危険なやつら
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この本のあとがきに書かれている通りあの映画界の鬼才クエンティン・タランティーノをして「俺の映画はチャールズ・ウィルフォード似だな」と言わしめた幻の作家です。 チャールズ・ウィルフォードは自身のホームベースである常夏の街「マイアミ」を舞台に時に生々しい犯罪劇や硬派なハードボイルドを描く作家でこのほかに映画化もされた「ホウク・モウズリー刑事」シリーズがよく知られて いますがその作品の殆どが三流のパルプ雑誌でしか取り扱われなかったため氏亡き後はただただ埋もれてしまうという不幸な作家でした。 しかし80年代になりデイヴィッド・リンチ監督の映画「ワイルド・アット・ハート」の原作者で知られる巨匠バリー・ギフォードが再評価した事から一躍脚光を浴びいわゆる「パルプ・ノワール」ブーム(同時にウィルフォードと共に埋もれていた 存在であった*1ジム・トンプスンや*2ディヴィッド・グーディスなどの作家も復活を遂げることに)における代表格の作家として改めて世にその名を知らしめる結果になりました。 そしてそのブームは後世のクリエイターたちに大きな影響を与え、その中でも前述した通りクエンティン・タランティーノはファンを公言しており代表作「レザ・ボア・ドッグス」やウィルフォードなどが活躍していたパルプ雑誌小説へのオマージュ 的な名作「パルプ・フィクション」、ウィルフォードと同じくマイアミ在住のパルプ・ノワール作家エレモア・レナードの「ラム・パンチ」の映像化「ジャッキー・ブラウン」等の一連の生々しい人間模様、暴力を伴う駆け引きを活写した濃厚な犯罪 劇の構成要素にはこのウィルフォードの影が必ずあるといっても過言ではないでしょう。 この「危険な奴ら」もまた地に足のついたスリリングでバイオレンスなハードボイルド、パルプ・ノワールの傑作です。 金銭面的には人生の華ともいえる職業につく少々スノッブ的な4人の男達、彼らの絆はマイアミと言う街の雰囲気の名の下に繋がれ日々怠惰な悦楽に酔いしれている生活を送っていた、そんな四人が戯れに制限時間内に女をナンパ出来るかという賭け をすると思いもよらぬ展開に発展、どうにか乗り越えたかと思いきやそれが引金だったかのように人生を左右しかねない事件がそれぞれ4人に待ち受けていた・・・という筋書きなのですが・・まあ正直いって最初の殺人が追求されて破滅していくと いういかにもノワール的なかんじではありません。 最初はそうんなふうだと勘ぐってしまいました、まあ結果的に彼ら自身それぞれの"別件"の問題でドつぼに嵌っていくという展開で最後の結末でようやく表題である「危険なやつら」という意味があてはまりました。 まあ最後は衝撃というか、不条理というかいかにもアメリカンチックなノリのラストで読後も「こいつら本当こりねぇな」と人間としては最低な連中ですがなぜか嫌いになれず、どうしようもない男達の群像劇(まさしくタランティーノ)という印象を 受けました。 簡単な話いい年した大人たちのかなり危険な「スタンド・バイ・ミー」といっていいでしょう、随所にいかにもタランティーノがやりそうなネタがあり是非ファンの方は探してみてはどうでしょうか?。 もちろん、冒険するのは森でなく馬鹿ものたちの常夏の聖地「マイアミ」、この街のルールはちょっと難しく結構ハードです、万が一読むのであれば充分におきおつけを。 なにせ一筋縄ではいかない連中の聖地でもあるのですから。 *1・・・ジム・トンプスン(ペキンパーの「ゲッタウェイ」の原案とキューブリックの「現金に体を張れ」「突撃」の脚本などほか多数、代表作「俺の中の殺し屋」は2010年にK・アフレック主演M・ウィンターボトム監督で映画化) *2・・・デイヴィッド・グーディス(トリュフォーの「ピアニストを撃て」とルネ・クレマンの「狼は天使の匂い」の原作) | ||||
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