針の眼

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針の眼の評価:

4.00/5点 レビュー 19件。 A ランク

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全30件 21〜30 2/2ページ
No.10
(4pt)

29歳のケン・フォレット恐るべし

週刊文春1980年 総合6位
MWA1979年 最優秀長編賞
スパイ小説といえば、ジョージ・スマイリー、チャーリー・マフィンを思い出してしまうのだが(ジェームス・ボンドもいるか)、本作品の主役、ヘンリー・フェイバーは、彼らとは違って、最強の敵として描かれている。大戦の趨勢を左右する証拠を自国のドイツに持ち込むべく、冷酷無比に殺人すら厭わず逃避行をつづけるフェイバーと、それを阻止しようとするゴドマリンとの頭脳戦がみどころ。フェイバーの運命を(結局は)決定づけてしまう冷え切ったルーシイとデイヴィッド夫妻、妻の死から立ち直れないゴドマリンの部下ブロックズなど、本筋にうまく絡めながらものがたりは進行していく。歴史の裏側の虚々実々を、ここまでものしている、29歳のケン・フォレット恐るべしというところか。ラストは、ホラーばりの緊迫感あり、いっき読みしてしまった。
ただ、ルーシィの”よろめき”は好悪がわかれるところ。ドナルド・サザーランド主演の映画は未見だが、内面をうまく描かないと安っぽくみえるかもね。
針の眼 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 針の眼 (新潮文庫)より
4102358099
No.9
(4pt)

29歳のケン・フォレット恐るべし

週刊文春1980年 総合6位
MWA1979年 最優秀長編賞
スパイ小説といえば、ジョージ・スマイリー、チャーリー・マフィンを思い出してしまうのだが(ジェームス・ボンドもいるか)、本作品の主役、ヘンリー・フェイバーは、彼らとは違って、最強の敵として描かれている。大戦の趨勢を左右する証拠を自国のドイツに持ち込むべく、冷酷無比に殺人すら厭わず逃避行をつづけるフェイバーと、それを阻止しようとするゴドマリンとの頭脳戦がみどころ。フェイバーの運命を(結局は)決定づけてしまう冷え切ったルーシイとデイヴィッド夫妻、妻の死から立ち直れないゴドマリンの部下ブロックズなど、本筋にうまく絡めながらものがたりは進行していく。歴史の裏側の虚々実々を、ここまでものしている、29歳のケン・フォレット恐るべしというところか。ラストは、ホラーばりの緊迫感あり、いっき読みしてしまった。
ただ、ルーシィの”よろめき”は好悪がわかれるところ。ドナルド・サザーランド主演の映画は未見だが、内面をうまく描かないと安っぽくみえるかもね。
針の眼 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 針の眼 (創元推理文庫)より
448812903X
No.8
(5pt)

たとえ結末がわかっていても

「大聖堂」のケン・フォレットのスパイ小説。
MWA最優秀長編賞受賞作で こっちのほうが「大聖堂」よりだいぶ前の作品だから、逆の紹介のほうが正しいのかもしれない。

こちらは第二次世界大戦末 ノルマンディー上陸作戦を巡るドイツスパイとMI5の攻防戦を描いた作品。史実をもとにしたフィクションという点では大聖堂と同じだが、こっちのほうが「史実をもとにした」部分が大きい。多視点で書かれていて「主人公」「主人公格」の人物が複数いるのも同じだが、とりあえず「主人公」と思われるドイツスパイ「針」には、かなり近いモデルがいるらしい。

この 「針」 が魅力的だ。
凄腕スパイだから当然でもあるのだが、ほんっとうに冷酷無比。「おれの顔なんか見るからだ」と次から次へとあっさりとヒトを殺していく。スパイらしく目立たない冴えない格好をしているにもかかわらず、女にはもてる。
対する MI5側に冒頭でリクルートされるのが、中世の大聖堂を研究している歴史の先生、ゴドリマン教授。ここで、「大聖堂」から入った私はついニヤリとしてしまう。

ヒトラーから絶大なる信頼を得ている「針」の任務は、連合軍の上陸地点が カレーかノルマンディかを探ること。連合軍側はドイツスパイの大半を二重スパイとして取り込み、おおがかりな情報攪乱作戦に出ているのだが、ヒトラーだけは直感的にそれがニセ情報だと感じている。その証拠を「針」が掴んでくれさえすれば、「正しい」地点に友軍をむけ連合軍を撃破できる。
現代に生きる読者は、結末を知っている。ナチスは負ける。D-デイは成功し、連合軍が勝利する。「針」の失敗は読者には最初からわかっているのだ。

後書きに、ケン・フォレットは後日 ハーレクインスパイ小説 と揶揄されるほどロマンスを書くとあった。「大聖堂」のロマンスシーン、ことに赤毛のジャックがお姫さまを口説くシーンは個人的にツボ直撃だったが、こちらはもっと即物的と言ってもいい。手練れのスパイらしくうぶな女を性的に篭絡していくくだり、なかなかに官能的だし、確かにねちっこくもある。だが、なるべくしてこうなったと思わせるところが、やっぱりスゴイところだろう。詳細を書くのは控えるが、クライマックスは興奮する。性的に ではない。そのあとだ。甘い官能シーンのあとだけに、気が高ぶる。これはやはり ラストバトルと呼ぶべきだろう。まさに決死の戦いなのだから。

