旧友は春に帰る

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旧友は春に帰るの評価:

4.12/5点 レビュー 25件。 A ランク

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平均点4.12pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全32件 21〜32 2/2ページ
No.12
(5pt)

「ススキノ便利屋探偵」の苦く切ないサウダージ…


 もとよりネタバレ的なことは書けないが、この長編小説は「ススキノ便利屋探偵」こと《俺》の52歳の時の作品だ。むろん、シリーズ当初からの常連である相棒の《高田》や「北海道日報」の《松尾》、バー「ケラー」のマスター《大畑》やバーテンダーの《岡本》、組長の《桐原》や元片腕の《相田(ただし、難病で寝たきり)》などの面々は一応達者のようである。さらに、シリーズ途中から加わった元刑事の《種田》やゲイダンサーの《アンジェラ》、そして何より《俺》と“イイ関係”の《松江華》といったメンバーも、頗る元気だ。なお、中学国語教師との間に出来た《俺》の一人息子は「来年、北大卒業だ。今は就職活動の真っ最中らしい」(p.405)とのことである。

 本作を読み通して、まず感じたのは、作者の東直己さんも《俺》も“円熟味”を増したかな、ということだ。もちろん、「車は運転しない。ケータイは持たない。クレジットカードは持たない」(p.160)、加えてトイレはシャワー付きでないとダメ、などといった《俺》の“生き方”には些かの変化もない。また、自語での強烈な悪態も、以前よりは幾分影を潜めつつあるものの、「いかにも今風の低脳、「ゆとり教育」に、すっかりゆとられ果てました、というのろまな薄バカ丸出しのガキだ」(p.395)といった調子で、ところどころ、猛烈に炸裂しているので、ご安心を…(笑)。ただ、さすがにIT時代ともなって、PCは使うようになったし、e-mailを飛ばすようにはなったが…。

 もう一つ、この作品の大きな特徴は、シリーズ第一作『探偵はバーにいる』(ハヤカワ文庫,1995年)への“揺り戻し”が起こっていることだ。正直、これは「上手い!」と、私には思われた。確かに、《俺》と逃避行する《モンロー(本名は当書で…)》や北大仏文の《西田》との関わりは、「四半世紀」過ぎても、本編だけ読んでも分かる仕掛けにはなっている。しかし、分かるには分かるのだが、こうなると悔しいけれど、長編第一作目を書棚から引っ張り出さざるを得なくなる。これはもう、参ったな、としか言いようがない。しかもラストはやるせないぜ…。最後に、悔しいので一発。「ロテル・グラン・ユーパロ」での《モンロー》の部屋番号は、どうして分かったのかな。
旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152090448
No.11
(5pt)

「ススキノ便利屋探偵」の苦く切ないサウダージ…


 もとよりネタバレ的なことは書けないが、この長編小説は「ススキノ便利屋探偵」こと《俺》の52歳の時の作品だ。むろん、シリーズ当初からの常連である相棒の《高田》や「北海道日報」の《松尾》、バー「ケラー」のマスター《大畑》やバーテンダーの《岡本》、組長の《桐原》や元片腕の《相田(ただし、難病で寝たきり)》などの面々は一応達者のようである。さらに、シリーズ途中から加わった元刑事の《種田》やゲイダンサーの《アンジェラ》、そして何より《俺》と“イイ関係”の《松江華》といったメンバーも、頗る元気だ。なお、中学国語教師との間に出来た《俺》の一人息子は「来年、北大卒業だ。今は就職活動の真っ最中らしい」(p.405)とのことである。

 本作を読み通して、まず感じたのは、作者の東直己さんも《俺》も“円熟味”を増したかな、ということだ。もちろん、「車は運転しない。ケータイは持たない。クレジットカードは持たない」(p.160)、加えてトイレはシャワー付きでないとダメ、などといった《俺》の“生き方”には些かの変化もない。また、自語での強烈な悪態も、以前よりは幾分影を潜めつつあるものの、「いかにも今風の低脳、「ゆとり教育」に、すっかりゆとられ果てました、というのろまな薄バカ丸出しのガキだ」(p.395)といった調子で、ところどころ、猛烈に炸裂しているので、ご安心を…(笑)。ただ、さすがにIT時代ともなって、PCは使うようになったし、e-mailを飛ばすようにはなったが…。

