左手に告げるなかれ
評判
左手に告げるなかれの評価:
2.81/5点 レビュー 27件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1〜14 1/1ページ
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左手に告げるなかれの評価:
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やっとそんな生活、気持ちになれました。だからやっと手に取れたこの名著です。本書が刊行された96年は私には地元の阪神大震災の翌年で、本を読むという事が為せなかった。東京ではずっとオウム教の僥倖が…という時。そしてミレニアム、明けてのシドニー五輪とそれに続く911。絶望的に世界と自分が高速でかき混ぜられて、座っていても座っていない様な感覚だった。のだと思う。それから暫くは震災からの後遺症の様な出来事が消えず(消える筈もなく)、本より映像、本より行動の年月がその後10余年の私になる。
軽く20歳、年も取って、もう私の世代ではなくなった世の中を実感して、同じスピードの筈の時間が以前よりゆっくりし始めた。読みたかった本、記憶は鮮明にこの「左手に」にあった。私自身が左利きだから、忘れる訳もなくて。そして読んでみると…私にも書けそうな気がして来る優しい文。写実性に溢れた書物はやっと17世紀ごろから現れたらしいが、小説、novel、という語は、新しいという意味があったらしいです。その頃から昔々の小説は本書の様に描写が長くて私には素敵です。昨今の何でもサクッというのしかお呼びでない、凹みもしない世代とは違い。そういう時間の流れも本書は私に合っていそうです。良かった、そんな感じが。
スリ、痴漢、手品は三大指先の出来事だと思う私ですが、昔々の私の彼女は私は放っといたら悪い方へ行く人、と私を評しました。自覚は全くない。スリ自体がそんな無自覚なのだろうか。でもスリくらい「五分の魂」なんて言い訳が効かないものもない。仕事で怒鳴り合い、殴り合いになっても幾らかは理由は認められても。その許されないものに興味が湧くのが、彼女が見抜いた私の性(たち)なんだろうか、と思いながら、それも確かめる為に読んでいる私です。スリに私を投影しているのでも決してないつもりですが。読めて幸せ感はやっぱりあります。カヌレと同じくらい良い香りの本書です。カヌレなんて言ってますが20年前にはなかったろうに。