パラダイス・クローズド

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

パラダイス・クローズドの評価:

3.65/5点 レビュー 31件。 D ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.65pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全62件 61〜62 4/4ページ
No.2
(5pt)

楽園消失

自然は大きなデスメタルミステリー。
原稿用紙に換算しておよそ五百枚強のこの中編小説に、地球太古四十億年の物語が封じ込められていた……としたら、それは大風呂敷を広げすぎだろうか?
本編はミステリーであり、そこに設えられた舞台は密室だったり、殺人事件だったり、トリック構築だったりするのだけれど。
探偵は密室を解かないし、語られるのはひたすら魚や無セキツイ動物の蘊蓄だし、それを語る男の子は死神だし、「タナトスきゅん」なんて信じられん呼び方で呼ばれてるし。
でもそこには確かに、共生という多分に利己主義的でそれゆえに透明な兄弟関係が描かれていて。
我らが「愛」なんて言葉で呼びあってる「それ」を、「その方が都合が良いから(そうしてるだけだ)」の一言で突っぱねる彼ら兄弟が、やはりそれでもどうしようもなく美しく見えてしまうのはなぜか。
多分地球四十億年の蘊蓄は、最後の参考文献に挙げられていたNHK出版の本からだろう。
また、ミトコンドリア・イヴの話はどうしても瀬名さんのパラサイトイブを思い出させる。
蘊蓄自体はだから、ネットのような手軽さで手に入れられたものばかり、なのかも知れない。違うかも知れない。
それでも。
パラダイスは、あっというまに、ちょっとした刺激や、何てことない変化によってあっさりと崩壊する。その、直前の蠢動。
まさに、本格の崩壊。
理解した上で、ひっくり返す、その手練手管。
それらをこのわずかなページ数で行ってしまったその手腕は、恐るべきものがある……かも知れない。
「本当の密室は、開かれない」と弟は言う。
「密室は開かれてこその密室である」と警察官僚は言う。
どちらだろうと。
我ら読者は、そこにある密室を眺めているだけ。
ちょうど、美樹がモナコ水槽を眺めているように。うっとりと。
それもまた、心地良き哉。
ただ。
語りは、谷川流調。
慣れないうちはやや、鼻につきます。
故きを温ねて新しきを創った、その才能に期待して、星五つ。
世間を斜めに見すぎてどこにも糸口が見えなくなったペシミスト達へ。
パラダイス・クローズド THANATOS (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: パラダイス・クローズド THANATOS (講談社ノベルス)より
4061825798
No.1
(2pt)

いろいろと狙い過ぎ

第37回メフィスト賞受賞作で,デビュー作になります.
個性の強い双子の美少年など,キャラクタを前面に押し出した作風は,
よくも悪くもメフィスト賞作品で,好みがわかれるところだと思います.
特に,何度か出てくる『ネットスラング』のようなクセのある表現は,
モニタ上では見慣れていても,こうして書籍をとおして読ませられると,
軽いというか寒々しく感じてしまい,なんとも言えない違和感が残ります.
また,心境などについて,有名漫画家や俳優を引き合いに出すのですが,
彼らをよく知らないせいもあって,今ひとつその『意味』がわかりません.
その上,これが結構な回数だったため,ちょっとくどく感じてしまいました.
ほかにも,あることについて,うんちくやらを語る場面が多いのが退屈です.
このあたりは著者の趣味(本書 著者紹介より)が,強く出過ぎているようで,
その『意図』が明かされ,少しだけ納得できたものの,やはり強引な印象です.
孤島,館,密室にトリック,さらに有名な『お約束』までをも引っぱりだし,
それらを逆手に取って畳まれていく終盤は,そこそこに読ませてはくれますが,
使い古されたところがあるのも事実で,完全には楽しみきれないのが残念です….
パラダイス・クローズド THANATOS (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: パラダイス・クローズド THANATOS (講談社ノベルス)より
4061825798