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タカタソン さんのレビュー一覧

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レビュー数32

全32件 1~20 1/2ページ
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No.32: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

出光の栄光物語

表題からすると、海賊と呼ばれる男の伝記的な話と思われがちだが、イヤ、その通りなのだが本書の目次をみてもらうと分かるのだが、相当細切れになっていて、それが主人公の武勇伝エピソ-ドになっている。だから、歴史や伝記本的なものが嫌いな方でも意外にスンナリ読めるのでは。

本作は有名な良く見かけるガソリンスタンドなど、石油を取り扱う出光の創立者を描いた作品であるが、主人公、社名は実名ではない為、本作がノンフィクションなのかフィクションなのか分かりずらいが、恐らく盛ってはいるのでしょう。

物語は、終戦後で全てを失った石油会社社長主人公が自社の利益より国の為、社員の為に日本・世界の石油業界に立ち向かい復興に為に困難に立ち向かう話。
初めにも書いたが、1章ごとが非常に短く、また泣かせる武勇伝なのでいつの間にか読み進めている。

勿体ないのは、著者が目立ちたがり過ぎ。テレビにも頻繁に出て問題発言をして、そのイメ-ジが少なからず影響を与えてしまっている。
海賊とよばれた男 上
百田尚樹海賊とよばれた男 についてのレビュー
No.31: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

人のつながりと犬と家族

ハ-ドボイルド的な作品が多く個人的に好きな作家の一人。どの本も読ませてくれます。

さて本作ですが結構書店でパワ-プッシュされているが、私も期待を持って購入。まず、物語全体で言うと、元公安の刑事で事件で妻が死んでしまった主人公が、人生を変える為とモ-テルの管理人を元上司がら斡旋されるところから始まる。当然それはある目的の為で、同じような理由で集められた若い娘と少年で仮装家族を演じていく。

これがまた、さすがだと思うのは各キャラが相当際立っている。若い娘で物語のキ-にもなる葉山ふみは驚きの過去と展開で、またモ-テルのオ-ナ-・支配人とのやりとりは感動させる。人の繋がりや価値とは何なのか考えてしまった。

また、モ-テルで飼い殺しにされていたド-ベルマンのマクナイトと主人公とのお互いの再生・交流も楽しい。本作も犬は重要要素。

全体的に暗い話になりすぎず、適度なブラックさやユ-モアがあって楽しめると思う。マクナイトとダイナマイト・・・なんか受けます。

最後のクライマックスアクションは、そいゆう流れになるだろうという展開で若干イマイチだが読後感は良く満足するでしょう。
約束の森
沢木冬吾約束の森 についてのレビュー
No.30: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

容赦のなさが最高

ハゲタカシリ-ズ2弾。企業買収をこんなにもスリリングに面白可笑しく?誰でも読めるオススメ経済サスペンス小説。

今作は全作と違って主人公鷲津が中心で物語が進む。冒頭でいきなり1作目で活躍した社長アランが謎の死をとげてしまっていてかなりのショックから始まり、買収劇・死の原因追究と相変わらずのスピ-ド感でイッキ読みさせる。

あまりの急展開や終わり方に消化不良という声が聞こえてきそうだが、シリ-ズは続く訳だから取っておきましょう。

ハゲタカ2(上) (講談社文庫)
真山仁バイアウト ハゲタカ2 についてのレビュー
No.29: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

メリハリのある緊張感はさすが

シリ-ズ3作目。まず、3作目でありながらシリ-ズのマンネリはなく、各作全く趣向の異なる事件でこれだけ引きつけられるスト-リ-を展開出来るのは感嘆。今作も特捜部Qの捜査パートと凶悪な犯罪パートが交互に展開されるのだがその緊張感というかテンションのギャップは、ただ暗いだけの犯罪小説から万人向けのエンタ-テイメントにしている。

