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ひたひたと



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【この小説が収録されている参考書籍】
ひたひたと
ひたひたと (講談社文庫)

ひたひたとの評価: 4.36/5点 レビュー 14件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.36pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全14件 1~14 1/1ページ
No.14:
(5pt)

心の闇

野沢尚さんが2004年に自殺されて、もう20年近い年月が経つ。とにかく大ヒット作を若くして多く出した大人気脚本家だったけど、水面下では脚本を大きく変えられたり、無理な事を強要されて降板されたりと、辛苦を味わった方ではないかと思う。野沢さんの作品は描かれる女性が本当に魅力的だ。最近のメンヘラみたいなグズがいない。『水曜日の情事』も『眠れる森』も、子供時代や環境に恵まれなかったヒロインは決して泣き言を言わず、人のせいにせず、受け止める真の強さがある。

前置きが長くなったが、実はこの作品が初めて読んだ野沢さんの本だ。未完だと言われるが、これはこれで完成と言ってもいいのではないか、と思える。冒頭の説明ではネットを通じて集められた5人の男女が、ある場所に集められ、1人ずつ自身の秘密を話す。最初の告白者は男性、2人目は女性、どちらのラストも鳥肌が立つものだった。この2人目の話が終わったところで、この本は終わってしまう。残りの3人はどのような秘密をお持ちだったのか、聞きたかったと思うのは野暮かもしれない。おそらく同じように、重苦しく、人にはとても話せない心の闇があるのは明白だからだ。そうでなければ、わざわざこの場所には来ないだろう。

この作品の中の告白者である男女より、最初の告白者が語る元恋人が非常に魅力的な女性だった。女医だったそうだ。この告白者にはもったいないくらいの女性だったが、同時にこの告白者では釣り合わず、持て余してしまうほど重いカルマがあった。その女性も先ほど述べた野沢さんの作品に出る魅力的な女性たちのように、美しく、いさぎよく覚悟のある女性だった。

読み始めたら、あっという間に読み終わった。2時間もかからなかったと思う。中毒性のある作品で、昨夜読んでから、まだ抜け出せない。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.13:
(5pt)

若くして逝った作者の才能がもったいない

テレビドラマ「青い鳥」で野沢尚氏に感動し、野沢氏の著した小説や脚本のドラマを見る度に、
若くして逝った作者の才能がもったいないと感ぜずにはいられません。
遺作となった本作品は貴重だと思います。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.12:
(5pt)

なんで死んじゃったんだろうな野沢尚

魅力的な登場人物、起伏あるストーリー、偏執的でありながらも何故か共感してしまうセリフの数々…。心の闇を抱え生きる現代の孤独な人間がここにいる。でもここまでの話を書ける人がなんで死んじゃったんだろうな?
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.11:
(4pt)

シナリオライター

まさに「ひたひたと」という言葉がピッタリなホラー作品。
哀愁と寂寥感が作品全体に漂っている。
野沢尚は人間の光と闇を描く、天才だった。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.10:
(4pt)

未完だけに惜しい

「ひたひたと」と「群生」の2作が収められています。

「ひたひたと」は、主催者と秘密をもつ5人の6人がある場所に集まり、1人1人が持つ秘密を明かし共有していくはずだったのだが、残念ながら2人目までで物語が途切れてしまっている。
とはいえ、2人までのストーリーは、それぞれが短編のようにできているし、引きこまれるような内容になっていて面白い。
おそらく5人全員の秘密が明かされたところで主催者がなんらかのまとめというか、なぜこの5人なのか?なぜこの集まりが開かれたのか?などが明かされるはずだったのだろうが、そこまでいかず未完となってしまったのが非常に残念。

もう1つ収められている作品「群生」。
荒削りな印象を受けるのは、まだ作品が完成していないせいかと思う。
ある程度、各個人の背景なども書かれているので、登城人物それぞれがどのような人物なのかがわかるし、これだけ読んでも、十分いい作品と感じる。

素晴らしい作品を作り続けてきた作家さんだけに亡くなられてしまったことが非常に残念です。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.9:
(4pt)

作者が自身を投影したともとれる作品

その他の作品と同様に、冒頭からぐっと掴まれる。隠してきた秘密を見知らぬもの同士が話す集まりというアイデアも面白い。この本の全作品に共通するのは、倒錯したエロティシズムだろう。それが暗く淫靡な魅力を強めている。「十三番目の傷」での輪廻転生という意外な締めくくりや仏教用語の「群生」というタイトルから作者が宗教についても思いを馳せていたことを知った。収められている北方謙三の弔辞に「生きることは、死ぬことだ。そして死ぬことは人々の心の中で生き続けるということだ」という言葉があるが、この未完成の作品の素晴らしさから完成時の出来を想像すると残念でしかたがない。「群生」の主人公の年齢は作者の享年と同じである。この主人公に作者は自分自身を投影していたのだともとれる。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.8:
(4pt)

著者の息づかいが聞こえるようです。

野沢氏の作品は「破線のマりス」、「リミット」、「呼人」を読んでおり好きな作家の一人だったのですが、亡くなっていたとは知りませんでした。
本著は未完の連作「ひたひたと」と着手寸前だった「群生」が収録されています。
「群生」は「罪と罰」がテーマの重い作品ですが、どうも著者の死に結び付けて考えてしまい著者は、この作品で本当は何を言いたかったのかなぁ、と愚考してしまいました。
こんなに長いレジュメを書いて、細部を整えて作品にするんですね。
著者の息遣いが聞こえてくるようです。
是非一読してみて下さい。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.7:
(5pt)

