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梁山泊 さんのレビュー一覧

梁山泊さんのページへ

レビュー数136

全136件 101~120 6/7ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.36:

鴉 (幻冬舎文庫)

麻耶雄嵩

No.36: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

鴉の感想

麻耶雄嵩らしい作品と言えると思います。
本来読み手を選ぶ作者だと思いますが、この作品は万人OKでしょう。
麻耶さんの作品で初めて高評価つけます。
非常に面白かったです。

ただ、タイトルが何故「鴉」なのかは未だに分かりませんが・・・


▼以下、ネタバレ感想
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鴉 (幻冬舎文庫)
麻耶雄嵩 についてのレビュー
No.35: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

火の粉の感想

人間は誰しも他人に対して親切にする時、心のどこかに見返りを求めている部分があるかも知れませんね。
恐ろしい凶悪事件だが、これを身近に起こっても全く不思議ない設定で読ませる作者は上手い。
同じ状況に直面した時、自分は火の粉をはらう事ができたか・・・まず無理かな。


▼以下、ネタバレ感想
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火の粉 (幻冬舎文庫)
雫井脩介火の粉 についてのレビュー
No.34: 11人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

星降り山荘の殺人の感想

「十角館の殺人」以来のエクスタシー。

「こらっ!!」から「やられたっ!!」へ、その間僅か10秒程度。
こんなミスリードの方法があるのですね。 フェアなのは言うまでもありません。 完敗です。
単純な分、やられた感がハンパないです。

騙されたと気付いた後、何故か笑えてしまうという、珍しい作品です。


▼以下、ネタバレ感想
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新装版 星降り山荘の殺人 (講談社文庫)
倉知淳星降り山荘の殺人 についてのレビュー
No.33: 9人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

天使のナイフの感想

少年犯罪を扱った良作です。
是非、沢山の人に読んで欲しい作品です。

主人公の檜山は、生後5か月の娘の前で妻を殺されます。
しかし、加害者の3人組は、13歳の少年だったため罪に問われる事がありませんでした。
その時放った「殺してやりたい」の一言が引き金となり、4年後、犯人の一人が殺された時に、彼は容疑者とされてしまいます。
あらすじとして文庫本の裏表紙にも記述されています。
容疑を晴らすための檜山の苦悩や戦いを描いた作品で「重いなぁ、読むの辛いかもな」と思っていたのですが、意外とあっさり容疑は晴れます。


▼以下、ネタバレ感想
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天使のナイフ 新装版 (講談社文庫 や 61-12)
薬丸岳天使のナイフ についてのレビュー
No.32: 7人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

慟哭の感想

貫井氏の作品は初読でした。 この作品に出会えたのは、このサイトのランキングのおかげです。
感謝したい。


▼以下、ネタバレ感想
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慟哭 (創元推理文庫)
貫井徳郎慟哭 についてのレビュー
No.31: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

幽霊人命救助隊の感想

愚かにも自殺という選択で人生を終えた「神に選ばれし」4人が、天国に行くために100人の自殺志願者を救済するという物語。
彼らは、現世の人間からは透明人間の如く目に見えず、また物に触れる事すらできませんが、自殺志願者を発見でき、人間に憑依する事により思考をトレースする事ができ、メガホンを使って語りかける事によりある程度行動を操る事ができます。
オヤジギャグは満載ですし、4人が自殺志願者を取り囲み、メガホンで説得している姿を想像すると、最早コメディとも思えてしまうのですが、否!!、これは良質の社会派小説ですよ。

