鏡の国の戦争

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種別
長編
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あらすじ

1980年05月31日 鏡の国の戦争 (ハヤカワ文庫 NV 226)

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評判

鏡の国の戦争の評価:

7.00/10点 レビュー 1件。 C ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点7.00pt

鏡の国の戦争の総合評価:

8.78/10点 レビュー 9件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.8
(4pt)

敵は内にも居る。

ジョン・ル・カレの4作目『鏡の国の戦争』(1965年=原題:The Looking-Glass War)を読むことにした。
この作品は、『寒い国から帰って来たスパイ』がベストセラーになり大金を手にし官吏を退職して作家として独立した最初の作品である。
英国の諜報組織は複雑であり、60年代には外務省に所属する「サーカス」と、陸軍省内の部局MI(陸軍情報局)とに分かれていた。
ジョージ・スマイリーが所属するのは「サーカス」であり、本作では陸軍省内の部局の話である。
この部局は戦後縮小され活躍する範囲も限られていた。
部局を率いるルクラークが過去の栄光よ今一度と躍起になってネタ探しをしていたところに東ドイツから重大な情報をもって亡命した男がいた。
それは東ドイツ独自でミサイル基地を設営するというものであった。(評者にはガセネタと思えたが)
この亡命者の情報自体がそもそもの発端であるが、ルクラークは、組織の再構築にこれを利用することで大臣に働きかけ、それなりの予算を獲得して東ドイツへ潜行員を送り込む計画を実行する。
しかし部局員のほとんどがロートルばかりで、東ドイツへ送り込む潜行員もポーランド系のロートルである。
「サーカス」から借りた無線機など25年も昔のものである。(サーカスは、わざと旧式を貸し出した)
この作戦を失敗させ、ルクラークの組織の凋落を謀る「サーカス」管理官の計画なのを、ジョージ・スマイリーだけは知っていた。
スマイリーの性格から管理官にむかって皮肉を言うが無視されてしまう。
が、管理官の命令でスマイリーが東ドイツに行き、彼らに引導を渡すところでこの物語は終えている。
可哀そうなのは潜行員のライザーと若い部員のエイヴリーだろう。
敵は外ばかりではなく内にも居るという、ル・カレならではの皮肉な小説です。
鏡の国の戦争 (1980年) (ハヤカワ文庫―NV) Amazon書評・レビュー: 鏡の国の戦争 (1980年) (ハヤカワ文庫―NV)より
B000J87BNC
No.7
(4pt)

敵は内にも居る。

ジョン・ル・カレの4作目『鏡の国の戦争』(1965年=原題:The Looking-Glass War)を読むことにした。
この作品は、『寒い国から帰って来たスパイ』がベストセラーになり大金を手にし官吏を退職して作家として独立した最初の作品である。
英国の諜報組織は複雑であり、60年代には外務省に所属する「サーカス」と、陸軍省内の部局MI(陸軍情報局)とに分かれていた。
ジョージ・スマイリーが所属するのは「サーカス」であり、本作では陸軍省内の部局の話である。
この部局は戦後縮小され活躍する範囲も限られていた。
部局を率いるルクラークが過去の栄光よ今一度と躍起になってネタ探しをしていたところに東ドイツから重大な情報をもって亡命した男がいた。
それは東ドイツ独自でミサイル基地を設営するというものであった。(評者にはガセネタと思えたが)
この亡命者の情報自体がそもそもの発端であるが、ルクラークは、組織の再構築にこれを利用することで大臣に働きかけ、それなりの予算を獲得して東ドイツへ潜行員を送り込む計画を実行する。
しかし部局員のほとんどがロートルばかりで、東ドイツへ送り込む潜行員もポーランド系のロートルである。
「サーカス」から借りた無線機など25年も昔のものである。(サーカスは、わざと旧式を貸し出した)
この作戦を失敗させ、ルクラークの組織の凋落を謀る「サーカス」管理官の計画なのを、ジョージ・スマイリーだけは知っていた。
スマイリーの性格から管理官にむかって皮肉を言うが無視されてしまう。
が、管理官の命令でスマイリーが東ドイツに行き、彼らに引導を渡すところでこの物語は終えている。
可哀そうなのは潜行員のライザーと若い部員のエイヴリーだろう。
敵は外ばかりではなく内にも居るという、ル・カレならではの皮肉な小説です。
鏡の国の戦争 (ハヤカワ文庫 NV 226) Amazon書評・レビュー: 鏡の国の戦争 (ハヤカワ文庫 NV 226)より
4150402264
No.6
(4pt)

