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マリオネットK さんのレビュー一覧
マリオネットKさんのページへレビュー数41件
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学園祭最終日、一人の生徒が校舎の屋上から飛び降り自殺をした。
それから三ヶ月ほどが過ぎたある雪の日、8人の高校生たちはいつものように登校するが、学校に彼ら8人以外は生徒も教師も姿は見えず、さらに彼らは校舎の中から出られなくなってしまう。 明らかに現実の校舎とは異なるその中で、生徒たちは学園祭最終日のクラスメイトの自殺に再び向き合うことになると同時に、時間の経過とともに一人ずつ姿を消していく…… という、少しホラー調のミステリ。 校舎に閉じ込められるというSF的な設定は、媒体は違いますが楳図かずお氏の『漂流教室』ですとか『涼宮ハルヒシリーズ』の閉鎖空間的なものを連想しました。 クローズドサークルにも分類されるのでしょうが、誰かの「精神世界」という舞台のため、常識などは通じない「何でもアリ」の世界観であり、ロジックで犯人を導き出すような本格ミステリとは赴きが異なるでしょう。 デビュー作でありながら1000ページ越えの大作であり、校舎に閉じ込められた8人の高校生のキャラクターの内面描写が非常に丁寧です。 しかし、正直に言って登場人物は4~6人程度に減らすなどして、もう少しコンパクトにまとめるべきだったのではないかと思います。 また閉じ込められた生徒たちは県一番の進学校に例年以上の倍率を潜り抜けて合格した、それだけでも立派なもんな生徒たちであり、さらにそれに加えて、その中でも特待生だったり、容姿にも恵まれていたり、スポーツも出来たり、芸術面でも評価されていたり……などハイスペックな面々にも関わらず、揃いも揃って内面が卑屈だったり自虐的な人間ばかりであまり共感が沸きません。人物描写が薄っぺらとは言いませんが、偏っているなぁと思いました。 あと、ちょっと登場人物の自殺率(未遂含む)が高すぎだと思いました。 この作者の思想や人間観が合う人にとっては面白い作品だったと思いますが、個人的にはあまり合わなかったですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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・数十年前に断頭台に送られ処刑された毒殺魔「マリー・ドーブリー」の写真を見て語り手は驚愕する。彼女は彼の妻と同じ顔を持っていた……
・ある富豪が毒殺された夜。彼の部屋から謎のドレス姿の女の姿が現れ、壁に向かって幽霊のように消えた…… ・事件の真相の追究のため、毒殺された死体の墓を夜中暴くと、完全に密閉された空間であるそこから死体が消えていた…… ホラーな謎がいきなり三連発で最初の100ページは「これは面白くなりそうだ」と期待したのですが、そこから約150ページはグダグダと話が進まない退屈な展開でくじけそうになりました。 再び面白くなったのは探偵役のゴーダン・クロスがようやく登場してからでしたね。 消えた女の姿のトリックも、消えた死体のトリックも正直今読むと物足りなかったです。 細かい部分はともかく両方「まぁこんな感じなんだろうな」と薄々見当がついてしまい、その通りだった感じです。 ただ終盤に入っての怒涛の展開と真相には驚かされました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「お前たちが殺した」
4人の男女が閉じ込めたシェルターに残された不穏な言葉。 彼らは3ヶ月前崖から転落し死体で見つかった女性と関わりを持つ若者たちで、事故死と判断された娘の死に疑いを持った彼女の母親によって薬で眠らされ、核シェルターに監禁されたのだった。 協力してシェルターからの脱出を試みる一方で、否応なしに3ヶ月前の事件に再び向き合わされることになった彼らは、互いに疑心暗鬼の中で「誰が殺したのか?」を再検討していく。 といった内容の少し変則的なクローズドサークル作品です。 コンパクトな分量で綺麗にまとまっているとは思いましたが、評価の高さから期待していたほどの面白さは感じられませんでした。 登場人物が殺された女も含め、好きになれない性格の人間ばかりで読んでいて嫌になります。 個人的に、クズやキチガイばかり出てくる話はむしろ面白くて好きなんですけど、この話の登場人物の場合、みんな悪人とまではいかないけど一番中途半端で嫌な気分にさせるネチっこく性格の悪いキャラで、延々と繰り返される「あんたがやったんだろ」→「自分じゃない」のやり取りだけで少しうんざりしてきました。 しかし結局この作品が私にとって一番好みでなかった点は、シェルターという脱出不可能な状況で起こる連続殺人、という典型的なクローズドサークルものを期待してしまったので、過去の一件の死の謎を再検討するだけで、シェルター内で新たな事件が起こるわけではないという構成に肩透かしを食らってしまったというのが大きいかもしれません。 そういうお約束が読みたければいくらでも他にあるだろ、なんですが、結局私はそういうお約束なミステリが好きなんですよね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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金田一少年の事件簿ノベライズシリーズの第五弾は漫画版も含め初の海外を舞台とした事件。
