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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数136件
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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【ネタバレかも!?】
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【ネタバレかも!?】
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完璧。
まず「全ての謎が、実はたった一つのある事実に気付きさえすれば、綺麗に解けてしまう」という構成が秀逸です。 探偵役が、その「事実」を明かす前に、ご親切にも全ての謎が羅列されます。 その数なんと37個。 「見落とすなよ」と言わんばかりの作者の自信。 読者を挑発しているようにすら感じたのですが、兎に角、怒涛の勢いで解明されていく様子は爽快です。 その「事実」を隠蔽するため、冒頭からある人物のある性癖の記述で強烈にミスリードさせておいて、更に怪奇描写を絡めて読み手の視点を逸らせたりと、その技巧も素晴らしい。 また、全ての謎が解明されても、1つの結論に帰結する訳ではなく、犯人を特定するには至りません。 トリックが解明されたら必然的に犯人も明らかになるといった「並の」作品とは違うのです。 この作品は、ラストが物凄い事になっているのですが、これにより、読み手に熟考する暇も与えない、しかし納得のいく、どんでん返しの繰り返しを可能にしています。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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加害者は必ず悪なのか、被害者には本当に落ち度はないのか。
ある殺人事件を通して「悪人とは」を問う作品です。 主人公の清水祐一は、石橋佳乃を殺してしまいます。 作者は読み手に対し、佳乃に関して、被害者ではあるものの「嫌な女」という印象を与え、祐一には、加害者ではあるものの、同情の対象となり得る、不器用で寂しい人間という印象を与えています。 更に九州弁?が彼の素朴さを強調します。 しかし、マスコミは、祐一を凶悪犯として報道します。 また被害者、加害者の周囲の人間の視点から、事件の及び祐一という人間の「虚像」を作り上げていきます。 彼は「悪人」というレッテルを貼られます。 このギャップの大きさに、多くの読み手は祐一に肩入れしてしまうはずです。 作者の印象操作が非常に効果的です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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被害者であるお婆ちゃんが誘拐犯に全面協力する。
・身代金100億円。 ・被害者と家族との対面をTV生中継。 ・身代金受け取りを世界生中継。 兎に角、奇想天外でスケールがでかい。 誘拐犯3人組の間抜けっぷりも憎めないのですが、何と言ってもお婆ちゃんのキャラクターが最高。 日本ミステリー史上に燦然と光り輝くキャラクターではないでしょうか。 器が大きく、80歳を超える年齢でありながら、西之園萌絵並みに計算が早い(笑 誘拐という題材を、ここまでユーモアたっぷりに描いているのも凄いが、ただユーモラスなだけではない。 作者は、そのスーパー婆ちゃんを通じて、家族愛であったり、社会問題に対する意見提起を行なっている。 読み手も、お婆ちゃんがそう言うなら間違いない という気にさせられるのではないだろうか。 絶大なるお婆ちゃん効果である。 そして、この作品の一番素晴らしいところは、主要登場人物の誰も悪人にならず、皆が成長するという点である。 これを傑作と呼ばずして何が傑作か!! 絶対にお薦めです。 |
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冒頭いきなり廃人が書いたとも思えるような幻想的な日記から始まった時には、非現実的な世界観に引きずり込まれてしまうのかと心配でした。
