君たちに明日はない

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

君たちに明日はないの評価:

3.70/5点 レビュー 105件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.70pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全162件 121〜140 7/9ページ
No.42
(4pt)

深刻な問題を明るく解決

リストラという社会人にとっては一番深刻な問題をサラッと解決しており、読み終わったあとの爽快感は十分に味わえます。主人公の恋愛観や人生観も織り交ぜて非常に楽しく読む事が出来ます。その分だけ読み終わった後に特に印象に残るような内容がない事に気づきます。息抜き程度に読める小説としては満点かもしれません。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.41
(3pt)

湘南ダディは読みました。

このタイトルで想像されるようなライトノベルではありません。主人公の村上真介の勤める会社は日本ヒューマンリアクトといういわばリストラ屋、人員削減が必要な会社の委託を受けて会社側が退職させたい社員と面接を行い、転退職をすすめる企業です。本来であればその会社の人事部や総務部がやるべき仕事ですが、このような代行会社を利用した方が社内摩擦も起こりにくく、情実も入りにくいというメリットがあります。こんなビジネスが労働基準法的に許され実際に存在するのかどうか知りませんが、このアウトソーシングの世の中、いかにもありそうなビジネスモデルで、これを作品化した著者の着目点はなかなかフレッシュだと思います。
お話は各章毎に建材メーカの営業部長や企画推進の課長代理、玩具メーカの開発主任、大手銀行の為替電信部員、自動車者企業向け派遣企業のイベントコンパニオン、レコード会社のプロデューサと5種類の企業のリストラ話となっており、それぞれの企業がおかれた産業構造や、リストラが必要となった会社の事情がよく調べられているリアリティに富んだストーリーになっています。しかしながらこの書名にしても、あるいはACT1からACT5とされる横書きの目次やカバーのイラストにしても作者はあえてそうしたのでしょうが、一見ライトな感じに演出されています。別に深刻ぶった小説が好きなわけではありませんが、本書は手軽によめるビジネス小説などと一括りにされるようなもの以上の中身があります。文章も味わいは別として表現に破綻はありません。
リストラ面接対象者であった8歳年上の陽子との恋愛が各章をつなぐ縦糸として描かれており、少し描写が生臭さすぎるとの評価もあるようですが、私は小粋な都会風の映画のラストシーンのような仕上がりの本書の最後を読むと、この陽子とのエピソードは作者が最初から綿密に仕組んだ見事な起承転結になっているのだと感心しました。
君たちに明日はない Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はないより
4104750018
No.40
(3pt)

相変わらずの読みやすさ

リストラ専門の外部委託会社に勤める主人公:村上真介はリストラ対象者の面接を終えて考える。「こんな仕事のどかがいいのか,わからない・・・」そんなとき,真介は一人の8歳年上40代の女性:芹沢陽子という気の強い女性の面接を担当する・・・
様々な会社のリストラの面接を担当しながら,主人公が自らの人生を回顧し,これからの自分の人生について考えていくと言うストーリー。この作者の他の作品に漏れない大変読みやすいものであるが,多少内容が薄いというか,物足りない感じがするのは否めない。同時期発売の新書『借金取りの王子』が続編に当たるらしいが,同作品を買ってまで読もうという気は起こらない。しかし,読みやすく面白い作品ではある。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.39
(3pt)

そこそこ

状況設定、トピック、キャラはおもしろいと思うが、どの話も中途半端に終わった感があり、もの足りなかった。設定が良いだけに勿体無いと感じた。
進んで読む価値はないと思う。暇つぶしに良い一冊。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.38
(2pt)

しれ切れトンボ

 5編の短編が収められていますが、どの話も尻切れトンボみたいに途中で終わってしまい不満です。続編で『借金取りの王子』という作品があるそうなのでそちらの方を読んでみたいと思います。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.37
(4pt)