描かれている犯罪が極悪でサイコ的で、今まさに犯罪を行われる様が刻一刻と迫りくる描写と、あいかわらずのおとぼけ特捜部Qのスト-リ-とは直接関係ない話は最高。

主人公カ-ルは相変わらず主人公として冴えないし、助手のアサドやローセも訳分からず、、なのに徐々に犯人を追い詰めていく模様は歯がゆくもあり爽快でもある。

特捜部Q ―Pからのメッセージ― 〔上〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
No.28:
(8pt)

ヒリヒリの暗殺アクション

1作目も読んだが、2作目の方が断然面白い。

主人公は1作目が原因でCIAからの指示で暗殺をしていく。その暗殺がどんな意味をもつのか分からず淡々と暗殺をしていくのだが、それが実は暗黙でビジネスラインが分かれている二つの世界的武器売買組織。
その暗殺によって二つの巨大武器売買組織に亀裂が入っていくのだが、そのギリギリの関係バランスと緊張感。暗殺毎に微妙に展開していく関係は読む手を止められなくなる。そして案の定の展開もあり期待は裏切りません。
暗殺者が主人公なので正義は無いが良質なアクション小説をお望みの方は是非。

本作では、決着しなかったが暗殺時に居合わせ手を出した別組織は次回以降に繋がるのか。
ファイナル・ターゲット (上) (ハヤカワ文庫 NV)
トム・ウッドファイナル・ターゲット についてのレビュー
No.27:
(8pt)

海洋冒険の快作か

いろいろと出来過ぎなところや、イラっとするところはあるものの本作の評価や帯に記載あるコメントのとおりに海洋サスペンスとして秀逸かと。

だから冒険かと問われるとどちらかというとサスペンスでありハイジャックされた船内で攻防だけがスト-リ-ではないのでアクションぽい展開を期待していると肩透かしをくらう。ハイジャックされただけの物語ではなく、世界的陰謀たくらむテロ事件の物語なので、いろんな国や組織が話に入ってきてちょっと雑感はある。もう少しシンプルの方でもよかった。ただ、十分に船長の男の生き様や仲間との信頼、娘との親子、家族の愛は伝わって、やはり最後は良しとしたい。



太平洋の薔薇 (上) (光文社文庫)
笹本稜平太平洋の薔薇 についてのレビュー
No.26: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

日本橋人形町の良さを知る

このシリ-ズを読むのは本作が初めてで、著者が好きだからとか有名作だから読んだのではなく、この小説の舞台になっている日本橋人形町が自分にとって馴染み深く、興味があったから読んでみました。

他のレビュ-でもある通り推理小説というよりは、一編毎に事件に関わるお店や人との人情話として完結していてそれが全編通して読むとひとつの事件としての物語となっている。このあたりはさすがと思うし、街の雰囲気が小説ににじみ出ているところも良かった。ただ、ミステリ-として読むと物足りなさはあると思う。

有名作だけど、人情話+ミステリ-の高次元の融合は本作しか体験出来ないだろうな。


新参者 (講談社文庫)
東野圭吾新参者 についてのレビュー
No.25:
(8pt)

過酷な正義の殺し屋

グレイマン2弾目。1作目がハマった方なら間違いはないでしょう。

今回も殺し屋でありながら、自分ルールの正義の為に、全て裏目に窮地に追い込まれていく。それにしてもテンポがとても良い。章の区切りが早いので読み易く、読むアクションを最高に堪能できる。ミッションの為に一人で適地に送り込まれ、絶望から一人で立ち向かい、ささやかな正義をかざす。

しかし、ホント描写が上手く、読んでいるだけでその状況が浮かび、映画をみているような錯覚を覚える。アクション・冒険小説として秀逸。
暗殺者の正義 (ハヤカワ文庫 NV)
マーク・グリーニー暗殺者の正義 についてのレビュー
No.24: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

読めばやっぱり面白い

シリ-ズ3作目。1年ぶりくらいにこのシリ-ズを読むがコフィンダンサ-は最高だったが、今作も期待は外さず。

それにしても、趣向がまたがらっと変わって今度は田舎町が舞台。なれない場所と科学分析機材も無いなかサックスの暴走。容疑者を逃す為に一緒に逃げ、追ってきた警察官も殺してしまう。

