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ショボタン さんのレビュー一覧
ショボタンさんのページへレビュー数15件
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イヤミスの代名詞のように言われている作品?ですが、読んでみるとそこまでの救われなさ、やりきれなさはないです。「贖罪」のほうがむしろ後味の悪さは上。やたら悪知恵が働き、能書きばかりたれ人の揚げ足をとろうとしている昨今の中高生に対して嫌悪感を持っている人にはおすすめできるかも。
それにしても湊先生の描く女性は、怨念を感じるほど凄まじい熱を持っている。そこが(誰とは言わないが)時代錯誤のオッサン作家センセイの描く、血の通っていないお姫様のような女性像とは違い、感情も血も通っている生身の女性の体臭を感じさせ、より凄味を感じる。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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大正~昭和初期の、日本が戦争に向かいつつある暗い時代を舞台に、男と女の哀しい運命を描いた傑作短編集。
文体が非常に美しく、文芸作品としても一級でありながら、思わずあっと叫んでしまいそうなからくり(トリック、というよりもこちらのほうが適切)を秘めていて、ミステリとしても十分読みごたえがある。 ただ、スピード感やアクロバティックな展開、ロジックなどに慣らされた平成生まれの読者には退屈なほどスローで盛り上がりに欠けるかもしれないが、その淡々とした筆の運びと、悲哀に満ちたストーリー、しっとりとした情緒こそがこの作品の命であり、それを理解できる大人にこそ読まれるべきである。 |
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「戦慄のトリック」「妖刀の切れ味」などと称されるトリックだけど、その1本だけで勝負するには、長編では無理があるかな?
ただそのトリックは、実現可能かどうかは置いといて、確かに驚愕すべきもの。そして読後に改めて表紙を見てみると、・・・怖いです。騎士の甲冑、怖いです。 長編では長いかもしれないけど、他のトリックは不要、作品の長短にかかわらずこのトリック1本だけで読ませる力はある。 |
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スウェーデン人の名前が持つ不思議な響き。そして奔放なセックス(笑)にも増して、ヒロイン、というよりも真の主人公でありヒーローでもあるリスベットのエキセントリックで魅力的なこと!
リスベットに比べたら、ミカエルがただのセックス狂いのダメなおっさんに見える。なんでそんなのに惚れちゃうんだろう? |
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ホラーものには2種類あって、ひとつはゴシック・ホラーのような前世代的なものやSFホラーのような、ありえそうにない想定でのものと、もうひとつはごく日常の生活の中に潜む闇を描くありそうなホラー。これは後者の傑作。
実際にこんな人間がいたら怖いなぁ・・・と思っていたら、実際にいました!ごく最近ニュースで話題になったあの事件ですが、この平成の世の中に、こんな残酷なことが平然と行われているのだから、全くもって現実社会は恐ろしい。 あの事件の主犯格の人間は既にこの世にいないが、この作品中で描かれる人物のような生い立ちであったのだろうか。傑作ではありますが、これは褒め言葉ですが、なんとも後味の良くない作品です。あの事件の後味の悪さと同じです。 |
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共産主義社会の崩壊から30年近くたつというのに、未だ謎のベールに包まれた隣国・ロシア。首都圏に近く日本を代表する温泉観光地・箱根。この2つの異質な街の接点と、ロシア歴史上最後のミステリとして名高い皇女アナスタシア伝説が織り成すミステリ・・・ではないかもしれないけど、壮大な歴史ロマンとして楽しめる。
これを読むと絶対に「富士屋ホテル」に行きたくなります。 |
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いつもの島田先生の作品とはやや趣を異にするが、いかにもクリスマスにふさわしい、暖かみに満ちた作品。
とはいっても島田先生お得意のホワイダニット炸裂で、ある人物の不可解な行動により幕を開け、最後までいろんな人が不可解な行動を繰り返す。しまいには御手洗さんまで不可解な行動に走るが、そこはちゃんと理論的な答えが用意されているから安心して読める。 そして作中に登場するのは、おそらく御手洗さんが唯一魅了された(?)大変魅力的な女性。この女性が幸せになるエンディングは、ひとつも死体が出てこないにもかかわらず、爽快な読後感を味わうことができる。 |
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加賀恭一郎シリーズで一番最初に映像化されたからか、どうしても阿部ちゃんの顔が浮かんできてしまう(笑)。でも、ドラマは黒木メイサ以外は原作に忠実に作られ、キャスティングも良かったので嫌な感じではないですよ。
一見動機不明の殺人、その解明の過程で浮き彫りにされる、日本橋の人々の絆。そして人々を暖かく見つめる加賀の眼差しが優しい。優しいだけに、最終章で犯人に対する厳しさと、その犯罪の引き金となったある家族に対する容赦のなさが際立って見える。加賀の「犯罪により心を傷つけられた人も被害者」というスタンスは、優しいだけではないんだなぁ。 この日本橋の人々の物語として一話完結としても楽しく読めます。ひとつづつ話を追っていくごとに、古き良き時代の日本の風景が浮かんできます。そして、平成の世の中に知らない間に増え続ける、自己中心的で見栄っ張りなある人間の存在も・・・ |
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あまりのリアリティに、本当にこんな海域があり、こんな大渦巻が発生しているんじゃないかと思った。
圧倒的な自然の莫大なパワーに飲み込まれそうになりながら、主人公が恐怖の極限で見つけたひとつの論理。よくまあそんな時に冷静に観察することができたなぁ。それこそが、自然の中で生き残ってきた人知の奇跡というものだろうか。 |
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ホラーぽい表紙にまずびっくり。冒頭に提示されるグロテスクな風貌の犯人。なぜそんな目立つ恰好をしていたのか?という謎が論理的に解明されるラストはまさに、島田先生の真骨頂。
これまでの作品同様、中盤で先生のイデオロギー的展開となるが、ここはここでひとつの読み物として楽しんで読める・・・というには悲惨な内容ではあるが。この部分については賛否両論だろうけど、自分はもう慣れた。 |
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ジュブナイル版として出版されたものではあるが、どう考えても子供向きではない。トリックそのものはチープで子供でも簡単に見破れそうなものだけど、その背景にある悲しい宿命を背負った人々の生きざままでを理解してこそ、汲めども尽きない深い余韻を残す。この作品を手にした子供が、トリックの簡単さだけを挙げて本作を駄作と決めずに、大人になってからもう一度読んでほしいものである。
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クリスティの3大名作「アクロイド」「そして誰も・・・」に並ぶ名作。「意外な犯人」ものとしては、あるいは「アクロイド」を凌ぐかもしれない。
東ヨーロッパの風景が細かに描写されていて、トラベルミステリとしても楽しく読める。そして、結末を知った後でも何度も読めてしまうのが、「アクロイド」と違うところかな。 |
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