早期退職者の心の葛藤をうまく表現している

本小説は、五編の短編で構成されている。
その内訳は、建材メーカ、玩具メーカー、メガバンク、コンパ
ニオン派遣会社、音楽プロダクションのリストラである。
主人公の村上真介は、33歳の若者でリストラを専門に
請け負う日本ヒューマンリアクト株式会社に勤めている。
話の内容は、リストラを請け負った面接官(村上)と早期
退職を受け入れざるを得ない状況に追い込まれる被面接者の
話であり、重いテーマであるリストラを小説としてうまく
まとめているのに感心した。
読んでいて、被面接者がこのまま会社にすがりつくべきか、
早期退職を受け入れるべきかの選択に悩んでいる、切ない
気持ちがとても良く表現されていた。
君たちに明日はない Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はないより
4104750018
No.36
(3pt)

初めて読んだ著者の作品。きっと実力はあるのだと思うが・・・

初めて読んだ著者の作品。リストラ業務請負業者という発想もいいし、リーダビリティも高いのだが、奥田英朗の二番煎じではないかという思いは最後まで拭いきれなかった。
たしかに、この作品ではリストラという深刻な題材を扱っているが、お笑いの要素がかなり濃い「伊良部先生シリーズ」だって扱われている題材は現代社会が抱える深刻な問題だ。ただし、現在の同シリーズ最新作「町長選挙」は別で、これは多少悪乗りし過ぎの感があるが。
他にも書かれている方がいるとおり、こういったシチュエーションを書かせたら奥田英朗の方が巧いし、登場人物のキャラも立っている。明らかな違いは、奥田英朗の作品には直接的な性描写がなく、この作品には結構登場するといったことくらいか・・・。でもこの性描写もよくある常套句ばかりが並んでいるので興醒めしてしまう。
奥田英朗の作品を読んでいなければ評価は高かったような気もするが・・・。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.35
(2pt)

リアリティー無いじゃん

篠田節子が解説で、こう書いている。設定部分でいかに大嘘をつくか。それが小説の面白さを決定する。しかし嘘が大きければ大きいほど、細部のリアリティーの積み重ねが重要になる。え?細部にリアリティー無いじゃん。例えばFile5のアンケート、匿名なら本音を書くって?有り得ない。有り得ないですよ。オレだって書かないよ。そして、あの結果。これは、小学生向けの道徳の教科書か?正攻法が嫌いなのではない。むしろ大好きだ。この作家には、技術が無いと僕は言いたいだけ。奥田英朗の伊良部シリーズの醜悪なパロディにしか思えない。唯一「旧友」は、悪くない。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.34
(5pt)

「明日は明日の風が吹く」と思える物語

「リストラ請負会社」と言われてリアリティを感じてしまったところに、昨今の我が国の世知辛さが身に沁みる。その面接官が主人公の連作短篇集なので、奥田英朗の「最悪」(講談社)みたいな「どん底の連鎖」の重圧に満たされるかと思いきや、そうではない。「人生の岐路」を間に挟んで、下す側の青年の仕事に対する真摯なひたむきさ、下される側のこれまでの来し方を踏まえた上での葛藤、不確かだけれども将来への展望に、励まされ救われる。本書の題名「君たちに明日はない」は非常に逆説的な意味を持っているのだ。どの話もハッピーエンドで終わる訳ではない。リストラを迫られる現状は何も変わらない。だが最後には、一陣の涼風が駆け抜けていくような、気がついたら世界が前向きに再構築をなされたような感じで、「よし!」と握りこぶしを固める登場人物たちに強く共感していた。ぼくも頑張ろうと思った。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.33
(2pt)