そんな日記の記述だけを頼りにした、依頼者の生家発見までの謎解きが、現実的で納得のできる形に回収されのが個人的にツボてあったと共に安堵。 そして、この時点で物語は、まだ序盤も序盤。 スピーディーな展開に胸躍ったが、ここからは一転テンポダウン、大技といえるトリックも登場しない。 ただラストへの伏線となる小ネタが満載だったり、過去の事件との絶妙なリンクが描かれていたりと退屈させない。 非常に練られたプロットに感心。 そして終盤一転二転の展開へと突入します。 「ジェットコースター新感覚ミステリー」ってのは言い得て妙だなと納得しました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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法制度に問題提起する社会派ミステリー。
「死刑制度」という重いテーマを「加害者」「被害者」「執行者」の立場、視点から描いてます。 この作品を読まないと一生知りえなかったような事柄も多く、自分にとってもいい勉強をさせてもらったと思っています。 現在の法制度のいたらぬ点、死刑制度の在り方について考えさせられます。 死刑制度は果たして是か否か。 この作品の一つのテーマにもなっているとは思いますが、作者は一方に肩入れした立場を取る事なく、絶妙なバランスで描いています。 個人的に、更生の余地のない犯罪者を死刑に処する事は、至極当然だとは思っています。 この作品を読んだ後もその考えに変わりはありません。 ですが、そんな単純なものではないのだと思い知らされました。 刑務官が死刑執行をするシーンが、臨場感たっぷりに描かれていました。 これまで刑務官の事など考えた事もなかったし、彼らの苦悩が痛いほど伝わってきて、読んでいていたたまれない気分になりました。 強烈に印象に残りました。 残された人間(家族)の苦悩も、読んでいて辛かった。 人間一人を殺してしまうとはどういう事なのか、心の奥底まで響きました。 ラストは、ハッピーエンドとはいきませんでしたが、みんなが少しずつでも救われた、成長できた、新しい一歩を踏み出せたという感じがして凄く良かった。 お薦めします。 |
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中年詐欺師二人、女スリと何もしないその姉、そしてマジシャンを廃業した姉の彼氏。
前半は、そんな面々の共同生活が描かれます。 各々辛い過去を抱えていますが、暗さはなく、人間性もあり、詐欺を生業とする彼らの活躍に感情移入出来てしまいます。 ただ最後の「作戦」決行の時点で、既に全体の3分の2程度過ぎており、キャラクタ紹介にしては長すぎる、「これではまるで家族ものではないか」とすら思ったのですが、読み終えた時点で色々思い返してみると、何気なく交わされていたちょっとした会話にも、何か登場人物それぞれの人間味や暖かさが感じられます。 非常に効果的な描写になっている事に気づきました。 「カラスの親指」というタイトルからは、ノワールな印象を受けますが、全く違う。 そのタイトルに込められた思いに胸が熱くなります。 最後の最後に「どんでん返し」があります。 読者だけでなく主人公すら騙されてしまうのですが、嫌な思いなど微塵も感じません、清々しい気分です。 これまで読了した作品の中で、後読感は群をを抜いて最高です。 こんなハッピーエンド見た事ありません。 お勧めです。 |
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冒頭から、ある青年が記憶喪失である事に気付く場面という、急激な立ち上がりで始まるこの作品だが、その後の展開がやけにスロー。
ある少女と出会い、その少女との暮らしに没入していく主人公。 その描写が余りにも長々と続くので、さすがに冗長さすら感じたのだが、最期まで読めば、この二人のドラマを描き切る事に納得、感動さえ覚えた。 御手洗潔最初の事件、この作品には最後「サプライズ」「大どんでん返し」があるのだ。 ある意味ご都合主義的とも取れる設定、強引な展開など、その「サプライズ」の前に全て吹き飛ぶのである。 そして友と認めた男のために、騎士よろしくバイクで疾走する御手洗の優しさ、かっこ良さにしびれ、感動するのである。 御手洗潔シリーズを語る上では「絶対に」欠かせない作品である。 「占星術殺人事件」よりもこちらの方が好きだというファンが多いのも頷ける。 私は「占星術殺人事件」「斜め屋敷の犯罪」の次にこの作品を読んだ。 これは幸運な事である。 |
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いわゆる「新本格」と呼ばれる流れの草分け島田荘司氏のデビュー作にして、氏をもってしても「超えられない壁」と評する名作中の名作。