兎に角「神に選ばれし」4人のキャラクター設定が抜群です。
東大受験に失敗した19歳の青年、会社を倒産させてしまった零細企業の元社長、仕事と恋愛に行き詰ってしまった若い女性、そして鬱病のヤクザの親分。
金銭問題、会社や家庭での人間関係や処遇の問題、肉体的な問題、精神的な問題・・・などなど、自殺の原因は数多くありますが、住む世界、自殺した理由も全く異なる4人が、得意分野、不得意分野に上手く棲み分けされ、説得に際して存分に個性を発揮していきます。
それだけではなく、青年が「現在」、女性と元社長が「バブル直後」、ヤクザが「高度成長期」と、4人の死亡時期が異なっており、またキャラとその死亡時期が何とも絶妙で、物語にスパイスを効かせています。
たまに4人の議論がちぐはぐになったりするのですが、時代時代の人間の価値観や考え方の違いが表面化され、非常に面白いです。
中でもヤクザさんは、思考も単純で、言葉も汚く、ただ勢いだけで余り役に立っていないような気にもさせられますが、チームのムードメーカー的存在であったのは確かですし、実際のところ作者は、(自殺を多発させてしまうような)現代社会の矛盾に対しての怒りを彼に代弁させているような気がしました。
この作品にはほろっとさせられる箇所がいくつもありますが、ヤクザさんの言動によるところが多かった気がしますしね。

自信を持ってお薦めできる作品です。
幽霊人命救助隊 (文春文庫)
高野和明幽霊人命救助隊 についてのレビュー
No.30: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

グレイヴディッガーの感想

帯には「13階段」を凌ぐと書かれています。
さすがにそれは言い過ぎかと思いますが、面白さという点ではこちらが上かも知れません。
「13階段」とは打って変わって、エンターテインメント性の高い作品です。


▼以下、ネタバレ感想
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グレイヴディッガー (角川文庫)
高野和明グレイヴディッガー についてのレビュー
No.29: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

死神の精度の感想

主人公は死神で、名前を「千葉」という。
死神は、死が準備された人物に、人間の姿となり接近し、観察し、その死を見送るべき理由はないかの判断を行う。
死神に「可」と診断された人物は、7日後に死ぬ。
これが、この作品を通して基本となるお約束事である。
6作からなる短篇集であるが、連鎖している作品もあったりして面白い。

死神は人間界に精通していない。 見た目こそ成人だが、中身は子供のように無知でピュアだったりする。
6つの作品の中で、色んなタイプの人間と出会うが、やくざだろうがヤンキーだろうが物おじせず、ズケズケと言いたい事を言い、時に少々ズレた受け答えをする。
皆がそんな彼の事が気になる。 そしていつの間にか誰とでも良好な人間関係を構築している。
ある意味羨ましい奴だったりする。
伊坂作品というと、機知に富んだ会話やセリフが楽しいが、この死神こそ「THE伊坂キャラ」なのである。
ユーモアがあり、時にシュールであり、時にどこか心にしみる、そんな発言の製造マシーンになっている。
これは、伊坂作品好きにはたまらない。


▼以下、ネタバレ感想
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死神の精度 (文春文庫)
伊坂幸太郎死神の精度 についてのレビュー
No.28: 10人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

殺戮にいたる病の感想

前情報として、この作品の本質を知っているか知らないかで最後の衝撃にとてつもなく大きな差がある作品だと思います。
この作品は「真っ白な状態」で読みたかった。


▼以下、ネタバレ感想
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新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)
我孫子武丸殺戮にいたる病 についてのレビュー
No.27: 14人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

永遠の0の感想

第二次世界大戦、ましてや特攻隊をテーマに扱うというのは作家にとってある意味挑戦と言えるのではないでしょうか。
賛美する作品など今の世の中で受け入れられる訳がなく、批判するにしても非常にデリケートな問題だと思います。
作家自身が持つ道徳観、倫理観の押し付けにより歪んだ方向に読者を誘導される事がないか危惧していましたが、そんな心配は全く杞憂でした。
それにしても素晴らしい作品だった。
娘、息子が高校生くらいになったら是非読ませたいです。

戦争モノ嫌いで敬遠している方にも是非お薦めしたい。 そして泣いて下さい。


▼以下、ネタバレ感想
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永遠の0 (講談社文庫)
百田尚樹永遠の0 についてのレビュー
No.26: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
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ゴールデンスランバーの感想

ハリウッド大作並のプロットを採用しながらも、これはやはり伊坂作品なのである。
ある意味凄い。


▼以下、ネタバレ感想
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ゴールデンスランバー (新潮文庫)
伊坂幸太郎ゴールデンスランバー についてのレビュー
No.25: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