深みがなくて残念です

君たちに明日はない、題名が今の時代にふさわしいリストラ問題を扱っていてすごい興味があって読んだのですが、主人公がなにか大雑把な感じで次々と面接をしてリストラを言い渡すのですが、こういう面接官の知性もあまりない落ちこぼれの人が人の人生を左右する仕事ができるのか、小説の世界だからと言ってしまえば、それだけですが、もっと面接官が深みがあってもいいのでは、全体に流れが安易で、唯一主人公がこんな仕事やっていいのだろうかと反省するところで、ほかは感激するところもありませんでした。
それと主人公の時折乱暴な投げやりの言葉も気になりました。あと、ホテルの場面で表現も遠慮したくなるような箇所があって文学か風俗かというところもすごく気になりました。
読者三者三様で見方も大きく違うでしょうが、もっと面接官としての重み、時に自分の仕事に悩み、リストラされる人にほんの少しだけ優しさの片鱗見せる、そんな物語であってほしかったです。お節介ですが、もっと深みがないとそのうち筆者が明日はない可能性がないのではと思いました。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.32
(5pt)

第18回山本周五郎賞受賞作品

第18回山本周五郎賞受賞作品。
リストラをうけおう会社「日本ヒューマンリアクト」の社員・村上真介が担当する案件と、それにかかわる人物を描いた5編の連作中編集。
精神科医伊良部と患者達のエピソードを描いた奥田英郎の「空中ブランコ」の構成と同じと書くとわかりやすいだろうか。
ひさしぶりに「一気読み」した作品である。
会社から「リストラ」を言い渡される人物達。あるものは予期し、またあるものは予期し得なかった宣告であるが、各人が当初は「リストラ」に打ち負かされながらも、徐々に消化し、解決していく様が痛快であった。「笑い」と「泣かせ」のツボをこころえた秀作である。
強いて難点をあげるとすれば、登場人物がどういう結論にいたったのかあいまいな作品がいくつかあり、この手の作品では、ミエミエデもいいから、はっきりとした結論をしめしてもらうと、私としてはすっきりした。
続編の「借金取りの王子」もお薦め。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.31
(1pt)

作品全体を覆う汚ならしさ

なぜこれが山本周五郎賞で、これほど多くの人に評価されているのでしょうか?
最後まで読めばわかるのだろうかと、苦痛に耐えて読破したが、答えは『?』のまま。
まず、登場人物の造形が浅い。主人公の真介の底の浅さのごとく、
誰にも感情移入することができない。
特に、もう一人の主人公、陽子。仕事のできる気の強い女だが、可愛げもある、という
ふうに読者に思わせたいようだが、単なる思い込みとゴリ押しで生きて来た年増女と
しか思えない。真介の年上女性好みも、必然性がサッパリ感じられない。単なる
熟女好きか、マザコンの変形としか思えず、気持ちが悪い。
気持ちが悪いといえば、この作者の性描写の気持ち悪さといったらない。
汚ならしいことこのうえない。おぞましい。
作品中、繰り返し出て来る「ナマな」とか「ナマっぽい」という表現にもヘキエキ。
プロの作家が、こういう言い回しを繰り返すって、「?』。
会社小説ですから、いろいろな業界の、会社や仕事の内容については
よく書かれているけれど、別にノンフィクションじゃないんですからね。
涙と笑いの希望を与える小説、なんて言われてるようだけど、私はこれを読んで
明日からの生きる気力が萎えました。うっ、思い出すと気持ち悪。。。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.30
(4pt)

力量は評価すべきでしょうが...。

題名に惹かれて購入しました。
垣根涼介の作品は、ヒートアイランド、午前三時のルースター、ギャングスター・レッスンを読んでおりますが、これらの作品とは全く性格の違う作品です。
リストラ請負会社に勤務する「村上真介」が主人公です。
退職を勧告する側とされる側の人生模様がシリアスになり過ぎずに軽妙に描写されています。
万人受けしそうもないテーマに取り組み新境地を切り開いた事とその力量は評価すべきなんでしょうが、私は緊張感に包まれながら読み進めていく垣根涼介の従来の世界の方が好きです。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.29
(4pt)