追い詰められたリンカ-ンがどう乗り越え真犯人に詰め寄り、そしてサックス助けるのか。

主役の一人のサックスがどうなるのかが今作の目玉。期待通りの大どんでん返しはあるのか?・・・いや、無かったら大変な事になるので楽しみに読みましょう。
エンプティー・チェア〈上〉 (文春文庫)
No.23: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

瀕死の暗殺者

暗殺者だけど悪い奴しか殺さない、過去の擁護した雇主の子供を助ける為に罠だと分かっていながら助けに行く。一種のヒ-ロ-小説であり読後感は満足できる。

そもそも暗殺者とあるけど暗殺シ-ンなんてない。けど、強い。グレイマンと言われると通り、普通っぽい身なりで性格も穏やかで、罠にはハマり多くの傭兵に狙われそれでも一人で切り抜けていく。暗殺者として有名なグレイマンを仕留めようとする多くの敵とのギリギリの攻防にヒヤヒヤ。

最後のヤマ場もいい。愛する者を守れるか、陰謀に翻弄された登場人物たちの末路、瀕死の主人公に待ち受ける意外な結末。

久しぶりの面白い冒険小説を読んだなと。
暗殺者グレイマン〔新版〕 (ハヤカワ文庫NV NVク 21-19)
マーク・グリーニー暗殺者グレイマン についてのレビュー
No.22: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

キレキレの第2弾

特捜部Qの2作目という事で1作目が何年もの軟禁されていた女性の事件でその異常性や緊迫感で相当高い評価をしていた為、読む前から果たして1作目を超えられるのかと期待は正直していなかったが、これが予想に反してというか想像をはるかに超えて面白い。今作も過去の未解決事件を特捜部Qのメンバ-が追って行くのだが、今回は初めから犯人が分かっていて過去の学生時代の1グル-プで今ではそれぞれが国でも有数なビジネスリ-ダ-で金と権力で真実をねじ伏せる。趣味が狩りでその悪役っぷりというか悪毒さはいかにもセレブな悪役像でサイコ的な要因をプラスして誰でも嫌悪感をもつ悪役で分かり易い。話はそれだけでは済まない。元々学生時代で同グル-プだった唯一の女性キミ-がなぜか彼らを追い詰める。彼女の破滅的?壊れた人格・精神性は今作の重みを増し、また、読み離せなくなるトリガ-となっている。

主人公のカ-ル?前作よりだいぶマシになったかな?
特捜部Q ―キジ殺し― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
No.21: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

思わずニヤける

隠蔽捜査シリ-ズを読んでいる方、好きな方には堪らないかもしれない。
主人公は隠蔽シリ-ズでちょいちょい登場する主人公竜崎の幼馴染の伊丹。
シリ-ズを読むと伊丹のイメ-ジは爽やかで頼れる人物像だが、この3.5で実態の姿が描かれている。

短編集で各章で当然完結するのだが、必ず竜崎との電話のシ-ンがある。
ちょっとした電話シ-ンだが、竜崎の個性が最大限に表れていて思わずニヤけてしまう。
伊丹が主役でも主人公は竜崎だと思ってしまう今作は8.5点。

初陣: 隠蔽捜査3.5 (新潮文庫)
今野敏初陣 隠蔽捜査3.5 についてのレビュー
No.20: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

あなたの期待に合うか

この小説を読み終わった後、一体何の話だったのかと思ってしまうほど、勿体ない感がどうしてもあった。最終的に小説家・芸術家についての哲学・あるべき論を語りたかったのか?それほど、詰め込まれている、ある意味お得?小説かもしれないが、読み手からすると賛否両論は同然あるでしょう。

自分は実は前半部分の方が好み。
牢獄に捉えられている死刑間近の殺人鬼から告白本の執筆出来る代わりに(本が出ればベストセラ-間違いないので)、ファンレタ-を送ってきた女と面談を行い、その女とのポルノ小説を書けという。それだけでも面白いが、あと本書の特徴として主人公の小説家が書いた小説が挿絵ならぬ挿小説として、ポルノや吸血鬼、SFポルノ?物など、それがまた良く出来ていてバカバカしくも面白い。