敵は内にも居る。

ジョン・ル・カレの4作目『鏡の国の戦争』(1965年=原題:The Looking-Glass War)を読むことにした。
この作品は、『寒い国から帰って来たスパイ』がベストセラーになり大金を手にし官吏を退職して作家として独立した最初の作品である。
英国の諜報組織は複雑であり、60年代には外務省に所属する「サーカス」と、陸軍省内の部局MI(陸軍情報局)とに分かれていた。
ジョージ・スマイリーが所属するのは「サーカス」であり、本作では陸軍省内の部局の話である。
この部局は戦後縮小され活躍する範囲も限られていた。
部局を率いるルクラークが過去の栄光よ今一度と躍起になってネタ探しをしていたところに東ドイツから重大な情報をもって亡命した男がいた。
それは東ドイツ独自でミサイル基地を設営するというものであった。(評者にはガセネタと思えたが)
この亡命者の情報自体がそもそもの発端であるが、ルクラークは、組織の再構築にこれを利用することで大臣に働きかけ、それなりの予算を獲得して東ドイツへ潜行員を送り込む計画を実行する。
しかし部局員のほとんどがロートルばかりで、東ドイツへ送り込む潜行員もポーランド系のロートルである。
「サーカス」から借りた無線機など25年も昔のものである。(サーカスは、わざと旧式を貸し出した)
この作戦を失敗させ、ルクラークの組織の凋落を謀る「サーカス」管理官の計画なのを、ジョージ・スマイリーだけは知っていた。
スマイリーの性格から管理官にむかって皮肉を言うが無視されてしまう。
が、管理官の命令でスマイリーが東ドイツに行き、彼らに引導を渡すところでこの物語は終えている。
可哀そうなのは潜行員のライザーと若い部員のエイヴリーだろう。
敵は外ばかりではなく内にも居るという、ル・カレならではの皮肉な小説です。
鏡の国の戦争 (1965年) (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: 鏡の国の戦争 (1965年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
B000JAC8QA
No.5
(4pt)

寒い国から帰れなかったスパイ

本書の原著を繙くと、1991年7月付けの序文で著者は、本書は前作の『寒い国から帰ってきたスパイ』(以下『寒い国』)から趣向を変えてよりリアルなスパイ小説を書こうとした、当時の自分のベストを尽くした作品だった、と回想している。その序文を読んだからいうわけではないが、世界的ベストセラー『寒い国』より本書のほうが私には面白かったし、本書の登場人物たちにより共鳴できた。何より、本書には「嫌な奴」が一人も登場しない(イギリス諜報部チーフのコントロールは除く)のだ。
 私はなぜそう感じたのだろうか。最大の理由は主人公たちの描き方の違いである。『寒い国』の主人公アレック・リーマスは、リズ・ゴールドと支え合って生きている。50歳のリーマスが、22、3歳のゴールドと年齢差を乗り越えて結ばれるとか、リーマスが病気になったときゴールドが献身的に看病する場面など、2人の恋愛は理想的すぎて“あまりに人間的”(ニーチェ)なのだ。そのため『寒い国』はときに、あの有名な東ドイツでの裁判シーンやベルリンの壁のラストシーンですら、お涙頂戴のメロドラマに転じてしまう。
 本書のスパイたちは孤高の人だ。潜行員テイラーは雪に覆われたフィンランドで、潜行員ライザーは東ドイツの寒村で、人知れず消えていく。ライザーは、死んだような町で死んだように生きているアンナにプロポーズまでしながら、捕まりそうになると彼女を人質にした。『寒い国』では、リーマスとゴールドは添い遂げた。寂寥感と隣り合わせの臨場感、緊迫感。読み終わった後の(いい意味での)後味の悪さ。本書にはスパイ小説を読む醍醐味がある。
 最後に一言。本書には裏テーマが見え隠れしている。1950年代以降の現代社会(本書の時代設定は1962年のキューバ危機直後)では、諜報組織にもホワイトカラー化が進行中だ。ホワイトカラーの時代にはあらゆる組織が官僚制化されていく。本書の登場人物たちは、自分の勤め先や関連する他部署を「役所」と呼ぶ。本書のラスト、現場で働くスパイたちのもとへ「役所」から派遣されたジョージ・スマイリーがやってきた。彼は古参スパイたちの仕事ぶりにダメだしをして、イギリス政府の意向を忖度し、後始末をして帰っていった。ホワイトカラー化の進行とはまた、事務仕事のルーティン化であり、膨大な書類の整理である。一件落着の後、古参スパイの責任者ルクラークは唐突に、書庫にファイルを保存する方式は時代遅れだと、最新OA機器の導入を宣言した。
鏡の国の戦争 (1980年) (ハヤカワ文庫―NV) Amazon書評・レビュー: 鏡の国の戦争 (1980年) (ハヤカワ文庫―NV)より
B000J87BNC
No.4
(4pt)

