■スポンサードリンク
梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数136件
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
愚かにも自殺という選択で人生を終えた「神に選ばれし」4人が、天国に行くために100人の自殺志願者を救済するという物語。
彼らは、現世の人間からは透明人間の如く目に見えず、また物に触れる事すらできませんが、自殺志願者を発見でき、人間に憑依する事により思考をトレースする事ができ、メガホンを使って語りかける事によりある程度行動を操る事ができます。 オヤジギャグは満載ですし、4人が自殺志願者を取り囲み、メガホンで説得している姿を想像すると、最早コメディとも思えてしまうのですが、否!!、これは良質の社会派小説ですよ。 兎に角「神に選ばれし」4人のキャラクター設定が抜群です。 東大受験に失敗した19歳の青年、会社を倒産させてしまった零細企業の元社長、仕事と恋愛に行き詰ってしまった若い女性、そして鬱病のヤクザの親分。 金銭問題、会社や家庭での人間関係や処遇の問題、肉体的な問題、精神的な問題・・・などなど、自殺の原因は数多くありますが、住む世界、自殺した理由も全く異なる4人が、得意分野、不得意分野に上手く棲み分けされ、説得に際して存分に個性を発揮していきます。 それだけではなく、青年が「現在」、女性と元社長が「バブル直後」、ヤクザが「高度成長期」と、4人の死亡時期が異なっており、またキャラとその死亡時期が何とも絶妙で、物語にスパイスを効かせています。 たまに4人の議論がちぐはぐになったりするのですが、時代時代の人間の価値観や考え方の違いが表面化され、非常に面白いです。 中でもヤクザさんは、思考も単純で、言葉も汚く、ただ勢いだけで余り役に立っていないような気にもさせられますが、チームのムードメーカー的存在であったのは確かですし、実際のところ作者は、(自殺を多発させてしまうような)現代社会の矛盾に対しての怒りを彼に代弁させているような気がしました。 この作品にはほろっとさせられる箇所がいくつもありますが、ヤクザさんの言動によるところが多かった気がしますしね。 自信を持ってお薦めできる作品です。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
主人公は死神で、名前を「千葉」という。
死神は、死が準備された人物に、人間の姿となり接近し、観察し、その死を見送るべき理由はないかの判断を行う。 死神に「可」と診断された人物は、7日後に死ぬ。 これが、この作品を通して基本となるお約束事である。 6作からなる短篇集であるが、連鎖している作品もあったりして面白い。 死神は人間界に精通していない。 見た目こそ成人だが、中身は子供のように無知でピュアだったりする。 6つの作品の中で、色んなタイプの人間と出会うが、やくざだろうがヤンキーだろうが物おじせず、ズケズケと言いたい事を言い、時に少々ズレた受け答えをする。 皆がそんな彼の事が気になる。 そしていつの間にか誰とでも良好な人間関係を構築している。 ある意味羨ましい奴だったりする。 伊坂作品というと、機知に富んだ会話やセリフが楽しいが、この死神こそ「THE伊坂キャラ」なのである。 ユーモアがあり、時にシュールであり、時にどこか心にしみる、そんな発言の製造マシーンになっている。 これは、伊坂作品好きにはたまらない。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
第二次世界大戦、ましてや特攻隊をテーマに扱うというのは作家にとってある意味挑戦と言えるのではないでしょうか。
賛美する作品など今の世の中で受け入れられる訳がなく、批判するにしても非常にデリケートな問題だと思います。 作家自身が持つ道徳観、倫理観の押し付けにより歪んだ方向に読者を誘導される事がないか危惧していましたが、そんな心配は全く杞憂でした。 それにしても素晴らしい作品だった。 娘、息子が高校生くらいになったら是非読ませたいです。 戦争モノ嫌いで敬遠している方にも是非お薦めしたい。 そして泣いて下さい。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
クローズドサークル内でのデス・ゲームなど、本来非現実的で理不尽であり、その必然性が読み手に到底理解できぬままゲームが開始され、殺戮が繰り返されるという事が多々ありますが、個人的にこの作品が他の同系作品と一線を画していると思えるのは、その舞台設定にあると思っています。
ルールはゲーム開始前に明確になっておりフェアといえるのですが、このルールが一風変わっている事により、先が読めず、緊張感を感じながら読む事ができました。 そして、この手の作品としては珍しく、登場人物達の行動にリアリティを感じる事ができます。 非常に面白かったです。 お薦めできます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
