贋作展覧会
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ポアロ―&ナルスジャックのコンビ作家は聞いたことがあった、でも作品は拝読しておりませぬ、程度の通りすがりです。 ネットオークションで人を食ったこのタイトルを見て何の気なしに読んでみたらこれが凄い。 文体模倣というか、作風模倣というか、誰もが(すくなくとも名前ぐらいは)知るミステリの名作を模して書いた贋作が雁首をそろえ、それがまた「あたかも原作者ならこう書きそうな」と、コミックマーケット以後の世界なら二次創作と呼ばれそうな、しかし最上級の二次創作が揃っていた。 読んだことはある作家(ヴァン・ダイン、エラリー・クイーン)なら「なるほど別人が作風を真似するとちょっとやりすぎでその原作風味らしさが過剰になるのかもね」 読んだことのない作家(レックス・スタウト、ジョルジュ・シムノン)だと「ああ、こういう作風なのか。愛読者ならちょっとやりすぎ感はあるんだろうけれど、読んだことがない筆者だと、なるほどこういう特色があれば、それは有名にもなれるだろうなあ」と納得のできばえ。 それにしても驚くのは、筆者がこれを手にしたのは2023(令和5)年。原著は複数冊の「展覧会シリーズ」短編集をセレクトして訳したモノで、1946-1947年、第二次世界大戦の直後に上梓というこのおフランスの余裕ぶりよ。このころ出版された日本の著名作品と言えば例えば太宰治「斜陽」なので完全に文学史という感じなのだが、約80年後に読んでもどれもおもろしく読めたのはなんという力量だろう。 もう一つは、80年が経過しても、ここに登場する探偵や怪盗たちは、まず(読んだことはなくても)ミステリをちらりとでも興味を持った人間なら、今なおほぼ全てが「ああ、あれ」と見当がつく人物たちということだった。 怪盗アルセーヌ・ルパンは別格としても、メグレ警視、ネロ・ウルフと「この時代からこうしたパロディが作られるほど人口に膾炙していたのか」とミステリの不滅の生命力にびっくり。 この年に生まれた人間はもう70-80才になろうとしているのに、エラリー・クイーンは1929年にデビューして、出現から1世紀、それからわずか十数年後に模倣作が出てさらに80年。 生身の人間よりも長く世代を超えて生き続けている。 細野不二彦の美術マンガ「ギャラリーフェイク」では贋作と真作の区別が繰り返しテーマになるが、この「贋作展覧会」は、真作と二次創作を越えて、創作の不滅の力を思い知らされた気分だった。 なにしろ訳出は1969(昭和44)、もう半世紀経過しているのにすらすらと読めるこの迫力よ。 こういう戯れの作品、読み捨てられ、忘れられているのかもしれないが、それはそれで捨てがたい味があり、おすすめです。 | ||||
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