「針」が勝つことは在り得ない。情報を無事ヒトラーに届けることは在り得ない。そう判っていてすら、手に汗握る。舞台装置も満点。

迷うことなく星五つ。
針の眼 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 針の眼 (創元推理文庫)より
448812903X
No.7
(5pt)

たとえ結末がわかっていても

「大聖堂」のケン・フォレットのスパイ小説。
MWA最優秀長編賞受賞作で こっちのほうが「大聖堂」よりだいぶ前の作品だから、逆の紹介のほうが正しいのかもしれない。

こちらは第二次世界大戦末 ノルマンディー上陸作戦を巡るドイツスパイとMI5の攻防戦を描いた作品。史実をもとにしたフィクションという点では大聖堂と同じだが、こっちのほうが「史実をもとにした」部分が大きい。多視点で書かれていて「主人公」「主人公格」の人物が複数いるのも同じだが、とりあえず「主人公」と思われるドイツスパイ「針」には、かなり近いモデルがいるらしい。

この 「針」 が魅力的だ。
凄腕スパイだから当然でもあるのだが、ほんっとうに冷酷無比。「おれの顔なんか見るからだ」と次から次へとあっさりとヒトを殺していく。スパイらしく目立たない冴えない格好をしているにもかかわらず、女にはもてる。
対する MI5側に冒頭でリクルートされるのが、中世の大聖堂を研究している歴史の先生、ゴドリマン教授。ここで、「大聖堂」から入った私はついニヤリとしてしまう。

ヒトラーから絶大なる信頼を得ている「針」の任務は、連合軍の上陸地点が カレーかノルマンディかを探ること。連合軍側はドイツスパイの大半を二重スパイとして取り込み、おおがかりな情報攪乱作戦に出ているのだが、ヒトラーだけは直感的にそれがニセ情報だと感じている。その証拠を「針」が掴んでくれさえすれば、「正しい」地点に友軍をむけ連合軍を撃破できる。
現代に生きる読者は、結末を知っている。ナチスは負ける。D-デイは成功し、連合軍が勝利する。「針」の失敗は読者には最初からわかっているのだ。

後書きに、ケン・フォレットは後日 ハーレクインスパイ小説 と揶揄されるほどロマンスを書くとあった。「大聖堂」のロマンスシーン、ことに赤毛のジャックがお姫さまを口説くシーンは個人的にツボ直撃だったが、こちらはもっと即物的と言ってもいい。手練れのスパイらしくうぶな女を性的に篭絡していくくだり、なかなかに官能的だし、確かにねちっこくもある。だが、なるべくしてこうなったと思わせるところが、やっぱりスゴイところだろう。詳細を書くのは控えるが、クライマックスは興奮する。性的に ではない。そのあとだ。甘い官能シーンのあとだけに、気が高ぶる。これはやはり ラストバトルと呼ぶべきだろう。まさに決死の戦いなのだから。

「針」が勝つことは在り得ない。情報を無事ヒトラーに届けることは在り得ない。そう判っていてすら、手に汗握る。舞台装置も満点。

迷うことなく星五つ。
針の眼 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 針の眼 (新潮文庫)より
4102358099
No.6
(4pt)

読みやすいです

超が付くプロフェッショナルなドイツのスパイと、そのスパイが特A級の情報を本国に持ち帰るのを阻止すべく後を追うイギリス人達の話。スパイものの小説はあまり読んだ覚えが無いのですが、さくさく読めました。創元文庫は文字が小さくてびっちりとページが文字に埋め尽くされてるので、読むのに時間がかかるイメージですが(それが本を読んだ満足感を与えてくれて好きなのですが)、訳が読みやすく、話のテンポも良いからさくさく読めるのだと思う。史実と、歴史上の空想物語を上手く絡めてまとめ上げた良作だと思います。
針の眼 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 針の眼 (新潮文庫)より
4102358099
No.5
(4pt)

読みやすいです

超が付くプロフェッショナルなドイツのスパイと、そのスパイが特A級の情報を本国に持ち帰るのを阻止すべく後を追うイギリス人達の話。スパイものの小説はあまり読んだ覚えが無いのですが、さくさく読めました。創元文庫は文字が小さくてびっちりとページが文字に埋め尽くされてるので、読むのに時間がかかるイメージですが(それが本を読んだ満足感を与えてくれて好きなのですが)、訳が読みやすく、話のテンポも良いからさくさく読めるのだと思う。史実と、歴史上の空想物語を上手く絡めてまとめ上げた良作だと思います。
針の眼 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 針の眼 (創元推理文庫)より
448812903X
No.4
(4pt)