このまま、ミステリ-にはせず最後まで突っ走った方が絶対良かった。ただ、残念ながら殺人事件が起こり中盤以降はミステリ-へと変わってしまう。この辺りが中途半端感なのか。ミステリ-を期待するとそこまで行くのに時間がかかる。

期待外れか期待通りか期待するところで評価が分かれる本作は異作なのでしょう。
二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
デイヴィッド・ゴードン二流小説家 についてのレビュー
No.19: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

超越した発想とイメ-ジ力

読み出しから異次元世界でのバトル開始で始まる。
これだけでもインパクトが相当あるが、18人の怪物となった駒とキングの主人公がどのような状況にあるか混乱の内に、誰だかわからない相手とキングが殺されるまでの戦いが始まっていく。
(この時点で夢オチかって思ってしまうが、それは置いておきましょう。)

18体の怪物は、将棋?チェス?の駒のようにそれぞれ特徴があって、その配置や動かし方など将棋・チェスを思わせるような戦略がバトルの面白みになっている。
ただ、このバトルが7番勝負とした事で1戦が非常に簡潔でちょっとしたミスや、時には力押しでアッサリ決着がついたりする。
ここが妙で、5、3番勝負にして1戦の中身を濃くする事も出来たと思う。
そこが、7番勝負なのでスピ-ド感があって次へと読み進めたくなる。

読み手側は当然、この異次元世界がどこなのか、何の為のバトルなのかが、この物語のミステリ-として期待するが、読み終わる頃にはそこが本質では無いと分かると思う。

人間の執念・狂気、暗黒面がこれだけ面白く描かれているのだから、読後感が良いとは言えませんが傑作といいましょう。

ダークゾーン
貴志祐介ダークゾーン についてのレビュー
No.18: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

次作が気になる面白さ

「特捜部Q」って深夜にやってそうなアメリカの三流警察ドラマっぽい題名だが、これが予想に反して面白い。そもそも北欧ミステリ-で、「特捜部Q」というのは本書を読めばわかるが、厄介者の主人公カ-ルを押し込めて置く為と未解決事件を扱う部署を新規で立ち上げればお金が入ってくるからで冗談みたいな名前が付けられている。
その適当部署である特捜部が過去事件を解決していくのがこのシリ-ズ。

そんな、主人公だけの一人部署に雑用係?のアサドと、適当な感じで過去の事件を調べていくのだが、アサドがなかなかの奇抜のキャラで、主人公はどちらかというと家族や過去を引きずっていて、有能なのに本気を出さないというか、正直本作では魅力があまり感じられなかった。

本作を面白くしているのは、緊張感がある。特捜部が追っている過去の事件が、当時の状況から被害者(女性議員)視点で描かれている。
つまり、現在の捜査状況と過去の事件状況が交互に展開されていき、副題にある通り、被害者の女性議員のあまりにリアルで過酷な監禁状況が何年にも渡って書かれていて、そのサイコ的な描写は苦手な人もいるかもしれないが、それでも女性議員の何とか生きようとする姿勢は物語を盛り上げている。

犯人は読み進めていけば何となくわかってしまうが、終わり方も良かったし、読み応え十分な良作だと思う。
特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
No.17: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

癒しミステリ-の快作

小料理屋(おばんざい屋)の女将が客の起すミステリ-と女将自身の過去の謎、そして恋愛模様を描いた連絡短編集です。
個人的にこの手の内容はあまり手に取るよう事はないんですが、柴田さんのファンですから読んでみました。

お客さんの起すミステリ-にそんなに無茶もなく、自然な解決や主人公女将お人柄、料理の描写など気づけばどっぷりはまってました。
短編ですが、つながりがあって終盤の女将の過去に迫る部分も古道具屋の主人の役回りも良く、本当にふんわりして自然で読後感がよかったです。
京の家庭料理「おばんざい」を食べてみたいです。