容疑者Xの献身の感想

天才物理学者湯川VS天才数学者石神、二人の天才による頭脳戦。
出題者石神、回答者湯川という図式の(変人)対決になりますが、突き抜けっぷりでは石神の圧勝といえるでしょう。
超有名人である主演を脇に追いやる程の「怪演」から、21世紀ミステリ助演男優賞の座は恐らく今後50年揺るぎないと思わせる化物キャラであったと思います。(私は好きではないですが)


▼以下、ネタバレ感想
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容疑者Xの献身 (文春文庫)
東野圭吾容疑者Xの献身 についてのレビュー
No.24: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

ラッシュライフの感想

人間ウォッチャーでちょっと知的な泥棒、新興宗教の信者である青年、W不倫中で互いの相手を殺害しようと画策する女精神科医、リストラされ再就職試験を40連敗中のデザイナー。
一見何の繋がりも持たない4つの物語が、少しづつ語られていきます。
複雑かつ精巧に張り巡らされた伏線が伊坂作品の特長ですが、この作品は、そんな作者らしい作品で、兎に角お見事!!
「何故伊坂作品がこんなに人気があるのか」が分かった気がします。


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ラッシュライフ (新潮文庫)
伊坂幸太郎ラッシュライフ についてのレビュー
No.23: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

インシテミルの感想

クローズドサークル内でのデス・ゲームなど、本来非現実的で理不尽であり、その必然性が読み手に到底理解できぬままゲームが開始され、殺戮が繰り返されるという事が多々ありますが、個人的にこの作品が他の同系作品と一線を画していると思えるのは、その舞台設定にあると思っています。
ルールはゲーム開始前に明確になっておりフェアといえるのですが、このルールが一風変わっている事により、先が読めず、緊張感を感じながら読む事ができました。
そして、この手の作品としては珍しく、登場人物達の行動にリアリティを感じる事ができます。
非常に面白かったです。 お薦めできます。


▼以下、ネタバレ感想
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インシテミル
米澤穂信インシテミル についてのレビュー
No.22: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

GOTH リストカット事件の感想

個人的に短篇集は読み応えを感じられる事が少なく正直好きではありません。
この作品は、夜の章、僕の章合わせて6編の短篇集という事になっていますが、「連続」短編小説です。
それぞれが独立した話ではなく、時系列の流れが存在します。
つまり、夜の章、僕の章、どちらか一方だけ読んだだけではダメですし、夜の章、僕の章の順番で読まなければ面白さが分からないと思います。
時系列の流れの中に、作者の仕掛けた巧みな「罠」があるのです。

乙一作品は、「暗いところで待ち合わせ」に次いで2作目でしたが、2作共に文句なしの満点評価。
満点評価は他にも沢山ありますが、この2作は突出している気がします。 星11個付けたいくらいです。
無駄に長くないのもいいよね。
今後、乙一作品を読みあさる事になるでしょう。


▼以下、ネタバレ感想
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GOTH 夜の章 (角川文庫)
乙一GOTH リストカット事件 についてのレビュー
No.21: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

扉は閉ざされたままの感想

倒叙ミステリ。
タイトル通り、事件が解決するまで、殺人が行われた密室の扉は開かれる事がありません。
中の状況が全く不明な中、扉の外で、犯人と探偵役による頭脳戦が展開されます。

ありそうでなかった面白さです。 お薦めします。

▼以下、ネタバレ感想
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扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
石持浅海扉は閉ざされたまま についてのレビュー
No.20: 11人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

暗いところで待ち合わせの感想

社会生活に馴染めない不器用な男と、視力をなくすという身体的ハンデキャップを抱え引きこもり気味の女の奇妙な同居生活。
時間が止まったかのような、そしていつ壊れてしまっても不思議でない「静寂」の中、少しづつ接近していく「心」
語り手を交互に変えながらの絶妙な心理描写。

