鷲の驕り



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初公開日(参考)1996年10月
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長編小説

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鷲の驕り (ノン・ポシェット)

1999年06月30日 鷲の驕り (ノン・ポシェット)

「発明家クレイソンを調査してほしい」在米のコンピュータ・セキュリティの専門家笹生勁史に、通産省から極秘依頼があった。クレイソンは日本企業に訴訟を起こし、巨万の富を得ているという。問題は、米国の「特許法」の特異性にあった。先端技術の特許を牛耳る米国に、日本、そして正体不明の産業スパイ、マフィア、ハッカーが暗躍、手に汗握る国際サスペンス巨編。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

鷲の驕りの総合評価:8.73/10点レビュー 11件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

先見性に優れたからこその見誤ることの哀しさ

1997年の香港返還に向けて日本、中国、アメリカの策謀ゲームについて新人離れした筆致で颯爽とデビューした服部真澄氏が次作の題材として選んだのは複雑怪奇な特許の世界だ。

特に秘密主義であるアメリカの特許の世界に微に入り細を穿った綿密な内容で特許に群がる人々の策略を描いていく。

読中、この物語はどこまでがノンフィクションで、どこからがフィクションなのだろうかと、戦慄を覚えた。

正直『龍の契り』は力作とは感じながらも1997年の香港返還に纏わる密約とそれに関する陰謀というスケールの大きなテーマが話題となって先行したせいか、緻密な取材に裏付けられた膨大な情報には感心させられたものの、それらを上手く消化できずにどこか実の無さを感じたが、2作目の本書では当時の特許に纏わる各国の暗躍ぶりと各組織の情報が、前作以上の量でありながらもごく整然と整理され物語に溶け込み、実に理解しやすくなっている。その筆致はどこか海外の謀略小説家のそれを髣髴させ、落ち着きや余裕さえ感じされられる。
2作目でこれほどまでに成熟するとはこの作者の技巧に素直に驚かされた。

特徴的なのは実在する企業や商品の固有名詞を多用しており、それがこの作品で描かれるフィクションとの境目を曖昧にし、どこまでが実話でどこからが作り話なのかが解らなくなっていくところだ。つまり実にリアルなのである。
そのリアルさゆえにアメリカの最先端技術の独占しようとする秘密主義的な特許システムの特異さが異常に際立って読者の頭に刻み込まれていく。この技法が私をして先述の想いを抱かせたのである。

物語はある「石」に関するアメリカの秘密特許を軸に実に多彩な組織や人物が関わる形で繰り広げられる。

まず主人公であるコンピュータ・セキュリティのエキスパート、笹生勁史は図らずも通商産業省の機械情報産業局局員、鍛代温子の依頼でアメリカの特許王エリス・クレイソンが所有する日本の企業を食い物にしている『サブマリン特許』を無効にすべくその素性を洗うことで関わっていく。

その特許王エリス・クレイソンは渦中の特許を所有する謎めいた人物である。

かつて笹生によって逮捕された伝説のハッカー、ケビン・マクガイアは出所後、マフィア上がりの実業家ロッコ・オラルフォに飼われる形で彼が不法にアメリカの特許商標庁から手に入れた件の特許をシュレッダーから再生することで核心に迫っていく。

ケビンを利用してアメリカの秘密特許を手に入れ、ひと儲けを企むロッコ・オラルフォはやがてその中にあった人工ダイヤモンドに関する特許を、アメリカを代表する巨大複合企業体ユナイテッド・エレクトリック(UE)の会長兼CEOのジョン・エイカーズに売ると共に以降も秘密特許を手に入れるビジネス・パートナーとなる。

ジョン・エイカーズは世界のダイヤモンド市場を牛耳るダイヤモンド・コンソリデーテッド(DC)の総帥トマス・リッポルト卿と組み、数兆ドル規模の利益を得ようと画策する。

そして世界に公表されない数々の秘密特許を所有するアメリカでもエリス・クレイトンを巡ってCIAと国防省がしのぎを削り合う。

とこのように非常に複雑な構図と関係性でそれぞれが有機的に結び合い、謎の特許王エリス・クレイトンと巨万の富をもたらす一大ビジネスの種となるある「石」に関する特許を巡ってパワーゲームが繰り広げられる。

しかし哀しいかな、本書のような国際謀略小説、特に最先端技術を扱った謀略小説では作者の先見性が問われる物となるが、その予測を見誤ると今回のように刊行から十数年経って読むようになると、現在との乖離に苦笑いをしてしまうしかなくなってくる(なんせウィンドウズ95の頃の時代だ!)。

しかしそれは単なる瑕疵に過ぎないだけの読み応えと一級のプロットがこの作品には内包されている。まさに世界に比肩する国際謀略小説がここに誕生したのだ。
デビュー2作目でこのクオリティと、色々な組織や産業スパイなどの手駒を交えながらもきちんと整理された情報の数々の手際の良さに読みにくいと感じる読者は皆無に等しいだろう。
私は読み終わった時にまた一つ新たな知見を拡げてくれる作品こそが読書の醍醐味であると思っているが、本書はまさにその願望を叶えてくれる一冊であった。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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No.10:
(5pt)