殺人容疑をかけられた男とともに金田一一が上海の街で逃避行を繰り広げるなど、これまでのシリーズに比べ派手なアクションが多く見られる作品。 その理由はこの話は実写映画の原作として書かれたものであり、最初から実写栄えを意識してシナリオが書かれているからと思われます。 しかし、それならばこのシリーズの場合正直「漫画でやった方がいいのでは?」と思わなくもないです。 ストーリーは大掛かりで派手だけれど、肝心の謎解き部分は「消える凶器」トリックほぼ一本であり、むしろ今までのシリーズよりも小粒な印象が否めないですね。 私は堂本剛主演の映画版も見ましたが、映像化作品は大抵原作の小説の方が面白く感じるのだけれど、この作品は映画の方が面白かったです。 それはやはりノベルスゆえの良さを意識するよりも最初から映像化あり気で作られた話だからでしょうかね。 そう言った意味ではノベルス版の最高傑作『電脳山荘殺人事件』と対極にある作品と言えるかもしれません。 |
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表紙やタイトルの印象や、薄くて字も大きめだったことから、最初てっきり十代向けのジュブナイル小説かな?なんて勘違いしてしまいましたが、とんでもない。
お子様お断りの非常に性的な内容でした。それも普通のエロではなく、百合や薔薇や近親などのややアブノーマルなネタで全編埋まっています…もっとも大半は主人公のイマジネーションの中でのモノですが。(というわけでそういうのが苦手な人は要注意なのですが、不思議とあまり下品な印象はうけません) その主人公がバイセクシャルを公言している百合官能小説などを得意とする作家の、森奈津子さんがモデルのキャラで、そんな彼女がレズビアンの女性にいつの間にか迫られた上に薬で眠らされて、気がつくと南の孤島に放置され、そして殺人事件が…という中々突拍子もないシチュエーションです。 さらに、男女数人が集められてというお決まりのクローズドサークルシチュエーションではなく、その島にいるのは「主人公一人だけ」で、他の人物はいません。 そこまでのあらすじだと、それでどうやって殺人事件やらにハッテンするんだよと思われますが、それは読んでみてのお楽しみということで… 文量的には一時間程度で読める「中編」といった小説です。 |
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毎日投票で疑わしき者を「吊るして」殺し、人狼は毎夜村人を一人ずつ殺害するリアル人狼ゲームを行わされる、デスゲームシリーズの第2弾。
前作との直接のつながりはないですが、話の理解の面や前回のオチに関わってくる内容も含まれることも踏まえ、前作を読んでから読むのを推奨します。 前作の主人公は村人側の視点で、毎夜人狼に殺される恐怖に怯え、メンバーの中の誰が人狼なのか疑心暗鬼に陥る、推理小説で言えば「フーダニット」だったのに対し 今作は人狼側の視点で、いかに自分は人狼と疑われ殺されることなく、村人側を皆殺しに出来るかという、推理小説で言えば「倒叙もの」になるのでしょうか? 前作より人数と「役職」が増え、ルールがやや複雑化しているけれど、相変わらず典型的なデスゲームのノリであまり気負わず読める作風です。 しかし高校生だけいきなり10人以上集められても非常に覚えにくい。 折角挿絵付きの本なのだから、どうでもいい場面の挿絵を入れるより、まず参加者全員の顔と名前を一致させる絵でも入れてくださいよって感じです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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獄門島、八つ墓村、犬神家の金田一シリーズ御三家(勝手に私がそう呼んでいるだけ)に次ぐ評価と知名度を得ている作品ですが、個人的にはやっぱその三作には劣るな、という感想でした。
