龍の契り



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初公開日(参考)1995年06月
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長編小説

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龍の契り (新潮文庫)

2000年12月31日 龍の契り (新潮文庫)

東洋の富の一大拠点・香港。その返還を前に、永い眠りから覚醒するかのように突如浮上した、返還に関する謎の密約。いつ、誰が締結し、誰を利するものなのか―。全焼したロンドンのスタジオから忽然と消えた機密文書をめぐる英・中・米・日の熾烈な争奪戦が、世紀末の北京でついにクライマックスを迎えるとき、いにしえの密約文書は果たして誰の手に落ち、何を開示するのか。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

龍の契りの総合評価:7.36/10点レビュー 14件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)
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香港返還も幾久しく

新人とは思えぬ完成度と筆致で鮮烈にデビューした服部真澄氏の話題作。発表当時、世界に通用する国際謀略小説の書き手が現れたと、世の書評家が絶賛したが、読了した今、確かにその言葉に全面的に賛同できる。

まず文体が明らかに他の新人作家、いや日本人作家と違う。日本の小説でありながら外国人が多数登場する事で、海外作品の翻訳本のような錯覚を覚えるきらいはあるかもしれないが、それだけではなく、私が読んでいるフリーマントルの諸作に通じるテイストがある。
特徴的なのは実在する社名、雑誌や企業を何の抵抗も無く使用していることだ。日本人作家は自身の作品が与える影響を考慮してか、実在する会社と似たような社名をあてがって登場させる。例えば「毎朝新聞」などといった類いである。しかし服部氏は逆に実名を使用することで物語にリアリティを与える事に成功している。扱っている題材が1982年の中国とイギリスとの間に交わされた調印に起因する1997年の香港返還という歴史的事実と今回作者がそれに絡めたある設定に真実味を持たせるためだろう。

また場面切替の速さが他の作家と一線を画している。後でも書くが、非常に多くの利害関係者がこの作品には登場している。それらを同時進行的に動かすために服部氏はそれぞれの進行を映画でよく使われるカメラの切り替えのように、小刻みに切り換えていく。印象的な場面で一旦引き、次のシーンでは別の組織でのこれまでの進捗と次の動きが語られる。これが物語に牽引力を生み、また加速感を生み出している。
日本人作家ならば1章に1つのグループの成行きを書き、他のグループに書く場合は章を切り換える傾向が強いし、このような手法はクライマックスで取られることが多いが、服部氏は頻繁にこの切替を扱う。

従って扱う物語の構造も複雑だ。香港を軸にアジアに関与するあらゆる人物、組織が1997年の中国への変換に向けて脈動する。
本書の主人公である外交官沢木喬を皮切りにハリウッドオスカー女優アディール・カシマ、『ワシントン・ポスト』の敏腕雑誌編集員メイミ・タンに彼女の秘蔵っ子であるフリージャーナリストのダナ・サマートン。上海香港銀行の総帥包輝南(パオ・フェイナム)、同頭取エドワード・フレイザー、表向きは通信会社である中国側の諜報機関新華社、日本の某一流電気メーカーをモデルにしたハイパーソニック社長西条亮に10年前の火災事故から奇跡的に生還したコードネーム<チャーリー>と呼ばれるCIA諜報員。
これら様々な職種の関係者が香港に集結し、野心のゲームに戯れる。

これら策謀のゲームの裏を大きく包み込むのはゴルトシルト家という古来から世界経済を支配するイギリスの大財閥である。恐らくロックフェラーなり実在の財閥がモデルになっているかと思われるが、このゴルトシルト家が画策するのは香港返還を解消して、唯一まだその支配下にないアジアの経済への侵略を行うために香港を拠点とすることだった。香港がイギリス政府へ譲渡される事になったアヘン戦争もこの財閥による物であり、それはアジア経済支配の第一歩であったというのだ。
それを阻止すべく中国とゴルトシルト家の間で毛沢東の密約と称される香港返還解消の旨を記した文書の争奪戦が繰り広げられる。そしてゴルトシルト家のアジア経済侵略は日本経済への脅威でもあることから外務省もそれに関与するという大きく分けて三つ巴の争奪戦が物語の骨子となる。

また本書で書かれている事象が作者の空想の産物なのかそれとも史実なのか判断に迷うところだ。というのも今の日本が服部氏が本書を発表した1995年に想定した最悪のシナリオのとおりに進んでいるからだ。
日本の借金は1,071兆円にまで膨れ上がり、国民1人辺りの負担額はなんと約850万円にも上る。そして本来アジアの絆を強くすべく韓国と中国とは手を結ばなければならないのに未だに反日感情が強く、そして反日教育が成されている。ありもしなかった歴史を捏造され、中国はますます日本に対して嫌悪感を示している。
それは経済大国日本をじわりじわりと蝕むように得体の知れない大きな力が実際に働いているかのように思える。そして嘆かわしいのは今この窮状を打破するような強力な指導者足りうる政治家が日本にいないことだ。従って本書で書かれた脅威が全く絵空事ではなく、日本の暗い将来を暗示しているようにしか取れないのが恐ろしい。