 もう一つ、この作品の大きな特徴は、シリーズ第一作『探偵はバーにいる』(ハヤカワ文庫,1995年)への“揺り戻し”が起こっていることだ。正直、これは「上手い!」と、私には思われた。確かに、《俺》と逃避行する《モンロー(本名は当書で…)》や北大仏文の《西田》との関わりは、「四半世紀」過ぎても、本編だけ読んでも分かる仕掛けにはなっている。しかし、分かるには分かるのだが、こうなると悔しいけれど、長編第一作目を書棚から引っ張り出さざるを得なくなる。これはもう、参ったな、としか言いようがない。しかもラストはやるせないぜ…。最後に、悔しいので一発。「ロテル・グラン・ユーパロ」での《モンロー》の部屋番号は、どうして分かったのかな。
旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)より
4150310424
No.10
(5pt)

変わるべきものと変わるべきでないことをわきまえて歳をとりたい

作品とともに歳をとった「俺」と時間を共有した気分でいたところに1作目に登場したモンローが助けを求めてきます。25年の空白を経て現れたモンローの美貌は時間の洗礼を受けています。にもかかわらず言動が変わらないモンローが痛々しかったです。

時とともに変わるべきでないこと、変わるべきことがあり、それを間違うと無残な年の取り方をすることを本書は語っているように思います。25年を経て頑固な「俺」も丸くなっていますが、根っこは変わっていません。変わるべきものと変わるべきでないことをわきまえた年の取り方をしたいものです。
旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152090448
No.9
(5pt)

変わるべきものと変わるべきでないことをわきまえて歳をとりたい

作品とともに歳をとった「俺」と時間を共有した気分でいたところに1作目に登場したモンローが助けを求めてきます。25年の空白を経て現れたモンローの美貌は時間の洗礼を受けています。にもかかわらず言動が変わらないモンローが痛々しかったです。

時とともに変わるべきでないこと、変わるべきことがあり、それを間違うと無残な年の取り方をすることを本書は語っているように思います。25年を経て頑固な「俺」も丸くなっていますが、根っこは変わっていません。変わるべきものと変わるべきでないことをわきまえた年の取り方をしたいものです。
旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)より
4150310424
No.8
(4pt)

シリーズ、で一番かな。

たぶん、シリーズで一番おもしろい。
というか、
一番好み。

一作目のキーパーソンだった少女モンローが、
沖縄から北海道に戻ってきた。
昔の女ではない、
旧友の「助けて」のメッセージに、
“俺”は動きだした。

“俺”が年をとったからなのかどうかわからないが、
だいぶ、落ち着いたというか、
気が長くなったというか、
一人称での粗暴な感じが、
薄くなっている。
まぁ、それは、
作者の狙い通りだろうけど。

推理の部分が色濃く、
特に四億円がらみの部分は、
感心しました。
すげーアクロバット!!
でも、
なんかリアリティがあって、
元ネタがあるのでは、
と思いました。

オチの付き方が、
まぁ、もう一つとも言えるけど、
落ち着くところに落ち着いたのかな。
ドラマの展開としても、
人間関係の在り方も、
シリーズで一番好きな作品でした。
旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152090448
No.7
(4pt)

シリーズ、で一番かな。

たぶん、シリーズで一番おもしろい。
というか、
一番好み。

一作目のキーパーソンだった少女モンローが、
沖縄から北海道に戻ってきた。
昔の女ではない、
旧友の「助けて」のメッセージに、
“俺”は動きだした。

“俺”が年をとったからなのかどうかわからないが、
だいぶ、落ち着いたというか、
気が長くなったというか、
一人称での粗暴な感じが、
薄くなっている。
まぁ、それは、
作者の狙い通りだろうけど。

推理の部分が色濃く、
特に四億円がらみの部分は、
感心しました。
すげーアクロバット!!
でも、
なんかリアリティがあって、
元ネタがあるのでは、
と思いました。

オチの付き方が、
まぁ、もう一つとも言えるけど、
落ち着くところに落ち着いたのかな。
ドラマの展開としても、
人間関係の在り方も、
シリーズで一番好きな作品でした。
旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)より
4150310424
No.6
(5pt)

やっぱり良いですね

ススキノ探偵映画化のニュースを機に、改めて読み返してみました。
 驚いたことに、ストーリーは、ほとんど忘れていました。
 やや焦りながら、本棚から、他の旧作も引っ張り出したけど、見事に忘却の彼方に・・・。
 新鮮に読めた分、得をした気分だけど、印象がよみがえり読んだことを思い出せたのは、例えば、
・チンピラが、いわゆる「イタ車」を運転している場面
・親分が、液晶大画面TVの普及に腹を立てながら、プロジェクターのスクリーンを見る場面
など、本筋を外れたところばかりでした。
 たぶん、この作家のこんなところが好きで、読み続けているんだろうな、と思いました。
旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152090448
No.5
(5pt)