という事で手に取りました。 島田氏の作品で最初に読んだのがこの作品でした。 多くの方が言われていますが、私も、冒頭に配されている手記が何とも読みづらく途中挫折しそうになりました。 「名作」という前知識がなければ、その段階で投げ出していたかも知れません。 「奇跡の1行」で鮮烈なデビューを飾った綾辻氏に対し、その師である島田氏のデビュー作は、猟奇的でありながら緻密に計算された犯行トリックが秀逸な事は勿論のこと、御手洗、石岡のコンビもまさにホームズ、ワトソン、しかも本家に劣らないキャラ設定がされており魅力的、そしてそのワトソンが読者を大混乱させて、作品に奥行きを与えている。 いきなりの完成度の高い作品かと思います。 デビュー作の冒頭に、あんなリーダビリティの低い手記をもってこれるというのも凄いです。 別格。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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館シリーズ5作目は、「直球勝負」という印象。
「館」そのものがトリックに直結しており、「館」の必然性を感じました。 そこがまず好印象。 そのトリックは「壮大」で「芸術的」とも言えるのですが、 シリーズ最多の犠牲者が出ながら、全ての犯行を、その館の特性という同一トリックの元に成立させており、シンプルで非常に読みやすい作品だと思いました。 「あの人を殺害せざるを得なかった理由」とか「最初にあの人を殺さなければならなかった理由」などなど・・・ 読みやすさ故に、読んでいる最中にも色々気付く事が多く、 その度に、散りばめられたピースが、きれいにパズルにはまっていく感じがして凄く心地よかったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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当方プログラマ故、青木淳氏の「オブジェクト指向システム分析設計入門」を引用されている事に、のっけから仰天させられると同時にふつふつと興味が湧いて来ました。
まぁこの時点で「F」の意味も「あのF」だろうなとほぼ確信しましたが・・・ S&Mシリーズ第1弾。 探偵役となる犀川創平と西之園萌絵のコンビ、特徴は両者ともに天才だという事ですね。 「入力」に対して正確かつ高速に「出力」を弾き出すまさに「CPU女」萌絵。 対して犀川は、コンピュータでは計り知得ない事象担当ってとこでしょうか。 コンピュータが何も万能な訳ではないですからね。 で、やっぱりコンピュータより人間の方が優れている・・・って感じになるのでしょうね。 結局萌絵は一生かませ犬な気がする・・・ そしてそんな二人をも凌駕する天才真賀田四季。 この設定にすごく興味を惹かれました。 続くんですね。 そんな余韻たっぷりの終わり方に次回作以降への期待感満開です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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他のレビュアーの方も言われている通り、主人公である二人の視点からは全く描かれていません。
第3者から見た印象で語られているので彼らの実際の心情は正確には誰にもわかりません。 また物語のラスト近くに、この一連の事件を長年にわたり追い続けてきた老刑事の激白があり、 自分なりに解釈したこの事件の真相を語る場面がありますが、これに関しても物証はない訳で推測の域を出ません。 ここに来て全く見当違いな解釈であるはずありませんが、100%正解している保証はありません。 亮二が歪んだ人格の持ち主である事は多数の読者共有の認識かと思いますが、雪穂に関しては人それぞれでしょう。 「善?」「悪?」あるいは「巨悪?」 従ってラストのあのシーンにしても、みなさん異なった解釈、考えを持たれているのではないかと思います。 かなりの長編の物語ですが、複数回読むべき作品、そして他人と語り合いたい作品だと思いました。 怪作。 ちなみに私はドラマは見ていません。 |
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有栖川有栖先生の作品を読むのは初めてでした。
「月光ゲーム」「孤島パズル」を読んでからと思っていましたが、 なかなかブコフに流れてこず、最初に入手できたこの本から読むはめに。 ( しかも900円だった。泣く泣くの購入 ) 最初の事件までかなりページ数を要するし、その後もばたばたと事件が起こる訳でもない。 登場人物が多く、その殆どが芸術家でありながら、ありがちな「怪しいキャラ、奇妙キャラ」も見当たらず、淡々と物語は進んでいく。 それでも冗長だとは思わなかったし、中だるみする事もなく一気に読みきれた。 「読者への挑戦状」が3回挟まれており、これまでも「挑戦状」付きの作品を何度か読んだ事があるが、これ程までに外したのはこの作品が初めてだった。 先日やっと学生アリスシリーズ全作入手できました。 楽しみです。 |
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