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ニコラス刑事 さんのレビュー一覧
ニコラス刑事さんのページへレビュー数29件
全29件 21~29 2/2ページ
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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冤罪をテーマにした物語だ。気弱で内気なタイプの男が殺人者として逮捕され、過酷な取調べに負けて自白してしまい裁判で無実を訴えても状況を覆すことが出来ず刑が確定する。昨日まで平凡な一市民だった人間が刑事事件の犯人として逮捕、起訴されるとどうなるか。世間はその家族までも容赦しない。例え冤罪と訴えても誰も聞く耳を持たない。大勢の人の人生が滅茶苦茶になる。このあたりの残酷さを作者は徹底的に描く。壊れた人生、壊れた家族。やがて主人公は決意を胸にただ一人の味方である母の元から姿を消す。そして刑事、弁護士、裁判官と事故や事件に合って死んでいく。一本の線で繫がることに気付いた一人の刑事。その彼も恋人をわずかな金を取る目的のために襲った男達に殺された過去を持っていた。復讐は是か非か。ラストの意外性はミステリーとしては弱い。つまりミステリー要素のある犯罪小説と云うところだろう。
むかし、上前 純一郎氏の書いた「支店長はなぜ死んだか」を読み冤罪の怖さを実感したことがあるが、この作品もその辺のところはうまく描かれており読み応えがあった。心情を表わす文章の使い方がうまい作家といえる。 |
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ヴァーチャル記憶療法士という職業がある。仕事は精神的なことがらが原因で身体の疾患等を抱える人たちを治療のため、そのトラウマとなった心の傷を取り除き新しい記憶を植えつけること。本人の記憶の中に入りそのトラウマを排除し記憶を上書きすることが任務となる。主人公は以前の任務中に危うく現実世界に戻れなくなる事故に合い仕事から遠ざかっていた。だが、勝手の相棒 長谷川礼子からの連絡で高額報酬の誘いに自分自身の再起を賭けて挑む決心をする。だが、被験者の記憶世界には恐ろしい罠が仕掛けられていた。
メディチ家の末裔アントニオ・メディチ。その娘ルチア。彼女の記憶の中は16世紀のフランス。1572・8・24サン・バルテルミーの虐殺とユグノーとの宗教戦争をバックにしたその世界。二人の活躍と謎の出来事。そして明かされる意外な犯人。ちょっと毛色の変わったミステリーとして、そう、梅原克文の二重螺旋の悪魔などを読まれた人には楽しめると思います。人物描写や全体の構成が良く作品世界に浸れました。 |
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ミステリーとして、いろんなピースがひとつになる時、思いもしない結末になる。こういった手法は常套だが、この紺屋探偵が受けたふたつの依頼もラストで重なるときの意外性は中々楽しめる。探偵も身体の不調から田舎に引きこもり、やっと再起を目指して心と身体が目覚めたとき、生きていく上での糧を得るために選んだ仕事が犬さがし専門の調査事務所とは面白い。だが、思惑どうりには行かず妙な依頼が舞い込む。
探偵とその妹のキャラクターが楽しくて続編があっても良さそうと思うほどである。 この人の「インシテミル」は余り評価できないが、これと「さよなら妖精」はとても良いと思う。 |
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評判は聞き及び知っていた。さて、実際に手にとって読み進むと、ロードレースのことは何ひとつ知らない自分でも物語に引き込まれる。簡潔な文章でも主人公の心のうちや思いなどがちゃんと伝わってくる。
エースとアシストの関係。勝利に純粋に貪欲であるがゆえに陰で誤解を受ける部分。そんな伏線ともいえる話からレース場面を描き、事故が起きてしまい隠された真相が見えてくる時、主人公は本気でレースをアシストとして生きる気持ちを固める。清々しい読後感のあるスポーツ小説にちょっと意外性を絡ませた読み物として楽しめた。 |
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古典部シリーズのなかの一冊。古典部というよく訳の分からない部活動のメンバー4人の高校生活と、遭遇する不思議な事件?の謎解きと、それぞれの今向き合っている事柄や、人との関わりなどに対しての自身の心の内とそれぞれの行動を描いている。メンバー4人のキャラクターはまぁ、ある種のパターン化されたものと同類といった印象を受けるが。しかし、性格付けはうまくそれぞれ魅力的だ。
文化祭の各教室からひとつづつモノが無くなる。訳の分からないメモを残して。どうやら、誰かが盗んで持って行くらしい。ホームズ役の動かない男が中々面白く、不思議な能力を発揮して事態の答えを示すあたりは楽しめる。学園ものではあるが、チャラチャラした浮ついた所が無く、真摯な高校生活を送るメンバーの生活と日常のちょっとした謎。そういった描き方が好感が持てる。 |
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この作家はアクロバットな視点と手法でミステリーを書く作家で、ハリイ・ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」を意識した「麦酒の家の冒険」など何点か読んだが、これも色とりどりのミステリーが収められた短編集で中々面白かった。些細な手がかりから思いがけない結論を導き出す論証過程を描いたものが、この人の得意とするものではないだろうか。「卵が割れた後で」や「アリバイ・ジ・アンビバレンス」とか「時計じかけの小鳥」などがとりわけ面白かった。あまり長い厚い本を読む時間が無いときには丁度良い本と思う。この人の書く短編もなかなか味がある。
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ジェレミー・ビールドとヘレン・ローズの関係がとてもうまく描かれていて、ミステリー小説としてまた別段の味わい深い物語になっている。作者はこのへんの人間心理やキャラクターに沿った話し方、言葉使いなど作家として流石と思う描写力である。さて、ミステリーとしてはスコットランドの地方都市で帰宅途中の女性教師が襲われる。この件を発端として連続殺人が起こる。現場には棺のカードが残されており同一犯の犯行と思われる。新聞記者ビールドは容疑者とみなされながらも犯人を追う。謎の絞殺魔の正体とその真意とは・・・。とこういったストーリーだが探偵役のビールドの人間臭いキャラクターが秀逸で読み進むのが楽しい一冊である。
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むかし、むかし『夏と冬の奏鳴曲』を読んで気に入ったので、この作家の本を探して読んでみたのがこの『あいにくの雨で』だった。タイトルは叙情的な感じがするが、このタイトルこそが真相を見破るヒントの役目になっている。ミステリーの王道、密室殺人を扱ったものだがトリックは、あのジョン・ディクスン・カーの名作のトリックをアレンジして使っている。しかし、それがこの作品の評価を下げる要素には当たらない。青春ミステリーとして読み応えのある内容だ。作者が示す謎にあなたはどう応えるか?お試しあれ。
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昭和二十年代。地方の山村。言い伝えと因習の村。そう、これは横溝正史の世界。いまどきこういったスタイルの作品を書く作家は貴重だと思う。北村 薫、以降の日常のちょっとした謎を扱ったミステリーも素敵だが、もう少し濃い味のものが読みたいと思ったらこういった作品がベストではないだろうか。その地方独特の風習。村の出来た歴史と等しく祀られる神の社。村の実力者たち。民話と古来の言い伝えの融合。子供を捉え監禁し助けたければ事件の謎を解けと迫る神男。大雨で孤立した村。村の警官は神男の手下となっている現状で作家の刀城言耶は必死の推理を巡らせる。だが、余りにも手がかりが乏しく逆に誰でなければ犯人になり得ないかと考えた時・・・・。人の心が作り出す怪異、それに獲り憑かれた人。感じる力を持った人。閉ざされた村での連続殺人。二転三転する真相。怪奇ロマンとミステリー。
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