エルドラド



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    初公開日(参考)2006年03月
    分類

    長編小説

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    エル・ドラド〈上〉 (新潮文庫)

    2006年03月31日 エル・ドラド〈上〉 (新潮文庫)

    食料の生産と流通を寡占し、世界的大産業に成長した「アグリビジネス」。彼らの次の狙いは新種のGMO(遺伝子組み換え作物)を駆使し、食料のみならず地球のあらゆる生態系を支配することだ―。アグリビジネスの陰謀を暴く原稿の一部を遺して消息を絶った、天才科学ジャーナリスト、レックス・ウォルシュ。翻訳家の蓮尾一生は、彼の足跡を追って南米ボリヴィアへ飛ぶ。 (「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    エルドラドの総合評価:6.33/10点レビュー 3件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    巨大な鷲こそ作者の永遠の敵なのか

    服部真澄は常に時代を先行する。
    数々の時代を先取りしたセンセーショナルな題材を扱ってきた彼女が本書でテーマに挙げたのはもはや世界的に巨大な産業へと発展したアグリビジネスの実態だ。

    物語は3本の柱で構成される。

    1つは蓮尾の親友であった少年アダムが焼死したシングルトン一家放火殺人事件の謎。

    もう1つは時代の寵児と呼ばれる科学ジャーナリスト、レックス・ウォルシュが一大センセーションを巻き起こすであろうと思われる次作を巡っての謎。

    最後の1つは世界のワイン事情を左右すると云われているワイン・ジャーナリスト、シリル・ドランの新作の訳出を巡る物語。

    これら3つの物語は1つの大きな軸に収束していく。
    それは世界の農業事業を牛耳る巨大コングロマリット「ジェネアグリ」の存在だ。そしてそのジェネアグリが率先して開発しているのが遺伝子組み換え作物、GMOと呼ばれるキメラ作物だ。

    害虫に強い品種を開発するために魚のある遺伝子を交配して新種を作り出す、農薬に強い品種を作るために特殊なバクテリアと配合する、旱魃に強い品種を作って農家に提供するが、種が出来ない品種のため、その農家は永久に会社から翌年の収穫の為に種を買い続けなければならなくなる、といったように世界中の作物を牛耳るための手段としてGMOは開発される。

    さらに物語の舞台は南米へと移る。しかもその地はボリヴィアだ。
    サッカー先進国である南米諸国の中でも本戦進出したことがないと思われるほど、マイナーな国を舞台に話題の中心はやがて新種ワインの開発からコカノキ、つまりコカ茶とコカインの原料となる木へと繋がっていく。

    ただこの真相は今までの服部作品を読んでいれば想像するに難くはない。

    服部氏にとってアメリカという巨大な鷲は恐るべき存在なのだろう。
    デビュー作『龍の契り』からアメリカが香港返還に絡むところから始まり、その後の『鷲の驕り』、『ディール・メイカー』とアメリカが世界を牛耳ろうと画策しようと企む構造を一貫して描いてきている。圧倒的な取材力で世界の最先端技術をテーマに作品を綴ってきた服部氏が取材過程で目の当たりにした光景なのか、それは定かではないが、アメリカという国が持つ底知れぬ恐ろしさを知るがゆえに同国が与える世界への脅威は氏にとって決して離れる事の出来ないテーマなのかもしれない。

    翻って服部氏が日本政府に対する筆は容赦がない。作中で2000年に日本政府がいともあっさりとGM稲の輸入と栽培を認めた事実が紹介されるが、アメリカの深謀に比べて日本の浅はかさを知らしめる実に滑稽なエピソードだ。恐らく世間ではまだよく知られていないGMOの脅威―私も本書でその実態を知った―ゆえに政府もその後展開されるであろう恐ろしい陰謀には思い至らなかったのかもしれない。そう考えると本書は服部氏による迂闊な日本政府へのGMOの脅威の啓発の書であると取れる。

    さて先の読めない展開が売りの服部作品だが、本書に関しては案外明瞭過ぎて、逆にかつて有能な科学ジャーナリストであった蓮尾の鈍感さにイライラさせられた。

    この人物造形の浅さこそが服部作品の弱点だと私は考える。
    真相が明らかになるにつれ、さらにその奥に隠された真相が一枚一枚、ヴェールを剥がされるように明らかになり、やがて与えられていた真相はひっくり返り、正義が悪に、悪は道化師に、囮に、と価値観が覆される物語構成は一級のスパイ小説、エスピオナージュを髣髴とさせるのだが、そんな重層的なストーリーを引っ張る強烈なキャラクターが氏の作品にいないのも事実。
    それについては今後の服部作品に期待しよう。

    物語の最後は服部氏が抱く未来の夢か、願望なのか。それとも麻薬ビジネスに頼らざるを得ない南米諸国に対する新たな道を辿れという叱咤激励なのか?

    アジアへの利権、特許、IT産業にアニメ産業、さらにアグリビジネスへと様々な分野で世界市場を乗っ取ろうと知恵を絞るアメリカ。これら服部作品に書かれている事象はそう遠くない未来に起こりうるであろうアメリカによる世界経済侵略なのかもしれない。
    次は我々に服部氏はどのような衝撃を与えてくれるのか。グローバリゼーションという明るい価値観の影に咲く仇花をまたその筆で描いてくれることを楽しみにしていよう。


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    No.2:
    (1pt)

    次作に期待

    女流作家に、男の主人公は無理なのかな?
    前の3部作と比較して駄作です。遺伝子組み換えのストーリーもありきたりで、新鮮味に欠けます。
    次作に期待してます。
    エル・ドラド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:エル・ドラド〈上〉 (新潮文庫)より
    410134132X
    No.1:
    (5pt)

    今 食べている食べ物って・・・

    遺伝子組み換え作物に関する情報は、テレビでも、スーパーでも、今食べているスナック
    菓子でもどこでも見ることができますよね。でも一体どれだけの人が本当に気にしている
    でしょうか。 きっと幼児期の子供を持つ主婦くらいではないでしょうか。

    本作品を読んで頂ければ、そんな食べ物を手に取ることすら恐ろしくなってしまいます。
    金と人間のあくなき欲にまみれたアグリビジネス。その中から生み出される農作物−害虫
    すら寄り付かない作物。

    人間の叡智であるはずの科学はどこへ向かうのでしょうか・・・。
    エル・ドラド〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:エル・ドラド〈上〉 (新潮文庫)より
    410134132X



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