言葉も発せない、物音すらたてる事もできないという状況の中で、自分にとって大きな不利益が被る可能性がある事も分かっていながら、自然と体が反応してしまう。
自分は一人でも大丈夫と友人には強がって見せるが、そこにいるのが犯罪者だと朧気に理解していながらも、居て欲しいと願ってしまう。
他人との接触に消極的な二人が見せる、相手を思いやる優しさ、相手を必要とする弱さ。
涙腺が何度か派手に緩んでしまった。

文句なしの満点評価。

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)
乙一暗いところで待ち合わせ についてのレビュー
No.19: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

模倣犯の感想

文庫本にして5冊に及ぶ大作、社会派人間ドラマです。

この作品は犯人探しの物語ではない。
この作品における作者の主眼は、凶悪事件被害者遺族の悲しみ、苦痛と、事件が社会に与えた影響かと。
理不尽に傷つけられ人生を狂わされた人達、苦悩する警察、群がるマスコミ。

主犯であるピース、ピースに利用されたヒロミ、ヒロミを救おうとしたカズの同級生3人。
彼らが主要登場人物であるが主役ではない。
作者は、彼ら3人以外にも、事件に関係する数多くの人間を取り上げる。
そして、その人物達も、必要以上と思える程に掘り下げる。
主役級と思えるくらいの膨大な字数、ページを裂き、背景を与える。
それで、このような長編になってしまったように思えるのだが、その効果は絶大。
直接的に描かずとも間接的に、犯人の狡猾さ、卑劣さが浮き彫りにされ読み手に伝わってくる。
そして、犯人側の背景が明らかになっても、遺族の苦悩、悲哀を克明に記述しているからこそ、読み手には犯人に対して同情の余地を感じさせない。
これ以上ない「悪」の描き方だったのではないかと思う。
この作品は映画化もされたが、作者の意図を表現するには、キャスティングのバランスが悪かった。
主役はピースではないのだから。

読み応え十分でお薦めも出来ます。
ただラストに関しては不満です。
知的、狡猾、卑劣、冷酷・・・物語前半で植え付けられたピースに対するイメージと大きく乖離します。
たから「模倣犯」というタイトルも、個人的にいまいちしっくりきていません。
自爆という手段を選んだ映画版の方がピースらしかったように思えるのが何か歯がゆい。

模倣犯1 (新潮文庫)
宮部みゆき模倣犯 についてのレビュー
No.18: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ロートレック荘事件の感想

完璧に騙されました。
ネタバレに触れる事なく読めた事はよかった。 面白かったです。


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ロートレック荘事件 (新潮文庫)
筒井康隆ロートレック荘事件 についてのレビュー
No.17: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

生ける屍の死の感想

もっと固い感じの作品なのかと思っていたのですが、基本的にはコメディタッチで軽い雰囲気です。
舞台はアメリカ。
日本人とは少々かけ離れた死に対する考え方や薀蓄が展開されますが、軽い語りがそれを退屈させない効果をもたらしている。
ただ、余りに多い横文字の登場人物の把握に苦しみ、また翻訳調の文体にも苦しみと、その世界に入り込むまでのハードルはかなり高目かも。

「死者が蘇る」という荒唐無稽な現象を前提とした舞台設定。
論理が尊重される推理小説において、それを根底から覆さんとする、リアリティのない言わば超常現象ありきで語られる作品。
これを単なるホラーにもSFにも転ぶ事なく読ませるには、生半可な内容では納得してもらえないところだが、この作品は、このナンセンスな現象を、恐怖を煽るためではなく、何とロジックを成立させるための道具として見事に当て嵌めてしまっている。
宗教がらみで多分に哲学チックな殺人動機など、日本人には中々理解しづらいところはあるのですが、「どう回収するつもりなんだろう」という読中の疑問を想定以上の手法で解決してくれた作者のうまさは、そんな事など忘れさせてくれました。
軽いノリから一転、エンディング近くなってからの、切ない雰囲気もいい感じでした。

正直「異端」です。
しかし、スルー出来ない作品の一つなのではないかと。

生ける屍の死(上) (光文社文庫 や 26-3)
山口雅也生ける屍の死 についてのレビュー