重いテーマを軽く読ませる

主人公の村上真介は、企業の人員削減を支援する会社に勤務しており、人員削減候補となっている社員と面接して中途退職を受け入れさせるのが仕事だ。
面接相手のリストラ候補社員も自分の生活がかかっているので、簡単に中途退職を受け入れるものはいない。従って、社員の過去の勤務実績、成果と失敗、不祥事、今後の昇進見込などを調べ上げて、現時点で退職するのが最善の選択であることを相手に受け入れさせるのが腕の見せ所だ。
この通り本書の扱うテーマはかなり重いが、主人公の真介や彼を取り巻く人間のキャラクターが軽いこともあり、雰囲気は妙に明るい。その一方で、真介自身も軽く生きているように見えて、それなりの挫折や過去の苦い恋人との別れがあることもさらっと描かれていたりして、この重さと軽さの微妙な兼ね合いが本書の魅力の一つだ。
自分がこのように退職勧告を受けたらどのように反応するだろうと考えながら読むと、ずしんと重くなってしまうが、そのようなことを考えずに一歩離れて読むと、様々な人間模様が巧みに描かれており、クライアントの企業も建材会社、玩具メーカー、大手都銀、大手自動車会社など様々で、業界の裏側を覗くことができるので、楽しむことができると思う。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.28
(5pt)

息つかせぬスピーディーな展開と面白さ

アマゾンの「おすすめ」で偶然見つけた、山本周五郎賞受賞の本である。一般企業から依頼を受けて、社員の退職斡旋を請け負い、高い成功率でノルマをこなす退職斡旋専門会社に勤める主人公。退職斡旋をする相手は、辞めさせられて当然の人から、能力があるにもかかわらず派閥争いの都合で辞めさせられてしまう人まで多種多様であるが、主人公はプロ意識をもって冷徹に自分の仕事を進めようとする。ところが、色々な人間関係のしがらみで、どうしても自分の役割に徹しきれないところが主人公のかわいいところ。小説は、退職斡旋される対象にしたがって5つの章に分かれており、章が進むごとに主人公が成長していく。間延びすることなくテンポよく話が進むので、読み手の方も休みをもらえず、一気に読み進めるしか仕方ない。ちょっと不必要に下品な箇所が数カ所散見されることを除けば、気楽に読めるエンタテイメント小説である。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.27
(4pt)

リストラ面接官の話 でも楽しくさらりとよめます

この作家の作品は、はじめてよみましたので、純粋にこの本のことだけしか書けないのですが、
一言で言うなら、テーマは重いがさらりと楽しく読めるといった印象です。
リストラ面接官の主人公とその彼が面接する様々な職業の会社員たち。
面接を受ける側の人たちのいろいろな人生が、面接会場での会話の中から、どんどんうかびあがっていく。
この面接での質問、答えという制約された会話が、おもしろくってだんだんひきこまれていきます。
こりゃ、やられた!という感じでした。
一話完結型であり、主人公もかっこいいジャニーズ崩れといった設定なので、連続ドラマ化にも良いのでは?と思いました。
会社員のわたくしとしては、「リストラ」というテーマが身につまされるものがあり、手ばなしには楽しめない複雑な気持ちもありましたが・・・。
これも作者の作戦か?
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.26
(3pt)

面白いのだが何かが足らない。WILDなSOULだろうか?

あの垣根涼介が山本周五郎賞を受賞?と何か賦におちない気分で読み始めた。お馴染みのアウトローたちの姿はなく、日本のどこにでもある社会の一面を「リストラ」というテーマで切り取った作品群となっている。凄腕の面接担当官とリストラ候補者との会話は面白く、笑いありペーソスあり、はたまた業界固有の薀蓄も含まれ、確かにかなり面白い現代小説に仕上がっている。
しかし、しかしである。新しい読者層からお叱りを受けることを覚悟の上で言わせていただくと、『ワイルド・ソウル』『午前3時・・・』或いは『ヒートアイランド』で唸りを上げた垣根ワールドに浸った者にとっては、こういった方向はどうも欲求不満と言わざるを得ない。底辺に流れる激しい情熱や誰にも止められない疾走感(ドライヴ感?)を、肌のどこかでピリピリと感じながら読み進む楽しみが過去の垣根作品にはあった。確かに社会風刺も面白いテーマで取り組みたい気持ちも判らぬではないが(作者あとがきで触れられているとおり)、垣根氏にはもっと大きなプロットでドロ臭い作品を期待したい。
こういったシチュエーションなら奥田英朗という方がおられたが、サラリーマンの悲喜こもごもというテーマであれば荻原浩も結構面白く、『メリーゴーランド』や『神様から一言』あたりをお薦めしたい。今回は大変厳しい評価であることを承知で星3つとする。最後に、性描写のくどさについては私も結構気になった。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.25
(5pt)