まず封建的な村で見立て殺人で娘が殺されていくという大筋が獄門島の焼き直しっぽい感じがしました。終盤の山狩りで男衆がいなくなった瞬間に残った娘が狙われるって展開も既視感ありましたし。 実際作中でも何度も「獄門島を思い出す」みたいなことを言われてますし、横溝御代は確信犯的に、獄門島でやりきれなかった部分のある「見立て殺人もの」を改めてやりたかったんでしょうかね。 ただその結果は獄門島を冗長にしたけれどスケール的には逆にこじんまりになってしまった作品という印象です。 肝心の見立てとなっている手毬唄もマザーグースのように実在するものでもなければ、そこまで個性的でもないので、あんまり意味も効果も感じませんでした。 登場人物がかなり多いのですが、八つ墓村や犬神家ほど人物に強烈な個性がないので、メモでも取っておかないと誰が誰だかよくわからなくなります。 あと、これは雰囲気にも一役買っているかと思うので、必ずしも悪いとも言いきれないのですが、村の人々の言葉遣いが古くて、かなり読み辛かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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西暦2113年の未来、100年前からまるで時が止まったかのように外界との交流を閉ざした独特の価値観を持つ国(?)に、導かれるように迷い込んだ主人公がそこで殺人事件に巻き込まれるというストーリー。
なにやら凄まじい壮大な密室トリックか?と期待してしまいたくなるタイトルですが、そこは期待すると肩透かしを食らいます。 本格ミステリというよりは、人物や世界観を楽しむSFファンタジーミステリーかもしれません。 作中の主人公は約百年後の人間なので、彼から見て約百年前の技術や文化をギャップを感じたり、興味を持って接する場面が随所にありますが、 この作品をもし百年後の人間が読んだらどう思うのかな、とふと想像しました。 やや低評価になりましたが、自分が勝手にバリバリ本格を期待して勝手に裏切られたと感じてしまったがゆえで、目線を変えて読み返したら評価は変わるかもしれないですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイトルどおり、長い廊下にたくさんの部屋が並んだ建物で起こる殺人事件を扱った作品です。
トリックは簡単です。 処女作ゆえかあまり出来が良いとは言えない作品ですが、いつもミステリを読んでて騙されてばかりなので、たまにはこういうトリックが判りやすい作品も読むと溜飲が下がるな、と思いました。 |
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「日本のジョン・ディクスン・カー」とも呼ばれ45作もの密室作品を発表してきた大推理作家が密室で殺害されるというストーリー。
そのタイトル、あらすじに恥じず、作中では終始密室談義が行われ、中でも作中に登場する1000以上の密室トリックを網羅したという実在する書物『Locked Room Murders』には興味を惹かれなかった推理小説ファンはいないでしょう。 ……しかし肝心のこの事件の密室トリックは特別面白くも珍しくも無いものなので期待すると肩透かしを食らうかと思います。 総合的に評価して、この作品自体は悪くもないけど良くも無い、ごく普通の推理小説ですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「エジプト」という国名はその文字だけで、人々の様々な想像を引き出し、魅力を感じさせますが、この作品にはエジプトは1ミリも関わりませんので、間違っても『ナイルに死す』みたいな内容を期待してはいけません(笑)
首切りトリックの教科書のような内容で、綿密なロジックといい、発表が80年以上前ということを踏まえれば、完成度や質は非常に高い推理小説だと思うのですが、単純に読んでて「面白くない」と思いました。 とにかく理屈ばかりでなかなか話が進まず、退屈な内容でした(そういうのが好きな人は好きなんでしょうが) その退屈さを紛らわせる要素のつもりなのでしょうか、途中で話に組み込まれる「ヌーディストの島」ですが、正直これに関しては物語上の必要性が全くわかりません ▼以下、ネタバレ感想 |
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まさかそれはないよな?と思った強引なトリックがまんまメイントリックで笑ってしまいました。
でもこのトリック嫌いじゃないです。 あとヒロイン権探偵役の幽霊(?)の女の子も割りと好みです。 しかしそれだけでよしときゃいいのに、無駄な要素てんこ盛りで何がしたいのかわからない作品となっています。 ・宇宙電磁波のよる人類滅亡寸前の終末の世界 ・秩序を守ることを大義名分に構成された過激派民間武装団体 ・天使を名乗るメンバーによって構成される十一人委員会という宗教団体(実際に超常的な能力を使い、こいつが真犯人なら不可能犯罪余裕やん、となる) こんな厨二ラノベのような設定をぶっ込むだけぶっ込んで何一つ消化しない、それどころか満足に説明すらしないまま話は終わります。 いろんな意味でぶっ飛んでる作品で結構私は楽しめました。ある意味オススメです。 |
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