個人的に短篇集は読み応えを感じられる事が少なく正直好きではありません。
この作品は、夜の章、僕の章合わせて6編の短篇集という事になっていますが、「連続」短編小説です。 それぞれが独立した話ではなく、時系列の流れが存在します。 つまり、夜の章、僕の章、どちらか一方だけ読んだだけではダメですし、夜の章、僕の章の順番で読まなければ面白さが分からないと思います。 時系列の流れの中に、作者の仕掛けた巧みな「罠」があるのです。 乙一作品は、「暗いところで待ち合わせ」に次いで2作目でしたが、2作共に文句なしの満点評価。 満点評価は他にも沢山ありますが、この2作は突出している気がします。 星11個付けたいくらいです。 無駄に長くないのもいいよね。 今後、乙一作品を読みあさる事になるでしょう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
社会生活に馴染めない不器用な男と、視力をなくすという身体的ハンデキャップを抱え引きこもり気味の女の奇妙な同居生活。
時間が止まったかのような、そしていつ壊れてしまっても不思議でない「静寂」の中、少しづつ接近していく「心」 語り手を交互に変えながらの絶妙な心理描写。 言葉も発せない、物音すらたてる事もできないという状況の中で、自分にとって大きな不利益が被る可能性がある事も分かっていながら、自然と体が反応してしまう。 自分は一人でも大丈夫と友人には強がって見せるが、そこにいるのが犯罪者だと朧気に理解していながらも、居て欲しいと願ってしまう。 他人との接触に消極的な二人が見せる、相手を思いやる優しさ、相手を必要とする弱さ。 涙腺が何度か派手に緩んでしまった。 文句なしの満点評価。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
文庫本にして5冊に及ぶ大作、社会派人間ドラマです。
この作品は犯人探しの物語ではない。 この作品における作者の主眼は、凶悪事件被害者遺族の悲しみ、苦痛と、事件が社会に与えた影響かと。 理不尽に傷つけられ人生を狂わされた人達、苦悩する警察、群がるマスコミ。 主犯であるピース、ピースに利用されたヒロミ、ヒロミを救おうとしたカズの同級生3人。 彼らが主要登場人物であるが主役ではない。 作者は、彼ら3人以外にも、事件に関係する数多くの人間を取り上げる。 そして、その人物達も、必要以上と思える程に掘り下げる。 主役級と思えるくらいの膨大な字数、ページを裂き、背景を与える。 それで、このような長編になってしまったように思えるのだが、その効果は絶大。 直接的に描かずとも間接的に、犯人の狡猾さ、卑劣さが浮き彫りにされ読み手に伝わってくる。 そして、犯人側の背景が明らかになっても、遺族の苦悩、悲哀を克明に記述しているからこそ、読み手には犯人に対して同情の余地を感じさせない。 これ以上ない「悪」の描き方だったのではないかと思う。 この作品は映画化もされたが、作者の意図を表現するには、キャスティングのバランスが悪かった。 主役はピースではないのだから。 読み応え十分でお薦めも出来ます。 ただラストに関しては不満です。 知的、狡猾、卑劣、冷酷・・・物語前半で植え付けられたピースに対するイメージと大きく乖離します。 たから「模倣犯」というタイトルも、個人的にいまいちしっくりきていません。 自爆という手段を選んだ映画版の方がピースらしかったように思えるのが何か歯がゆい。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
もっと固い感じの作品なのかと思っていたのですが、基本的にはコメディタッチで軽い雰囲気です。
舞台はアメリカ。 日本人とは少々かけ離れた死に対する考え方や薀蓄が展開されますが、軽い語りがそれを退屈させない効果をもたらしている。 ただ、余りに多い横文字の登場人物の把握に苦しみ、また翻訳調の文体にも苦しみと、その世界に入り込むまでのハードルはかなり高目かも。 「死者が蘇る」という荒唐無稽な現象を前提とした舞台設定。 論理が尊重される推理小説において、それを根底から覆さんとする、リアリティのない言わば超常現象ありきで語られる作品。 これを単なるホラーにもSFにも転ぶ事なく読ませるには、生半可な内容では納得してもらえないところだが、この作品は、このナンセンスな現象を、恐怖を煽るためではなく、何とロジックを成立させるための道具として見事に当て嵌めてしまっている。 宗教がらみで多分に哲学チックな殺人動機など、日本人には中々理解しづらいところはあるのですが、「どう回収するつもりなんだろう」という読中の疑問を想定以上の手法で解決してくれた作者のうまさは、そんな事など忘れさせてくれました。 軽いノリから一転、エンディング近くなってからの、切ない雰囲気もいい感じでした。 正直「異端」です。 しかし、スルー出来ない作品の一つなのではないかと。 |
||||
|
||||
|