ふたり

物語に重要な人物がふたり登場する。
前半では切れ者のスパイの冷徹な判断力と行動に舌を巻く。
後半の、ふたり目の重要人物は女性である。
彼女と出逢ったところから彼の判断力は変調をきたし・・・
島での後半部分が、最初から登場するスパイの視線で一貫して物語を描いてあれば
かなり違った印象になったかもしれません。
つくづく、女って怖いですねぇ〜、と。
訳文が平易で、あっという間に読めてしまう面白いスパイ小説です。
針の眼 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 針の眼 (新潮文庫)より
4102358099
No.3
(5pt)

歴史の “if ”を魅力的な冒険スパイ小説に昇華させた傑作

本書は、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」の’79年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)受賞作であり、日本では’80年、当時国内と海外両方併せてベスト10を選んでいた「週刊文春ミステリーベスト10」の第6位にランクインしており、オールタイム・ベストにも名を連ねる冒険スパイ小説である。
第二次世界大戦も終盤、ヒトラーの信任厚い英国潜伏中のスパイ、コードネーム≪針≫ことヘンリー・フェイバーは、連合軍の欧州進攻に関する極秘情報を入手した。彼はドイツへ自らそれを持ち帰ろうとする。前半はフェイバーが、袖に隠した錐のような小型の短剣、スティレットを必殺武器に、冷徹なプロ意識と酷薄さで英国情報部の追跡をかいくぐるスリリングな脱出行が展開される。
後半に入ると、嵐のためUボートと接触できず、北海の小島に流れ着いたフェイバーを助けたそこで暮らすローズ一家、とりわけ妻のルーシイが主役となる。彼女は新婚旅行中の事故で両足を失った夫と幼い息子と住んでいるのだが、鬱屈した日々を送っていた。フェイバーとルーシイは道ならぬ関係に陥るのだが、最後に手に汗握る対決をすることになる。
緊迫感あふれる防諜戦と活劇、ルーシイの視点で綴られる、絶海の孤島で静かに崩壊してゆく夫婦関係の微妙な心理の綾。この両者が巧みにあいまって、嵐の夜のクライマックスへとなだれ込んでゆく。本書を単なる冒険スパイ・アクション小説を超えた名作にしているケン・フォレットのうまいところである。
本書は、歴史の“if ”を、見事なエンターテインメントとして昇華させた傑作である。
針の眼 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 針の眼 (創元推理文庫)より
448812903X
No.2
(5pt)

歴史の “if ”を魅力的な冒険スパイ小説に昇華させた傑作

本書は、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」の’79年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)受賞作であり、日本では’80年、当時国内と海外両方併せてベスト10を選んでいた「週刊文春ミステリーベスト10」の第6位にランクインしており、オールタイム・ベストにも名を連ねる冒険スパイ小説である。
第二次世界大戦も終盤、ヒトラーの信任厚い英国潜伏中のスパイ、コードネーム≪針≫ことヘンリー・フェイバーは、連合軍の欧州進攻に関する極秘情報を入手した。彼はドイツへ自らそれを持ち帰ろうとする。前半はフェイバーが、袖に隠した錐のような小型の短剣、スティレットを必殺武器に、冷徹なプロ意識と酷薄さで英国情報部の追跡をかいくぐるスリリングな脱出行が展開される。
後半に入ると、嵐のためUボートと接触できず、北海の小島に流れ着いたフェイバーを助けたそこで暮らすローズ一家、とりわけ妻のルーシイが主役となる。彼女は新婚旅行中の事故で両足を失った夫と幼い息子と住んでいるのだが、鬱屈した日々を送っていた。フェイバーとルーシイは道ならぬ関係に陥るのだが、最後に手に汗握る対決をすることになる。
緊迫感あふれる防諜戦と活劇、ルーシイの視点で綴られる、絶海の孤島で静かに崩壊してゆく夫婦関係の微妙な心理の綾。この両者が巧みにあいまって、嵐の夜のクライマックスへとなだれ込んでゆく。本書を単なる冒険スパイ・アクション小説を超えた名作にしているケン・フォレットのうまいところである。
本書は、歴史の“if ”を、見事なエンターテインメントとして昇華させた傑作である。
針の眼 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 針の眼 (新潮文庫)より
4102358099
No.1
(4pt)

鉄の女の伝統

K.フォレットの代表作。第2次世界大戦中のスパイ物だが、趣向の奇抜さで読む者を驚かせる。ドイツのスパイ「針」がイギリスの機密を盗むのはありきたり。「針」が帰りの航海で遭難し、ある島に漂着するのも平凡。しかし、その島に住む夫婦の妻と「針」が恋愛感情を持つようになってから話はおかしくなる。
これはラブ・コメディかと思わせておいて、「針」の正体が分かってからは二人の死闘が始まる。通常なら、奮戦している彼女に救いの手が差し伸べられるのが定石だ。ところが、最後まで彼女は一人で戦い、何と「針」を打ち倒すのだ。まさに"鉄の女"。そして最後に待っているエピソードが微笑ましい。そう言えば、この物語の語り手は...。
イギリス女性の鋼の強さに圧倒されるスパイ小説の傑作。
針の眼 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 針の眼 (新潮文庫)より
4102358099