ふたりの距離の概算
評判
ふたりの距離の概算の評価:
4.04/5点 レビュー 114件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全199件 141〜160 8/10ページ
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4.04/5点 レビュー 114件。 B ランク
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物語は新しく古典部に仮入部した女生徒――大日向友子を中心に、彼女と過ごした二ヶ月の間にどのような心情の変化があったのかを模索する話です。
ええ、「過ごした」と過去形にしたように、彼女は五月の終わりに開催されるマラソン大会の前日に「入部しない」と千反田に言い残し、古典部を去って行きました。もちろん、千反田にしても他の古典部の面々にしても、大日向が急に退部を申し出た理由がわかりません。いくつか気にかかる点はあれど、それまではお互いうまくやっていけていると信じていたからです。
では、なぜ大日向は入部しないと言い出したのか?
原因はどうやら千反田にあるようで、大日向は彼女のことを「菩薩のようだ」を言いました。
菩薩――すなわち、外見に反して内面は夜叉、または鬼である、と。
この言葉にホータローは首を傾げる。すべてではないにしろ、この一年を通して千反田のことは多少理解している。そして千反田は、無闇に人を傷つける性格ではないはずだということも。
なら、「ふたりの間に生じた距離」とは何に起因するのか? マラソン大会が終わるまでに、それを突き止めるのが今回のお話です。
そんなわけで全体に渡り、かなり心理的側面が大きく関係してくることは言うまでもありません。問題はその見せ方、というか「隠し方」でしょうか。
ただ漠然と読んでいるだけでは、大日向の心の移り変わりを捉えることはできないでしょう。実際、自分もホータローの謎解きを読むまで(これは古典部シリーズでも一番重いものでした……)、ピースは揃っているのに、どう組み立てればいいかわからないもどかしさ、完成図が見えない不安さを覚えました。
推理小説には、途中で朧気ながら解決の一部が見えてくることもありますが、これは違う。
本当に「わずかな描写から深く考察していかなければ、彼女の隠された心情を発見することさえ難しい」という感じでした。
そういう意味では、今回のホータローの謎解きは見事でした。そんな細かい所からも読み取れるのか!みたいな感じで。それはつまり伏線の隠し方が非常に緻密だったことを意味します。
一方、最後の詰め――では謎を解いた上で、大日向にどう言うべきだったのか。
誤解を解くことはできる。言葉次第では、今は難しいにしろ、彼女をもう一回古典部の仲間として迎えることもできたかもしれない。
――でも、ホータローはできなかった。
それは敗北と同義なのか否か。そんな議論をここでするつもりはありませんが、個人的にはあの終わり方もありだったと思っています。
これは大日向を巡る物語であるのと同時に、古典部、そしてホータローの物語でもあるのですから。
ホータローがどのように感じ、次のときはどう行動するのか。その成長(と言ってもいいのかな?)を見守るのも古典部シリーズの魅力だと思っています。
続きもとても楽しみです。