『群生』連鎖する悲劇

登場する二人の父親の姿が痛々しい、突然の息子の自殺にすべてをかけてその理由を探ろうとする父親、娘と会う事もできずにただひたすらに読まれる事のない手紙を書き続ける父親、二人の父親の姿がまだ脳裏に焼き付いている、あるドラマでこんな台詞があった『あなたのせいよ、だってあなたは一人で生きているんじゃないものね、あなたはこの世界に関わっているの、どうしようもなく関わっているのよ』この『群生』を読んでそんなあるドラマの台詞を思い出した。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.6:
(4pt)

亡き人の息づかい

野沢氏最後の作品集。五篇の連作集となるはずだった小説のうちの二篇に加え、単行本にはなかった未発表の長編プロット『群生』が収められている。
連作は、五人の男女が五角形の部屋に集い、それぞれの秘密を語るという趣向の物語。全身に12の傷がある女性外科医について男が語る「十三番目の傷」。幼い頃性的被害を受けた女性が秘密を打ち明ける「ひたひたと」。いずれも衝撃的な意欲作だが、意欲より後味の暗さが勝っている感が。完成作品を読めば違った感想がもてたかも知れない。残念だ。
『群生』のプロットは、着手寸前のものとのことでかなり小説の形に近く、読み応えがある。心に空洞を抱えた人間たちの人生が幾重にもかさなり合う構造で、「罪と罰」というテーマに迫る。本当に完成作品を読みたかった。もしドラマ化されたらこの役は誰がいいか・・・と思わず考えを巡らせてしまう作品でもある。
ところで『群生』では、他の野沢作品にも例があるが、「手紙」が小道具として印象的に用いられる。だが「54歳の性風俗ブローカー」が娘に宛てて書いた七通の手紙の文章は、どこかそのプロフィールにそぐわない感じも受けた(プロット段階なので、完成時には手が加えられていたかも知れない)。ところでこの文の感触、どこかで読んだような覚えが・・・と考えたところ、野沢氏本人の文章(本の「あとがき」など)に似ているのだと思い至った。『結婚前夜』の「あとがき」でお嬢さんに宛てた短い手紙などと重ねて読んでしまう。「手紙」は野沢氏の「地」の文章に近いのかもしれないな・・・と勝手に想像しながら、今は亡き人の息づかいを感じる思いで、何度も読み返した。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.5:
(4pt)

不本意な結果を残してしまった作者が不憫だ

 二編の小説が収められている。
 「13番目の傷」は一種のサスペンスであり、ホラーでもある悲しい物語である。一貫して主人公の男の視点から描かれることで、男の身勝手さが強調されている。
 「ひたひたと」では「眠れる森」を彷彿とさせるモチーフが使われている。お気に入りなのだろうか、やや安易な感じは否めない。両者のどんでん返しの種類は異なるが、パズルがはまるような組み立てられ方は作者ならではだろう。結末が秀逸。
 いずれもTVでの映像化はかなり難しそうな内容であるし、シリーズ化して更に粒が揃った物語群となりそうなテーマであるのに未完なのは非常に残念だ。著者の訃報に触れて急遽出版されたのだろうか、本書はあまりにも中途半端だ。この著者は、こんな不本意な結果になることは許せなかったとは思うのだが・・・。
 あとがき代わりの北方謙三による弔辞は見事である。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.4:
(4pt)

続きが読みたい・・・・。

そう願ってもかなわない、野沢氏の遺作。氏の作品にはどれも滅びの美学を感じる、と言うとそれは後講釈になってしまうのでしょうか。読者の期待を嘲笑うかのような仕掛け。人間存在への独特のニヒリズム。途中で終わってしまっている本作品はオムニバスに4つの話をつなげることを意図していたものと思われますが、最初の2編で終わっています。2編とも読者の期待は見事なまでに裏切られます。読後与えられるやるせなさ。そのやるせなさを氏本人も感じていたのでしょうか。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.3:
(4pt)

あなたにも、ひたひたと

 野沢尚さん急逝の為、遺作となった作品。そのため残念ながら未完となっています。 ここの描かれる2人の人物の告白はとてつもなく重い物語でした。「十三番目の傷」は、情事を重ねる女性の体の12個の傷の謎を知ろうとする男の話。二点三転する謎は読み応えがあり面白かったのですが、それを探る男の心情に人間のエゴを感じ気が滅入りました。最後のおちは恐ろしくもあり悲しくもあり複雑な気持ちで読み終えました。「ひたひたと」はこれまた人間の身勝手さが描かれています。語り部は女性となり、彼女は物語の最後にちょっとした復讐を企てますが、それがまた心痛なるラストになっています。 もともと人間の闇をおもに表現する著者でしたが、この作品は一段と闇に踏み込んだ内容になっています。著者の最後の心境が垣間見れるような遺作となりました。未完であることは非常に残念ですが、著者らしい遺作と感じました。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.2:
(5pt)

心の闇!

野沢氏の遺作となった作品、タイトルの「ひたひたと」と「十三番目の傷」が納められている。読後とてつもない胸苦しさに襲われてしまった。人の心の深淵部に存在するで有ろう闇の様なものを垣間見た気がする。野沢氏本人にも、まさにひたひたと押し寄せていた何かを想像しないでは居られない作品でした。未完で終わってしまった事が残念でなりません。
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117
No.1:
(4pt)

胸に刺さる思い

野沢氏の最後の小説で未完成ではあるけれど節々に野沢氏が選んだ選択を垣間見るかの様なセリフもあったりして胸に突き刺さります。これだけ刺激的な作品を書く人は二度と現れないだろうと思うとこの一冊の貴重さを感じます。野沢氏のファンの人なら絶対読むべきです!
ひたひたとAmazon書評・レビュー:ひたひたとより
4062126117

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