ぜひAmazon primeでも見たい

天の方舟からたどり着きました。著作権と国家間の問題、特にアメリカは例えば一枚の写真があったとき「そこに写っている人のプライバシーや人権より、写真を撮った人の利益である著作権」つまりお金を優先すると聞きます。。一方で日本は技術国家のはずが、新しいものを作り出す技術者が食べていけず、盗んでコピーする人が羽振りの良い生活をしている状態。。ぜひこの動画も見たいのです。amazon primeにはまだないのでしょうか?
鷲の驕り (ノン・ポシェット)Amazon書評・レビュー:鷲の驕り (ノン・ポシェット)より
4396326920
No.9:
(4pt)

読み応えある作品だが

400頁を超える大作だが、特許制度、ハッカー、半導体を巡る日米戦争など、当時の最先端のトピックをうまく盛り込み、読み応えのある作品になっている。

ただ、若干の難を言えば、日米の宿敵ともいえる天才ハッカー二人のサイバー空間での戦いが見られると期待させるような序盤の入り方であったにも拘わらず、思ったほどの活躍もなくややクライマックス感に欠けた点が残念だった。

それにしても、この作品が描かれた20年後に日本の半導体産業がこのような壊滅に陥っているとは誰が予想したろうか。虎の子の技術を韓国や中国に渡した(一部は盗まれた?)ことが原因と思うが、残念な思いがした
鷲の驕り (ノン・ポシェット)Amazon書評・レビュー:鷲の驕り (ノン・ポシェット)より
4396326920
No.8:
(5pt)

特許をめぐっての物語としては、秀逸。

アメリカの特許の世界戦略という問題を考えると、とてもおもしろい展開でした。
天才的なハッカーというのは、物語をかなりおもしろく展開させることができる。
その手口に関してあまり詳しくいわなくても展開可能である。
ケビンマクガイアー どこかネジがはずれている。やはり、デジタル上で、おもしろがっている。
エリスクレイソン。個人的な発明家として登場。その個人の経歴は、消えている。
コンベアーによる組み立てシステム。
半導体の基本的特許。ITインスツルメントがなぜ好調なのか?
IT産業が吹き返したのはなぜか?
あくまでも国家軍事技術が関連している。特許は、独占禁止法と対立する。
アメリカの特許を重視する姿勢は、レーガン政権によってすすめられた。
国防省、CIA アメリカ内部の権力闘争。旧ソビエトからの技術流出。
ポイントは、ダイヤモンドにしている。ダイヤモンドシンジケートの仕組み。
アフリカ、コンゴ(ザイール)、ロシア、オーストラリア。
ダイヤモンドの合成技術;単なる炭素の塊。
液晶技術 シリコンからどう発展していくのか?
素材を考える。ボロンが加わったブルーダイヤモンド。
日本企業のおける位置。
アメリカの企業の利益を上げるシステム。
発明家と弁護士の関係と特許訴訟。
特許をめぐってのアメリカのグローバルスタンダードの背景にある者は?
鷲の驕り (ノン・ポシェット)Amazon書評・レビュー:鷲の驕り (ノン・ポシェット)より
4396326920
No.7:
(4pt)

内容は良いが作品展開に難

アメリカの秘密特許通称サブマリン特許を巡る国際的サスペンス小説である。
先進国における特許の先発主義と先願主義の違い。
それとは別にアメリカの秘密特許制度を巧みに使ったサスペンス。
内容は大変面白かったが作品の展開にはイライラする手法だった。
すなわち作品の半分くらいは世界各国の関係者の動きが描かれている。
だんだんと人工ダイヤに関する特許を巡る内容であることが分かりかけるが全体が一本にまとまらない。
各セクションの話はすぐに終わってめまぐるしく動く。
わざとこのようような手法とは思うが全体がつかみにくい作品ではあった。
一般文学通算1036作品目の感想。2015/05/31 16:25
鷲の驕り (ノン・ポシェット)Amazon書評・レビュー:鷲の驕り (ノン・ポシェット)より
4396326920
No.6:
(4pt)

アメリカ的新自由主義

アメリカの特許制度のある意味での不合理性とそれを利用する抜け目のない人たちそして、それを利用する国家戦略。それに対抗する日本の通産省の表に出ない活動を軸にダイヤモンドシンジケート、ハッカー、大企業、アメリカ政府要人、CIA、スパイ、弁護士等が活躍する。
アメリカ人のサクセスストーリーや階層文化が服装や仕草、表情に亘って細かに描き込まれている。棲んでいる場所も、一代では無理なことも。新階級の誕生といってもいい。
読むに従って通奏低音は、新自由主義的価値観であるということが解ってくる。
そして、それに対するアンチテーゼが前作では「東洋」であった。今回は、「国際主義」ということになろうか。
しかし、それは表裏のものであるためこの小説を深みのあるものとはしていない。期待し過ぎであろうか。
サスペンス小説としては一級である。
今回は、主な登場人物のプロフィールが最初にあるので読み易くなっている。
鷲の驕り (ノン・ポシェット)Amazon書評・レビュー:鷲の驕り (ノン・ポシェット)より
4396326920



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