読みやすく、痛快なストーリー

リストラという暗いテーマとは反して楽しい気持ちで読めた。ホストのような容姿のリストラ執行者(主人公)とリストラ対象者との対話はさながら裁判のようである。一番に関心したのは主人公が所属するリストラ業を専門にする会社は存在しないということだろうか。さもありそうで「実はない」という設定を生み出す発想は凄いと思う。のど越し爽快な一冊だった。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.24
(3pt)

重いテーマながら、キャラで読ませる、泣き笑いストーリー

’05年度「第18回山本周五郎賞」を受賞した、5編からなる連作短編集である。
村上真介は33才。リストラ請負会社『日本ヒューマンリアクト(株)』に所属している。今日も今日とて依頼先の企業の会議室を借りて、23才・美形のアシスタント・川田美代子を従えて、先方の人事部になり代わってリストラ対象者との面接だ。いや、面接とは名ばかりで、実際は自主退職の督促をするのだ。何人辞めさせたかという実績が、ヒューマンリアクトという会社に対する評価、ひいては会社での彼個人の評価にもつながるのだ。
相手先企業もさまざま。建材メーカー、玩具メーカー、メガバンク、コンパニオン派遣会社に音楽プロダクション。被面接者にしてみれば、人生の危機・ターニングポイント、養うべき家族もいれば家のローンもある。当然面接の場では修羅場が演じられる。
私もこの手の話には、年齢的にもまったく縁が無いわけではないので、何となくわが身に置き換えてみると、身につまされる。
ところが真介は、「おれはいったい何をやっているんだろう・・・。」と思いながらも、まんざらこの仕事が嫌いなわけでもなさそう。彼なりのポリシーを持ち、真面目に取り組み、事前の準備も怠り無く、きちんと仕事をする。実績も着実に上げているようだ。
反面、第1話で出てきた8才年上のリストラ対象の建材メーカーOLと、ちゃっかり恋人関係になってしまったりする。
本書は、リストラという今日的な重いテーマを扱いながら、村上真介というキャラを緩衝材にして、笑って、唸って、泣かせるストーリーに、上手く仕上がっている。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710
No.23
(4pt)

面白いけど、山本周五郎賞には疑問

 解説で篠田節子が、山本周五郎賞での選評を一部披露している。作品単体をとらえれば、選評は的確であるが、それが山本周五郎賞のものとういうと、うなずけない部分が多い。
この作品は、山本周五郎が目指したものとあまりに乖離していると思うのだがどうだろう。
題名と山本周五郎賞受賞作品、および作者の作風から、まったく違う小説を予想していたのだが、これはこれで十分楽しめた。たしかに、あの人はどうなったのだろうという人もいるが、そういうことをあまり気にさせない仕上がりになっている。
ただし、やっぱり気になるのが、性描写。私には不必要であると思える。
その分、星をひとつ減らしておいた。
垣根ファンには申し訳ないが、本書のようなシチュエーションの作品を書かせたら、今日本で一番巧いのは、奥田英朗だろう。それを再認識させられた作品であった。
垣根には、「午前三時のルースター」や「ヒートアイランド」のような作品へと原点回帰をしてもらいたい。
性描写なしでもやっていける作家だと信じている。
君たちに明日はない (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 君たちに明日はない (新潮文庫)より
4101329710