寒い国から帰れなかったスパイ

本書の原著を繙くと、1991年7月付けの序文で著者は、本書は前作の『寒い国から帰ってきたスパイ』(以下『寒い国』)から趣向を変えてよりリアルなスパイ小説を書こうとした、当時の自分のベストを尽くした作品だった、と回想している。その序文を読んだからいうわけではないが、世界的ベストセラー『寒い国』より本書のほうが私には面白かったし、本書の登場人物たちにより共鳴できた。何より、本書には「嫌な奴」が一人も登場しない(イギリス諜報部チーフのコントロールは除く)のだ。
 私はなぜそう感じたのだろうか。最大の理由は主人公たちの描き方の違いである。『寒い国』の主人公アレック・リーマスは、リズ・ゴールドと支え合って生きている。50歳のリーマスが、22、3歳のゴールドと年齢差を乗り越えて結ばれるとか、リーマスが病気になったときゴールドが献身的に看病する場面など、2人の恋愛は理想的すぎて“あまりに人間的”(ニーチェ)なのだ。そのため『寒い国』はときに、あの有名な東ドイツでの裁判シーンやベルリンの壁のラストシーンですら、お涙頂戴のメロドラマに転じてしまう。
 本書のスパイたちは孤高の人だ。潜行員テイラーは雪に覆われたフィンランドで、潜行員ライザーは東ドイツの寒村で、人知れず消えていく。ライザーは、死んだような町で死んだように生きているアンナにプロポーズまでしながら、捕まりそうになると彼女を人質にした。『寒い国』では、リーマスとゴールドは添い遂げた。寂寥感と隣り合わせの臨場感、緊迫感。読み終わった後の(いい意味での)後味の悪さ。本書にはスパイ小説を読む醍醐味がある。
 最後に一言。本書には裏テーマが見え隠れしている。1950年代以降の現代社会(本書の時代設定は1962年のキューバ危機直後)では、諜報組織にもホワイトカラー化が進行中だ。ホワイトカラーの時代にはあらゆる組織が官僚制化されていく。本書の登場人物たちは、自分の勤め先や関連する他部署を「役所」と呼ぶ。本書のラスト、現場で働くスパイたちのもとへ「役所」から派遣されたジョージ・スマイリーがやってきた。彼は古参スパイたちの仕事ぶりにダメだしをして、イギリス政府の意向を忖度し、後始末をして帰っていった。ホワイトカラー化の進行とはまた、事務仕事のルーティン化であり、膨大な書類の整理である。一件落着の後、古参スパイの責任者ルクラークは唐突に、書庫にファイルを保存する方式は時代遅れだと、最新OA機器の導入を宣言した。
鏡の国の戦争 (ハヤカワ文庫 NV 226) Amazon書評・レビュー: 鏡の国の戦争 (ハヤカワ文庫 NV 226)より
4150402264

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