてきた登場人物たちに圧倒されました。とても日本とは思えない貧しさ、けれどこれは江戸や明治などではなくほんのひと昔前、これから日本はどんどんよくなっていくと考えられていた希望に満ちた昭和の高度成長期のことです。このような貧困や不遇に苦しんだ人たちがいたというのはまったく知らず、自分の無知を恥じました。
九州の廃止になった炭鉱の村。高利貸しに搾取される希望のない生活。炭鉱事故で不自由な身となり暴力を振るうようになった夫を捨てて母親は出奔し、残された子供たちはどん底で生きてきました。
一方東京では、障害児を残して事故で死んでしまった妹夫婦、その借金を背負わされる姉。どうしょうもない不幸から這い上がりたいと願った彼らが出会ったのは職安でした。
第一章、武蔵野陰影。住み込みで働くことになった武蔵野のお屋敷、風景描写が大変美しいです。飄々とした学者である主の元でしばし穏やかな日々が続きます。がそこにまで過去の亡霊はついてきて・・。
第二章、筑豊挽歌。のどかだった第一章との対比が凄まじいです。陰鬱で凄惨な内容ながら読むのが止まらなくなりました。
作者は四国の愛媛県の方ですが、筑豊地方の方言で書かれた文章が効果を上げその独特の響きが凄みを増しています。
そして第三章の伊豆。表向きは幸せな生活なのにその空虚さは・・ネタばれするのであまり書けませんが・・。
読んでいて東野圭吾作「幻夜」や「白夜行」を思い出しました。雰囲気がよく似ています。
人間の描き方といい、ストーリー展開といい、最後のオチといい、しっかりとした構成で文句なしの星5つです。文学とも見まがうような素晴らしい作品でした。