最後の物たちの国で
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
最後の物たちの国での評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 A ランク
最後の物たちの国での総合評価:
8.41/10点 レビュー 29件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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暫くすると、等身大の恐怖に背筋が凍りそうな展開になるが、中盤から後半にかけ、追い詰められた人間が狂気に駆り立てられる生々しい描写は、実に見応えがある。最後の2チャプターでは圧巻のオースター劇場と化し、たっぷりと時間を掛けて読みほぐした。これは、ホラーでもサスペンスでもサバイバルでもSFでもない。"今そこにある恐怖"そのものにすっかりと魅入ってしまう。
絶望に貼り付けになった大衆の思考が狂気へと変貌し、その狂気が全てを支配するが故に、ある者は極限の無垢な境地に行き着いてしまう。自暴自棄になる感情をも捨て去り、無になる事で、自己の内面世界がより大きくなり、より堅固になり、狂気に陥るはずの自分を1つの物語として、客観的に眺めていられるのだ。"自分がもはや自分ではなくなる"事で絶望の淵から自らを開放する。
また、ある者は、自分以外の何者かに成り済まし、多種多様な人物を演じる事で狂気をコントロールする。極限の状態で生き延びる為に、他人を出し抜くのではなく、幻想と妄想で創り上げた雑多な自分を欺く術を身につける。つまり、多種多様に思考を広げる事で絶望を回避するのだ。
また、ある者は目を閉じ、闇に浸る事で洞察力を養い、強い意志と信念の元に思考を先に押し進め、絶望の波をかき分けていく。またある者は、絶望を達観する勇気を持つ為、自らの狂気をノートに記しながら、自らに与えられた過酷な運命を真正面から見据えようとする。
『最後の物たちの国』では、この"ある者"であるサム、ポリス、ヴィクトリア、アンナの4人が中核をなすが、彼らが生き残るか死ぬかは問題ではなく、この追い詰められ荒廃した無の世界で、彼ら彼女らに纏わる様々な物語が様々に入れ替わり、一つ一つがごく些細な状況に応じて、鈍重なある種の優美さを持って変貌していく様は、実に読みごたえがある。まさに、オースター・マジックの決定版である。