続編の「竜の涙」も文庫で出たようなので、期待しています。
ふたたびの虹 (祥伝社文庫)
柴田よしきふたたびの虹 についてのレビュー
No.16: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

引き込まれ感はさすが。

著者の代表作のひとつで、これだけ多くの方が読んでそれだけの評価を得ているというのは、やはりすごいと思う。この作品は「白夜行」の続編という位置づけだが、本作だけ読んでも十分面白いし、「白夜行」を読んでいれば、さらにその関連性を気にしながら、読めてそれもまた楽しい。

本作は前作よりも、直接的でわかりやすいと思う。前作は主人公の二人の主観描写が無かったので、推測しなが読んでいたが、本作は主人公の一人雅也の主観で書かれいるので一連の事件の真相や心理がわかる。前作よ読んでいればもうひとりの主人公「美冬」の真の計算高さが雅也の存在がどうなのか、ハラハラ度が増すこと間違いない。

終わり方については、賛否あると思う。
本作については、(ネタばれになるので言えないが)前作よりもたまたま感が大きい。
もし、そのたまたまが無かったらどうなっていたか見てみたい気がする。
雅也が想像していた表情を美冬がしたのか。

幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))
東野圭吾幻夜 についてのレビュー
No.15:
(8pt)

この結末は不満ですか?

20年前の修学旅行で失踪してしまった少女から、突如メ-ルが送られてくるという始まりは物語に入り込む要因として非常に良く、期待させられる。

主人公は35歳になったその修学旅行の同じグル-プメンバ-6名で、それぞれのそれまでの人生ドラマがあり、そのメ-ルによって再び交わり、そして不可解な事件が起きていく展開はミステリ-、サスペンスとして一級。

それぞれの人生描写が見事で、6人が全員主人公で視点が切り替わりながら物語が進み、飽きることはなく
終盤ギリギリまで高い期待感で読めた。

ただ、結末については強引だったり、実は関係がない事件があったり、もしかすると期待外れと読むかもしれない。

それでも、この主人公たちのその事件だけで終わらない人生そのものに深いものがあった。

激流〈上〉 (徳間文庫)
柴田よしき激流 についてのレビュー
No.14: 7人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

天下一品の最終章

自分のとってこの作家は「向日葵の咲かない夏」が最悪に趣味に合わなかったが、この作品は全く趣向が違って、誰が読んでも楽しめると思う。

この表現の仕方は怒られるかもしれませんが、伊坂幸太郎っぽいなと単純に思っちゃいました。
主人公だけ普通で、イルカっぽいテツさんやまひろ・やひろ姉妹とやひろの彼のデブでインポでマジシャンの貫太郎の織り成す掛け合いや雰囲気は不幸の中にもあたたかさがあって非常に良いです。

彼らが起こす事件・作戦は特に驚くところはありませんが、最終章の「CROW」はやばいです。
この章がこの小説を大傑作にしています。泣ける。
ここまで気持ちいいのは、そうそう無いでしょう。

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
道尾秀介カラスの親指 by rule of CROW's thumb についてのレビュー
No.13: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

名作と言わざる得ない

話の始まりはミステリ-ぽく、マンションの一室で顔をつぶされた遺体とエンドレスで流れていたシャンソンのテ-プ、そして行方不明の住居者の夫婦。
やがて、夫が遺体で見つかり容疑者として妻の風子の行方を刑事である遠野要が追い求める。

ただ、そこからの展開はまったく予期出来ないもので、ミステリ-の謎に迫る展開ではなく、風子という個人の人生を、宿命を徹底的に掘り下げていく。
それは見事に風子の現在・過去そして、風子を追う刑事:遠野要の視点に切り替わり、一気に終盤まで持っていかれる。
また、この話は風子だけではなく、刑事:遠野の話であり、宿命と狂気の果てにあるのは愛なのか、そのあまりの奥深さを是非堪能してほしい。

水底の森は場所でもあるが、この小説の奥深さを表現する題にぴったりだ。

水底の森 (上) (集英社文庫)
柴田よしき水底の森 についてのレビュー


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