そんな観点からも本書は情報小説としても非常に密度の濃い物であり、さらに中国、イギリス、日本の三つ巴にそれぞれ個人的な利害が絡んで様々な人間が密約文書を奪い合う緻密な構成(正直なことを云えば登場人物表が欲しかった)、結末に向けて徐々に高まる緊張感など、とても新人とは思えない筆運びである事は認めるにやぶさかではない。
しかし哀しいかな、私はフリーマントルの読者であり、同じ国際謀略小説を発表している同作者と比べるとやはりフリーマントルに一日、いや数年の長があることを認めなければならない。なぜならフリーマントルにはそれらに加えて、ミステリマインド豊かなサプライズがあるからだ。この有無の差はやはり大きい。

片や作家生活数十年のベテランと比べるとはなんとも手厳しい評価ではないかと思うなかれ。これは私が服部氏にそれほど期待をかけていることの表れだと思って欲しい。それほどのクオリティがある作品であると宣言しよう。

Tetchy
WHOKS60S
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

龍の契りの感想

以前読んだものをもう一度読み返してみたが、以前とはかなり違う印象を受けました。
エンターテイメントとしては非常に上手く、かなりの長さにもかかわらず最後まで楽しませてもらいましたが、今の世界や、外交官の描写などがあまりにも現実とかけ離れていて偶然の出来事も出きすぎ感があり、映画用の脚本ならば納得できるかといったところです。

1997年の香港返還にまつわる密約の物語ですが、今の日本と中国の関係をみているとおとぎ話のようにさえ感じます。

たこやき
VQDQXTP1
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No.12:
(5pt)

爽快

裏の裏をかきながら、壮大な歴史を振り返る本でした。読み終わったあとに爽快さがのこりました。
龍の契り (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:龍の契り (新潮文庫)より
4101341311
No.11:
(5pt)

読後感

今話題の香港のこれまでの経緯をもとに、アングロサクソンの名主と中華思想の擁護者の葛藤を作者の調査結果をもとに描かれている面白い作品だと思いました。
龍の契り (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:龍の契り (新潮文庫)より
4101341311
No.10:
(3pt)

香港返還の密約の中で、うごめく人々。

文章が、硬くて読みつらかった。ストーリー展開はおもしろい。
香港の返還に関して、その歴史的背景を考える。
アヘン戦争から始まる、香港のイギリスの植民地化。
蒋介石、そして毛沢東による中国革命。その間でも、香港の返還は、中国側から要求されなかった。
その歴史を探ることからはじまる。
沢木喬、私立大学から、ジャーナリスト、そして外交官へ。
外務省のすべき仕事が、意外とはっきりとわかるテーマである。
イギリスの諜報部、アメリカのCIA、外務省、その力量、情報網、そして、ジャーナリスト。
劉日月 不思議な男である。ハッカーとしての能力を発揮しながら、シンジケートの若くしてのボス。
そして、ネットワークをうまく活用する。模倣し、時を読み、しなやかに添う。東洋の呼吸。
アディール オスカー賞を取るほどの女優。宗家の孫。
東洋人の血をひくことに対して、目覚めていく。
中国での映画産業を隆盛し、中国人に誇りを持たせたいと願う。
その考え方が、おもしろい。
ダナ・サマトーン フリーのルポライター。そして、美しい女性。
上海香港銀行のマネーロンダリングを暴こうとする。深く、密約にかかわっていく。
ハイパーソニック社長 西条。ライセンスをもち、行動的に動く。危険に対しても、動じない。
「中国は、東洋の頭脳であり、底知れぬ可能性を秘めた国だと、私は思う。
西洋的合理主義とは違う理があり、計があり、策がある。
東洋的な知恵の中から、常識を超えた製品が、いくつも生まれるでしょう。
-東洋にアイデンティティをもつもののひとりとして、私はそれを誇りたい。」
太極拳や、気功。
「風のような流れ、動物の仕草をまねた自然な動作、
地球の持つパワーと自分を一体化しようとする気持ち」
中国とどうかかわるのか?やはり、興味深いですね。その中で、中国をどう見るかです。
龍の契り (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:龍の契り (新潮文庫)より
4101341311
No.9:
(3pt)

何かが足りない

新人作家のデビュー作品としてはすべてにおいて秀でた作品であることは二言を待たない。英国による中国への香港
返還という歴史上の謎を上手く捉えて見事なエンターテインメントに仕上げている。かなりの長編であるにも拘らず、最後まで
筆力は衰えない。しかし、なぜかもうひとつ面白くない。どうしても所詮は007的な仕上がりになっていることは残念で
あり、フリーマントルやルカレにここらへんの題材を元に書かせてやればもっと違う作品が出来ただろうと思うのは欲張りすぎ?
龍の契り (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:龍の契り (新潮文庫)より
4101341311
No.8:
(4pt)

確かに面白いが

ストーリーテラーでアメリカの翻訳ものを読んだ感じである。
女性の内面描写が詳しく特徴的であると思っていたが、まさか服部真澄が女性だったとは。
それにしても、履歴にはアメリカのニオイがしないが。

香港返還を題材にしてアングロサクソン、ユダヤ、中国の歴史が何となく解る。
しかし、最早日本の外務省にはここで描かれているような気概は失われているのではないだろうか。在って欲しいが、残念ながら。

テンポが非常に速く客観描写である。そのため、映画を見ているようだ。しかし、読むには長すぎる。
中国の長老とか、ユダヤ系財閥の長老、英米の諜報機関のボスとかの知恵、凄み、深みが十分描き切れていない。
そのため、面白いが読後余韻に浸れないきらいがある。残念なことである。
龍の契り (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:龍の契り (新潮文庫)より
4101341311



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