やっぱり良いですね

ススキノ探偵映画化のニュースを機に、改めて読み返してみました。
 驚いたことに、ストーリーは、ほとんど忘れていました。
 やや焦りながら、本棚から、他の旧作も引っ張り出したけど、見事に忘却の彼方に・・・。
 新鮮に読めた分、得をした気分だけど、印象がよみがえり読んだことを思い出せたのは、例えば、
・チンピラが、いわゆる「イタ車」を運転している場面
・親分が、液晶大画面TVの普及に腹を立てながら、プロジェクターのスクリーンを見る場面
など、本筋を外れたところばかりでした。
 たぶん、この作家のこんなところが好きで、読み続けているんだろうな、と思いました。
旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)より
4150310424
No.4
(4pt)

今作もそれなりに

シリーズ10作目を飾る490ページの長編。懐かしいキャラクターたちとの再会、そしてお約束な展開で裏の世界に引き込まれていく。今作もそれなりに面白かった。
旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152090448
No.3
(4pt)

今作もそれなりに

シリーズ10作目を飾る490ページの長編。懐かしいキャラクターたちとの再会、そしてお約束な展開で裏の世界に引き込まれていく。今作もそれなりに面白かった。
旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)より
4150310424
No.2
(5pt)

日本の探偵小説の最高峰

本作品は「ススキノ探偵シリーズ」の第10作目だ。
近年、新作の出版がこんなに待ち遠しい作家もいな
い。完成された文体、計算され尽くしたプロット、
東直己は作家として円熟期に入ったと言っても過言で
はないだろう。

実は私はこの作家の存在を今年(2009年)まで知らな
かった。知人から「探偵・畝原シリーズ」を紹介され、
その面白さに驚愕しつつ一気に読み終え、さらにこの
「ススキノ探偵シリーズ」9作品も一気に読んだ。
本読み、とりわけミステリ小説に目が無い自分に取っ
て、その期間は至福の時であった。

日本において「探偵小説」というジャンルが成立しうる
のか?この点において、東直己は見事に成功をおさめて
いる。畝原もススキノの便利屋もそれぞれ探偵としてリ
アルに描かれており、全く違和感が無い。全編に漂う緊
張感と人間の哀しみみたいなものが、ストレートに読者
の胸を打つ。
何故、この作家が今まであまり評価されていないのか、
とても不思議だ。単純に新聞や雑誌の書評に頼っていて
は、本当に良い作品を見落としてしまうという事がよく
分かった。

本作「旧友は春に帰る」は、単独で読むよりも、面倒で
も第1作目の「探偵はバーにいる」から読んだ方が、より
胸にしみるだろう。そして、その時間はあなたにとって、
素晴らしい体験であり、幸せをもたらすこと請け合いだ。

旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)より
4150310424
No.1
(5pt)

日本の探偵小説の最高峰

本作品は「ススキノ探偵シリーズ」の第10作目だ。
近年、新作の出版がこんなに待ち遠しい作家もいな
い。完成された文体、計算され尽くしたプロット、
東直己は作家として円熟期に入ったと言っても過言で
はないだろう。
実は私はこの作家の存在を今年(2009年)まで知らな
かった。知人から「探偵・畝原シリーズ」を紹介され、
その面白さに驚愕しつつ一気に読み終え、さらにこの
「ススキノ探偵シリーズ」9作品も一気に読んだ。
本読み、とりわけミステリ小説に目が無い自分に取っ
て、その期間は至福の時であった。
日本において「探偵小説」というジャンルが成立しうる
のか?この点において、東直己は見事に成功をおさめて
いる。畝原もススキノの便利屋もそれぞれ探偵としてリ
アルに描かれており、全く違和感が無い。全編に漂う緊
張感と人間の哀しみみたいなものが、ストレートに読者
の胸を打つ。
何故、この作家が今まであまり評価されていないのか、
とても不思議だ。単純に新聞や雑誌の書評に頼っていて
は、本当に良い作品を見落としてしまうという事がよく
分かった。
本作「旧友は春に帰る」は、単独で読むよりも、面倒で
も第1作目の「探偵はバーにいる」から読んだ方が、より
胸にしみるだろう。そして、その時間はあなたにとって、
素晴らしい体験であり、幸せをもたらすこと請け合いだ。
旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド) Amazon書評・レビュー: 旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152090448